「デビューライブが決定しました」
『やったぁー!!』
私たちはパァン!と器用に3人でハイタッチする。プロデューサーも微笑ましそうな顔をしている。私の中身が27歳だと知っているという事はもしかしたら"暖かい目"というべきかもしれないが。凛ちゃんまで渋々やったぁー!!と言ってくれてるのは最近の私の積極性の賜物だろう。未央ちゃんが目を輝かせているのが鬱展開を呼ばなければいいが…そこは修正し切れたか自信がない。
「ねぇねぇプロデューサー!場所は?」
「代々木公園です」
「おお!!」
全国的に知られている名前の公園の名前を聞いて、未央ちゃんはさらに嬉しそうにする。おいおいマジで大丈夫かこれ。しかし…まあ仕方ないのだ。実は私は秘密でデビューライブの事をプロデューサーに聞かされているが、今の私たちの知名度ではショッピングモールは抑えられなかったらしい。
「落ち着いてください、本田さん。ファンの人数は…」
「はいはい!少なくても当たり前なんでしょ!わかってるって」
どういうことかというと。
私たちのことを知っていて、応援してくれているファンが前の世界の時よりも多い為、ショッピングモールでのミニライブでは人が集まりすぎてお店の業務に差し障りが出てしまう可能性が出てきたのだ。あれもこれも麻友Pのせいだとプロデューサーはため息をついていた。HappyPrincessLiveでの宣伝の効果は予想上に大きくなったらしい。また、そのライブのBD化を麻友Pが鬼のような速さで完了させてアメリカに行ったことも一つの要因だった(本当に早い)。
発売されたBDのライブ冒頭のCP紹介映像は動画サイトにUPされ、"ハピプリ"のトークと共に再生回数は4桁を超え、アイドルのファンたちの中で大きな話題になった。これまた麻友Pの編集が上手いのだ…。
346プロは宣伝になると考え、UPされた紹介映像の削除要求を出さなかった。このプロダクションはCDフルverUP以外は基本的に緩いようで、それぞれのライブ映像もぶつ切りでUPされているが、申し訳程度に削除されるのみだった。
私とまゆちゃんのライブ映像も転載が繰り返され、多くのファンが閲覧し、そして私のTwitterアカウントはフォロワーが1万人を超えた。さすが大偶像時代、アイドルに関心がある人が多すぎる。
恐らくこれは私のアカウントがほとんどツイートをしない為邪魔にならないというのと(つまりフォローしても意味ないのだが)、CPでSNSをやっているメンバーが少ない為にファンが分散しなかったという理由があると思う。まあそのライブで歌を歌ったのが私だけだったということもあるだろうが。
なお、蘭子ちゃんのTwitterアカウントはフォロワーが現在3万人を超えている。彼女はCDを出しているし、もちろんあの特徴的な言葉遣いがCP以上に話題になったからだ。
「しまむー!おーい、聞いてるー?」
「あっ、はい。聞いてましたよ?」
聞いてなかった。手には知らないうちにライブの情報が書かれた紙を持っていた。私、大丈夫?
「聞いてなかったでしょ…私が後で説明してあげるから。ほらもう行くよ」
どうやらお話はもう終わっていたらしい。凛ちゃんに手を引っ張られて部屋から出る。後ろを振り向くと、プロデューサーが真面目な顔でこちらを見て頷いていた。ドアが閉まる寸前、私も頷き返す。
成功させなければ。