※今回の話の中で気になる事がある人も居るかもしれませんが、別作品で予定している内容に繋がる予定なので心に留めて貰えれば幸いです。
朝。制服姿で歩いていた真白達は途中、美柑とも別れて彩南高校へ向かう。前から順番にララ・モモ・ナナが並んで歩き、その後ろに真白とヤミが。最後にリトが1人最後尾で彼女達の後ろ姿を眺めていた。すると、話をしていたララが少し後ろへ下がって真白に話し掛ける。何を話しているのかリトには分からないが、笑顔で話すララと無表情乍ら頷くなどして答える真白の姿は微笑ましいものであった。
「!」
学校近くまで来た時、何度も見慣れた後姿にリトは緊張して身体を固くし始める。それは春菜の後ろ姿であり、ララはその姿を見つけると走り出した。と同時に何かを落として行き、真白の隣を歩いていたヤミがそれに気付く。真白はララ経由でモモ達と会話をしていた為に気付かず、リトは春菜の様子を伺っていた為にそれどころでは無い。唯一気付けたヤミのみがそれを拾い、首を傾げた。片手に収まる端末の様な機械にはディスプレイと思わしき部分とボタンが複数あり、落とし主から間違い無く発明品の一種である事は伺える。ヤミはララにそれを渡そうとするが、突然聞こえて来たチャイムの音にその場にいた殆どの者達が走り出した。ゆっくり歩き過ぎていたのだろう。
「……走る」
「分かりました。……!?」
真白の言葉にヤミは頷いて、ララに返すのは後回しにする事とした。だが仕舞おうとしたその時、小さな何かが端末から真白の首元へ発射される。突然の事に焦ったヤミだが、発射された小さな何かは真白の髪を通って後首へ付着。しかし痛みも何も感じていないのか、真白は付いた事すら気付いていない様子であった。教えるべきなのは間違い無いが、今は時間も惜しい状況。故にヤミは置いて行かれない様に改めて端末を仕舞うと、走り出すのだった。
休み時間。授業の合間にある短いその時間、里紗達と話をしている真白の姿を捉え乍らヤミは端末を取り出す。何も映っていなかったディスプレイには何故かデフォルメされた真白が映っており、画面の横には手のマークや唇のマーク等が映っている。真白の呼吸に合わせて動くその絵は本人と繋がっている様で、ヤミは端末にあったボタンを何気なく押してみる。結果、映っていた手のマークと唇のマークが場所を入れ替えた。
「何かを示している?」
まだその意味を理解出来ず、ヤミは首を傾げるしか無かった。すると突然、真白と話しをしていた里紗がヤミに話しかけた事で反射的にヤミは持っていた端末を仕舞う。ディスプレイに映る真白の絵に触れてしまいながら。
「!?」
「? 真白、どうかした?」
「…………平気」
途端、真白の身体が大きく跳ね上がった事で彼女と話をしていた未央が心配する。辺りを見回して特におかしな様子の無い教室内を確認した後、首を横に振って何事も無い様に答えた真白。里紗が話し掛けている事も忘れ、ヤミはそんな真白の姿を見て拾った端末の効果を理解し始めた。
「(画面に映る真白は、本物の真白と繋がっている……?)」
「ヤミヤミ? お~い、ヤミヤミ~?」
呼び掛ける里紗の声もヤミの耳には入らず、やがて休み時間は終わってしまう。教員がやって来て授業が始まる中、教科書とノートを机に出していたヤミは自分の身体で見えない死角で端末を取り出した。……それは過去の自分ではあり得ない、好奇心から来るもの。相手が真白であったが故に、ヤミはその衝動を抑えられなかった。
「……」
「! んっ……」
優しく画面に映る真白の腹部をタッチすれば、静かな教室内で真白は驚いた様子を見せる。微かに漏れる吐息がヤミの耳にも聞こえ、真白は休み時間同様に辺りを見回した。集中して授業を受けている者も居れば、居眠りをする者や遊ぶ者も居る教室内。だが一瞬感じた何かの原因となり得る者は何処にも居なかった。
「どうしましたか?」
「……何でも無い」
辺りを見回す真白の姿に心配した様子でヤミが話し掛ければ、真白は首を横に振って答えた。辺りを見回す原因がヤミであるとも気付かずに。
ヤミは確信する。今自分が持っている端末に映る絵は真白と繋がっており、その絵に触れれば真白に触れた事になると。一体どうしてララがそんな発明品を作ったのかは定かで無いが、ヤミはそれをすぐにララへ返す気にはならなかった。普段表情を崩す事の無い真白の姿を見て見たい。そんな衝動に駆られ、ヤミは端末を懐へ仕舞う。
何科目かの授業を終えて昼休みとなった時、真白はヤミと共に里紗や未央に誘われて昼食を食べた。全て食べ切った後は自由に過ごす様になり、真白は教室へ戻る事に。が、ヤミは突然真白へ「少し用事が出来ました」と言って離れる意を伝える。普段自分から離れる様な事をしないヤミ故に不思議な事ではあるが、彼女も1人の少女。そういった場合もあると考え、真白は頷いて別れる事に。しかし真白から距離が出来た後、ヤミは何処へも行かずに真白から気付かれない範囲に立った。
「このマークは触れ方、ですね。手のマークなら……」
画面に映る真白とは別の手と唇のマークを見ながら呟いた後、ヤミは真白の絵に振れる。腹部を数回突く様に触れれば、教室で座っていた真白はまた身体を跳ねさせた。3度目の出来事に困惑しながらも辺りを見回す真白の姿を視界に捉え、ヤミは遂に胸の部分へ触れる。
「ん、ぁ……」
まるで見えない何かに胸を揉まれた様な感覚を受け、微かに漏れ出る声に真白は口を自分の手で塞いで抑え込んだ。昼休み故に教室の中で残っている生徒は少ないが、居ない訳では無い。必死に我慢する真白の姿に溢れ出る感情を抑え、ヤミは再び触れようとした。だがその時、ヤミの背後に突然現れた人物が持っていたそれを取り上げる。
「ヤミお姉ちゃん、何してるの?」
「! メアですか……それを返して貰えますか?」
笑顔で声を掛けて来たその姿を少し驚きながらも確認したヤミは、平常心を持ってメアに手を差し出す。だがメアはヤミが何に夢中だったか気になり、手に持ったそれを確認する。デフォルメされた真白と右上に映る手のマーク。教室には辺りを見回す真白の姿があり、メアは何気なく真白の胸部分をタッチした。
「ふっ! ん……ん……」
「……へぇ~」
教室の中で快感に襲われる真白の姿を確認し、メアは端末を持っていたヤミへ目を細めながら納得した様に声を出す。全てを察されたヤミは何も言わずに手を差し出したまま、顔を背けた。普段の彼女では考えられないその様子にメアは改めて面白いものを見つけたかの様に笑みを浮かべると、端末を触り始める。ヤミの様に試すのでは無く、本格的に真白へ快感を与える為に。
「ふ、ぁ! んんっ! だ、め……ん、ぃ!」
首筋、胸、腹部に太腿。足の裏まであらゆる場所を無数の手で撫でられ触れられ揉まれるかの様な快感に真白は口を抑え乍らも自分の机に身体を伏して悶える。明らかに様子がおかしい真白の姿に教室にいた生徒達の数人が気付くが、快感が齎す痺れは正常な思考を奪ってしまう故に真白は気付かない。
教室の外、廊下では金色の髪を大量の拳にして襲い掛かるヤミと軽やかにそれを躱すメアの姿があった。ヤミの攻撃には一切の容赦が無く、額に僅かな汗を流しながらも髪を盾にして防いだり避けたりするメアの手には未だに端末が握られていた。そして全てを能力で変身させた髪に任せ、メア本人は真白の絵に触れ続ける。が、やがてヤミの攻撃がメアの手元に当たると同時に端末は大きく空へ舞いあがった。その拍子に手のマークと唇のマークを入れ変えて。
「!」
空へ舞った端末へ両者が同時に手を伸ばす。2人の手が端末を交差してお互いの手に触れれば、両者が同時に空いていたもう一方の手を伸ばす。手と手で端末を取り合えば、何度も端末に映る真白の身体に2人の肌が触れてしまい、その度に真白は自分へ襲い掛かる快感に苦しむ事になった。先程まで手で愛撫されていた身体を今度は滑り気のあるまるで舌の様なものに舐められて。
「っ! や、めっ……んぁ!」
自分の傍には誰も居ないにも関わらず、無数の舌が身体を舐め上げる。やがて両胸に2つの舌が容赦無く襲い掛かると、その舌は中心へ移動。……そして、快感によって微かに固さを持ったそれを包む様に舐め上げた。
「ひっ、んんっ!」
今日一番に身体を震わせて抑え切れない声を漏らした真白はそのまま力尽きる様に再び机へ伏してしまう。少し離れた場所で端末を取り合うヤミとメアは再び同じ様にお互いの髪を手にして伸ばし、端末を掴む為にぶつかり合った。端末が何度目かも分からずまた舞い上がった時、それはとある人物の元へ飛んで行く。それは春菜と一緒に廊下を歩いていたララであった。
「わっ! あれ、何でこれが空から降って来たんだろう?」
「ララさん、それは?」
「あ、これは携帯型のマッサージ機だよ! 自分で自分をマッサージ出来るの! 骨川先生が腰痛で辛いって言ってたから、前から作ってたんだ! 先生用のは昨日渡したから、試作版かな?」
「そうなんだ。優しいね、ララさんは。……あれ? これ、真白さん?」
「? ほんとだ、真白が映ってる。何でだろ? 取りあえず、リセット! っと」
空から飛来した自分の発明品に驚いたララは気になって質問した春菜に答えた後、画面に映る真白の絵に気付いてボタンを押す。途端に画面が真っ暗になり、真白の後首に付いた物も消滅した。そしてララはそれを自分のポケットに仕舞うと再び春菜と会話を始め乍ら歩き出し、取り合っていたヤミとメアはその光景を遠くから眺めていた。
「あ~あ。面白そうだったのに」
「……貴女のせいですよ、メア」
「そもそもえっちぃ事を考えるヤミお姉ちゃんが悪いと思うけどな~」
メアはそう言った後、教室へ戻る為に「じゃあね」と言ってその場を後にする。端末を失って真白から離れる理由も無くなったヤミは真白が居るであろう2年A組の教室へ向かい始め、そこに真白の姿が無い事に首を傾げた。そして教室にいた女子生徒に質問すれば、彼女は心配そうに答えた。
「三夢音さん、急に体調が悪くなったみたいで早退したみたい」
「そうですか……」
全ての原因を理解していたヤミはその答えに頷いた後、自分の席へ戻る。真白の傍に居たいとは思うも、早退する理由を作ったのは自分。勝手に自分も早退してしまえば怒られる可能性もあり、ヤミは罪悪感を感じ乍らも我慢して空いた隣の席を寂しく思いながら1人午後の授業を受けるのであった。
ストック終了。また【5話】or【10話】完成をお待ちください。
改めまして、読んでくださりありがとうございます。
各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?
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サブタイトルの追加
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主な登場人物の表記