【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第10話 過去を知る女教師。臨海学校1日目

 休日の2日目、真白は朝から結城家に行くことは無かった。普段は毎日の様に通う彼女であるが、日曜日だけは違うところへと朝から向かう真白。休みであっても朝早くから外出することは変わらず、やがて真白が辿り着いたのはそこそこ大きな洋館であった。

 

 洋館には鍵が掛かっているが、真白は持っていた合鍵を取り出すと迷う事無く解錠。中へと足を踏み入れた。中には大きく広い部屋。真白はそんな中を確認しながら、迷う事無く中を歩く。そうして辿りついた場所にあったのはモップや叩き、掃除機などが並べて置かれている部屋であった。そしてそこからの行動は素早かった。何処からともなくエプロンを取り出してそれを付け、腰紐に叩きを引っかける。頭にも三角巾を付け、傍にあったコンセントに掃除機のプラグを差し入れると掃除を開始し始めたのだ。洋館の中には掃除機のモーターの音が響き渡り、掃除機の届かない場所は叩きで埃を落としてから掃除機で吸うなど非常に慣れた様子である。

 

「ぅん、何よ……もう来たのね」

 

「……おはよう」

 

 真白が掃除を続けていた時、洋館の2階にある閉まっていた部屋が開かれる。そこはまだ真白が入っていなかった場所であり、敢えて入らなかった場所である。そしてそこから出て来たのは下着姿に白衣を来た美女であった。大きな伸びをして部屋から出て来た美女は、1階を見下ろしながら真白に声を掛ける。真白はそんな美女に極普通に挨拶をして、掃除を再開し始めた。

 

 下着も見えるその姿のまま掃除をする真白の姿を見降ろしていた美女。少しそのままでいると、やがて一度部屋の中へと戻って行く。そして次に出た時、一応人前に出ても先程よりは恥ずかしく無い服装へと着替えて姿を現した。その平均よりも遥かに大きな胸は上部分が下着を使っても尚殆ど隠れていないが、恐らくそれが彼女の服装なのだろう。そうして1階へと降りて来た美女は掃除をしている真白に再び話しかける。

 

「毎週毎週、来なくて良いのよ?」

 

「……平気……私は、気にしない」

 

「私が気にするのよ。はぁ~」

 

 当たり前の様に自分の家を掃除する真白に気を使いながら言う美女だが、真白の言葉に1人呟きながら溜息を漏らす。そしてその後真白が一通りの掃除を終えるまでの間、美女は何処か違う部屋で自分の事をし始めた。……それから数時間後。違う部屋に籠って自分の事をしていた美女が部屋を出た時、聞こえて来たのは掃除機の音では無く何かを炒めている調理の音であった。

 

 階段を降り乍らこの家のキッチンがある場所へと向かった時、美女の周りに美味しそうな香りが漂い始める。そしてリビングとキッチンが一緒になっている部屋に入った時、フライパンの上に乗っているパラパラな米を手首のスナップを効かせて炒めている真白の姿が映る。どうやら作っているのは炒飯の様で、もう出来上がる寸前の様子である。その量はしっかりと2人前分。美女は何も言わずにリビングの椅子に座り込む。真白は振り返らずに来たことに気付いていた様で2つの皿に盛った後に火を止め、元栓を閉めてからやって来る。

 

「……頂き……ます」

 

「頂きます」

 

 テーブルに置かれた良い香りのする炒飯に美女は知らぬ内に少しばかり期待し始めていた。そして真白が食べるための言葉を言うと、美女も続けて言い、2人は食事を開始する。真白は好きな味付けが分かっている様で、自分好みの味になっているその味に舌鼓を打ち乍らも美女は口を開く。

 

「流石、彼女の元で作り続けてただけあるわね」

 

「……仕方ない……2人には、無理」

 

「そう、ね……1人は知らないけれど、少なくとも彼女が作れるとは思えないわ」

 

「……」

 

 笑みを浮かべながら褒める様に言った美女の言葉に、変わらずとも何処か優しい表情で思いだす様に答える真白。しかし美女が話している内に徐々にその表情は普段の何も感じられない物へと戻って行き、動いていたスプーンを持つ手も止まってしまう。今の真白に見えるのは悲し気な姿であり、美女は真白が元気を無くしてしまった事に溜息を付いた後、「食べましょ?」と言って食事を再開する。真白も言われた言葉に頷いた後、再び手を動かし始めた。

 

 美女はふと、目の前で当然の様に食事を取る真白が自分の目の前に初めて現れた時を思い出す。自分の友人からの手紙を持って現れた今よりも更に幼げな真白。何年も自分を探していたと言う事実を聞いて自分の家に住まわせようと考えた物の、既に別の人に拾われていた事への驚きや、それ以降度々現れては自分の生活にこうして干渉している彼女の存在に美女は最初は心配であり、面倒にも感じていた。が、今では決まった日にこうして来る真白の存在に気付けば当たり前と感じている自分が居た。

 

「……涼子?」

 

 考え続けていた時、真白が美女の手が止まっている事に気付いて声を掛ける。美女はそれに笑みを浮かべながら「何でもないわ」と答えた後、食べようとして……その手を一度止めた。

 

「貴女、今は良いけど学校ではちゃんと呼びなさいよ?」

 

「ん……御門、先生」

 

 自分の言葉に言いなおした真白の姿に再び笑みを浮かべ、今度こそ食事を再開した美女……御門 涼子。彩南高校の保険医にして真白の過去を知っている彼女もまた、ララと同じ宇宙人である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暑いわね」

 

「ん……暑い」

 

 揺れるバスの中。唯が片手を団扇の様に使いながら胸元を軽く広げ、苦しむのを横目に真白は特に変わった様子を見せずに答える。真夏を迎え始めているこの時期は、何もしていなくても汗ばんだり等と過ごし難い環境が続く。本来であればプールの授業など、夏ならではの授業も存在するが……つい先日、謎の出来事に寄ってしばらくプールは使用禁止となってしまっていた。一体何が起きたのか理解出来ないが、辛うじて見えたのはプールから巨大な水の竜巻が巻き上がったと言うあり得ない現象であった。何となく理由を理解出来ていた真白はそれを見るだけであったが、他の生徒達は違う。理由が分かる事は無かった物の、結果的に今年のプールはその時に入っていた者達でお終いになってしまったのだ。

 

「にしても何があったのかしら? 今回の臨海学校、てっきり中止になると思ってたわ」

 

「……」

 

 しかしプールが中止になっても、他の物が中止になる訳では無い。夏ならではの行事は他にも存在しており、その1つが今現在バスに乗っている理由……臨海学校であった。3日間彩南町を離れて別の場所で寝泊まりをし乍ら涼しい森の自然などと触れあう。これもまた、夏ならではの行事である。が、実は昨日までその臨海学校は『中止になる』と生徒の誰もが思っていた。非常に強い台風が迫っていたからである。当然雨風が強い日になってしまえば、生徒達の安全を考えて中止になっても可笑しくは無いだろう。しかしそれを認めない物が居た。生徒の中で恐らく、誰よりも臨海学校を楽しみにしていたララである。

 

 台風によって臨海学校が中止になるかも知れない。そう思った時、ララはすぐに行動に出た。……その結果、ララは自分の力で台風を遠ざけてしまったのだ。銀河を統一した王の娘と言うのも伊達では無いと言う事だろう。そして臨海学校が無事に行える様になり、こうして今真白は同じクラスメイト達と同じバスに乗って自分達が寝泊りする旅館へと向かっていた。まだ出発したばかりであり、冷房が効き始めていない現在。もう少しすれば過ごしやすくなる事だろう。真白はララの行動で台風が逃げたなどと言う訳にも行かず、唯の言葉に静かに頷いて返すだけで返答を済ませる。

 

 それから長時間のバスによる旅を続けた後、目的の旅館へとたどり着いた時。真白達を出迎えたのは美人な旅館の女将と仲居さん達であった。クラス毎に別でバスに乗っていたため、一度合流することでリト・ララ・春菜の姿を見つけた真白。ララも真白を見つけて大きくその名を呼んで手を振るが、もう数日でそれは見慣れた物。今はそれよりも綺麗な仲居さん達に数人の男子達がざわつき、そんな中で女将の元に親しそうに飛び込んだのは身長の低い小太りでサングラスを付けた男性……校長であった。彩南高校では非常に有名な助平であり、女将は慣れた手つきでその校長の顔面に拳を入れる。余りの光景に呆気に取られる中、気にした様子も無く旅館の中へと案内された真白達。大きな部屋の中で一通りの注意事項を受けた後、決められた部屋へと移動する事となった。

 

 基本的に部屋割りは同じクラスの中で4人ずつ。真白と唯はすぐに決まり、残りの2人は真白達と同じ様に仲の良い2人が集まる事に寄って合計の4人組が出来上がった。それなりの交流はしつつも、基本的には仲の良い相手と話すことが多くなるだろう。唯の場合は話す相手が真白の時点で会話が殆ど無さそうだが、それは仕方の無い事である。

 

 旅館に到着したこの日は話などで夜を迎えてしまった為、クラス毎に温泉に入る事となる。先にリトやララの居るクラスが温泉に入り、時間が来たら交代で今度は真白達のクラスが温泉に入る。当然男湯と女湯で分けられており、その時間が来るまで真白達は部屋で待機することとなった。

 

『1年B組の生徒は集合! 温泉に入りますよ!』

 

「あ、私達じゃない?」

 

「行こ行こ!」

 

 そうして時間をそれぞれが潰していた時、やがて聞こえて来る声に同じ部屋に居た女子生徒の2人が立ち上がる。そしてお互いに仲良く喋りながら部屋の外へと出て行く。そんな姿を見つめていた真白は、立ち上がった唯が「ほら、私達も行くわよ」と言って手を差し出したことで頷きながらその手を取り、立ち上がる。

 

 女子風呂に続く脱衣所では女子高生達による若々しく騒がしい声が響いて居た。そんな中で、真白は着ていた制服を脱いで棚にある籠の中へ入れる。そのすぐ隣では同じ様に服を脱いで裸になった唯の姿があり、真白は唯のスタイルを見る。唯の身体は16歳とは思えないプロポーションであり、特に胸は涼子程では無いもののそこそこの大きさを誇っていた。対する真白は小さい訳では無いが大きくも無い中途半端な大きさ。スタイルも前回の身体検査等で余り良くなっておらず、幼児体型では無いが大人に成りきれない子供の様な体型である。

 

「……綺麗」

 

「んなっ! じ、ジロジロ見ないで。破廉恥な!」

 

 自分の姿に少しガッカリし、真白から見て自分よりも女として魅力的な姿を持つ唯の姿に思わず呟いた言葉。それを聞いた唯は持っていたタオルで前を隠し、顔を赤くしながら少し怒った様子で真白に言う。そして温泉へと続く扉へ歩き、それを開いた。見えるのは露天風呂であり、自然に囲まれた気持ちの良さそうな温泉。唯は思わずその光景に「へぇ」と声を上げ、唯の後ろを付いてやって来た真白もそれを見ると先程とは反対の様に唯の前に立って振り返る。

 

「……入ろ」

 

「えぇ。あ、タオルは湯船に入れちゃ駄目よ? マナー違反だわ」

 

「……知ってる」

 

 真白の言葉に頷いた後、注意をした唯。しかしそれは既に真白も知っている事であり、頷いて答えたその姿に唯は微笑む。そして2人はその後、他の生徒達の声を聞きながらも気持ちよく温泉に浸かり続けるのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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