【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第109話 美柑の友達

 休日のお昼前、結城家で美柑と昼食に何を作るか相談していた真白は突然響き渡るインターホンの音に視線を向ける。閉じたリビングから見える廊下への扉と、その先にある玄関。誰かが当然出る必要があり、その時一番動けたのは植物への水やりを終えて寛いでいたリトであった。宅配か何かだろうと考えて話に戻ろうとする美柑。だが再び口を開こうとした時、玄関から聞こえるリトの呼び声に美柑は真白を置いて向かい始める。……そしてそこに居た2人の人物は美柑は驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「御免ね? ご馳走になるつもりは無かったんだけど……」

 

「でもワクワクじゃ無い? 偶にあるお弁当の日に食べてる美柑の弁当、凄い美味しいし!」

 

 リビングのご飯時に座るテーブルには現在、普段見慣れる2人の少女が座っていた。申し訳なさそうに謝る少女、乃際(のぎわ) 真美(まみ)と頭の後ろで手を組んで笑みを浮かべながら楽しみといった様子でキッチンに視線を向ける少女、小暮(こぐれ) 幸恵(さちえ)。彼女達は美柑が通う小学校での友達であり、普段から美柑に学校で色々な事を愚痴られていた。

 

「絶対に見に来たよ……」

 

「?」

 

 キッチンから盗み見る様に2人を見て呟く美柑に真白は首を傾げる。2人は『偶々近くを通りかかったから寄ってみた』と玄関で出会った際に美柑へ告げたが、その真意は別だと美柑は分かっていた。まず初めに美柑は2人を家に上げた事等無く、2人を遊びに誘う事もしようとはしなかった。それは普段から危なっかしいリトの体質に巻き込ませたく無く、何となく真白に合わせるのも嫌だった故に。だが一緒に学校で過ごす上でリトと真白の事を話す機会は多く、2人は美柑が話すリトと真白に会ってみたいと前々から言い続けていた。当然それを断っていた美柑だが、遂にこの日、2人は強行策に出たのだ。約束も無く訪問して目的の相手を見る。それだけが目的だった2人は、時間故にリトと真白から昼食を食べて行く様に誘われ、今に至る。

 

「あ、あの……」

 

「? 何でしょうか?」

 

「もしかして貴女がヤミさん、ですか?」

 

「そうですね。美柑からはそう呼ばれています。ヤミちゃんでも構いませんよ」

 

「おぉ! 美柑が偶に話してるヤミさん!」

 

 同じリビングで本を片手に黙座するヤミの姿を横目で見ていた真美は意を決して声を掛けると、美柑から聞いていた『綺麗な金色の髪』や『基本的に制服か黒い服しか着ない』と言う特徴を思い出して確認する様に質問する。本から顔を上げてヤミがそれを肯定すれば、身を乗り出して幸恵は嬉しそうにヤミに視線を向けた。見た目的に自分達とそこまで年が離れている様にも見えず、一応高校生である事は知っていながらも2人は小学生故に友達と接するが如く話掛け始める。普段余り喋らないヤミとおしゃべりな2人の差は、余りにも激しかった。

 

「ストップ! ヤミさん、困ってるでしょ!」

 

「美柑、特に困ってはいませんが」

 

「困ってるの! 出来たから、リト達を呼んでくる!」

 

 昼食の準備を終えて割り込む様に2人へ注意した美柑は、ヤミからの言葉に強い口調で決めつける様に告げてリビングを後にした。思わず首を傾げるヤミと、何となく頬を掻いて居なくなる美柑の背中を見送る2人。するとキッチンから出来たての料理を手に姿を見せた真白に気付いた2人は再び目を輝かせる。その手に持つ料理は見るからに美味しそうであり、テーブルに置かれるそれに2人の目は釘づけとなっていた。

 

「うわぁ~、美味しそう!」

 

「これが美柑と真白さんの恊作料理!」

 

 何度かお弁当の交換等で食べた事のある2人は、それを美柑と真白が共に作っていると美柑本人から聞かされていた。思わず涎が出そうな口元を幸恵は拭い、あくまでもお客として美柑がリトや他の面々を連れて来るのを待ち続ける。そこでふと、2人は気になった。実は美柑から聞いていた人物はリト、真白、ヤミの3人。この場に真白とヤミは居り、後はリトだけの筈である。だが、彼女は言った。『リト達を呼んでくる』と。

 

「飯だ~!」

 

「ちょっとナナ、はしたないわよ。あら?」

 

「あれ? お客さん?」

 

「綺麗な人達……」

 

「美柑、この人達は?」

 

「……あ」

 

 現れたララ、モモ、ナナの3人を見て見惚れた様に呟く真美を横に、同じ様に驚きながらも幸恵は美柑へ質問する。そこでようやく3人の事を説明していなかった美柑は宇宙人である事を隠す前提で何と説明すべきか迷い、そこに追い打ちの如くやって来た頭に花の咲いた幼女……セリーヌがやって来た事で美柑は頭を抱えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真美と幸恵は真白と美柑が作った料理に感動しながら舌鼓を打った後、宇宙人である事を教えられたナナ達と仲良く話をしていた。自分よりも年下であり、宇宙人であると知って興味津々な2人を前に自慢げに話をするナナ。少しジト目になりながら横でモモが時々内容に補足を入れる中、少し離れた場所で美柑はマグカップを手にその様子を眺めていた。

 

「なんつーか、安心したぜ。美柑にもちゃんと友達が居るって分かって」

 

「ん……良かった」

 

「そりゃ、私にも友達くらい居るよ」

 

 そして美柑と共に同じく別の場所からその光景を眺めていたリトと真白が優し気に告げた言葉を聞き、美柑は少しふてくされた口調で恥ずかしそうにマグカップで顔を隠しながら答える。リトと真白はそんな彼女の姿に目を合わせ、微笑んだ。……真白も見た目は変わらないが、分かる者にだけ分かる変化を見せ乍ら。

 

「あ、もうこんな時間。そろそろ帰らないと」

 

「そう言えばあたし、親に何も言って無かった! 怒られるかも!」

 

 ふと時間を確認した真美の言葉に幸恵が顔を青くしながら立ち上がる。昼食を結城家で過ごした2人は家に何も連絡を入れておらず、当然ご飯時に帰って来なかった2人を心配している事だろう。2人は帰る事に決め、玄関へ向かい始める。一斉に見送るには人数が多い為、見送りは美柑、リト、真白の3人だけで行う事にした。

 

「あの、ご馳走様でした」

 

「さっきも言ったけど、凄く美味しかった!」

 

「……」

 

「これからも美柑と仲良くしてやってくれ。な?」

 

「勿論! あたし達、友達だもんね!」

 

「ね!」

 

「あはは……」

 

 靴を履いた後、改めて頭を下げる真美と感想を告げる幸恵。表情を変えずに唯頷いてそれを聞いた真白だが、2人は今までの短い時間と美柑から真白の特徴を聞いていた為に怖いと思う事は無かった。そして彼女に続く様に優しい笑みを浮かべてリトが言えば、2人は美柑と互いを見て笑顔で返す。美柑はそんな2人に頬を掻きながらも否定する事は無かった。すると突然、幸恵が美柑を手招きする事で彼女は首を傾げながらも2人に近づいた。

 

「勝手に来て、御免ね?」

 

「本当だよ、全く」

 

「でも、美柑が何時も言ってる人達に会えて楽しかったよ。それに男子の告白を断る理由も分かったし!」

 

「! 別に、誰かと付き合うつもりが無いだけだから」

 

「えへへ、そう言う事にしといてあげる! それじゃあ、お邪魔しました!」

 

「お邪魔しました!」

 

 リトと美柑に聞こえない声で話していた美柑は幸恵の言葉に目に見えて動揺し始める。そして僅かに真白へ視線を向けるその姿に幸恵は笑いながら2人にも聞こえる様に告げると、続けた真美と共に結城家を後にした。玄関の閉まる音を最後に廊下は静かになり、一段落。リトはそのまま2階の自室に戻り、真白と美柑はリビングへ戻った。

 

「はぁ~、疲れた」

 

「……お疲れ」

 

 2人で並んでソファに座った時、美柑は大きな脱力と共に思わず真白の膝に頭を乗せる。普段ならしない行為だが、圧倒的な疲労感を感じて羞恥心を感じる余裕も無いのだろう。真白は特に気にした様子も無くそれを受け入れ、美柑の頭を撫で始める。すると美柑が座る方とは逆の真白の隣に何も言わずヤミが座り、同じ様に横になった。結果、ソファの中心に真白が座り、左右からヤミと美柑が真白の膝を枕にして寝る光景が出来上がる。

 

「ふぁ~」

 

「眠く、なって……来ました」

 

「……ん」

 

 撫でられる安心感と柔らかい膝の感触に大きな欠伸をする美柑と、徐々に瞼が落ち始めるヤミ。2人の姿を見て真白も同じ様に眠気に誘われ始め、やがて3人はそのまま夢の世界へと旅立った。すると、結城家の庭に帰った筈の真美と幸恵が姿を見せる。実はテーブルの上に幸恵が忘れていた漫画が置いてあり、彼女達はそれを取りに来たのだ。が、2人の視界に映ったのは3人で寄り添って眠る思わず優しい気持ちになってしまう様な光景。今ここで家の中に入ろうとすれば、間違い無く起こしてしまうと考えた2人は何も言わずに頷き合った後、漫画を諦めてその場を後にした。

 

 その後3人を起こさない様にララ達も静かに自室へ戻り、しばらくの間リビングには3人の小さな寝息のみが聞こえ続けるのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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