【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第112話 顕現、ダークネス【前編】

「真白。キス、してください」

 

「……」

 

 それは突然の言葉だった。その日、朝から何処か様子の可笑しい彼女を心配して真白と2人っきりにする事にした他の者達の厚意を経て共に昼休みを迎えると同時に昼食を取る為に屋上へやって来た2人。お弁当を広げて食べ終わった後、真白が単刀直入に悩み事があるのかを聞いた時、彼女は突然真白へキスを願った。彼女の言葉に目を見開いた真白は何も答えずにその姿を見つめ、それが理由を求めていると理解したヤミは僅かに目を閉じた後に告げる。

 

「私は、貴女の事が好きです。誰よりも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1年生の教室でクラスメイトと話をしていたメアは突然感じる【何か】に窓の外を見る。地球人であるクラスメイト達は何も感じていない様子だが、メアだけで無く宇宙人であるモモやナナも同じ何かを感じた様子で3人は目を合わせる。そしてそれが何かを探ろうと教室を出ようとした時、メアの足は【止められる】。

 

「『遂にこの時が来たか』」

 

(マスター)? !?」

 

 それは余りにも突然であった。何処からか頭に響き渡るネメシスの声にメアは辺りを見渡し、気付けばその身体の主導権が自分から離れて行く感覚に襲われる。そして自分の姿を見るモモの驚愕した目と、叫ぶ様に自分の名前を呼ぶナナの姿を最後にメアの目は自分の物では無くなってしまった。何度か別の誰かと繋がった事で入った事のある精神世界に自らの意識を浮かべ、世界から覗く様に見える自分の目に映る光景。声も光景も感じられるが、身体の全ては違う別のものであった。

 

「主! 何で私の身体を!?」

 

「お前はそこで見ていろ、メア」

 

 自分の身体を操る人物、ネメシスにメアは声を掛ける。だが帰って来たのはとても冷たい言葉であり、見える光景に映る自分は突然窓から外へ飛び出し始めた。外の世界でメアの変化を見ていたモモとナナは驚き戸惑いながらも、その後を追い掛ける為に外へ飛び出す。

 

「な、何が起こったの? メアさんの髪が」

 

「わかんない。わかんないけど、凄く嫌な予感がする!」

 

 モモの言葉にそう答えて空を飛ぶメアの後を追った2人が見たもの。それは屋上で対峙する真白と……雰囲気の違うヤミの姿であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し前。

 

「! この反応、まさか!」

 

「ティアは先に行きなさい。お静ちゃん、手を貸して頂戴」

 

「え? え? い、一体何があったんですか?」

 

 御門、ティアーユ、お静の3人は保健室で昼食を食べていた。現在生徒は1人も来ておらず、のんびりと食事を楽しんでいた3人。だが突然感じた何かにティアーユが驚いたと同時に、素早く御門は立ち上がると食べかけの弁当を置いて動き始める。訳も分からず困惑するお静を置いて、説明を任せたティアーユは一目散に保健室の外へ。その途中、ドアの下枠に足を引掛けて転ぶのは彼女故に仕方の無い事である。

 

「ティアーユ先生!」

 

「ララさん! 貴女も感じたのね?」

 

 階段を上がろうとしたティアーユは突然掛けられた声に振り返る。そこには必死な様子を見せるララの姿があり、彼女の様子を見て遠くから追い掛けて来るリト、春菜、唯の姿もあった。ティアーユの言葉に力強く頷いたララだが、地球人であるリト達には当然何の話か分からない。ティアーユは時間が惜しく思った為、「説明するけれど、まずは向かいましょう」と言って歩みを再開する。そして彼らが辿り着いた屋上で見たもの。それはナナ達と同じ光景であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ。ふふふ、あぁ。凄く良い気分」

 

「……」

 

 着ていた制服でも無く、普段着用している戦闘服(バトルドレス)でも無い露出の多い真っ黒な服を着たヤミが鋭い爪をした指を頬に当てて恍惚とした表情で告げる。そんな彼女の姿をジッと見つめる真白の顔は変わらない無表情であり、それがどんな感情を抱いているのか知る術は無い。すると、空からメアの身体を使ったネメシスが現れる。その身体はメアのものでありながら、髪の長さも見た目も全てが完全にネメシスへ変換された姿。彼女はその身体でフェンスに立つと、両手を広げて告げる。

 

「ようやく会えたな、本当のお前に」

 

「ネメシス? そうだね、こう言う場合は初めまして♪ の方が正しいのかな?」

 

 普段のヤミとは違う喋り方に駆けつけた面々が驚愕する中、言われたネメシスは少しだけ怪訝な表情を浮かべる。ヤミの返しはまるで初めて出会った時の自分がした挨拶を彷彿とさせるものだった故に。だがそんな彼女の様子等気にした様子も無く、ヤミは自らの髪を浮かし始める。何をしようとしているのか分からず一同が困惑する中、真白は彼女の行為を受け入れるかの様に目を瞑った。……そして、ヤミの髪が真白の身体全てを包み始める。

 

「な、何するつもりだよヤミ!?」

 

「何するって、簡単な事だよ? 私と真白は1つになるの。永遠に私は彼女の中で生きて、彼女の中で私は永遠に生き続ける。そ・れ・だ・け♪」

 

「! 止めなさい!」

 

 ヤミの行動にリトが声を上げた時、妖艶な表情を浮かべながらそう告げる彼女の姿にモモがナナ同様に嫌な予感を感じる。そして真白を包み込む髪を見てその行為の意味に気付いたモモは声を上げるが、時既に遅かった。ゆっくりと髪は真白の形を残したまま浮かび始め、やがてそれはヤミの目前に。両手を広げてそれを迎えれば、黒い闇が髪の中からヤミの胸の中へ入り込み始める。そしてそれを最後に、解かれた髪の中に真白の姿は何処にも無かった。

 

「……ぁ……」

 

 誰かが漏らした小さな声。目の前の起きた出来事は余りにも呆気なく、だがその意味は余りにも大きなものであった。

 

「ふふっ。これで真白はずっと……私のもの」

 

「……どう言う事だ?」

 

 膝から崩れ落ちるナナやショックで動く事も出来ないララ達の姿を前に笑顔で告げるヤミの言葉を聞き、ネメシスは1人呟いた。すると突然ヤミは背中に翼を生やして空へ飛び立ち始める。何処へ向かうのか定かでは無いが、放って置く訳にも行かないと何とか我に返ったモモが飛び立とうと動き始める。が、それを止める様にティアーユが声を上げた。

 

「待って!」

 

「丁度良い、お前なら分かるだろう。……何故、ようやく姿を見せた【ダークネス】は暴れない」

 

「ダーク、ネス?」

 

 ネメシスの言葉に春菜が呟き、全員がティアーユへ視線を向ける。今すぐにでも追い掛けたい衝動を必死に抑えて事の原因を聞く為にその場で留まった面々はまず初めに今のヤミがどの様な状態であるかを語られる。今現在ヤミは一種の暴走状態であり、全てを破壊出来るリミッターが外れた状態である事。そしてその鍵は戦う為に生まれた彼女が戦いを求めず、平和を受け入れる事。その全てを説明するティアーユの姿を前に、ネメシスは目を見開いた。

 

「全て知っていたか。意外だったな。プロジェクトから外されたお前は知らないと思っていたが」

 

「私も知らなかったわ。ついこの前まで。……でも、教えてくれたのよ」

 

「教える? 誰がだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤミちゃん自身よ」

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
  • 主な登場人物の表記
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