【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第115話 ヤミの警戒包囲網。ルンの危険な思想

 朝を迎えた結城家で真白は微かに聞こえる呻き声に目を覚ます。その声の正体はモモであり、何故か彼女は真白の部屋で金色の髪に両手足を拘束されて口も塞がれていた。……真白は知らないが、起床したモモは真白が起きる前に布団へ潜り込んでその身体を堪能するのが日課であった。普段は真白が起きる前に満足して去っていたモモだが、今日は今まで通りに行かなかった。

 

「起こしてしまいましたか」

 

「……?」

 

「んんっ! んんんんっ!」

 

「侵入者が居たので捕まえて置きました」

 

 突然布団に潜り込もうとしたモモは同じ理由でやって来たヤミによって捕まってしまったのだ。目の前の光景に少しの間理解出来ず、首を傾げた真白はやがてヤミへモモを解放する様に言う。それを聞いて少し納得いかない様子でヤミは渋々モモを解放した。何とか解放されたモモは荒い息を吐きながら床に座り込んだ。

 

「はぁ……はぁ……酷い目に遭ったわ。まさかヤミさんが来るなんて」

 

「真白にえっちぃ事はさせません」

 

「くっ。なら何故ヤミさんはここに来たんですか!? シア姉様なら普段自分で起きていますし、起こしに来る必要は無い筈です!」

 

 モモの言葉に強い目で告げるヤミ。そんな彼女を前に悔しそうな顔をしたモモは立ち上がってヤミを問い詰めた。真白は普段から目覚まし時計で寝坊する事無く起床出来ている為、誰かが起こしに来る必要が無いのだ。故にヤミの目的を知らないモモが質問した時、彼女は堂々と答えた。

 

「私はしても良いからです」

 

「横暴です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美柑と共に朝食を作り終え、全員で食事を開始した真白は左右をララとヤミに挟まれて無表情のままジャムを塗ったパンを齧る。

 

「はい、真白! あーん!」

 

「此方もどうぞ」

 

「……」

 

 2人に挟まれていた真白は2人から差し出される野菜や果物を前に何も言わず、差し出された順番に食べ始める。前々からララに餌付けされるかの様に食べさせられる光景は見て来た美柑だが、今まで黙ってジト目を向けていたヤミが行動を移す姿を前にリトへ声を掛けた。

 

「何かヤミさん、変わったよね。前は何て言うか……嫉妬深い妹みたいだったのに」

 

「ははっ……だな」

 

 美柑の言葉を聞いてリトは改めて真白とヤミの姿を見る。前も距離が近かった2人だが、美柑の言葉を聞いてからその姿を見れば彼にもその違いが少しだけ分かった。今までは距離が近い家族の2人だった。だが今目の前に居る2人は……ヤミは更に近くなろうとしている。唯の家族じゃ無い、それ以上の何かになろうとしている様に見えるのだ。リトは頬を掻きながら苦笑いを浮かべ、美柑の言葉に頷いて答えた。

 

「そろそろ支度しないと遅れるぜ?」

 

 最後の一口を飲み込んで手を叩きながら告げたナナの言葉に全員が時計を見る。まだ余裕は多少あるが、普段朝食を食べ終えている時間は既に過ぎていた。故にそれぞれ食べ終えると真白は洗い物を、美柑は片づけを始めて他の面々は着替えや荷物を取る為に部屋へ戻る。そして全員が集合した後、大人数で結城家を後にした。道中で小学校へ向かう為に美柑と別れ、彩南高校近くで春菜達や唯と合流した真白達。御門やティアーユも加わり、一番賑やかに登校する彼女達の姿を既に登校していたメアは屋上から眺める。

 

「素敵……真白先輩の周りは何時も楽しそう」

 

「そう言うお前も楽しそうだぞ、メア」

 

「あ、ネメちゃん!」

 

 笑顔でその光景を見ていたメアが呟いた時、他に誰も居なかった屋上にネメシスの姿が現れる。彼女も同じ様に真白達の姿を眺めており、メアはそんな彼女の横顔を見て笑顔で口を開いた。

 

「ネメちゃんも楽しそうだよ?」

 

「ふっ、そうだな。存外、私も光に当てられた身なのかもしれんな」

 

「? どう言う意味?」

 

「何でも無いさ」

 

 メアの言葉に笑いながら答え、呟いたネメシス。だがメアはその意味が詳しく分からなかった故に首を傾げ、ネメシスは三度笑ってその場所から消えようとする。しかしその身体が完全に消えるよりも前に、メアがその腕を掴んで引き止めた。

 

「ネメちゃん、何処にも行かないよね?」

 

「……安心しろ。私はお前たち姉妹を何時でも見守っている。それに、光を諦めたつもりも無いからな」

 

 それを最後に今度こそ姿を消したネメシス。だが彼女の言葉を信じたメアは笑顔を絶やさず、校舎の中へ入って行く真白たちの姿を見た後に自らも校舎内へ戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このままではシア姉様の身体を堪能する時間が……」

 

 昼休みを迎えた時、モモは朝の出来事を思い出して頭を抱える。寝ている真白の身体を堪能するのは彼女にとってその日一日の動力源を確保していると言っても過言では無かった。だが今日、モモはヤミの妨害によってそれを阻止されてしまった。そしてそれは今回だけでは無いだろう。何か手を打つ必要があると考えるモモの険しい表情にナナが首を傾げた時、同じくそれを見ていたメアはモモに気付かれない様にしてその頭の中を知る。

 

「へぇ~、ヤミお姉ちゃん。大分積極的になったんだ……なら私も!」

 

「? メア、何処行くんだ?」

 

「まだ休み時間もあるし、真白先輩のところにでも行こっかなぁって思って」

 

「シア姉の? なら、あたしも行く」

 

 悩むモモを置いて2人は真白が居るであろう2年A組へ向かった。だがそこに真白の姿は無く、校舎の中を歩き回った2人は廊下の一角で珍しく登校していたルンと会話をする真白の姿を見つける。今までと変わらず傍にはヤミの姿もあり、メアはそれに気付くと突然駆け出した。ナナの制止の声が廊下に響く中、真白の身体へ飛びついたメア。勢いが強かった為に真白の身体はよろめき、傍に居たルンがそれを支えようとして3人は転倒する。そしてそれと同時にメアの髪が偶然にも真白とルンを繋げてしまった。

 

 もう何度目かになる精神世界に入った真白は今までとは大きく違う何かに気付いた。それは一言で言えば……邪な感情。振り返った時、そこには4人のルンが徐々に両手の指を動かしながら近づいて来る姿があった。

 

『ペロペロしたい』

『ハグハグしたい』

『ワシワシしたい』

『チュッチュしたい』

 

「……!?」

 

 思わず1歩後ろに下がってしまった真白だが、それを見た瞬間に4人のルンは一斉に真白へ飛び掛かった。精神世界故か着ているものは何も無く、ルンに捕まった真白はそれぞれが抱く欲望の餌食となってしまう。耳を舐められ、身体を抱かれ、両胸を揉みし抱かれて、腹部や首筋にキスを落とされる。それは余りにも強い意思故に真白は振り解く事も出来なかった。

 

「ん! ぃ、ぁ! んぁ!」

 

『あ、何か凄い事になってる!』

 

「ひぅ! め、ぁ……」

 

『御免ね真白先輩! 今戻してあげる!』

 

 響き渡るメアの声を聞き、真白が助けを呼ぶ様に弱々しく声を出す。メアはそれを聞いて真白とルンを現実世界へ素早く戻し、横になっていた2人は身体を起こした。真白はされた事を覚えていた為に安心した様子で息を吐いたが、ルンは覚えて居ないのか目を覚ましても寝ぼけた様子で首を傾げるだけであった。

 

「シア姉、大丈夫か? おいメア!」

 

「ごめんってば! にしても、ルン先輩の潜在意識って結構やばいかも」

 

「え? え? 何で真白ちゃん、私から離れるの!?」

 

「一体、何があったんですか……?」

 

 心配するナナが差し出した手をとって真白は立ち上がり、メアは真白と共にルンの内に秘める意識を知ったが為に思わず引いてしまう。一瞬とは言え被害にあった為、真白も思わず距離を取ってしまい、訳が分からないルンの焦りを前にヤミは只管何があったのか気になるのだった。




ストック終了。また【5話】or【10話】完成をお待ちください。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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