【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第117話 デビルーク王妃の来訪【前編】

 ある日の事、才培の元でアシスタントとして仕事をして居るザスティンが結城家へとやって来た事でリビングには見慣れぬ3人の姿があった。彼の部下であるブワッツとマウルが真白の淹れたお茶を頂いて居る中、ザスティンは同じ様に飲んでいたお茶をテーブルに置くと口を開いた。

 

「実は本日此方へ赴いたのには他にも理由があります」

 

「パパからのお小遣いを持って来ただけじゃないの?」

 

「はい。もう1つ、大事な事をお伝えしなければなりません」

 

 気付けばお茶を同じ様にテーブルへ置いてサングラスで見えない目や強面な表情を真剣に見せる部下の2人。代表する様にザスティンが業とらしく咳払いを行うと、真白に一度視線を向けた後にララと彼女の左右に座るモモ、ナナの2人に告げる。

 

「デビルーク星の王妃、セフィ・ミカエラ・デビルーク様が数日後。この地球(ほし)に来訪する予定です」

 

「母上がか!?」

 

「それはまた、どうして突然……?」

 

「目的は家出をしたまま地球に滞在する事になったララ様達の様子を確認する事。……そして、真白殿。いえ、シンシア・アンジュ・エンジェイド殿との再会です」

 

「!」

 

 ザスティンの言葉に僅かに肩を揺らした真白の姿をジッと聞いていたヤミや美柑は見逃さなかった。既に真白の過去を知っている為、真白にとってララ達の母親は仇の妻と言う事になるのだろう。一体どの様な人物なのかは知らない故に、2人だけでなくララ達も真白を心配する。

 

「そもそも真白殿が地球に居ると聞いたセフィ様はデビルーク星を飛び出す勢いでした。ですがセフィ様は政治の苦手な王に変わって仕事をする多忙な身。ようやく時間を作った(・・・・・・)との事です」

 

 その説明からララ達の母親であるセフィがどれだけ真白に会いたがっていたのかを強く理解出来た面々。だが真白に会う気があるかがまた1つの問題でもあり、ザスティンは椅子から立ち上がると、頭を下げ始める。彼の行動を見て慌てた様にブワッツとマウルも立ち上がって頭を下げた。

 

「真白殿。どうか、セフィ様と会って頂けないでしょうか。お願い致します」

 

「真白! 私からもお願い!」

 

「お母様はずっと、シア姉様の身を案じておりました。私からも、お願いします」

 

「シア姉! 頼む!」

 

「……」

 

 ザスティンやララ達の言葉を聞いて、真白は僅かに顔を俯かせて目を閉じる。今、彼女の中では壮絶な葛藤が生まれているのだろう。話を聞いていた美柑が声を掛けようとするが、それをリトが肩に手を置いた後に首を横に振って止める。全ては真白に決めさせる為に。……そして長くも感じる沈黙を破る様に、真白は顔を上げて答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。ザスティンの告げた通りララ達の母親であるデビルークの王妃、セフィ・ミカエラ・デビルークは地球へ来訪した。その顔をヴェールで隠し、だがその身体は町を歩けば通りすがる男達を魅了する。周りを囲む様にザスティンを含んだタキシード姿のデビルーク星人が護衛しながら無事に結城家へと到着した時、ザスティンに玄関を開けられて入った先でララ達は笑顔でセフィを出迎える。

 

「ママ! 久しぶり!」

 

「お久しぶりです、お母さま」

 

「母上!」

 

「ララ、モモ、ナナ。久しぶりね。元気そうで、安心したわ」

 

 3人の出迎えにヴェールの向こうで微笑みを浮かべながらセフィは告げると、彼女達の後ろに立つリトと美柑の姿に気付いた。既にザスティン経由でララ達がどの様な生活を行っているか知っていたセフィは1歩前に出ると、見目麗しい姿をそのままに優雅にお辞儀をする。それを見て2人も慌て乍らお辞儀を返した。

 

「娘達が何時もお世話になっております」

 

「い、いえ。此方こそララ達のお蔭で賑やかに過ごさせて貰ってます!」

 

「本当はもっと早くご挨拶するべきだったのですが、申し訳ありません」

 

「いえいえ! 普段お忙しいってララさん達から聞いてますから!」

 

 似た様に焦りながら答える2人の姿に微笑みながらセフィがお礼を告げれば、不思議と2人は暖かい気持ちに包まれる。そして挨拶は終わり、セフィは周囲を見回した。未だ玄関を入ったばかりの廊下であり、この場に居たのはザスティンを入れて6人。セフィは訪問した理由である真白の姿を聞こうとする。だがそれを言うよりも先に、モモが1歩前に出て口を開いた。

 

「お母さま。あの扉の向こうに、いらっしゃいます」

 

「! そうですか」

 

「あたし達はここで待ってる。1人シア姉の家族が一緒に居るけど、悪い奴じゃないから安心してくれ!」

 

「! なら私も」

 

「ザスティンはここに残る事!」

 

「しかし」

 

≪ザスティン!≫

 

「しょ、承知しました!」

 

 モモの言葉でリビングへ続く扉を凝視するセフィ。ナナがそれに続けた時、誰か分かったザスティンはセフィに着いて行こうとする。だがララに残る様に言われ、渋った彼は3人から同時に言われた事で思わず感じた強い威厳に敬礼しながら了承した。そして全員がセフィに視線を向ければ、既に彼女は扉の前に立っていた。

 

「すぅ……はぁ……行きます」

 

 大きな深呼吸をしてリビングへの扉にセフィは手を掛ける。そしてゆっくりその扉を開いた時、その向こうには幼き頃ララ達と遊んでいた少女と面影の重なる者の姿がそこにはあった。邪魔にならない様に配慮してか、少し離れた位置で座っているヤミの姿もあるが、目の前に立つ者の姿を前にセフィは他の何も気に出来なかった。

 

「……あぁ。本当に、シンシアちゃんなのね?」

 

「……」

 

 ヴェールの向こうで震えた声を出しながらセフィが質問した時、静かに頷いて肯定する真白を前にそのヴェールの下から水滴が落ちる。するとセフィは徐にヴェールを手にとり、それを剥がした。晒された顔はとても美しく、ヤミが思わずその姿に呆然としてしまう程。だが真白は唯ジッとその姿を見つめるのみであり、セフィはゆっくり歩き始めると真白の前に立ってその身体を抱きしめる。

 

「ごめんなさい、私達のせいで辛い目に遭わせて。……ありがとう、生きて居てくれて」

 

 そう言って更に強く抱きしめるセフィの身体を真白は少し考えた後、優しく抱きしめ返す。廊下からザスティン・ナナ・モモ・ララの順にその背に乗りながら扉を僅かに開けてその姿を眺めていた4人は、抱き合う2人の姿に涙を流す。ザスティンに至っては床が濡れる程であり、リトと美柑はそんな姿に顔を見合わせて笑い合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、半日しか居られないのですか?」

 

「えぇ。何とか自由に行動出来る時間は作れたけれど、それが限界だったの。だから今日の夜には迎えに来る母船でデビルーク星に帰る予定よ」

 

「うぅ、仕方ないか。そんじゃ、今の内に!」

 

「ふふ、何時まで経っても甘えんぼさんね、ナナは」

 

 再会を終えてリビングに集まった全員は、和やかな時間を過ごしていた。再びセフィはヴェールで顔を隠しており、最初それを見たリトは気になって質問。そこでリトと美柑はセフィがデビルーク星人では無く、チャーム人(・・・・・)である事を知る。それは宇宙でそれ以上に無い程の美貌を持ち、男性であれば種族問わずに魅了してしまう少数民族。ララ達がデビルーク星人とチャーム人のハーフである事実を知り、モモの植物、ナナの動物とそれぞれ意思疎通が出来る原因もその力がデビルークの血と混ざって変化した故である事実も知らされる。因みにララは容姿はセフィの、能力はギドの血を濃く継いだとの事であった。

 

「そうだ母上! 皆で一緒に風呂入ろうぜ!」

 

 ナナの提案にララとモモが賛同し、美柑も誘われる。突然の様に真白も含まれており、彼女が参加すればヤミの参加も確定。リトとザスティンは男性と言う理由で除け者にされてしまい、彼らを置いてとんとん拍子で話は進んで行く。6人が入れる程結城家のお風呂は広く無く、美柑がそれを言えばナナが胸を叩いて「任せろ!」と告げるのだった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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