【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第11話 水着泥棒のイルカ。臨海学校2日目

 臨海学校1日目が過ぎ、普段とは違う新鮮な朝を迎えた真白と唯。本来は温泉の後に肝試しと言う予定があった。しかしリトやララが居る組が先に行った結果、何故か脅かす役の人々が一様に逃げ出して居なくなってしまうと言う事態が発生。仕方無く中止となってしまった。謎の現象を起こす隣の組に、様々な反応を示す中。それでもその日は結局就寝となってしまう。

 

 臨海学校2日目。新しい日になっても、生徒達は皆海で自由な時間を送る事になっていた。凝り固まった学習と言う考え方とは違い、あくまでも触れ合う事を目的としているのだ。故にそれは遊んでいたとしても、達成されるのだろう。それで良いのか?と思う者も居るが、殆どの生徒にとっては嬉しい限りである。

 

「はぁ~。こんな事してて良いのかしら?」

 

 砂浜の上で座り込みながら呟く唯。その彼女の視線の先にあるのは、水着を来た生徒達であった。スクール水着とは違い、自由に持って来た水着を着用して遊ぶ女子達。そしてそんな女子達の姿に鼻の下を伸ばしながらも遊ぶ男子達。学習とは程遠いその光景に、真面目である唯は1人疑問に思う。現在唯は水着を着ておらず、私服であった。……そしてそんな彼女の横に居る真白は大き目で前にチャックが付いているパーカーを着て座っていた。

 

「真白~! 一緒に遊ぼうよ~!」

 

 現在自由に海で遊ぶ事が出来ている生徒達にクラスは関係なく、故にその中にはララや春菜も存在して居た。リトも砂浜で立って居り、ララが遠くから真白を見つけると同時に名前を呼んだことで視線を向ける。肝試しや温泉などで一緒に行動出来なかった分、こうして合同で行える事には一緒にやりたかったのだろう。ララの言葉を聞き、真白は唯に視線を向ける。と、唯は小さく溜息を吐いた。

 

「私の事は気にしなくて良いわ」

 

「…………ん」

 

 唯の言葉を聞いてしばらく黙っていた真白。しかしその言葉に静かに頷いて答えると、徐に立ち上がる。真白が立ち上がった事に遠くに居たララは更に笑顔を浮かべ、リトは少し意外そうな表情を浮かべる。そして着ていたパーカーのチャックをゆっくりと降ろし始めた真白。そんな彼女の姿に、クラスの男子や他の男子達も気付くと同時に視線を向けていた。彼女自身とは交流しにくいが、彼女の容姿に関しては幼さがありながらもかなり高いレベルであったからだ。リトも長い付き合いでありながらも、余り見る事の無い真白の水着姿に思わず見つめ始めてしまう。

 

 チャックが開かれた時、最初に見えたのは少々膨らんだ胸を隠す白い布。静かに着ていたパーカーを脱ぎ、全てが明るみになった時。真白の容姿を好む者は聞こえない程の声量で『おぉ~』と小さく声を漏らす。真白が着ているのは何の絵柄も付いていない真っ白なビキニ。しかしその白が彼女の象徴の様に存在感を現し、後ろから見ていた唯ですら太陽からの日差しで陰ばかりが見えながらも目を見開いていた。……と、真白は一度静かに膝を突くと脱いだパーカーを畳み始める。そして

 

「……置く」

 

「……! え、ええ。分かったわ」

 

 自分が先程まで座っていた場所にパーカーを置き、唯に告げる。動く気の無い唯に自分の物を預け様としているのだ。突然の言葉に唯は一瞬反応が遅れるも、すぐに我に返ると何時もの様に返事をする。それを最後に真白は再び立ち上がり、ララ達に向けて歩き始めた。

 

「真白、可愛い!」

 

「三夢音さん、素敵な水着だね」

 

「……美柑が……選んだ」

 

 自分を呼んだララ。そしてそんな彼女と既に遊んでいた浮き輪を持つ春菜が真白の水着を見ながら一言ずつ言うと、真白は自分の水着の胸と胸の間を繋ぐ紐を軽く引っ張って答える。そしてララが遊ぼうと口を開き掛けたその時、何処からか女子の声が響く。

 

「水着泥棒!」

 

 1人の女子生徒の声に3人が視線を向けた時、その周りに居た女子生徒の胸にある水着が目に見えぬ速度で取られている光景があった。困惑する生徒達の中、首を傾げるララ。そしてそんな彼女に迫る陰に春菜だけが気付いた。しかし伝えたところで回避する時間は無く、春菜はララをその場から自分の身体を使って突き飛ばす。結果、狙われていたララの位置に立った春菜の水着が無くなってしまう。するとそれを最後に3人の周りから犯人は消え、また別の場所で悲鳴が響き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このままじゃせっかくの海が台無しだよ!」

 

 海の家へと逃げ込んだ生徒達。男子生徒は基本的に被害の受けようがなかったが、水着を失った女子生徒達は様々な協力の元に私服に何とか着替える事が出来る。しかし海に入ればまた同じ事が繰り返されるだろう。何よりも海に入れないと言うのは生徒達にも、何よりララにとっても由々しき事態である。故に行動を起こそうとしたララ。犯人を捕まえ、海に平和を戻すために。

 

「真白は待ってて! 私の水着はペケが作った物だから平気だけど、真白は取られちゃうかも知れないから!」

 

「……一緒に行く」

 

「お、おい! 待てよ!」

 

 ペケが作った水着ならば何度でも再製が可能。しかし真白の水着は他の生徒達と同じ、無くなったら最後復活しない物である。女子の水着を取ると言う行為に脇でご立腹の唯が行動を起こす中、ララもまた女子達と話をして犯人を捕まえる為の話を始めると、出ようとした時に真白へと告げる。だが真白はそれに首を横に振った後、ララの背中を追い始める。そして海の家を出て行く彼女達の姿に焦り、リトもまたその後を追い始めた。

 

 ララがやって来た場所は最初に女子が水着を奪われた場所。海の中に入り、周りを探索して手掛かりを探し始めた3人。だがやがて現れたのは手掛かりよりも重要な、【犯人】であった。

 

「!」

 

「ララ様!」

 

 急加速で何かが迫る事に気付いた真白とペケ。真白はその方向へ振り返り、ペケは狙われたララの名を呼ぶ。しかし先程同様、ララに反応する程の余裕は無い。すると真白が素早く海の中に潜り始める。……そして迫る何かへ一瞬で足を動かし、その身体に真下から大きな水の衝撃を与える。凡そ人間離れした業だが、リトもララもそれを考える前に打ち上がった何かを視界に捉える。と、リトが大きく海から飛び上がってその身体を抱きしめる様に捕まえた。そうして捕まった犯人。その正体は、子供のイルカであった。

 

「……イルカ」

 

「私知ってる! 図鑑で見た事あるよ!」

 

「何で此奴が水着を……? !」

 

 捕まえたその正体に真白が名前を呼ぶと同時にララが実物を見た事で興奮する中、リトはイルカがどうして水着を盗んでいたのかと考え始める。が、相手は野生のイルカだ。運動神経の良いリトとは言え、考えながら捕まえて置く事等簡単に出来る訳が無い。そして、捕まったからと言って抵抗を止める訳が無いのだ。

 

「うわぁ!」

 

「!」

 

 突如暴れ始めたイルカはリトの身体から離れようともがき、近づいていた真白の水着。その真ん中部分にあった紐部分を口で引っ掛ける様にしてとってしまう。余りの事に目を見開く真白と、必死で抑え乍らもそれを直視してしまったリト。顔を真っ赤にして手から力を抜いてしまい、その隙を突いて逃げ出したイルカはあろうことか真白をその身体に乗せてしまう。流石の真白も海の上でイルカのスピードに逃げる事が出来ず、ララは瞬間的に真白を取り返すためにその手を伸ばす。……結果、2人はイルカに連れられてその場から姿を消すこととなった。

 

「あはは! 凄い早い!」

 

「……返して」

 

 イルカの背に跨り、胸を片手で隠しながらその口元に引っかかる水着に手を伸ばす真白。イルカの尻尾にしがみつき、猛スピードで海を渡る事に喜んで居るララ。2人の反応は余りにもかけ離れているが、イルカは関係なしに海を泳ぐ。やがてたどり着いたのは、洞窟であった。イルカは最初からそこに向かって居た様で、止まったと同時に水着を取り戻した真白は洞窟の岩場に乗るとそれを着け始める。と、そんな真白の傍に居たララが声を上げた。

 

「真白! こっちに来て!」

 

「?」

 

 ララの呼ぶ声に首を傾げながらも近づいた真白。そうしてララの横に立った時、少し離れた場所に自分達を連れて来たイルカよりも一回り程大きなイルカが乗り上げている光景があった。イルカがやっていた事は、どうやら唯の悪戯では無く助けを呼ぶと言う目的だったと言う事である。と、少し離れた場所からリトの大きく名前を呼ぶ声が聞こえ始める。

 

「……リト、呼んで」

 

「分かった! リト~!」

 

 真白は目の前の光景とリトの呼び声を聞き、ララにリトをこの場所へ導く様に言うと同時にそのイルカに近づく為に岩場を降り始める。やがてリトがたどり着いた時、彼もまたすぐに子供のイルカが行っていた理由を理解した。そして親イルカの傍でその身体を撫でている真白に気付くと、ララと共にその場所へと近づき始める。

 

「……手伝って」

 

「あぁ、俺達で海に戻してやろう! ララも手伝ってくれ!」

 

「うん!」

 

 真白の思った事とリトの思った事は一緒であった。故に真白のお願いにリトはすぐに頷くと、ララにも協力を頼む。彼女もイルカの親子を助ける為にそのお願いに笑顔で返すと、3人で一斉に親イルカの押し始めた。乗り上げてしまったその巨大な身体は、3人の力でゆっくりと動き始める。……そうして親イルカの身体は子供のイルカが心配そうに見つめる海の中へと無事に戻り、イルカの親子は2匹ともが一緒に喜び合いながら3人にお礼を言う様に鳴き始める。そんな光景にララとリトは笑みを浮かべ、真白も僅かに笑みを浮かべる。

 

「親子……か」

 

「ん? どうかしたか?」

 

「ちょっとね……少しデビルークの事、思い出しちゃって。平気だよ」

 

 仲の良い親子の光景はララにどう映ったのか。それは彼女自身にしか分からない事だろう。家出をして来た事とその理由を知っているリトはそんなララの姿に少し心配そうに視線を向ける。が、ふとリトはララの向こう側に立っていた真白を見る。

 

「え……」

 

「リト?」

 

「?」

 

 思わず出た声に反応し、名を呼ぶララと首を傾げる真白。リトは何事も無い様に首を傾げているその姿にやがて首を横に振ると「何でも無い」と答えた。気のせいだと思ったのだ。ララが家族の事を思い出していた時、真白がそんな彼女へ【睨みつける】様に視線を向けている姿など……。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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