【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

125 / 139
第124話 ケーキバイキングの誘い

 土曜日。結城家で朝食を終えた真白の電話に1通のメールが届く。相手は唯からであり、それを読んで黙ったままの真白に美柑が首を傾げながら声を掛けた。

 

「真白さん、どうかしたの?」

 

「……これ」

 

 声を掛けられた真白が見せた携帯の画面には1枚の写真が映っていた。それは福引の前でチケットを手にする唯の手が映る写真。チケットには『彩南デパートケーキバイキング30分食べ放題』と書かれており、その枚数は2枚であった。そしてその下にはその写真が送られて来た理由が一行の文で書かれていた。

 

『福引で当たったわ。用事が無ければどうかしら?』

 

 唯からの誘い。真白にこの後の予定は無く、だが自分だけが行くのは少し気が引けていたのだろう。2枚の時点でヤミも連れては行けず、悩んでいた真白に美柑が全てを理解して笑顔で告げる。

 

「行って来なよ。多分、唯さんも勇気出したんだと思うし」

 

「……分かった」

 

「? 何処かへ行くのですか?」

 

 美柑の言葉を聞いて行く事を決めた真白。その際に言われた勇気について少し考えの差がありながらも真白はリビングを出ようとする。だがその時、リビングから離れていたヤミが現れて声を掛けた。真白は彼女の質問に頷くが、ヤミはそれを聞くと当然の様に準備すると言ってリビングを後にしようとする。しかしそれを見た美柑はヤミに声を掛けた。

 

「ヤミさん、少し話があるんだけど」

 

「これから外出するので、後では駄目でしょうか?」

 

「うん、今が良いかな」

 

「ですが……」

 

「……1人で……大丈夫」

 

 悩むヤミに真白が静かに告げる。ヤミはそれを聞いてもう少し悩んだ末に着いて行かない事を決め、美柑の手助けを受けて真白は1人で外出出来る事になった。唯と連絡を取って待ち合わせ場所を決め、素早く準備をして結城家から家を出た真白。すると電話に再びメールが届いた。

 

『楽しんで来てね』

 

 それは美柑から届いた僅かな一文。だが真白は美柑に深く感謝をして、唯との待ち合わせ場所へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彩南町にある大きなデパートの前で唯は真白を待っていた。ポケットの中には兄から貰った(・・・・・・)ケーキバイキングの無料券があり、つい誘うのが恥ずかしくてデパートの傍でやっていた福引で当たった事にしてしまった。だが何はともあれ真白を誘う事には成功。唯は苦しくなる程に胸をドキドキさせながら、待ち人を待ち続ける。……数分後、唯は少し離れた場所に真白の姿を見つけた。

 

「真白、こっちよ」

 

「……唯……おはよう」

 

「えぇ、おはよう。まだ開いたばかりだろうから、今なら混んで無いと思うわ。行きましょう」

 

 現在の時刻は10時を過ぎた頃。目的のお店は10時開店とチケットに書かれており、開店したばかり故に人が居ない事を唯は想定していた。人混みが苦手な真白でも今なら何とか入る事が出来るだろう。そして過去に夏祭りを共に経験していた唯は真白が一時的に慣れてしまえば人混みでも過ごせる事を知っていた。故に入ってしまえば最悪混み始めても問題無いと予想していた。

 

「食べられる種類は決まってるでしょうけど、手に取った物は時間が終わっても食べて良いらしいわ」

 

「……分かった。……頑張る」

 

「何を頑張るのよ。まぁ、無理しない程度にしなさい」

 

 真白が甘い物好きなのを唯は良く分かっている。故に何時も通りに見えながらも少しだけ目が輝いて見える真白の姿に思わず笑みが零れた。そして静かにソワソワする真白を保護者の様に見守りながら、2人は目的のお店へ到着。チケットを出して30分が開始すれば、好きなケーキを取る為に動き始めた。そして約5分程した時、唯は真白のお皿に乗ったケーキの量に顔を引き攣らせた。

 

 

ショートケーキ×3

チーズケーキ×1

モンブラン×3

ブルーベリーケーキ×3

ベイクドチーズケーキ×1

レアチーズケーキ×1

 

計12個

 

 

「け、結構取ったわね」

 

「……ん」

 

 大きさは決してバイキングだからと小さい訳では無い。お皿の上にずらりと並ぶケーキの光景に唯が驚く中、真白は頷いて席に座った。向かいに唯も座り、彼女は自分が取ったショートケーキとモンブランを前に手を合わせる。そして同時に食べる前の言葉を告げて食べ始めた。

 

「はむっ……~♪」

 

「!?」

 

 ショートケーキを一欠食べようとした唯は目の前で微かだが間違い無く笑顔を見せる真白の姿にその手が口を開けたまま止まってしまう。口に入る度に僅か乍らに微笑むその姿に唯は食べる事も忘れて見つめ続け、食べる事に夢中の真白が見られている事に気付く事は無かった。そして10分程した頃、唯が1つ目のケーキを食べ終える前に真白は12個のケーキを食べ終えてしまう。そこで唯はようやく我に返って驚いた。

 

「も、もう食べ終わったの?」

 

「ん……次、取って来る」

 

「まだ食べるつもり!?」

 

 唯の驚く言葉を背に聞きながら、真白は再びケーキを取りに行動を開始。やがて再び戻って来た真白のお皿には先程と大差無い量のケーキが置かれていた。待っている間に1つ目のケーキを食べた唯は目の前でペースを落とさずに食べ続けては僅かな笑みを浮かべる真白の姿に再び目を奪われてしまい、2回目を取りに行く事も無く唯は時間を迎えてしまう。ケーキを食べる事とは別に満たされた様な気になりながら、唯は店を出て隣に立つ真白に視線を向けた。

 

「満足したかしら?」

 

「ん。……ありがとう」

 

 真白は唯にお礼を言い、そのままその顔を見つめ続ける。この後唯に予定は無く、真白もそれは同じ事。学校以外で一緒に居られる時は決して多い訳では無い為、2人はそのまま自然と一緒に行動する事となった。

 

「これ可愛いわね」

 

「?」

 

 デパートの中で共に品物を見る等していた2人は可愛らしい猫のぬいぐるみを見つける。白と黒の2種類があり、余り大きすぎる訳でも無い。値段も相応で買おうと思えば購入可能。悩み続ける唯の姿を前に真白は徐に白い猫のぬいぐるみを手に取る。

 

「……御揃い」

 

「! そ、そうね。なら私もこっちを買おうかしら」

 

 両方を買おうか考えていた唯は真白が白いのを買おうとしていると分かり、黒い猫のぬいぐるみを手に取る。そして会計を済ませた2人は猫のぬいぐるみが入った袋を手にそのコーナーを後にする。その後、再び適当にデパートの中を回った2人は昼前に分かれる事になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰宅後。

 

「新しい猫。しかも真白と御揃い……ふふっ」

 

「……成功したみたいだな。良かった良かった」

 

 唯が自室で黒い猫のぬいぐるみを前に喜ぶ姿を陰から見て満足気に部屋の前から去る遊。そんな同時刻、結城家の真白の部屋にも白い猫のぬいぐるみが置かれる様になった。飾りっ気の無い無機質な部屋に唯一あるその猫は、唯と真白の中を証明する証であった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
  • 主な登場人物の表記
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。