【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第125話 彩南高校の短い休み時間

「シア姉、見てくれ!」

 

 授業と授業の合間にある短い休み時間を迎えた時、突然教室に現れたナナが真白に見せたのは『風紀』と書かれた腕章であった。今朝、唯からナナが風紀委員に加わった事を聞いていた真白は嬉しそうに腕章を見せるナナの姿に微笑ましく思い、頷く。

 

「ナナさん、風紀委員に入ったんだね」

 

「あぁ! それにこの腕章、あたしのアイデアで出来たんだぜ! これからコテ川みたいにビシッと行くからな! 校長とか、そこのケダモノは特にな!」

 

「あ、あはは……」

 

 本来下級生が上級生の教室に来れば目立つ。それはナナでも変わらないが、少し違うのはそれが2年生の生徒達にとってよくある事と思われている事であった。真白に会いに来るのはナナだけではない。姉であるララも居る為、モモとナナが訪れるのはしょっちゅうの事。メアも真白やヤミが居る為頻繁に訪れており、今の光景も既にクラスメイト達からすれば見慣れた光景であった。

 

 ナナの姿に春菜が近づいて声を掛けると、再び自慢する様にそれを見せつけてから手に持っていたポスターを見せた後にナナはリトを指差して答える。持っていたポスターには『要注意人物!』と大きく書かれた文字の下に彩南高校の校長が映っており、春菜は苦笑いを。リトは自分も同類と思われている事実に顔を引き攣らせるしか無かった。

 

「……そろそろ……準備」

 

「あぁ~、だな。次は移動教室なんだ。それじゃあまた後でな!」

 

 昼休みと違って短い休み時間はすぐに終わりを迎えてしまう。残り5分を過ぎた事で真白が声を掛けた時、ナナは時計を確認して残念そうにし乍らも笑顔で手を振って教室を後にした。彼女が去った事で未だに騒がしい教室内は一段階静かになる。

 

「嬉しそうだね、ナナさん」

 

「ん……唯のお蔭」

 

「へ? わ、私は誘っただけよ。ナナさんとは少し気が合ったもの」

 

「でもナナが笑えるのはそのお蔭だよ! だからありがとう、唯!」

 

 春菜の言葉に真白が唯へ告げれば、驚きながら頬を掻いて答えた唯。すると話を聞いていたのかララが笑顔で唯にお礼を言う。今度は頬を赤くする唯の姿にナナと同じく微笑ましく思う中、真白はその気配を感じて素早く身を躱した。自分の立って居た場所、その胸があった場所には里紗の手があった。

 

「う~ん、残念!」

 

「今回も駄目だったね~!」

 

「……懲りない」

 

「そりゃ、もう内のクラスで揉めて無いのは真白だけだからね」

 

 両手の指を厭らしく動かしながら答える里紗の姿に真白は溜息をついて席に戻ろうとする。だが一度避けた事で油断したと思った里紗は再び真白へ襲い掛かった。しかし真白は再び軽々と身を躱し、そのまま追いかけっこの様なものが始まる。

 

「良いよなぁ~、同じ女子は。俺も籾岡みたいに他の女子の胸を揉みしだきたいぜ」

 

「何言ってんだよ」

 

「猿山 ケンイチ。貴女は真白に触れた時点で殺します」

 

「殺害予告!?」

 

「えっちなのは駄目ですよ!」

 

 真白と里紗の追いかけっこを眺めていた猿山の言葉にリトが哀れな視線を送る中、その言葉を聞いていたヤミが猿山の目前に髪を変化させて刃を突きつけ乍ら告げる。彼女は先程までお静と会話をしていた様で、同じく話を聞いていたお静が指を差しながらヤミに続いた。両手を上げて無力である事を示す猿山の姿にリトが呆れた様子で首を横に振るが、それを見たヤミは猿山と同じ様にリトにも刃を突きつけた。

 

「貴女もです、結城 リト。真白と美柑の家族である為に泳がせていますが、少しでも故意に不埒な真似をしようとすれば許しません。目標(ターゲット)として処理します」

 

「ひっ! そ、そんな事するつもり無いって!」

 

 突き付けられる刃に驚いて席を立ちあがり、距離を取ろうとしたリト。だがそこに偶然にも里紗から避けていた真白が近づいてしまい、背中同士がぶつかり合ってしまう。リトは刃を突き付けるヤミへ急接近。一方真白も逃げていた筈の里紗へと急接近してしまう。教室に響き渡る2つの転倒音。その光景を見ていた各々が心配して近づけば、リトはヤミのスカートの中に顔を埋めて。真白は里紗に背後から抱かれる様に倒れており、何故かその手が制服の中へ入り込んでいた。

 

「大チャンス! それっ!」

 

「!? ん、ぁ……止め……ぁ!」

 

「わあぁぁぁ! 御免!」

 

「……殺します!」

 

 意図せずして真白の胸を掴む事が出来た里紗はそのチャンスを見逃さず、好き放題に揉みしだき始める。制服が大きく歪み、その度に甘い声を漏らす真白の姿に唯や春菜が顔を真っ赤にし始める中。リトは急いで立ち上がってからヤミに謝るも、顔を真っ赤にした彼女は殺気を隠す事も無く突きつけていた刃をリトへ振るった。が、今まで様々な事に巻き込まれていた彼は地球人でありながらも驚異的な身体能力でヤミの攻撃を紙一重で避ける。

 

「おぉ、この癖になる感触。真白も良い物持ってるねぇ」

 

「良いなぁ、里紗。私も真白のおっぱい揉んでみたいなぁ」

 

「離し……んぁ! ぃぁ……んっ!」

 

「ちょっと感じ過ぎじゃない? ほれ、ここが良いのか~? ほれほれ!」

 

 服の中で下着をずらされ、直接揉まれる感覚に敏感な反応を見せる真白。里紗を含めこの場に居る誰もが知る由も無い。ここ最近、夢の中でネメシスに弄ばれる事が多くなった事が原因で徐々に身体が今まで以上に敏感になり始めている事等。それは真白自身も気付いていない事実だった。調子に乗って揉むだけで無く摘むなどの行為まで始める里紗にようやく我に返った唯が止めに入る。普段は見れない淫らに乱れた真白の姿に先程とは別の意味で顔を赤くしながら。

 

 ヤミがリトを攻撃出来ない事に更なる苛立ちを見せた頃、里紗から何とか解放された真白は唯にお礼を言って立ち上がる。と同時に2人の目の前をリトが逃げる様に通り過ぎた。そして彼を追う様にヤミの刃が大きく振るわれ、それは並んでいた真白と唯の服の胸元を綺麗な一直線で切ってしまう。肌には触れず、下着までもを切り裂かれた2人。当然服は重力に従って捲れ、同時に胸を露出してしまった。

 

「はっ!? 私とした事が。すいません、真白。何処も怪我はありませんか!?」

 

「…………ん。唯は……?」

 

「わ、私も怪我は無いけど……うぅ。こんな破廉恥な恰好じゃ授業に出られないわよ!」

 

 自分のした事に気付いたヤミが急いで2人の前を隠しながら真白の心配をする中、真白はジト目でヤミを見つめ乍ら頷いた後に唯を確認する。ヤミが隠したのとは別に自分の手で胸を隠す唯は今の状況に頭を抱えそうになっていた。

 

 真白にしでかしてしまった事に頭が一杯のヤミは既にリトにされた事も忘れていた。故に彼は何とか自分の命に関して一安心するが、すぐにララに声を掛けて2人の服を直せないかと持ち掛け始める。様々な出来事の中で服が失われたりする事は何度か経験済みだった為、ララの持つデダイアルなら修復が可能な事も知っていたのだ。リトの言葉で自分には直す事が出来ると思い出したララは2人の元へ近づいて制服の修復を始めた。

 

「貴方のせいですよ、結城 リト」

 

「……」

 

「……私のせい……リトは……悪く無い」

 

 リトを睨みつけるヤミの姿に真白は首を横に振って告げる。普段から転んだ拍子に意図せずして破廉恥な行為をしてしまうリトだが、今回転ぶ原因を作ったのは里紗から逃げていた真白でもあった。故に自分のせいだと告げる真白の姿にヤミは口をつぐみ、それ以上何も言う事は無くなる。

 

「と、取り敢えず誰も怪我が無くて良かったね」

 

「到頭この手に真白のおっぱいの感触をゲット! これで全員制覇ってね!」

 

 危ない事はあれど誰も怪我をせず、制服も治った為に被害も少なくて済んだ。その事実に春菜が安心して胸を撫で下ろす隣で里紗が広げた両手を握り締め乍ら喜びを露わにしていた。真白と唯に幸いだったのは、捲れて胸が晒されてしまった際。それを見たのが春菜やララ達のみで男子の殆どがヤミとリトに夢中で見ていなかった事だろう。唯一気付いてガン見していた猿山は現在、お静が何とか忘れさせようと手近にあった本を念導力で浮かせて只管頭にぶつけられていた。それは彼女なりの真白と唯に対する優しさであり、目を回して何度も叩かれる猿山は結局気絶するまで叩かれ続ける事となる。

 

「ふぁい、みなふぁん。せきにちゅいてくだふぁい」

 

 次の授業は国語。このクラスの担任でもある高齢の教員、骨川先生が姿を見せた事で全員は席へ座り始める。2年A組の短い授業の合間にある休み時間は今日も騒がしかった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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