【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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あけましておめでとうございます!


第17話 金色の再会

 真白はその日、学校は無いものの日課である結城家へと向かっていた。日曜日以外は基本結城家へと通っている真白。当たり前の様にそこへ辿りつけば、迎えたのはリトと美柑。ララと……ザスティンであった。どうやらララに用事があって来ていたらしく、真白に気付くとザスティンは礼儀正しく挨拶を行う。真白はそれに頷くかの様に頭を軽く下げるだけで返し、普段通りリビングへ。

 

「あ、今日親父に頼まれて色々買いに行くけど真白も行くか? 近くにスーパーもあるからついでに買い物も出来る筈だけど」

 

 しばらくして真白が美柑と共に朝食を作り始めていた時、リトが思い出した様に真白へ言う。そんな彼の言葉に真白は漫画を作る為に必要な画材が売っている店の場所を想像し、その周りの風景を思い浮かべる。彼の言う通り周りにはスーパーもあり、屋台なども沢山並んでいた。……考える事数分、真白は静かに頷いて返す。

 

「何? デート?」

 

「いや、違うだろ」

 

「ん……違う」

 

 リトの誘いとそれに乗る真白の姿に少しだけ面白そうに言った美柑。しかし返って来たのは当たり前の様にそれを否定するリトと真白の返事であった。弄り甲斐の無いそんな2人に美柑はそれでも少しだけ笑って、真白と一緒に手を動かすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 街の中は休日と言う事もあって普段よりも賑わいを見せていた。学生の姿もチラホラと見える中、画材店へと入ったリト。何の画材を買うのかはリトが持っているメモでしか分からず、何度もこうしたお使いを経験しているリトならば置いてある場所は把握済み。故に手伝う事の無い真白は、少し離れた位置にあった屋台に気付く。そしてそこから香る甘く香ばしい匂い。近づけば、そこにあったのは鯛の形を取った最中が鉄板で焼かれている光景。甘い物などが好物である真白にとって、それは誘惑であった。

 

「……6つ」

 

 自分に2つ。皆に1つずつ。恐らくそんな計算をしたのだろう。誘惑に抗う事無く、すぐに鯛焼きを購入した真白は受け取った熱々の鯛焼きを1つ取り出して齧る。この時、傍に居た者は以降その光景を忘れる事は無いだろう。無表情を仮面の様にしている少女の表情が、傍から見ても判るほどに綻んだその瞬間を。

 

 5つの鯛焼きが入った袋を腕に抱え、屋台から離れた真白。振り返る様に後ろを向いた時、屋台から少し離れた位置のガードレールに寄りかかる様にしてその少女は立って居た。普通の人とは明らかに違う服装。長く伸びた金髪。真白と同じような赤い瞳が目の前に居る真白の姿を映し、その姿に真白は自分の好きな食べ物が入っている袋を……落とす。目はこれまで見た事も無い程に見開かれ、口を開けたまま閉じる事も出来ずにその少女と視線を合わせる真白。すると何を思ったのかその少女はゆっくりとガードレールから離れ、1歩1歩と真白へ近づく。やがてその目の前に立った時、ゆっくりとその手が伸び、それと同時に少女の【髪】が真白へ迫った。

 

「ようやく……【見つけた】」

 

 

 画材の購入を済ませて外に出たリトは店の目の前に真白が居ない事に気が付くと、周りを見渡す。しかし何処にも真白の姿は見当たらず、何処へ行ったのかと考えようとした時。何も無いガードレールの前に袋が落ちているのに気が付く。遠目から見ても分かるその袋の中身は鯛焼き。何も齧られて居ない鯛焼きが数個外に落ち、食べかけの鯛焼きがそのまま地面へと落ちていた。……どうしてそんな物があるかなど、分かる筈が無いリト。だがそれでも、その鯛焼きの存在がリトに妙な胸騒ぎを伝えていた。

 

「すいません! 俺より小さくて銀髪で、赤い目の女の子を見ませんでしたか!?」

 

「? それならさっき、鯛焼きを買って行ったけど?」

 

「!? 数は!」

 

 鯛焼きを売って居る店は幸いすぐ傍に。リトがそこへ真白の存在を確認しに行けば、来ていたと言う事実に今度は買った個数を質問する。帰って来た数字は『6』であり、リトが拾った袋の中には食べかけの鯛焼きを含めて6つ。……もはやその鯛焼きを誰が買ったのか等、明白であった。故に屋台の人へお礼を言った後、リトは走り始める。真白が食べ物を。甘い物を道端に捨てる事等考えられないリトにとって、出る結論は1つ。真白は鯛焼きを【捨てざる得ない状況に陥った】。

 

「くっそっ! 何処に!」

 

 画材と拾った鯛焼きの袋を手に走りだしたリト。真白が何処に居るか検討も付かないが、リトはその場に留まって居る事等出来なかった。っと、走っていたリトの耳に聞こえた呟きがその足を止める。

 

「さっきの見た?」

 

「女の子が何か連れて飛んでたよね!?」

 

「飛ぶ……? 空か!?」

 

 最近不思議な事ばかり経験しているリトにとって、空を飛ぶ等はもう見慣れた物。だがそれが出来る存在は基本宇宙人でまず間違い無い。普通は隠れて生きていると言っていた御門の話から、見える位置で空を飛ぶ等と言った行動を取るのは地球に今まで居なかった不慣れな宇宙人で有ると言う証拠。真白が巻き込まれたとするならば、目撃されたその宇宙人であると思ったリトは空を見上げる。すぐ傍に空を飛ぶ人の姿など存在しない。だが、遥か遠くに何かが建物越しに移っている光景が一瞬見える。……それを確認した時、リトはまた走り出した。そしてそんな彼を呼ぶ様に、空からララの声が響き渡る事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在、真白は文字通り空を飛んでいた。だがそれは翼が生えて居る訳でも、抱えられている訳でも無い。自分の身体に包み込む金色の髪が真白を吊し上げ、まるでぶら下がる様にして飛んでいた。髪の持ち主である少女はビルを超えて何処かへと向かい続け、やがてたどり着いたのは人気の無い神社。そこへ着地した少女は、髪で包んでいた真白を自分の前へと優しく降ろす。立った状態で綺麗に降ろされた真白は少女に話しかけようとして……強い衝撃を受ける。攻撃された訳では無い。唯、少女が真白に抱き着いたのだ。

 

「信じて、ました。必ず……生きて居ると……!」

 

 そう言って抱きしめる力を強くすると、真白は静かにその少女の身体を同じ様に抱きしめ始める。そして優しく、その金色の髪を撫で始めた。すると少女は何を思ったのか、真白の身体を強く押す。抱きしめ返すだけしていた真白はその力に身体を後ろに倒すことになり、少女は髪を動かしてその衝撃を与えない様に受け止める。結果、金髪のベッドに横になった真白。すると少女はそんな真白の身体に覆い被さり始める。

 

「もう、離しません。奪わせもしません……貴女は私の者です」

 

 少女の言葉と共に、優しく受け止めていたベッドとなっている筈の髪の一部が動き始める。そしてそれはすぐに真白の手首足首を輪っかの様にして拘束してしまい、それに飽き足らず首やお腹周りも同じ様に拘束。驚いて身体を動かそうとしても既に逃げる事等叶わなくなってしまった真白。そんな彼女と距離を無くし、ゆっくりと目を合わせ乍ら顔を近づけ始めた少女は真白と同じ様に無表情でありながら何処か嬉しそうであった。……と、そんな2人から少し離れた階段の続く鳥居の元に駆け付けるリト。

 

「真白!」

 

 金髪の恐らく宇宙人であろう少女に拘束されて押し倒されているその光景に、思わずその名前を叫んだリト。するとそんな彼の頭上に何時ものコスプレの様な姿をしたララも現れ、同じ様に真白の名を呼ぶ。そしてすぐに少女にその視線を向けた。対する少女は明らかに不機嫌になると同時に真白から顔を離し、後ろを振り返る。その目は何処までも赤く、光を失った様に恐ろしい眼。思わずその目に1歩後ろに下がりそうになったリトだが、決して逃げる事はせずにその場所に止まる。そして強く睨みつけた。

 

「お前、真白に何するつもりだ!」

 

「真白? ……誰の事か知りませんが、邪魔しないでください」

 

「真白は返して貰うんだから! くるくるロープくん!」

 

 リトの言葉に首を傾げた少女。すると空に居たララがそう言って突如長いロープの様な物を取り出す。それは真っ直ぐに少女の元へ向かい、その身体を拘束しようと動くが……それが身体を拘束するよりも早く、少女の『手が刃になる』事で破壊されてしまう。明らかに人では無いその力にリトが驚愕する中、ララはそれでも諦めずに様々な発明品で少女から真白を取り返そうとする。が、それは全て少女の前では無意味であった。

 

「もう! こうなったらごーごーバキュームくんで!」

 

「止めろララ! あんなの使ったら真白ごと吸い込んじまう!」

 

「な、なら! えっと、リト! どうしよう!?」

 

「リト……貴方が結城 リトですか?」

 

「え? そ、そうだけど……!」

 

「そうですか……なら恨みはありませんが、消えて貰います」

 

 ララが次の発明品を取り出そうとした時、その名前だけで初めて会った際に使った物だと分かったリトはそれを止める。だがそれが無くなった途端、手段を無くして焦ったララ。そんな彼女がリトの名前を呼んだ時、少女はリトへと視線を向け乍ら質問する。突然自分の名前を、苗字すらも知っている事にリトが驚きながらも肯定した時。目の前には少女の姿があった。髪は未だに少女の背後でベッドの様に、しかし立つ様にして真白を拘束しながらも、少女はリトへと一瞬で近づくと手を刃にして振るう。間一髪でそれを避けたリトは自分が狙われた事に目を見開いていた。そしてそれを見ていた真白もまた、驚く様に目を開ける。

 

「……駄目」

 

「私が生きる為にして来た仕事です。平気ですよ、すぐに終わらせますから」

 

「……駄目……!」

 

 少女を止める様に言った言葉。しかし少女は説明する様に真白に言うと、リトを殺そうと再び動き始める。それを見て必死に拘束する髪の輪から抜けだそうとする真白。だが少女の髪で出来た拘束は異常な程に堅く、真白の力では何をしようとも無意味であった。

 

 逃げ続けていたリトだが、それにも限界が来る。不味いと思った時、リトはララによって空に持ち上げられる事で何とか事無きを得る。が、少女も空へと逃げた2人を追う様にして背中から翼を生やすと空へ。ララに抱えられるリトと、真白を背に拘束している少女はお互いに空中で睨みあっていた。

 

「何故結城リトを助けるのですか? 彼は貴女を脅迫し、デビルークの乗っ取りを計画している極悪人だと依頼主から聞いています」

 

「リトが? リトはそんな人じゃないよ。真白の家族で、美柑のお兄ちゃんで、優しい人だよ?」

 

「そうですか……ところで先程から呼んでいる『真白』と言う人物。それは誰の事ですか?」

 

「? 真白は真白だよ! 貴女がずっと真白を捕まえてるの!」

 

「……」

 

「……そう言う事ですか」

 

 空中で会話を続ける少女とララ。やがて少女がララに質問すれば、怒りながら答えたその内容。少女は真白に視線を向けやがて何かを納得した様に呟く。と、ふと思い出した様に再びララとリトへ視線を向けた。

 

「結城リト……貴方はその真白と言う人物と家族なのですか?」

 

「あぁ……そうだよ。だから真白には手を出さないでくれ。真白を、離してくれ!」

 

「そう、ですか……そうですか……分かりました」

 

 突然の質問にリトはララに持ち上げられてぶら下がった様な状態のまま、それでも答えると同時に真白の安全を求める。2人から見れば間違い無く、今拘束されている真白は人質の様なもの。だが少女の先程からの対応などを見て、何かを考えている事は明らかであった。そして今もリトの言葉に突然何かを理解した様に呟けば、リトは安心した様に溜息を吐く。だが突如少女はその手を刃へと変質させると、そのままリトへと切りかかった。その刃が到達する前にララが更に上に上がって避ければ、少女は無表情のまま2人を見つめる。

 

「結城 リト。貴方は殺します。彼女の家族は……私だけです」

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
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