【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第18話 リトのラコスポ鉄拳制裁

 空の上を駆け巡る4人。少女の攻撃は常に寸前のところでララが上がるなり下がるなりして回避することで、リトは毎回寒気を感じていた。だが、空の上を飛び続けている時間もやがて限界が訪れる。人間離れした力を持っているララも、流石に男子高校生であるリトを抱えて永遠に飛んでいられる訳では無いのだ。徐々にその高度は下がって行き、やがて最初と同じ神社の前へと落ちてしまう。

 

「はぁ……はぁ……もう、飛べないよ~!」

 

「終わりです」

 

「! 止め……て……!」

 

 膝をついて動けないと言う様に叫ぶララにリトは焦りながら振り返れば、そこに立っていたのは何時までも追い続ける少女の姿。腕を刃に変えて近づいて来るその姿に自分の命がもう終わりに近づいていると嫌でも感じてしまっていたリトは冷や汗を流しながら下がる。少女の後ろでは必死に暴れて拘束から逃げだそうとしている真白の姿があるものの、結果は変わらず何時まで経っても無意味でしか無かった。

 

 逃げる手段を失ったリトに近づく少女。もう後数歩でその刃がリトの身体を切り裂くと言った所で……その声は響いた。

 

『何時まで時間を掛けるつもりだ、金色(こんじき)(やみ)! そんな女は放って置いて、ちゃっちゃと片づけるだもん!』

 

 特徴的な声が響く中、空を見上げた4人の上空には巨大な円盤が飛んでいる光景があった。どうやら今居る4人の光景は見えている様で、リトとララの姿を。そして金色の闇と呼ばれた少女とその後ろに居る真白の存在を確認したのだろう。どう見ても真白を拘束している事が無意味に見えたのか、円盤から響かせて言った声。それに無表情乍ら、僅かに眉を顰めた少女だがそれに誰も気付く事は無い。

 

 響く声が収まった時、円盤の中央から突然光が地上へと降り注ぎ始める。するとその中央部分が開き、ゆっくりと落ちて来る人影。それはやがて地上へと降り立つと、その場で大きく両手両足を広げて自分をアピールする。

 

「ラコスポ、只今参上だもん!」

 

 その姿は子供よりも小さく、どう見ても戦いに長けて居る様には見えなかった。一言で言えば、『弱そう』なのである。だが本人は自信満々に胸を張りながら、ララに視線を向けると笑みを浮かべて求婚を始める。

 

「迎えに来たよ! さぁ、今すぐに僕たんと結婚しよ!」

 

「嫌だよラコスポ何て! 殺し屋さんまで使うなんてサイテー! そんな酷い人とは絶対に結婚なんてしないから!」

 

 余程自信があったのだろう。ララの言葉に目に見えてショックを受けたラコスポは徐々に肩を揺らし始め、怒りの形相でリトを指差して「お前のせいだもん!」と八つ当たりを始める。婚約者候補としてリトが全宇宙に公表されている今、責任転嫁するには打ってつけだったのだろう。そしてその流れのまま、リト達の向こう側に居た金色の闇にも指を差す。

 

「お前もだ金色の闇! そんなどうでも良い地球人は放って置いて、さっさと始末するだもん!」

 

「……」

 

 告げられたその言葉に少し俯いた状態で立って居た金色の闇は突然その手を刃に変質させる。それを見てララは「止めて!」と叫び、リトはまた狙われるのかと焦る。依頼主であるラコスポは本気で殺す気になったのだろうと笑みを浮かべ、そうして駆け出した刃は……ラコスポの目前まで迫った。

 

 突然の事に後ろ周りで転がりながら間一髪生存できたラコスポ。自分が攻撃されたと言う事実に怯えた表情のまま、刃を振り下ろした体勢の金色の闇へ怒りを露わにする。

 

「な、なにするだもん! 殺すのは僕たんじゃ無くて結城 リトだもん!」

 

「確かに依頼はそうでした。ですが貴方から貰った結城 リトの情報は随分違う様です。標的(ターゲット)の情報は嘘偽り無く話すよう、言った筈ですが?」

 

「う、煩いだもん! 結城 リトはララたんを騙す悪い奴だもん!」

 

「ヤミちゃん、ラコスポの言葉なんて信じちゃ駄目!」

 

「そうですか、でも正直それはもうどうでも良いです。問題は……貴方が彼女を蔑ろにした事です」

 

 そう言って恐ろしい程の殺気を放ち始めた金色の闇事、ヤミ。明らかに自分に敵対するヤミの姿にラコスポは焦りだすと同時に奥の手を出す様に上空を飛ぶ宇宙船に向けて大きな声で何かを呼ぶ。するとラコスポが登場した時の様に現れたのは……巨大な蛙であった。何故か鳴き声の猫の様に『ニャー』と鳴いているが、それよりも目立つのはその大きさ。明らかに自分達の何十倍もの巨大を誇るその蛙にラコスポはよじ登ると、その頭の上に立つ。

 

「さぁ、ガマたん! お前の恐ろしさを見せてやるもん!」

 

「!」

 

 ラコスポの指示に従う様に巨大な蛙は口を開くと、そこから突然粘液を吐き出し始める。狙われたのはヤミであり、咄嗟にその場を飛んだヤミだが地面に着いた粘液が跳ねる事で少量服に付着することに。そしてそれと同時に付着したヤミの服の一部は音を立てて溶け始めた。その事実に気付いた時、ラコスポは笑顔で説明する。巨大蛙の粘液は相手の服を溶かす効果があるのだと。

 

 ヤミはその説明を聞き、早く終わらせる為に一瞬で巨大蛙へと近づいて刃を振るう。だが粘液を帯びている身体は弾むだけで斬る事が出来ず、伸びる舌がヤミの身体を弾き飛ばした。……そしてこの時、ヤミは少なからず攻撃を受けた事で一瞬焦りを見せる。それは集中力を途切れさせるに等しく、落下し始めた身体は突然優しく抱き留められた事で更なる衝撃を受ける事無く無事に着地する。

 

「……平気?」

 

「だ、大丈夫です」

 

 ヤミを受け止めたのは真白であった。拘束され続けていたが、先程の一瞬でそこから逃れたのだろう。横抱きにしていたその身体をゆっくりと降ろし、安否の確認をした。少し狼狽え乍ら答えたヤミ。だがそんな2人に粘液が真っ直ぐに向かって来ており、ヤミが気付いた時には既にそれは避ける事が出来ない状況であった。が、真白はそれを見ても焦る様子も見せずに突然その場で回し蹴りを行う。当然液体である相手に攻撃をしても効く物では無い。だが、蹴りによって発生した風圧が粘液の進む方向を反転させた。それは余りにも人間離れした技。リトが思わずその光景に目を見開く中、弾かれた粘液は真っ直ぐにラコスポ達の方へ。

 

「あ、ありえないもん! ふぐぅ!」

 

「……リト」

 

「え?」

 

 戻って来た粘液を顔面から浴びたラコスポ。当然本人が説明した通りに服は溶け始め、だがそんな事等誰も気に留めずに真白は突然リトの名前を呼ぶ。突然呼ばれた事に驚く中、真白は強い瞳で何かを言う様にリトの姿を見つめた。他人から見ればそれは唯見つめ合うだけの光景。だが2人の間には間違い無く『会話』が交わされ、リトは頷くと蛙に向かって走り出す。そしてそれと同時に真白もまた、蛙に向かって走り始める。2人が何をするのか分からないララとヤミは、その光景を見守る事しか出来なかった。

 

 蛙の目の前に立った時、ラコスポはようやく顔に付いた粘液を落とし終えたところであった。需要の無い上半身を晒しながら、2人が居ない事に気付いたラコスポ。そんな彼の真下では、真白が自分に向かって走って来るリトを相手に両手の指を合わせて小さなジャンプ台を作り上げる。そしてそれを下げ、リトがそれに足を掛けた時。一気に振り上げる事でリトは一瞬でラコスポの前へ。目の前に現れたリトに驚いたラコスポ。そんな彼から振るわれる剛腕を避ける術など、ラコスポには最早無かった。

 

「ぶっ飛べぇぇぇ!!!」

 

 リトの拳を顔面に受けて大きく空を吹っ飛ぶ事になったラコスポは、明るいにも関わらず空に光る小さな星の様な輝きを最後にこの場から退場することとなった。主を失った巨大蛙は何もせずにその場で待機したままであり、やがて空に浮いて居た円盤型の宇宙船が光を放ちながら蛙を回収するとラコスポを追ってこの場から姿を消す。……そうして残ったのは無事に着地したリトと敵が居なくなって安心した様に溜息を吐く真白。2人のコンビネーションに目を輝かせるララと、何処か複雑そうな表情をするヤミであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤミは宇宙で有名な殺し屋であり、地球に来た理由はラコスポによって依頼されて結城 リトを殺害する為。だが嘘の情報や依頼した相手が悪人であったと分かった今、ヤミがリトを殺す理由は存在しなくなった筈……であった。

 

「これで俺を狙う理由も無くなったしさ、宇宙に帰るんだろ? な?」

 

「宇宙に帰る……? ありえません。ここに居ると分かった以上、私もここに居ます」

 

 自分がもう狙われない事に安心し、ヤミが帰るであろうことを期待したリト。だがそんな彼の言葉にヤミは首を傾げると、すぐに横に振りながらそれを否定。そして真白の傍に近づくと、リト達に振り返って告げる。そこでようやく真白とヤミの関係について気になり始めたリト。だがそんな時、彼の持つ携帯が鳴り始めた事で会話は一時中断。相手は美柑であり、余りにも帰りが遅い事に心配しての物であった。

 

「はぁ……とりあえず帰るか」

 

「そうだね! ヤミちゃんも来る?」

 

「私は着いて行きます。貴女の行く場所なら、何処へでも」

 

「……帰る」

 

 美柑との会話を終えてまずはこれ以上の心配をさせない為にも帰る事を提案したリト。ララはそれに賛同し、ヤミを家へと誘い始める。居候の身であるが、特に気にせずに誘うその姿にリトは頭を悩ませると同時に命を狙っていた相手と言う事もあり少しだけ億劫になってしまう。だがヤミの答えは真白に全てを委ねるに等しい物であり、髪を揺らして真白の身体にその一部を巻きつけ始めるその姿に真白は僅かに溜息を吐きながら答える。真白が帰ると言う事はつまり、ヤミがお邪魔すると言う事。リトは少しだけ憂鬱になりながら、自分の家へと歩き始めるのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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