【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第29話 旧校舎の幽霊探し【後編】

「良い? 怖いと思うからちょっとした物音も怖く感じてしまうの」

 

「? じゃあ唯も怖いの?」

 

「こ、怖い訳無いじゃない! 存在しない幽霊何かに私が怖がる訳……」

 

 廊下を歩きながら額に冷や汗を流し、自分に言い聞かせる様にして話をしていた唯はララの質問に少々焦りながらも振り返る。だがその言葉は途中で止まり、何かに驚いた様な表情を浮かべ始めた。一番最後尾を歩いていた真白は唯の視線に気付いて後ろを見るが、そこには何も存在しない。

 

「……唯?」

 

「な、何でも無いわ。えぇ、何でも」

 

 唯の行動に真白が質問するものの、本人は目を擦った後に引き攣った笑みを浮かべて答える。まるで何か見てはいけない物を見たかの様なその姿にその場に居た4人が首を傾げる中、突然聞こえて来た足音と何かが響く音に全員が前を見る。……そこにあったのは人体模型と骸骨が歩く姿。骸骨がカタカタと笑いながら『出て行け』とその場に声が響かせると、その光景にリトが顔を青くする中。恐怖が極限に達したのか、春菜が気を失ってしまう。幽霊を否定していた唯も目の前の光景に尻餅をついてしまう。が、そんな中でも変わらない者が居た。

 

「真白? これ、何処から声出てるのかな?」

 

「……」

 

 骸骨に何事も無い様に近づき、その首を外して上や下から覗きこむララ。真白も怖がっていない様で、ララの傍に近づくと無表情のまま首を傾げる。余りにも普段通りな2人に思わず絶句してしまったリトと唯。そんな中、人体模型がまるで骸骨を助ける様に2人へと襲い掛かろうとした。狙いは頭を持つララ。が、それに気付くや否や真白がララの目の前に立つ。そして、その人体模型の身体に綺麗な回し蹴りを放った。

 

 人体模型は凄まじい蹴りの威力で大きく後方へと飛び、バラバラに。するとその中から沢山の小さな毛玉の様な生き物が姿を見せる。1匹ずつにしっかりと顔が付いており、毛玉達は真白と目が会うや否や「気付かれた、逃げろ!」と言ってその場から素早く退散し始める。その光景に真白が後を追おうとした時、その身体にララが抱き着く事でそれは中断される。

 

「助けてくれたんだよね! 真白!」

 

「……追う……!」

 

「今度は何だよ!」

 

「! 上に何か居るわ!」

 

 不意打ちに近かったララの行動に身動き出来なくなってしまった真白。すると突然、天井が轟音を立て始めた事でリトと唯が動揺しながらも上を見上げる。真白もララに抱き着かれたまま上を警戒し、やがて天井の板が壊れると同時に何かが真白達の目の前に落下した。巻き上がる煙が視界を邪魔するが、やがて見える様になった時。そこに居たのは正しく化物。

 

『大人しく出て行けば良いものを……思い知らせてやる!』

 

 巨大な1つ目に大きな歯が並ぶ口。何本も生えている手足の様な触手から、タコの様な化物である事が一目で分かる。そして悍ましい声を上げ乍ら現れたその姿に先程よりも顔を青くしたリトと唯。っと、そこで真白とララの目にとある人物の姿が映る。

 

「ヤミちゃん!」

 

「うっ……にゅるにゅるは苦手……です」

 

 それは2階で別れたヤミであった。しかしその身体は化物の触手に絡めとられており、本人も力を出せなくなっている様子。違う場所を見れば里紗と未央も捕まっており、その光景を見た時。真白がララの身体を剥がそうとし始める。が、それよりも早く真白に襲い掛かった触手に気付いたララが真白の身体を突き飛ばす。結果、真白の代わりに捕まってしまったララ。ヤミは身体を変身させて攻撃しようとするも、すぐに苦手なにゅるにゅるで顔を撫でられれば失敗。ララも抵抗を見せるが、弱点の尻尾を掴まれて無抵抗になってしまう。

 

「!」

 

 ララによって助けられた真白はすぐに自分に迫った触手を避けると蹴り上げる。が、その衝撃はプルプルとした肉感によって吸収されてしまうだけ。打撃系統が効かないと分かった時、真白は一時後ろに下がってリトと並ぶ。

 

「真白! どうする!?」

 

「……助ける。……唯と春菜……お願い」

 

「あ、あぁ。ってどうするつもりだよ!」

 

 目の前の光景に焦りながらも聞いたリトに真白は告げると、今現在捕まっていない唯と気絶したままの春菜をリトに託して走り始める。その姿にリトが聞く中、真白の背中が僅かに光り始める。と同時に出現したのは白く輝く羽。真白はそれを出すと同時に向かって来た触手を飛んで躱し、一気に目玉の目の前に立つ。そして見開く目玉に向けて拳を振り上げ、そのまま振り下ろした。

 

『ぎゃあぁぁぁ、貴様あぁ!』

 

「!」

 

 悲鳴を上げ乍ら只管触手を振るい始めた化物のその攻撃を躱しながら、もう1度攻撃を加えようとした時。リトの声が聞こえて真白は振り返る。そこにあったのは沢山の化物を相手にフライパンを持って構えているリトの姿。後ろには唯がおり、壁には春菜。真白はそれを見て捕まっているヤミとララにも視線を向ける。リトが化物相手に1人で戦っているのを加勢に行くか、2人を先に助けるか。究極に近い選択を迫られていた時、それを察した様にリトが声を上げる。

 

「真白! こっちは俺が食い止める!」

 

「……分かった」

 

 相手は化物であり、1人で何とか出来る可能性は低い。が、それでも告げたリトの言葉に真白は頷くと一気に化物の中心へと進み始める。そして苦手な物に目を回すヤミや尻尾を触られて動けないララ。2人で捕まっている里紗と未央の捕まっている触手を伸ばしている身体の中心に到着すると、手を軽く光らせ乍ら拳を入れる。唯の打撃とは違うその攻撃はプリンの様に揺れるその身体に当たると同時に中へとまるで入る様に一度震え、やがて化物は痛みを訴えながら全員の絡めていた触手から力を抜く。っと、落ちて来るヤミとララを必死に脇に抱えてそこから離脱を測った。里紗と未央は化物を間に挟んで反対に着地し、距離を取る。

 

「真白! ありがとう!」

 

「た、助かりました」

 

「……まだ」

 

 すぐには動けないヤミとララの身体を運びながら後ろへと下がる真白。やがて唯達の傍に着地すると、2人をそこに降ろす。立つ事は出来る様で、真白はそれを確認するとリトの方に視線を向けた。……が、それと同時に聞こえて来た悲鳴にこの場に居た全員の視線がリトの方へと向けられる。そしてそこにあったのは、地獄絵図であった。

 

「きゃぁぁぁぁ!」

 

「さ、西連寺……落ち着いて……ぐぁ!」

 

「春菜!?」

 

 気絶していた春菜が『リトを武器に』暴走していたのだ。沢山居た化物達は春菜の攻撃に皆倒れ伏し、ヤミやララを奪われた怪物も一番の脅威と思ったのか最初に春菜を捕まえようとする。だがその触手が春菜に触れた時、春菜の恐怖は更に増してリトを怪物に向けて叩きつける。何でも無い打撃その身体には通用しない……筈であった。しかしその攻撃は化物に壮大なダメージを与え、倒すに至ってしまう。余りの出来事に全員が呆然とする中、冷静になった春菜がボロボロのリトを膝枕しながら謝り始める。

 

「お化けってこんなに居たんだね!」

 

「……違う」

 

「えぇ。ここに居る者は全員、宇宙からの来訪者です」

 

 倒れ伏す怪物たちを前に何とか元に戻ったララが言えば、真白が首を横に振って否定。ヤミが続ける様に説明する。と、先程まで真白と戦っていた一番大きな怪物……宇宙人が力鳴く説明を始める。

 

 この場に居る宇宙人達は一様にリストラし、様々な場所を放浪しながら集まった者。気付けば旧校舎を住処にし、そこに入って来た者達を追い返していたのだと言う。幽霊事件は正体は宇宙人だったと言う事である。結果的に不可思議な存在ではあるが、気付けば慣れていた全員は一様に納得。っと、そんな話をしている時。今まで居なかった人物が入って来る。

 

「住処を守るために幽霊騒ぎを起こした……なるほどね」

 

「あ、御門先生!」

 

「……」

 

 それは御門であり、ララが嬉しそうにその名前を言えば宇宙人達が一斉にざわつき始める。医者である御門は地球に来た宇宙人を相手に闇医者の様な活動もしており、結果的に宇宙人達には有名になっていた。だからこそ、その名前を聞いて驚きだす宇宙人達。しかしそんな彼らを尻目に、御門は数歩歩くと真白の横に立つ。そして少しだけ周りを見渡し、徐に真白の頭に手を置いた。

 

「ふふ、貴方達。彼女達に手を出して死なないで済んで良かったわね?」

 

 御門の言葉に再びざわついた宇宙人達はララの姿を見て、ヤミの姿を見て顔を青くし始める。銀河最強の娘と殺し屋として名を馳せている金色の闇。そんな相手に手を出したとなれば、生きている事が奇跡だとも思えてしまうのだろう。御門はそんな宇宙人達の反応の中に真白の事が出なかった事を確認すると、満足そうに頷いて真白の頭から手を離した後に1歩前に出る。

 

「さて、ここに住むのは不味いわね。……良いわ、私が仕事先を紹介してあげる」

 

 御門の言葉に驚き、歓喜し始める宇宙人達。そんな光景を目の前に、唯が真白の傍に近づくと御門も宇宙人なのかと質問する。真白はそれに頷いて返し、未だに頭を撫でる手を感じ乍ら幽霊が居なかったと言う事に安心している全員へと振り返る。っと、何故か全員の顔が一斉に引き攣り始めた。その事に真白が首を傾げた時、微かに微笑む声が聞こえる。……それは真白の聞いた事の無い声。

 

『皆さんの仕事が見つかって良かったです。……これで私も静かに過ごすことが出来ます』

 

「ま、真白……う、後ろ……」

 

「?」

 

『あ、ふふ。私、400年前に死んだお静と言います』

 

 ごく自然に話すその言葉を後ろから聞き、リトが指差し乍ら後ろを見る様に言ったことで振り返った時。真白の目の前に映ったのは白い着物姿で淡い紫色の髪を伸ばした少女であった。だがその身体は腰から下が無く、言うなれば……幽霊。そしてその幽霊は真白の頭の上に置いていた手を離すと、目が会った瞬間。微笑みを浮かべて自己紹介を行った。そして数秒の静寂の後、悲鳴が校舎の中に木霊するのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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