【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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此方の調子が良かったのか、1月で【10話】完成。本日より10日間、投稿致します。


第36話 ヤミとの模擬戦。ご立腹な美柑

 ある日の夕方。彩南町に存在する河川敷にて、夕日を横目に2人の少女が見つめ合っていた。1人は彩南高校の制服を来た無表情な銀髪の少女……真白。対する相手は真っ黒な変わった服装をした金髪の少女……金色の闇。普段は仲が良い筈の2人だが、今この時、内に秘める思いはお互いに相手を倒すと言う事であった。そして、そんな光景を見つめる者がまた2人。お互いに見つめ合って立ち続ける2人を不安そうな表情で見続けるリトと、楽しみとでも言いたげに笑みを浮かべているララである。

 

「手加減は……しませんよ」

 

「ん……来る」

 

 長い間黙っていた2人。だがやがてヤミが口を開けば、真白がそれに頷きながら静かに返す。戦う前の最後の言葉を交わし終え、ヤミは「分かりました」と言って目を瞑り……真白目がけて飛び出した。距離は一瞬で詰まり、目の前にはヤミが現れたかの様な感覚を受けた真白。気付けばヤミの右手は刃と化し、真白の身体目がけて迫り始める。しかしそれが当たる寸前、謎の光の壁がその刃を受け止める。少し驚いた様に目を見開くヤミ。だが考えるよりも早く後ろに下がった時、ヤミが立って居た場所に真白の右足が猛スピードで通り過ぎる。靴のつま先がヤミの身体のすれすれを通過し、ヤミは空中で宙返りをし乍ら元居た位置へと足を付けた。

 

「は、速すぎるだろ……今の」

 

「真白~! ヤミちゃ~ん! 2人とも頑張って~!」

 

 切りかかり、防がれ、カウンターを放つも避けられる。たった4つの出来事ではあるが、それを常人では考えられない速度で行われれば話は別だ。宇宙人であるが故の身体能力とそれを扱う技術を備えている者同士の戦いは現実ではありえない光景を見せていた。故に目の前の戦いに思わず呆気に取られ、冷や汗を流し乍ら呟くリト。そんな彼とは対照的に、さもそれが当たり前の様に感じているララは戦う2人を同時に応援し続けていた。

 

「やはり、守りが固いですね」

 

「……」

 

「! くっ!」

 

 ヤミは最初の攻撃を防がれてしまった事に微かに眉間に皺を寄せ乍ら呟く。すると何も言わずに歩き始めた真白。何をするのか定かでは無い行動だが、ヤミは長い戦いで培われた予感を活かして上に視線を上げた。先程まで目の前で歩いていた真白がその瞬間、ヤミのすぐ目の前に現れる。踵落としを行おうと右足を大きく上げており、スカートの中身がヤミにはしっかりと映る。同性であるが故に気にしていない真白であり、何時でも見れる故に気にしないヤミはすぐに両手を合わせて大きな盾を作り上げる。甲高い音が鳴り、自らの腕を盾にしているが故にその衝撃を感じるヤミ。だがそのままヤミは間髪入れずに髪を操ると、真白の両手両足を縛り上げ始める。

 

「!?」

 

「触れながら攻撃すれば、その守りも超えられます」

 

 拘束されてしまった事に思わず目を見開いた真白。そんな彼女を前に、ヤミは真剣な表情で言うと盾にしていた腕を元に戻すと同時に右手を再び刃に変える。離れる事も出来ず、そのまま首元に突きつけられる刃。もし今何か抵抗をして髪から解放されたとしても、目の前の刃が真白の首を掻っ切るのは明白である。それが分かったが故に小さく溜息を吐いた真白。

 

「……降参」

 

「賢明な判断です。……では」

 

 降参する意を伝えれば、ヤミは薄く笑って真白に告げる。と、拘束を解放するかと思いきや何を思ったのか腕を元に戻した後に自分の元へと真白を近づけ始める。そして目の前から真正面にその身体を抱きしめると、ようやく髪を手足から解放し始めた。が、抱きしめられている為に身体を拘束されている事には変わりなかった。

 

「……強い」

 

「そう簡単に負けては務まりません、殺し屋は」

 

「…………そう」

 

「おーい!」

 

 真白はヤミが強い事を改めて感じ、そのまま口にする。そしてヤミが返答をした時、その中に含まれる『殺し屋』と言う部分に僅かに反応を示した真白。解放された手をヤミの背に回し、何か言葉を言うでも無くその身体を抱きしめ返し始めた。お互いの温もりが感じられる状況に真白は無表情のまま、ヤミは嬉しさを完全には隠しきれないとばかりに真白の懐に顔を埋め始める。自分よりも大きい胸の上側に触れる顔。少し位置を低くして間に顔を埋めようとした時、戦闘が終わった事で近づいて来たリトの声でその表情が一瞬にして無表情に戻る。そして真白の身体を改めて解放し、近づいて来る2人に視線を向けた。

 

「凄かったね! 2人とも!」

 

「改めて宇宙人同士の戦いを見たけど、何て言うか……次元が違うよな」

 

「……怖い?」

 

「最初は少し怖かったさ。でもこうして関わってると、悪い奴ばっかじゃないからな。……まぁ、中にはムカつく奴も居るけど」

 

 満面の笑みで感想を言うララと頬を掻きながら言うリト。宇宙人と地球人の差を改めて感じたのだろう。リトの言葉に真白は静かに頷いた後に質問すると、リトは少しだけ顔を反らしながらもやがて真っ直ぐと目を見て答える。その言葉に真白は表情を変える事は無かったが、それでも長い付き合いのあるリトには内心では微笑んでいるのだと感じる事が出来た。

 

「よし! それじゃ、帰ろ? 美柑が待ってるよ!」

 

「だな」

 

「夕飯の後は先程の反省をしましょう」

 

「ん……よろしく」

 

 戦闘も終了し、もうここに居る用事の無くなった4人。ララが笑顔で帰る道のりの方向に向かって少しだけ走りながら言えば、リトがそれに賛同して歩き始める。そんな2人を前にヤミが真白へ視線を向けて言うと、真白は頷いてヤミと共に2人の後を追う様にして歩き始めた。……そもそもここで戦いを始めた理由。それは真白が頼んだ事が原因であったのだ。何か目的があってのお願いだったのだろう。ヤミは真白のお願いならとすぐに了承したが、帰路の途中でふとそれが気になり始める。

 

「真白。何故私と戦いたかったのですか?」

 

「……強く……なりたい。……守りたい、から」

 

 ヤミの言葉に返す真白の脳裏に浮かぶのは、果たして何時の出来事なのか……それは本人にしか分からないだろう。だが真白はここ最近の出来事の中で、明らかに【力不足】を感じていた。だからこそ、戦いを知っているヤミに頼んだのだ。守りたいものを守る。そのために必要な力を得る為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 休日。結城家に来ていた真白は現在、美柑と並んでリビングのソファに座っていた。何時もなら居るヤミは現在居らず、リトとララも現在リビングには居ない。間違い無く今の状況は2人っきり。ララやヤミが来る前までは今の状況も良くあった。が、今ではヤミがほぼ常に真白の傍におり、ララが居たり等もする。故に久しぶりの状況に美柑は内心戸惑いながらも、真白の前では現在とある雰囲気を出していた。

 

「……美柑」

 

「……」

 

 名前を呼ばれた美柑は微かに反応するも、すぐに両手で植物の雑誌を広げたまま返事をする事も無く読むのを再開してしまう。明らかに不機嫌である美柑の状態に、真白は無表情乍らもゆっくりと近づき始める。同じソファに座っている為、近づけば離れるを繰り返してもすぐに美柑は追い詰められてしまう。……今のままで居れば、何れ真白が何か行動をする。そう思っていた美柑だが、何時まで経っても何もしてこない事に美柑は軽く横目で真白を見る。

 

「……美柑……まだ、怒ってる?」

 

「!」

 

 無表情である事には変わりないが、それでも長い付き合いだからこそ分かる真白の表情が不安である事を物語っているその光景に美柑は思わず動揺してしまう。そもそも美柑がこうして不機嫌を装い始めたのは、数日前の海へ行った際に起きたサバイバル生活が原因であった。日帰りの予定だった海は結果的に数日となってしまい、家に1人残される事になってしまった美柑。心配であり寂しかった数日間を過ごし、無事に帰って来た時。美柑は思わずリト達に怒鳴ってしまったのである。そしてそれから美柑はずっと機嫌を悪くしていた。……が、美柑の心が離れたと言う事実は美柑の想像以上に真白にダメージを与えていた。

 

「……許して」

 

「……」

 

 最初は本当に怒り、素っ気なくしていた美柑。だが思った以上に反省し、許しを請う真白の姿に罪悪感に苛まれ乍らも美柑は今の状況を続けていた。簡単には許せず、かと言って不安そうな真白の姿を見るのは気が引ける。美柑は内心で葛藤しながら、結局は今の状況を続けていた。っと、何時にも増して美柑に元に戻って貰おうと行動を始めた真白。美柑のすぐ傍に近づき、本を読んでいるその身体ごと両手で包み込む様にして抱きしめ始める。

 

「ふぇ? ま、真白……さん?」

 

「……お願い……嫌わないで……」

 

 突然の事に思わず素で声を出してしまう美柑。だがその後に弱々しく紡がれた言葉で美柑は我に返った。真白が異常な程に嫌われる事を嫌がる理由……それは家族を一度失っているからこそ、二度と失いたくないと言う思い故であると分かったからである。美柑はその事に気付くと、読んでいた雑誌を捨てて真白の身体を同じ様に優しく抱きしめ返す。

 

「ごめんね、変な意地張って……大丈夫だよ。真白さんの事、大好きだから」

 

「……美柑」

 

 自分よりも少し大きな身体だが、何処か小さくて儚げに見えるその姿に美柑は少しだけ抱きしめる力を強くしながら謝る。真白は美柑が会話をしてくれた事や嫌っていないと言う事実に目を見開きながらも、その名前を呼んで同じ様に力を強くする。そんな真白に美柑は思わず胸がキュンとしてしまい、顔が赤くなりながらも何処か嬉しく思い始める。そして今の体勢のまま、流れに任せて美柑は真白にとある提案をした。

 

「ね、ねぇ、真白さん? 今日、泊まっていかない?」

 

「……今日?」

 

「う、うん。た、偶には一緒に寝たいな~……なんて」

 

「ん……美柑が……望む、なら」

 

 その後、美柑は目に見える程機嫌を直して今まで通りに真白と接し始める。そしてその日真白は結城家に泊まり、ララからの誘いもあったが、美柑との約束を優先して2人は共に美柑の部屋で眠るのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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