【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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【5話】完成。本日より5日間、投稿致します。


第51話 現役アイドルRUNの贈り物

「久しぶりの学校! 真白ちゃんに会えるし、これも渡さなきゃ!」

 

 彩南高校の前で大きな伸びをし乍ら呟くのは、最近登校回数が減り始めているルンであった。不登校などでは無く、彼女は今世間を騒がす『RUN』と言う名でアイドル活動を行っていた。ある日スカウトされたルンはアイドルとなり、人気は急上昇。今では出したCDの売り上げが1位になるなどの大人気アイドルとなっていたのだ。だが必然的に人気が出れば出る程アイドル活動が忙しくなり、学校への登校回数が減っていたルン。義務教育では無い為、学校を止めてアイドル活動に専念する等の誘いもあるが、ルンはそれを断り続けていた。学校に通いたい、強い理由がある故に。

 

 大人気アイドルのルンが彩南高校に登校すれば、それだけで生徒達の反応は大きなものとなる。アイドルになる前から付き合いのあったクラスメイトたちの見る目も変わり、サインを強請る生徒も続出。サイン会などで慣れているルンだが、まさか学校でも同じ目に遭うとは思っていなかった様で午前中、彼女に自由などは一切存在しなかった。……そして午後、ルンはお弁当を手に立ち上がる。向かうは教室の外、今自分の教室から外に出ようとしているであろう真白を誘う為に。

 

「真白ちゃ」

 

「ルンちゃん! 一緒に私達とお昼食べようよ!」

 

「いや、俺達と食べようぜ!」

 

「私達とよ! 男子は下がってなさいよ!」

 

 教室を出ようとしたルンの前に突然立ち塞がったクラスメイト達はルンと昼食を食べる為に誘い、そのまま言い争いを始めてしまう。目の前で行われる言い争いを前に困惑する中、クラスメイト達で出来た壁の向こうでお静や唯、ララやヤミと言った顔ぶれと共に廊下を歩く真白の姿を見たルン。大声でその名前を呼び掛けるが、言い争いの声に紛れて真白たちにその声が届く事は無かった。そしてそのまま放課後になってしまい、学校が終わった後はアイドルの仕事が待っていたルンは結局真白と話をする事も出来ずに忙しい時間を迎えてしまう。

 

「はぁ……せっかく話せると思ったのに~!」

 

 誰も居ない楽屋で学校での出来事を思いだし、地団駄を踏むルン。次に登校出来る日を確認し、今度こそはと誓いを立てたルンはその日の仕事を普段通り精一杯行った。

 

 数日後、再び学校の前に立ったルンは登校すると同時に前回と同じ様に騒がれ始める事で前回の結果が脳裏を過る。変装したところで生徒である事には変わらない為、身分を偽って登校することは不可能。だがこのままでは前回と同じ結果になってしまうだろう。そう思ったルンは授業中、突然苦しみ出す演技を始める。

 

「うぅ! せ、先生……急に気分が。保健室に行っても良いですか?」

 

「平気か? 保健委員のどっちか、連れて行ってやれ」

 

 アイドル活動をする上で演技力も高くなったルンの演技はその教室にいる誰もを騙すことに成功する。保健委員の片割れに付き添われ、保健室へと向かったルン。体調が悪くなれば、流石に自分の元に生徒達が詰めよって来る事は無いと考えたのだ。無事に保健室へと辿りつけば、そこには当然御門の姿が。突然来たルンと状況を説明する保険委員の言葉に目を細めながらも受け入れる事を許可すれば、保健室はルンと御門の2人きりとなった。

 

「大変そうね。仮病を使ってまで休むなんて」

 

「あ、あはは。やっぱり分かっちゃいました?」

 

 一般の生徒を騙すことが出来ても、御門を騙すことは出来なかった様で頬を掻きながら答えたルン。彼女が普段から忙しくしている事は御門自身も察していた為、それ以上何を言う事も無く追いだすこともしないその姿にルンは内心で感謝をする。そして次に思い浮かべるのはこの後、どうやって真白と接触するか? であった。下手に治った様子を見せて真白の元に向かえば、前回同様に邪魔されることは間違い無いだろう。ベッドの中に入り、顔を半分程掛け布団で覆いながらも考えるルンに御門は振り返る事も無く口を開く。

 

「ここに呼ぶ事も出来るわよ?」

 

「へ? ほ、本当!? ですか」

 

 突然告げられた言葉に一瞬呆けてしまうも、すぐに理解して飛び起きたルン。御門には既にばれている為、演技をする意味も無く素で声を上げればようやく御門は振り返って意味深な笑みを浮かべる。

 

「えぇ。その代わり、私も同伴する事になるけれど」

 

「お願いします!」

 

 最初から真白と2人きりになれる可能性は低いと思っていたのだろう。寧ろ御門のみで済むのならと、考える事も無くお願いをしたルン。そして昼休みとなった時、保健室から出ていた御門の声が放送で聞こえ始める。

 

『2年A組の三夢音 真白さん。2年A組の三夢音 真白さん。至急、保健室に来なさい』

 

 放送を聞いた生徒達は教室にいたお弁当の包みを持つ真白へ一斉に視線を向け、真白は放送を聞いて思わず首を傾げた。御門の呼び出し等珍しい事であり、傍に居た唯が「何かしたの?」と質問するも思い当たる事など無い為に真白は首を横に振る。御門が相手なら、ついて行くことも考えたララ。だが呼び出しともなれば何か大事な用件である可能性が高く、ついて行こうとするそれを里紗と未央が止める。唯も諦め、お静もララと同じ様に説得され、真白は1人で向かう事に……ならなかった。

 

「ドクター御門の場所ですね。行きましょう」

 

 当たり前の様について来るヤミの姿に真白は拒否することも無く、保健室へ。そして扉の前に到着するとその扉を数回ノック。すぐに中から御門の声が響き、入る様に促される。そして扉を開ければ……中からルンが飛び出して真白に抱き着いた。

 

「真白ちゃん! 久しぶり!」

 

「ん……久しぶり」

 

 突然の事に驚く様子も見せず、その身体を受け止めた真白。背後で目を細めるヤミに気付く事も無く、ルンに手を引かれて保健室の中に入れば椅子に座った御門が笑みを浮かべながら出迎える。そして背後にいるヤミの姿に気付くと、小さく「思った通りね」と呟いた。既に椅子が用意されており、その数は2つ。ルンはベッドに座る様で、ヤミが来ることは想定の範囲内だったのだろう。真白は促されて椅子に座ると御門に視線を向け、御門もその視線に気付くと口を開く。

 

「呼んだ理由は彼女よ」

 

「やっと登校出来たのに全然会えなくて、でも渡したい物もあったから御門先生に頼んじゃった♪(なんか余計なの付いてるけど)」

 

「……そう」

 

 呼び出しの理由が何か問題が起きた訳では無いと分かり、静かに頷いて納得する真白。ルンの心を読む事等誰も出来る訳が無い為、内心で毒づいた事等知る由も無い。そしてそのまま昼食となるが、その前にルンは運ばれる際に一緒に持って来ていた鞄を漁ると何かを取り出す。それは自分の顔がパッケージになったCDケースであった。中には2枚のCD。ルンはそれを手に取ると、笑顔で真白に差し出した。

 

「これ、今度出すアルバムなの。受け取ってくれる?」

 

「……ん」

 

「何時も通り、他の人には内緒だから……ね?」

 

 それはまだ世間一般には手に入らない物であった。大人気であるルンのCDはそこそこの値が張る物であり、簡単に手に入る物では無い。過去にもこうしたやり取りは存在し、その時は受け取る事に抵抗を示した真白。それは嫌という意味では無く、特別扱いされている故に。だがルンに取って真白は正しく特別であり、受け取らなければ悲しい顔をするその姿に真白はやがて受け取る様になったのだ。以降、こうして新しいのが出る度に渡される真白。結果、真白の家の一角にはルンのCD等が沢山ある事は真白とヤミしか知らない事実である。

 

「さ、一緒にお昼食べよ! 今日の午後は早退だから、あんまり時間無いんだ」

 

「ん……」

 

 ルンは受け取った真白の姿に笑顔を浮かべると、再び鞄を漁ってお弁当を取り出す。そして傍に居る2人など忘れたかの様に真白と食事を開始する為に包みを開き始める。真白はルンの言葉に頷いた後、隣に居たヤミと御門に視線を向けて一緒に食べる事を目だけで伝える。会話する事無く、食べ始める事が分かった2人は頷いて食事を開始する為に用意を始め、ルンの視界には真白だけが。真白の視界には3人を映しながら昼食を開始するのだった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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