【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第68話 綺麗な桜の木の下で

 彩南緑地公園。今現在綺麗な桜が咲き乱れるその公園は花見をする人々で賑わっていた。普段人混みが苦手な真白なら、今現在人の多い公園に入りはしないだろう。だが約束がある故に公園を訪れていた真白は、シートを敷いたその上で桜を静かに見上げていた。傍には鯛焼きを齧るヤミの姿があり、真白の手にもまだ食べていない鯛焼きが握られている。

 

「あ、居た居た! 真白~!」

 

「どうやら来た様ですね」

 

 突然賑わう人々の声に混ざって聞こえたララの声を聞き、真白とヤミが同時に視線を向ける。大きく手を振って駆け寄って来るララの姿がそこにはあり、彼女の背後にはリトと美柑。ナナとモモに、春菜とお静の姿もあった。今回お花見をする事が決まった上で、約束する事が出来た面子である。

 

「おぉ~! ここは一段と綺麗だね! 桜!」

 

「……お静……見つけた」

 

「はい! 飛び回りました!」

 

「あ、あはは……」

 

 すぐ傍へ座り込んで桜を見上げるララの言葉に頷いた後、お静へ視線を向けた真白。笑顔で答えるお静の横で、春菜が探す間の事を思いだして苦笑いを浮かべる。お静と先に場所を取る為、公園を訪れた春菜。桜がより良く見える場所を探す為にお静が考え付いた事は、幽霊になって様々な箇所を確認する事であった。その間、幽霊が苦手な春菜は友達であるお静の霊体を前に怯え、抜け殻になったお静の身体を支え続ける羽目になったのである。

 

「真白さん。ここに来る途中に屋台があったけど、一緒に行かない?」

 

「……」

 

「今度は私が残るから、大丈夫だよ」

 

「……ん」

 

 お静と春菜の確保した場所が迎えに行く間に取られない様、残って居た真白とヤミ。美柑の提案に一度春菜に視線を向けた真白だが、微笑みながら今度は自分が残る事を春菜は告げる。他に迎えに行く者は居なかった為、彼女の言葉に真白は頷いて立ち上がった。何も言わず、隣に居たヤミも立ち上がる。そして3人は一緒に屋台の並ぶ場所へ足を進め始めた。っと、そんな姿に珍しくナナが声を掛けた。

 

「あたしも行く!」

 

 その言葉を拒否する者は当然居らず、ナナを加えた4人で改めて真白たちは屋台へ向かい始める。先頭に屋台の場所を知る美柑が立ち、真白とヤミが並んで。そしてその後ろにナナが真白の後姿をジッと見つめながら歩いていた。……やがて、美柑の見掛けた屋台の並ぶ場所に到着した4人。そこで真白がナナへ振り返る。

 

「……何が……良い?」

 

「え? あぁーじゃ、じゃあフランクフルトで!」

 

「あ、私も食べよ。真白さんとヤミさんは?」

 

「真白が食べるなら、食べます」

 

「……4本」

 

「はいよ!」

 

 真白の質問に驚きながら屋台を見回し、最初に視界に映った物を言葉にする。美柑もナナと同じ様に買う事を決め、真白とヤミに質問。ヤミが答える中、既に真白は屋台でフランクフルトを作っている男性に注文していた。粋の良い男性の声を聞き、すぐに差し出される4本。真白はそれを受け取って戻って来ると、3人に1本ずつ差し出した。

 

「あ、ありがと」

 

「真白さん、幾らだった?」

 

「……平気」

 

「頂きます」

 

 行動の速さに再び驚くナナと、値段を払おうとする美柑。だが真白は首を横に振って答え、その隣でヤミが食べ始める。お祭りとは違う為、屋台の数はそれ程沢山ある訳では無い。何の屋台かを確認しながらも殆どを流し、やがて端まで辿り着いた4人は改めて食べる物を決める。そして戻る最中に購入する事とした。結果、各々がフランクフルトを1本ずつ持ちながら、別々の物を反対の手に持っていた。春菜の待つ自分達の場所に戻れば、花より団子と言う言葉の似合う4人の姿に春菜が微笑ましそうに笑みを浮かべる。同年代である筈の真白も、見た目的には年下に見える為に違和感を感じる事は無かった。

 

「真白! バドミントンやろうよ!」

 

 戻って来た後、桜の下で食べる真白の姿に気付いたララがラケットを手に話しかける。彼女の向かいには倒れるリトの姿があり、その傍には灰になったシャトルの成れの果てが存在していた。恐らくララとのバドミントンは地球で行われるものとは完全な別物なのだろう。最後の一口を食べ終えた真白は、腹ごなしの運動にと頷いてリトの傍へ近づいた。中央が焦げたリトのラケットを拾い、何時の間にかララが用意していたシャトルを手に「行くよ~!」と声を掛ける。

 

「えい!」

 

「!」

 

 間の抜けた声と共にララのラケットに叩かれたシャトルは、勢いの余り赤く光りながら真白へ急接近。しかし真白は瞬時にラケットを構えてそれを受け止めるだけでなく、ララへ返した。勢いの強いシャトルを無理に返そうとした為、ララへ向かう速度も恐ろしい事に。だがララは笑顔で再び真白へそれを返した。

 

「シア姉も姉上もすげぇな」

 

「あれ、バドミントン……だよね?」

 

 傍から見れば赤い何かを高速で撃ちあっている様にしか見えない2人。宇宙人であるナナには打ち合われるシャトルが見えているが、地球人である美柑には赤い光が微かに見える程度。故に感想は全く違う物であり、気付けば花見に来ていた筈の人々が2人の遊びに魅入って集まり始める。が、突如終わりは訪れる。

 

「そぉれ! あれ?」

 

 一際強くシャトルを叩いたララだが、その手に持つラケットが掴む場所を残して折れてしまう。先は遥か遠くへ飛んで行ってしまい、もう返す事は不可能だろう。間の抜けた声を出すララを前に、真白が終わらせる為に向かってくるシャトルを撃ち返そうとする。

 

「!?」

 

 だが今度は真白の持つラケットが同じ様に折れてしまい、その先は同じ様に遥か彼方へ。シャトルは大きく上へと打ちあがり、やがて2人の丁度中央へ落ちた。ネット等は用意されて居ない為、結果は引き分けである。一瞬静まり返る公園内。しかし数秒の後、見ていた花見客達の歓声が響き渡るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫ですか? シア姉様」

 

「……平気」

 

「騒がしいの苦手だもんな、真白は」

 

 歓声と共に沢山の人々から話し掛けられてしまった真白。ララが照れながら返す中、真白は誰にも見えない速度で逃げだしたのだ。人々からすれば突然居なくなった様に見えたであろうその場をララに任せ、逃げ切った真白は安心した様に桜の木に立ったまま凭れ掛かった。そしてそんな彼女を心配した様に陰から見ていたモモと倒れていたリトが追い掛け、今に至るのである。

 

「にしても凄かったな、さっきの。流石宇宙人って感じだ」

 

「あら、リトさん? お姉様もシア姉様も力の1割を出していなかったと思いますよ」

 

「ん……」

 

「ま、マジかよ」

 

 リトの言葉に不思議そうな表情で告げるモモ。それに頷く真白の姿を見て、リトは顔を引き攣らせてしまう。それ程までに先程のバドミントンは衝撃的だったのだろう。少々恐怖する中、リトはふと目の前に立つ大きな桜とその下に居る真白とモモの姿を改めて見る。

 

「こうして見ると、2人とも絵になるよな」

 

「絵、ですか?」

 

「?」

 

「女の子らしさって言うのかな? それが際立ってて、すげぇ綺麗だからさ」

 

 何気ないリトの言葉に首を傾げるモモと真白。やがて説明する言葉を聞いて2人はお互いに視線を合わせた後、桜を見上げた。モモから見れば真白が。真白から見ればモモが改めてその綺麗な光景を認識して、2人は同時にリトへ視線を向ける。彼の背後にも桜は沢山咲いており、花弁が落ちる光景の中に立つ姿は好青年と言って間違い無い物であった。2人の視線に変な事を言ってしまったのかと困惑して焦るリト。そんな姿にモモが笑みを浮かべた。

 

「ありがとうございます、リトさん」

 

「ん……ありがとう」

 

「へ? え、何が?」

 

 突然のお礼を受けて更に困惑してしまうリト。だが2人が彼の疑問に答える事は無く、徐々に落ち着きを取り戻し始めている自分達の場所へ歩みを進め始める。その後、真白たちは飽きるまで桜を愛でながら花見を楽しむのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

  • サブタイトルの追加
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