【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第7話 デビルーク王からのメッセージ

 転入した事を真白の元に知らせに来たララだが、どうやら自分の自己紹介の最中に真白が居ない事から探し始めたらしく、その後やって来たリトによって連れ戻されて行くこととなった。そしてその後の休み時間は殆どの生徒がララの元へと駆け寄って質問をする中、真白の元には唯が近づいていた。ララとの関係は他の生徒達も気になっているだろう。しかし同じクラスの生徒達は基本、真白が何も話さない事を知って居る為半ば諦めていた。が、中には唯との会話から情報を聞こうとしている者もいる。

 

「貴女、あの非常識な転入生と知り合いなの?」

 

「……おはよう」

 

 傍に近づき、少し睨む様な目線で質問をする唯。先程のララの行動を非常に良く思って居ない様で、その知り合いかも知れない真白に少し憤りを感じている様である。だが真白の返答は答えでは無く、朝の挨拶であった。今日最初の出会いだったため、まず最初に言うべきだったのは間違い無く、唯は少々狼狽えながらもそれに返す。と、真白がゆっくりと先程の質問に答える為、首を縦に振った。

 

「学校には居なくても、その他では友達が居た訳ね。良かったじゃない、友達が来て。これで私はもう必要ないわね」

 

「……違う」

 

 元々唯が真白と交流する様になったのは友達がおらずに孤立していたのを放って置けなかったため。だが今日、真白の友達と思われる存在が現れた事でその理由は無くなる事になる。それは良い事の筈でありながら、何処か苛々を感じていた唯は無意識に棘のある言い方で言う。しかし真白は首を今度は横に振るとそれを否定し、唯は「何が違うのよ?」と聞き返した。すると真白は唯を目を見て、口を開く。

 

「……今は……唯だけ」

 

「でも、貴女はあの転入生と親しそうだったじゃない?」

 

「それ……は……」

 

 今現在は自分だけが友達と言う真白の言葉に唯は聞き返すと、顔をゆっくりと下に向けて元から小さかったその声音を更に小さくしていく真白。普段とは明らかに違うそんな真白の姿に唯は何処か違和感を感じ、自分が話をしていた内容を思い返す。非常識な行動をした者への怒りを気付けばその知り合いかも知れない真白にも少し向け、友達が居る事実からもう自分は話さないとでも言うかの様な言動。……すぐに唯は気付いた。自分は真白を無意識に責め、真白は嫌われる事を。自分が居なくなる事を恐れていると。

 

「……別に縁を切ろうって訳じゃ無いわ」

 

「!」

 

 少し顔を反らしながら言った言葉に反応する様にして顔を上げる真白。この時唯は、真白の新しい姿を理解する。人との関わりを自分から持とうとはせず、余り喋らない彼女。しかし自分に出来たその関わりは絶対に失いたく無いのだと。つまり、友達が去る事を彼女は人一倍恐れていると。詳しく理解出来た時、唯は少々の罪悪感を感じ始める。が、それよりも早く真白が唯の手を取った。

 

「!?」

 

「……ありがとう」

 

「何時もと同じってだけ、お礼を言われる事じゃないわ!」

 

 突然の接触とお礼の言葉。唯はそれに思わず顔を赤くしながらそっぽを向いて強めに言い放つ。しかしその瞳に一瞬でも映った光景を唯はその後忘れる事が出来なかった。普段は変わらないその表情を微かに動かして浮かべた、真白の笑みを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 転入初日のララはその日、生徒達によって自由に動ける時間が殆ど無かった。真白が帰宅し始めた時もそれは同様であり、ララは放課後に学校の案内を受ける事に。リトは帰宅せずにそんなララと彼女を案内する1人の女子生徒を隠れ乍ら見つめ、そんな事をしている合間にも真白は真っ直ぐに結城家へと向かおうとする。が、その帰路の途中で真白の前に1人の男性が姿を見せた。何故か初めて会った時同様、ボロボロになっているザスティンである。

 

「真白殿。少し時間を頂戴したい」

 

 そんな姿でありながらも、真剣な表情で話すザスティンに真白は静かに頷くと場所を移す。今居る場所では同じ様に帰宅している生徒達も居る為、目立ってしまうのだ。現に鎧にマントを来たボロボロの男の存在は周囲の目を引いていた。その為、急いで移動したその先は公園の森の中であった。

 

「三夢音 真白殿。貴女にララ様のお父上、デビルーク王直々のメッセージを持って来た」

 

「!」

 

「心して聞く様に」

 

 ララの父親である存在からのメッセージ。その事に目を見開いて驚く真白だが、ザスティンはそれに気付かずに禍々しい姿をした謎の道具を取り出す。それはザスティンの手によってやがて宙に浮き始め、そこから低く恐ろしい声が響き始める。

 

『三夢音 真白、テメェの事は聞いてるぜ。女でありながら中々やるみたいじゃねぇか』

 

 輝きながら声を放つそれに視線を向けた真白。そこから響く声が自分の名前を呼んだ時、真白は明らかにそれを睨み始めていた。唯一この場に居るザスティンは何故か何処からか現れた犬に噛み付かれ、逃げ回り始めていた事でそれに気付く事は無い。そしてそんな状況でも録音されたであろうそれはお構いなしに言葉を続ける。

 

『ララが初めて惚れた奴だ。認めてやりてぇが……女を婚約者にする訳にはいかねぇ。が、俺個人はテメェの事が気に入った。ララは当たり前だが、まさかこの俺様の事まで考えるとはな。随分と度胸があるじゃねぇか? あぁ?』

 

「!?」

 

 目の前には居らず、音声だけでありながらもその言葉と最後の声に思わず震えてしまう真白。睨むことは止めず、だが確実にその威圧感に押されながらも真白はその言葉の続きを待った。

 

『……そこでだ。テメェを【俺の中での】婚約者候補に上げて置いてやる。そして銀河中に【結城リト】の存在を知らしめた』

 

「!」

 

『いずれ銀河中の婚約者候補共がララを奪いに来る。そして、結城リトを倒しに襲い掛かるだろうな。だから、それをテメェが守れ』

 

 真白は続けられた言葉に再び目を見開き、その瞳に動揺を見せる。そしてまるで他人事の様に喋るその言葉にゆっくりとその拳を握り始めた。既に震えは存在せず、あるのはリトを人質として利用した事への怒りのみである。

 

『いずれ行う婚約の儀。その時までララを守り通せれば、お前とララの結婚は俺が全て用意してやる。問題の無い様にな。……が、もしも守りきれなかった場合、その命。ちっぽけな地球(ほし)事ぶっ潰すっ! ……覚えとけ』

 

 条件と時期。その内容を話し、最後に先程とは比にならない程の威圧を一瞬だけ飛ばしたデビルーク王の声。だが真白はそれに震えるよりも、睨みつける眼光をより強くする。そうしてザスティンが用意したデビルーク王のメッセージは終了し、その道具は地面に落ちる。犬から解放されていたザスティンはそれを回収し、「王は本気だろう」と真白に念を押す様に言う。と、真白はそれに静かに頷いて返す。そして小さく呟いた……傍に居たザスティンも聞こえない程の声で。

 

「……知ってる」

 

「? とにかく、真白殿。ララ様の事を頼む。案ずるな、婚約者候補と言っても皆が皆戦いに長けている訳では無い。……まぁ、真白殿なら問題無いかもしれないがな。では」

 

 真白が何かを言ったと言う事しか理解出来なかったザスティンは少し気になりながらも、すぐに言うと共に頭を下げる。そして安心させる様に言いながらザスティンは初めて出会った時の真白の行動を思いだして笑みを浮かべた。そしてそのまま背中を向け、去り始めたザスティン。その姿は非常に様になっていて、格好良いと言える。……最後に車の追突音と悲鳴が聞こえなければ、もっと良かっただろう。真白は聞こえて来るザスティンの悲鳴に小さく溜息を漏らす。既に空は薄暗くなっており、真白はそこで思いだした様に走り始めた。もう既にリトもララも帰っているだろう。そして夕飯の支度は美柑のみである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遅くなって到着した真白を待っていたのは、まだ夕食を食べ始めていないリト達であった。既に夕食の用意は終了しており、カツにサラダ、そして味噌汁と一通りが出来上がってテーブルの上に並べられている状態であった。到着してすぐに真白は夕食の準備を一緒に出来なかった事を謝るが、美柑はそれを笑顔で許す。そしてリトが「何をしてたんだ?」と質問。普段なら真っ直ぐに結城家に来る真白がどうして遅くなったか? 当然気になる事だろう。少し冷めてしまっている物の、まだ暖かい夕食を全員で食べ始め乍ら会話を始めた4人。と言ってもリトの質問に真白は詳しく説明することは無かった。『これから狙われる』等、簡単に伝えられる筈が無いのだ。

 

 ララが味噌汁を啜ってその味に感激し、美柑がそれに付いて説明する中。真白は少し普段よりも遅いペースで食事を続けていた。リトはそれに気付くと何も言わず、唯真白を見つめ始める。……そうして夕食が過ぎた後、洗い物を開始した真白。最初で出来なかった分、しっかりと片づけを続けていた時。その横からララがキッチンに入って来ると同時に真白へ急接近し始める。

 

「真白! 今日は一緒にお風呂入ろ!」

 

「ぶっ!」

 

 刃物などを持って居なかったため、危険は無い。しかしリビングの方で飲み物を飲んでいたリトがララの言葉に水を吹きだしていた。一緒に真白と洗い物をしていた美柑はララの言葉に手を止めて「そんなに広く無いけど入れるかな?」と首を傾げる。そしてその間にも唯一の男子であるリトはララと真白がお風呂に入る姿を妄想してしまい、顔を真っ赤にして煙を頭から出し始めていた。

 

「……私は……家で」

 

「偶には良いんじゃない?」

 

 真白は自分の家で入ると言う理由でそれを断ろうとする。が、美柑がララに援護し始めた事で事態は入る方へと進み始めた。ララは笑顔で真白を入浴に誘い、美柑は普段帰ってしまう真白が家でゆっくりすると言う事実に嬉しがる。こうなってしまえばもう断るのも難しいだろう。結局その後、真白はララと共に結城家のお風呂に浸かってから帰宅する事となるのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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