【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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第87話 レン、第三次性徴を求める

「少し、良いか?」

 

 移動教室の為、荷物を手に廊下へ出た真白とヤミは声を掛けられて振り返る。そこに立って居たのは銀色の髪とその背後に混ざる黒い髪が目立つ男子生徒、レン・エルシ・ジュエリアであった。ルンと身体を共用している彼は現在、普通の生徒として彩南高校に登校していた。普段はアイドルとして活動している為、特別に休みを貰っているルン。だが同じ存在でありながら違うレンに特別は通用しなかった。一応は宇宙人である事を隠して居る為、最低限登校する必要があるのだ。

 

「これを渡して欲しいとルンに頼まれたんだ。受け取ってくれ」

 

 レンがそう言って渡したのは1枚のCDであった。パッケージには可愛らしい衣装のルンが笑顔で映っており、何度か受け取った経験のある真白はそれを手にするとお礼を告げる。が、レンが何処か難しい表情で自分の姿を見つめていた事で首を傾げた。

 

「いや、不便だと思ってな。僕とルンは当たり前の様に同じ身体を共有して来た。だけどこの地球(ほし)に来て、それぞれしたい事が出来てしまった。本当ならそれもルンが自分の手で渡したいと言っていたんだ」

 

「……そう」

 

 それはメモルゼ星人であるレンとルンにしか分からない悩み。受け取ったCDを見ながら真白がルンの姿を思い浮かべていた時、彼の言葉を聞いていたヤミが今度は首を傾げる。

 

「まだ第三次性徴は来ていないのですか?」

 

「第三次、性徴?」

 

「以前図鑑で読んだ覚えがあります。メモルゼ星人は第一次、第二次を経て第三次性徴を迎える。そこで晴れて成人の身体になる。と」

 

「そうなの、か?」

 

「はい。成人になる。それはつまり2人の独立した男女になると言う事です。年齢から考えるに、何時来ても可笑しく無いと思います」

 

 「宇宙人と地球人では成人に差がありますから」。そう続けたヤミの言葉に驚きの余り声も出せなくなっていたレン。普段から本を読む事の多いヤミの博識さに真白がその頭に手を乗せて褒める様に撫でれば、微かにくすぐったそうにしながらもヤミはそれを受け入れる。そして真白がヤミの頭を撫で続けていた時、我に返ったレンが空いていた真白の手を突然握った。

 

「協力してくれないか! 僕とレンが分離出来る様に!」

 

「?」

 

 レンの言葉に真白は再び首を傾げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、成長したい。と……そう言われてもね」

 

 レンの願いを叶える方法として一番最初に思い浮かんだのは、誰よりも身体に詳しい御門の存在であった。保健室にやって来た真白・ヤミ・レンの話に顎に手を添えて考える御門。その様子は何か心当たりがある様にも見え、レンは「あるんですか!?」と詰め寄りながら質問する。

 

「無理に身体を成長させる事はお勧めしないわね。身体に過度な負担が掛かってそれ以降の成長が止まったり、何か副作用があるかも知れないもの」

 

「そんな。何か方法は……」

 

「一番良いのは時が来るのを待つ事ね」

 

 肩を落とすレンにそう言って回転椅子を回し、背中を向けた御門。ヤミの言う事が本当ならば、必ずその時が来る。御門の言葉は正論であり、だが別々になれるかも知れないと希望を抱いたレンは今すぐにでもそれを起こしたかった。自分が自由である為に。ルンが自由である為に。

 

「そうね。身体に精神が着いて行く様に、精神に身体が着いて行くって考えもあるわ」

 

「?」

 

「大人になれば良いのよ。例えば……階段を上って見る。とかね?」

 

「お、大人の階段……!?」

 

 突然思いついた様に半身だけ振り返って告げた御門の言葉に衝撃を受けたレンは、言うと同時に固まってしまう。御門は思わせぶりな笑みを浮かべており、固まった彼の姿を見て席から立ち上がった彼女は真白の元へ近づき始める。何をしようとしているのか分からずに首を傾げた真白に微笑み、御門はその身体を片手で抱き寄せた。

 

「見分でも勉強出来るわ。少しは大人になれるかも、ね?」

 

「んっ……涼子?」

 

「……」

 

「な、何を僕に見せる気だ!?」

 

「それは勿論、大人の行為(・・・・・)よ」

 

 含みのある笑みを浮かべながら、抱き寄せた真白の首筋を軽く撫でて見せた御門の姿にジト目になるヤミと驚いたレン。彼の言葉に御門は続けた後、真白の胸元やスカートの中に手を入れ始める。リト程初心では無いが、人の行為を見る趣味の無いレンは目を反らした。が、そんな彼の姿を見て御門は口を開いた。

 

「目を背けていては、勉強出来ないわよ?」

 

「ひぅ! 舐め、ない……で……」

 

 真白の耳を舐め乍ら言った御門の言葉に意を決してその姿を見ようとしたレン。内側に居るルンが羨ましさと見ていたいと言う感情の板挟みになっていて煩いが、分離出来るならばレンは必死に我慢する。だが弄られる真白の姿を見ようとした時、レンは頭に強い衝撃を受けて意識を失う事となった。

 

「ドクター御門。そこまでです」

 

「意識を奪ったら何の意味も無いわよ?」

 

「そんな真白を見せる訳にはいきません」

 

 ヤミの言葉に溜息を吐いた後、御門は真白から離れて気絶したレンをベッドに運ぶ。その時、突然彼の周りが光出した事でその場に居た全員は驚いた。徐々に強くなる光はレンの姿を掻き消し、やがてその光から飛び出た何かが勢いよく真白の元へ。自分よりも少しだけ大きいその身体に真白は押し倒され、もう1つのベッドに転がる。

 

「あれ?」

 

 訳も分からない様子で自分の下に居る真白を見つめるのは、何も纏わない裸のルンであった。だが彼女が居るにも関わらず、他のベッドには未だにヤミの攻撃を受けて気絶する制服を着たレンの姿がある。……静寂の後、ルンは最高の笑顔で真白の身体に抱き着いた。制服越しに出来るだけ真白を感じられる様、身体のあらゆる場所を密着させて。

 

「分離出来たよ! 真白ちゃん!」

 

 レンとルンはこの日、別々の身体を得る事が出来た。御門の行為もヤミの行為も関係なく、単純に第三次性徴を迎えたのだ。心から喜ぶその姿に水を刺す訳にも行かず、真白はルンが満足するまで抱きしめられ続ける。その後、目覚めたレンも歓喜する姿を眺めた真白達。レンが登校する為にオフであったルンは、残った自由な1日を真白と共に過ごすのであった。

各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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