くーさんこと露草です。
さて、初回から色々大問題が発生した前回ですが、読んでいただいた方ホントにありがとうございました!
お気に入りまで……感激した!って感じです。
書き溜めがあるうちは両方とも連日投稿できればなぁと思うのですがどこまでいけるか……(^_^;)
あ、ちなみにネタや出して欲しいキャラは随時募集していますので、ぜひメッセージでも感想でもいただけたらと思います。
ホントに長い前書きはそろそろにしましょう!
では「ぐりもあっ!」第2話スタートです(≧ω≦)
ある日のお昼休みの高等部食堂。
「今日、私の部屋に夕ご飯食べに来ませんか?」
ものすごい爆弾が投下させた。
その爆弾を落としたのは目の前にいる南智花こと、ともかおねーさん。
「えっと、ともかおねーさん。それって食堂でってことだよね?」
「いえ、私が作りますよっ!」
僅かな希望すら打ち砕かれた。
ともかおねーさんは、所謂料理好きの料理下手だ。
それもアレンジを追及して失敗するという典型的なタイプだ。
見た目だけはめちゃくちゃおいしそうだけど、味は某音痴のガキ大将のシチュー並みの生物兵器で食べた人からは『三日間震えが止まらなかった』、『死んだおじいちゃんの姿が見えた』と散々な評価なのだ。
おれは顔だけは冷静に、隣に座る転校生ことりくおにーさんの袖を引っ張り視線を向けさせる。
秘術魔法、
(というわけでおにーさん。どうにか断って)
(え、僕!?葉が言ってよ!)
(いいけど、おれが言ったらともかおねーさん泣くぞ?)
自慢じゃないがともかおねーさんはおれを溺愛している。
おれが断ったりしたら多分泣くかショックで引きこもるレベルだ。
(うっ……仕方ない僕が言うしかないのか)
(任せたー。あ、もしともかおねーさんを泣かせたら斬るから)
(どうしろと!?)
そこは考えろよー、と思いながら超視線会話術を遮断する。
「えっと、南さん」
勇気を出して陸が口を開く。
行け、おにーさん!ともかおねーさんの料理はまずいってはっきり伝えるんだ!
泣かせたらぶった斬るけどね!
「はい、なんですか転校生さんっ!」
ものすごい笑顔だった。
途端に汗を吹き出すおにーさん。
「た、楽しみにしてるね……」
「はいっ!腕によりをかけますね!」
ニコニコ笑顔のともかおねーさんと死んだ目のおにーさんというひどい光景だった。
まあ、ヘタレのおにーさんには元から期待してない。
おれはキョロキョロと周りを見渡した。
「だからジャーナリストには多少の危険が付きものなのよ!」
「だからって氷川がいる更衣室に忍び込むのはどうかと思うぞ……」
カ・モ・が・キターーーー!!!!!
「なつみおねーさん!れいおねーさん!こっちこっち!」
おれはこっちに向かってくるジャーナリスト(笑)のなつみおねーさんと
「あっ、夏海ちゃん、怜ちゃんお疲れさま!」
「はい、お疲れー」
「転校生と葉もいたのか」
談笑を始めるともかおねーさんたち。
すかさずおれはなつみおねーさんに声をかける。
「ねぇねぇ、なつみおねーさん!今日に部屋で一緒にご飯食べない?」
ともかおねーさんの部屋というのをあえて隠す。
こう言えば多分……。
「そーね、久し振りに葉の料理食べたいかも」
ふっ、罠にかかった!
部屋っていえばおれのか、なつみおねーさんの部屋だと考えるだろうと思ったけどまさにだったね!
おれが料理得意なのもいいアシストになったし。
「じゃあ、決まりね!れいおねーさんは?」
「そうだな。じゃあ私も……」
これで3人。
後はれいおねーさんも巻き添えにすれば……。
「違うよ夏海ちゃん。葉くんのじゃなくて私の料理だよ」
ちっ、ここでともかおねーさんに邪魔されたか。
途端になつみおねーさんの顔面が真っ青になる。
笑顔を固めたまま、おれに勢いよく顔を向ける。
(アンタハメたわね!!)
(ふははははは!騙される方が悪いんだよ!やったね、なつみおねーさん!仲間が増えるよ!)
(葉ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!)
そんな顔だけ笑顔の談笑(?)をするおれたちの横で。
「あ、危なかった……」
れいおねーさんが1人胸をなでおろしていた。
リリィクラス寮共同キッチン。
おれたちは死刑を待つ囚人のような状態で椅子に座っていた。
目の前では鼻歌を歌いながら野菜を切るともかおねーさんの姿。
いつも誰かしらいるはずのキッチンには、ともかおねーさんが料理をしていると伝わった途端誰一人いなくなっていた。
「ヘタレでごめんなさい、ヘタレでごめんなさい、ヘタレでごめんなさい……」
「ああ、一流のジャーナリストになれないままアタシは死ぬのね……」
テーブルに倒れ込むおにーさんと夏海おねーさんとは反対におれは普通にお茶を飲んでいた。
そんなおれを巻き込まれたなつみおねーさんがじーっとにらむ。
「葉、アンタ随分余裕じゃない……」
「まあ、なつみおねーさんを巻き込んだ時点でおれはもう充分だし」
「それにしてもその態度……まさかなんか秘策がある訳?」
なつみおねーさんがそういった途端、おにーさんもギュインと顔をおれに向けた。
わずかな希望にすがる者の顔だった。
「秘策?ははっ、なつみおねーさん何言ってるのさ」
秘策なんてない。
勿論、ともかおねーさんの料理をおいしいと思えるほどの味オンチでもない。
僕にあるのはたった1つ。
「育ち盛りのおれは大盛りって決まっているから」
完全なる諦観だった。
ブワっと涙が溢れる2人。
どうやらおれの苦労をわかってくれたらしい。
「す、少しだけなら協力するから死ぬんじゃないわよ!」
「僕も葉の分食べるから」
「いやそれはマジやめて」
その先に待っているのは、「おかわりまだありますよ」だけだ。
それから数十分後。
パチンとコンロを切る音が鳴った。
「よしっ、完成しました!」
ビクッと震えるおれたち。
いよいよ死刑が決まるのだ。
「あ、アタシトイレに……」
「往生際が悪いよ岸田さん……!」
「というか、さっきの覚悟はなんだったのさ!」
「いやー!!死にたくないー!!!」
そんなおれたちを尻目にともかおねーさんはコトンと鍋を置いた。
そして蓋を開けた。
その中身は。
「ビーフシチューです!」
ものすごくおいしそうなビーフシチューだった。
お肉は見るからに柔らかそうだし、匂いも食欲をそそってくる。
だがその味を知っているおれたちにしてみれば一ミリも期待できなかった。
「じゃあよそいます。葉くんは育ち盛りですから大盛りにしますね」
「ありがとー」
予想通りなみなみと盛られるビーフシチュー。
自分のちっこさをここまで憎むことは未来永劫無いだろう。
「転校生さんも大盛りにしますね」
「あ、ありがとう南さん……」
好きな人には尽くすタイプらしいともかおねーさんはおにーさんにも大盛りの皿を置いた。
おにーさんの目の闇がさらに深くなる。
「と、智花アタシの分は……!」
「うんっ、わかってるよ!夏海ちゃんは最近忙しいって言ってたから大盛りにするね!」
「大盛りの霊に憑りつかれてるのアンタ!?」
結局全員に淵ギリギリまで入れられた皿が置かれた。
ニコニコとともかおねーさんが見守る中、おれたちはスプーンを手に取った。
「2人とも大丈夫?」
「うん、僕も覚悟を決めたよ」
「あはは、あの世で会いましょ」
ニコリと笑い合う僕たち。
そして、一斉に口に入れ、意識を手放した。
※保健委員の早急な処置で大事には至りませんでした。
~新コーナー みんなのひとこと~
○智花からひとこと
おかしいなぁ、料理の本に辛味は味を引き立たせると書いてあったんですけど……。
(※後日、リリィ寮共同キッチンからタバスコ10本が消えていることが判明しました)