めだかボックス■相良紫音は面白おかしく生きてみたい。 作:coka/
『世界は平凡か?』
壇上に立った彼女が、会場にいる生徒全員に問いかけた
『未来は退屈か?』
正面のモニターに大きく映し出されている凛とした彼女の顔は、
とても自信に満ち溢れ、緊張なんて一切感じられない
『現実は適当か?』
その解答を誰かに求めることもなく、続けざまに言う
『安心しろ――』
その口元には笑みを浮かべて
『それでも――生きることは劇的だ!』
臆面もなくそう言い放った彼女こそ、
この箱庭学園の新生徒会長【黒神めだか】そのひとである
……まったく、めだかちゃんは相変わらずだなぁ
「おい聞いたかよ、新しい生徒会長の噂!」
「聞いた聞いた!私たちと同じ一年なのに生徒会長になった女でしょ?」
「しかも、相当変な奴らしくて、先生達も手に負えないって話だぞ――」
箱庭学園の普通科、壱年一組の教室。
僕、
というか、選挙戦の時から噂になってたのに知らないの?
君ら今更騒ぎ過ぎじゃね?
まぁ、どうでもいいけどさ。
ふと、後ろの席の
寝てるのか何なのか知らないけど、机に顔を伏せていた。
彼こそ、僕の親友その1にして幼馴染の人吉善吉くんだ。
暇だし声かけてみようかな。
「おーい、善吉くん寝てんの?」
返事はない。
「みんな生徒会長の噂ばっかだからつまんねぇよな。僕らからしたら彼女が会長になるのは解ってたようなもんだし」
またも返事はない。
「ふぅ……返事がない只の屍のようだ」
……………
おいおい、
お前はどっかの誰かと違って、ちゃんと話を聞いてくれるやつだろうに。
僕は君をそんな子に育てた覚えはないぞ?
いや、そもそも育てたのは僕じゃないけどさ………
「二人共なんの話してるのー?あたしも交ぜてよ♪」
そう言ってやってきたのは、同じクラスの青髪で小柄な少女――不知火半袖ちゃんだ。
いつもニコニコとした親友その3である。
今日も笑顔が眩しいねぇ。
「聞いてよ袖ちゃん。善吉が無視するんだぜ?酷いと思わない?」
「あひゃひゃ♪きっと疲れてるんだよ。今朝もあのお嬢様に付き合わされてたみたいだし♪」
ああなるほど、そりゃご愁傷様だ。
今朝一緒に登校しなくて正解だったよ。
………まさか、そのこと恨んでるんじゃないよね?
もしそうなら逆恨みもいいとこだけど
「しっかし、あのお嬢様も全校生徒を前によくあんな啖呵が切れるもんだよね。人前に立つのが慣れてるっつーかさー♪」
ふむ、人の前に立つのが慣れてるねぇ……
「いやいや、袖ちゃん。それは違うと思うよ?」
「んー?どーゆーコト?」
「紫音の言う通りだぜ不知火」
僕と半袖ちゃんの話を聞いて急に起き上がる善吉。
というか、やっぱり起きてたのかよ!
さっきは僕の事無視したくせに!
「ありゃあ、人の前に立つのに慣れてんじゃねーよ。人の上に立つのに慣れてんだ!」
「あー、なるほど!そりゃそーだね。そーでなきゃ、一年生で生徒会長になんかなれっこないか♪」
まぁ、そういうことだ。
人の上に立って下を眺めているからこそ、みんなの相談に乗るとかなんとか言ってるんだよねぇ
どっかの王様か何かかよって言いたい。
ホント迷惑極まりない人だよ、めだかちゃんは。
いつも巻き込まれてる善吉が不憫に思えるよ。
ちなみに僕はのらりくらり回避してます。
じゃないと、文字通り骨が折れそうだから。
「それで?あのお嬢様の幼なじみである人吉と相良は、どーすんの?」
「ん?どうするって何が?」
「お嬢様が当選したってことは、とーぜん二人も生徒会に入るわけ?」
ああ、そのことか。
「まぁ僕はともかくとして、善吉は入るんじゃないの?めだかちゃんにしつこく誘われてたみたいだし」
「カッ!そんなわけねーだろ!これ以上、あいつに振り回されてたまるかっての」
そう言って立ち上がる善吉。
なんかすごい意気込んでるなぁ
でも――後ろにいるめだかちゃんには気付いてないみたいだね……
僕も今気づいたんだけどさ。
一体いつの間に入ってきたんだか……
「俺は絶対!――生徒会には入らない!!」
人吉~うしろ、うしろ~!
本人いるから!なんならポーズ真似されてるからね?
半袖ちゃんも絶句したのか笑ったまま固まってるし……
まぁ、話も進まないしめだかちゃんに話しかけるか
「だそうですよ、生徒会長殿?」
「ふむ、そうつれないことを言うでないぞ善吉。」
そう言って、後ろから善吉の頭を掴むめだかちゃん。
アイアンクローでも決める気かな?
「な!?お前いつの間に!つか、手離せ!」
「安心しろ、貴様が大人しくしておれば手荒な真似をする気はない」
「そう言いながら手に力込めてたら、説得力ないと思うよ?めだかちゃん」
現に善吉ちょっと痛そうだし……
「なに、善吉ならこのくらい余裕だろう。さて、紫音お前にも一緒に来てもらうぞ?」
あ~、多分このままついて行ったら巻き込まれそうだなぁ
「悪いけど、今日は先約があるんだよ。だから一緒には行けないよ!」
「なに、直ぐ済む話だ。そのあと向かっても問題はなかろう」
「ん~、なら今話してよ。そうすればもっと早く済むしさ!」
「ふむ、それもそうだな。では、単刀直入に言わせてもらおう」
まぁ、どんな内容なのかだいたい予想が付くんだけどさ。
「生徒会に入ってくれ、紫音」
「やだ」
………………
沈黙。
あれだけ騒がしかった教室内が、今は静寂に包まれている。
そりゃ、噂してた超人が目の前にいて、その誘いを即答で断る人間がいたらこうもなるよね。
「……もう一度聞こう。紫音よ、私の生徒会に入ってくれ」
「断る!」
二度目の誘い。
もちろん、これも拒否する。
「入れ」
「うんそれ無理♪」
三度目。
ついには、お願いじゃなくて命令になっている。
「……どうしてもか?」
気落ちした顔で僕に聞いてくる。
……今回は、珍しくしつこいなぁ
いつもなら直ぐに「そうか」って言って終わりなのに。
はぁ、仕方ない……
「めだかちゃん、僕が意外と頑固なの知ってるでしょ?悪いけど生徒会に入るつもりはないよ。暇なときに手伝いとかならしてあげるけど」
鞭ばかりではダメなので、飴も用意する。
決して雨ではない。なんなら飴を降らせることもできない。
そんなこと出来たらそれこそ人外だしね。
「!……そうか、残念だが仕方あるまい。だが、言質は取ったぞ?何かあれば手伝ってもらうからな!」
残念と言いながらもすごく嬉しそうなめだかちゃん。
手伝ってあげると言っただけでこの有様である。
というか、暇な時って言ったの忘れてない?
「では、そろそろ私は行くとしよう。時間を取らせてすまなかったな紫音」
「気にしないでよめだかちゃん。僕らの仲じゃない!」
「うむ、それもそうだな」
そう言って、笑いながら善吉を引き摺って出て行くめだかちゃん。
善吉くんは犠牲になったのだ。南無南無
――――――――――――
めだかちゃんが出て行ったあと、変な空気になった教室を僕も出て、下駄箱に向かう。
なんか視線が痛かったからね!……うん、逃げました。
因みに、いつの間にか復活していた半袖ちゃんも何故か一緒だ。
「いやーそれにしても、相良がお嬢様の誘いを断るなんてね♪」
「ん?意外だった?まぁ、僕は善吉ほどめだかちゃんに固執してないし、生徒会にも興味ないからね」
「ふーん。そーいえば、先約がいるとか言ってたけど、ここでのんびりしてていいの?」
ん~?ああ、あれか。
「いいのいいの、だってあれ嘘だもん」
「え!?そーなの?」
「そうなの。だってあのままついて行ったら巻き込まれそうだったしね」
まぁ、結局めんどくさいことになったけどね
教室の雰囲気も悪くなったし。
あれは僕も悪かったかな、やっぱり。
「ってことで、袖ちゃん暇?暇ならなんか食べに行こうぜ!」
「ん~?奢ってくれるならいいよ!」
「んじゃ、どっか食べ放題の店行こうか」
半袖ちゃんは大食いキャラだからなぁ
あの小柄な体のどこに入るのか、いつも不思議なんだけど。
「そうと決まれば、レッツゴー!」
「おー♪」
そのまま僕と半袖ちゃんは、食べ放題の店を探しに歩き出した。
なお余談だが――
その日、オープン記念の食べ放題をやっていた近所の中華料理店が、
3日もしないうちに店を畳んだそうだ。
………なんでだろうね?(笑)
初めました。(誤字ではない)
決してコーラでも麻薬でもありません。(誰も言ってない)
さて、色々と初めての事なのでおかしな点はどんどん言ってください。
よろしければ、アドバイスや感想などもしてください。(図々しい)
これからよろしくお願いします。