めだかボックス■相良紫音は面白おかしく生きてみたい。   作:coka/

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第1箱:言質を取られた暇人のお遊び

めだかちゃんの演説とか、教室での一件があった翌日の昼休み。

僕と善吉、袖ちゃんの三人で食堂にいるんだけど……

 

向かいに座ってる善吉がボロボロになっている。

別に、午前の授業で殴り合いのケンカがあったとかではない。

 

「ねーねー、前から思ってたんだけどさー。人吉ってひょっとして頭悪くない?なんで毎回毎回お嬢様のシゴキに付き合ってるのさ、部外者のくせに」

「うるせぇ。大体あいつは――――」

 

そう、袖ちゃんが言った通り善吉はまた(・・)めだかちゃんにシゴかれたらしい。

なんでも、めだかちゃんの設置した目安箱に剣道場に関しての投書があった為、それを解決しに行ったんだとか。

うん、なんで剣道部でもないのに善吉はシゴかれてるんだろうね。

まだ生徒会にも入ってないみたいだし。

まぁ、僕からすればいつものことだけどさ~

 

「まぁ、仕方ないよね。善吉って口では色々言ってるけど、その実めだかちゃんが大好きなツンデレだからさ」

 

僕は自前の弁当を食べながら、袖ちゃんの疑問に答える。

なんか善吉が話してたみたいだけど、どうせめだかちゃんのことだろうからどうでもいい。

……うん、今日の弁当も美味しい!

 

「あー、なるほどねー♪でも、男のツンデレなんて誰得なんだろ?」

「さぁ?」

「お前ら好き勝手言いすぎだろ!!」

 

だって事実だし。

 

「とりあえず、あれだ。あいつらもあんなヒデェ目に遭っちゃ、もう剣道場に近寄らねェだろうさ」

「「………」」

 

こいつは一体何を言ってるのかなぁ……

 

「人吉って案外あのお嬢様のことわかってないよね♪幼馴染なのに。」グサッ

 

お、善吉にクリティカルヒットした。

よし、追い討ちかけよう。

 

「本当にね。あれだけ長い間一緒にいるのに、めだかちゃんのことなんにも理解してないみたいだしさ!善吉いる意味あるのかな?」グサグサッ

 

……あ、膝抱えちゃった。流石に言いすぎたかな?

と思ってたら袖ちゃんがサムズアップしてきた。

 

「と、とりあえずさ、めだかちゃんのことだから、悪い奴をやっつけてめでたしめでたしとはならないと思うよ?」

 

話を戻して善吉に話しかける。

 

「そーそー、あれがそんなカンタンな女ならあんたや紫音も苦労してないでしょ?」

 

……さらっと僕も苦労してるみたいに言わないでよ。

 

――――――――――――ボソッ

 

ん?今、ボソッと声が聞こえた気がする。

声の主の方へ目を向ければ、同じクラスの日向くんが席を立ち食堂を出ていくのが見えた。

………?

なんだったんだろうか?

 

「んん?なぁ、今後ろの席に誰かいなかったか?」

 

どうやら善吉にも聞こえたらしい。

真後ろの席に座っていたから僕よりはっきり聞こえたかもしれない。

 

「同じクラスの日向がうどん食べてたよ~♪」

「日向?」

 

やっぱりあの声は日向くんで間違いないのかな?

 

「それがどうかしたの?」

「………いや、別に。」

 

善吉は気のせいだと思ったのかな?

ま、僕もよく聞こえなかったし気にしないでおくかな、。

……むしろ、袖ちゃんが若干ニヤけてる事の方が気になるし。

 

 

とりあえず、三人とも食べ終わったので食器とお盆を持っていく。

僕はもう弁当箱片付けたから、後ろからついてってるだけだけどね~

 

「ま、もうすぐ人吉もお役御免なんだし、お嬢様のことは気にしなくてもいーんじゃない?」

「あ?」

 

ああ、袖ちゃんが言ってたあの話か。

 

「確か今日の放課後に役員募集会やるんだっけ?学園側主催で」

「そーそー!んで、二年三年の特待生集めてやるんだってさ♪」

「………カッ!そりゃぁいい。生徒会のメンバーさえ決まれば俺も振り回されなくなるだろうからな!」

 

……なんというか、善吉は嘘が下手だよねぇ

私不満ですって顔して言っても説得力無いぜ?

まったく、素直じゃないんだから。

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

んで、放課後。

多分剣道場に行ったんだろう、善吉は見当たらなかった。

だから、袖ちゃんを探してたんだけど……

 

「あひゃひゃ♪けど、紫音は勿論、人吉も生徒会に入る気なんて更々なさそうですけど?」

「…………」

 

……な~んか軽く修羅場ってる?

まぁ、あの二人はなんとなく相性悪そうだしねぇ

さてさて、ここは空気を読むべきか、ぶち壊すべきか………

 

よし、軽くぶち壊そう!

 

「袖ちゃんみっけ!あ、めだかちゃんもいるんだね。珍しい組み合わせだけど、何話してたの?」

「む、紫音か。なに、不知火と二人で生徒会役員の話をしていただけだ」

「ああ、役員募集会とかの話かな?めだかちゃんとしては善吉を入れたいんだろうけど」

「うむ、私には善吉が必要だからな」

 

開いていた扇子をパチンと閉じて言う。

そして、それを僕に向けて、

 

「無論、私としては貴様も入ってくれると嬉しかったんだがな?」

「あはは、言ったでしょ?僕は入らないよ?」

「なに、無理強いはせんさ。暇なときは手伝ってくれる様だしな」

 

流石めだかちゃん、ちゃんと覚えてたんだね。

 

「おーい、あたしを忘れないでよ♪」

「ん?忘れてないよ?」

「ホントかなー?あ、そう言えばお嬢様。剣道場の方はどうなったんですか?」

「私が戻るまで自主練を言いつけておる。一刻も早く連中を剣道少年に戻してやらんといかんからな」

 

ああ、善吉に聞いた通り【上から目線性善説】発動中なんだ。

善吉が勝手に真骨頂とか言ってるだけで、ただのめだかちゃんの勘違いなんだけどね。

 

「へー、そーいや投書の差出人って一体誰だったんでしょうね?」

 

ふと、袖ちゃんがそんなことを言い出した。

確か、投書は匿名だったんだっけ?

 

「確かに迷惑っちゃ迷惑でしたけど、使ってない剣道場に不良が溜まってたトコで、実際に困る生徒なんていないはずなのにねぇ?」

「いやいや、もしかしたら単純に剣道がしたい生徒が出したのかもよ?」

「えー?なら別に匿名じゃなくても良くない?」

 

いや、普通に報復とかされたくなかったから、とかかもしれないじゃん。

 

「なんにせよ、私は知らんし、知る気もない。私は誰からの相談でも受けつけるぞ。そもそも、匿名性がなければ目安箱の意味がないしな」

 

う~ん、めだかちゃんらしいっちゃらしいんだけど、

本当にそれでいいのかなぁ?

……まぁ、めんどくさくなるから言わないけど。

てか、なんか袖ちゃんがずっとニコニコしてるのが地味に怖いんだけど……

 

「じゃ、たとえばあたし達のクラスメイトで剣道の腕前は全国クラスだけど性格に問題があって、中学時代に暴力事件ばっか起こしてたって過去を持つ日向くんが差出人でも?」ペラペラ

「一向に構わん」フン

「いや、構おうよ!!」

 

日向くんってそんな人だったのか

てか、袖ちゃん全部知ってたんなら今までの会話なんだったのさ!

 

「だったらぁ…あたしからの投書でも受け付けてくれるんですよね?」

 

そう言って袖ちゃんはめだかちゃんに一枚の紙を渡す。

何が書かれてるんだろうか?

 

「もちろんだ」

 

それを受け取って読み出すめだかちゃん。

ちょっと横から覗いてみよう。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

☆生徒会長様☆

実は私のクラスの日向くんの

性格がとってもとぉ~っても

悪そうなので、

ゼヒゼヒ叩き

なおしてやって  自分の絵

くださいな♡

 

       ☆トクメイキボウ☆

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

うん、色々ツッコミたいけどひとつだけ

自分の絵書いてたら匿名にならないじゃん!

しかも地味に上手いし!

 

「ふむ、確かに受けつけた。すぐ(・・)に行ってこよう」

 

あ、受けるんだこんなの……

って、ちょっと待った

すぐってことは今から行くの?

 

「めだかちゃん行くのは勝手だけど、募集会どうするのさ?」

「む、そうだな……よし、不知火と紫音。」

 

あ、これめんどくさい奴だ

 

「二人に代理を頼もう。どうせ暇だろう?」

 

やっぱりこうなったか……

 

――――――――――――――――――――――

 

南校舎の第四会議室。

そこには特待生の二年三年が何人か集まっているんだけど……

 

「えーっと、それでは最初に質問させてください。」

 

ザワザワとしているこの教室で、一人の生徒が質問をしてきた。

 

 

 

 

「あなた方は一体誰ですか?」

 

 

 

「……………大統領です!(精一杯のギャグ)」

 

 

 

教卓の上に正座し、ひらがなで【かいちょー】と書かれた腕章を付けた袖ちゃんが答える。

まぁ、そのすぐ横に僕も立ってるわけなんだけどね。

 

 

結局、あの後めだかちゃんは日向くんの所へ向かった。

………僕らに募集会を押し付けて。

まぁ、頼まれたのは仕方がないから代理をしに来たんだけどさ。

 

「あの、それであなたは?」

 

質問をした眼鏡の人が僕に聞いてきた。

 

「あ、僕はその秘書兼友人兼生徒会長代理(・・・・・・)です。」

「生徒会長代理?」

「ええ、会長である黒神めだかさんに急用が入った為、代理に任命されました。因みに、僕は生徒会役員でも無ければ、生徒会に入る気もないのであしからず」

 

とりあえず質問に答えておく。

え?口調が気持ち悪いって?

袖ちゃん以外上級生だから仕方ないよ。

 

「うっわー 紫音、それ吐き気するからやめなよ」

 

袖ちゃんに引かれた……って吐き気するってなにさ!

まぁ、やめるけど

 

「うん、じゃあや~めた!ってことで皆さん、めだかちゃんは来ません!残念でした~」

 

僕の急な態度の変わり様に驚いたのか、先輩達は押し黙っていた。

これじゃ、僕が滑ったみたいじゃないか!

 

まぁいいや。さっさと解散してもらって、僕も帰ろう。

 

「そ~ゆ~訳で、先輩がt――」

『ギャアアアアア―――――!!!!!』

 

話を進めようと思ったら外から叫び声が聞こえた。

多分日向くんの声なんだろうけど。

てか、よくここまで叫び声が届いたね。

意外と近くにいるんだろうか?

 

「えー気を取り直しまして」

 

先輩達が、え?今の無視?って顔でこっちを見る。

だって原因知ってるし。

 

「先輩方には申し訳ないんですが、全員不採用ってことでお願いします!んじゃ、解散!!」

 

そう言った瞬間、先輩達はポカーンとした顔のまま固まってしまう。

なぜか、袖ちゃんだけは楽しそうに笑ってるけど。

………よし帰ろう!

 

 

 

 

 

とまぁ、そうは問屋が卸さない様で………

 

「おい、一年坊主。いきなり現れて何生意気なこと言ってんだ?」

 

多分体育科の特待生であろう、ガタイのいい男の先輩が立ち上がって前に来る。

他にも何人かデキそうな人がチラホラ立ち上がっていた。

うっっわ、めんどくさい。

 

「あんまり先輩()めるんじゃねぇぞ!不採用ってんなら理由言えよ、理由を!」

「理由ですか……そもそも、めだかちゃん本人が来てない時点でちょっとは察してくださいよ。あんたら全員要らないって言われてるんですって」

 

まぁ、めだかちゃんはそんなこと一言も口には出してないけどね!

でも、実際善吉くん以外要らないだろうしさ。今はまだ。

 

「はい、わかったら皆さん解散してください。僕達もう帰りたいんですよ」

 

てか、袖ちゃんはいつまでニヤニヤ笑ってるのさ!ちょっとは何か発言してよ。

もとわと言えば君のせいなんだし……

 

「ちょっと、袖ちゃんも何か言tt――――――」

 

左を向いて袖ちゃんに話しかける。

そして、それを言い切る前に……

 

僕の視界は暗転した。

 

その瞬間頬の痛みを感じる。

ああ、殴られたのか。

そう理解して、黒板に叩き付けられる。

 

「ぐはッ!」

 

死角からの思いもしない一撃だったせいか、勢いよく叩きつけられ声が漏れる。

あ~クソ、かなり痛い

 

「たくっ、あまりにも生意気なこと言うからつい殴っちまったじゃねぇか。」

 

どうやら僕を殴ったのはさっきのガタイのいい先輩らしい。

 

「そもそもなぁ、代理だかなんだか知らねえが、お前みたいな役員でもないわけのわっかんねぇ奴に指図される筋合いねぇんだよ」

 

そう言った後、倒れている僕を軽く蹴る先輩。

いや、お怒りはごもっともだけどさ、流石に追い打ちとか酷くない?

そして、その先輩に同調するように他からも声が上がる。

 

「そうだよ!黒神さんに言われるならまだ納得できるけど、君に言われても腹が立つだけだよ!」

「そうだそうだ!!お前なんか引っ込め!生徒会長連れて来い!」

「弱っちいくせして先輩に歯向かってんじゃねぇよ!クソが!」

「あんた一体何様なのよ!」

「中性的な顔しやがって!キモいんだよ!」

「黒神さんのこと名前呼びとか羨ましい!!」

「お前会長とどうゆう関係なんだよ!」

 

エトセトラエトセトラエトセトラ……

 

よっぽど腹が立っていたのかなんなのか分からないが、僕に対して罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせる先輩達。

もしかしたら八つ当たりだったりもするのかな?

僕が言った通り、めだかちゃんがここに来なかったって事は、先輩達ははなから見向きもされてないってわけだから。

てか、後半只の妬みじゃないの?

 

罵声が一旦止んだところで、僕は痛みを我慢して立ち上がる。

とゆうか、思ったよりダメージ大きいなぁ

口の中、若干切れてるのか血の味するし。

 

「あ~、いってて。殴られるなんて思ってないから気ぃ抜いてましたよ。てか袖ちゃん、助けてくれてもよかったんじゃないかな?」

 

立ち上がって袖ちゃんを見るとまだ教卓に座ったままニヤニヤしていた。

 

「えー、やだよ!あたしに矛先向けられたくないし!それにあたしは親友の紫音が酷い目に遭ってるのを安全な所から眺めたいだけの人間だから!!」

 

笑いながらそう言い放つ袖ちゃん。

……君絶対人間じゃないよ、悪魔かなんかだよ

 

「それにさーあんたならこれぐらい余裕なんじゃないの?」

「いや、それは流石に買いかぶり過ぎだよ袖ちゃん。僕も一応色々習ってはいたけど、善吉みたいに鍛えまくってたわけじゃないし」

 

てか善吉と僕とじゃスタイルも違うし、身近に師匠的存在もいなかったからね。

 

「おい!こっちを無視してんじゃねぇよ!!」

 

話をしている途中でまた殴りかかってくる先輩。

あなた流石に短気過ぎません?

 

 

 

 

 

……………はぁ、仕方ない――――――やるか

 

「まぁ、でも――――」

 

そう言って手を軽く握り―――――――

その瞬間、先輩の鳩尾を打つ。

 

 

 

「ガハッ!!ゲホッ!ゲホッ!」

 

大きく息を吐き、すぐに咳をしながら前のめりになる先輩。

 

「これぐらいならできるけどね!」

 

袖ちゃんの方に向き直って声をかける。

彼女はやっぱり笑みを浮かべたまま、やるじゃんと言うだけだった。

 

「て……てめぇ……ふ…ふざ…け…ん……なよ…」

 

殴られた先輩は苦しそうに言う。

ちょっとやり過ぎたかな?

 

「調子こいてんじゃねェぞクソ一年が!!」

「お前なき入れさせるぞゴラァ!!」

「テメェの尻の穴から手突っ込んで奥歯ガタガタいわせてやろうか!!」

 

他の先輩達もなぜかキレている。

皆さん過激すぎじゃないですかねぇ?

 

「先に仕掛けてきたのは先輩だから、これは立派な正当防衛ですよ?それでも文句があるって言うなら……………かかってこいよ」

 

 

 

オレ(・・)がそう挑発し、軽く構えをとった所で、先輩達が一斉に殴りかかってくる。

因みに、この教室にいた先輩の半分程は、既に帰ったのかもういない。

残ってるのは目の前にいるこいつらだけ。

まぁ、これぐらいなら充分だろ。

 

 

 

………さぁ、オレを楽しませてくれ!

 




明けましておめでとうございます!
年末年始忙しかった為、今日やっと2話目を投稿することができました。
楽しんでいただけたら幸いです。

このペースで投稿してたら何年もかかりそうなので、ある程度ペースを上げていけたらと思ってます。
それでは次回もまたよろしくお願いします。

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