遊戯王5D's ~剣纏う花~   作:大海

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こんにちは~。
第十話できたよ~。
んじゃ、行ってらっしゃい。



第十話 怒りは氷結と共に

視点:梓

 焚火(たきび)を焚き、燃え上がる火を眺めながら、先程の決闘を思い起こす。

 いつかできる日が来ればと、ライディング決闘用のカードを用意しておいたのがあんなところで役に立つとは。もっとも、肝心の決闘の内容はと言えば……

 とにかく、これで私は、マーサハウスに行くことも無くなりました。サテライトの人達に、近づかずに済みました。今でも私はサテライトの人達に、たとえそれが子供でも、近づくだけで先程のようになってしまう。もはや完全に恐怖として体に染みついてしまっている。

 

「梓」

 

 火を眺めていると、シエンの声が聞こえました。シエンは実体化し、私の隣に座っていました。

「何か?」

 笑顔で返事をしました。しかし、シエンの顔は全く笑っていない。心配そうに、私の顔を見ている。

「お前、さっきの決闘……」

「……情けない話です。以前私は、人を憎みたくない、そう言ったのに、実際は、サテライトと言う場所と人達への、憎悪の塊が胸にある。その結果があの決闘だ。人を憎むことを恐れていると言いながら、未だ幼少時代のトラウマが私を支配している」

「……」

 だからせめて、サテライト以外の人々を憎まないようにと、そう心に誓っていました。そんな思いで長年生きてきたことで、私の仲の憎悪も薄れていったかと思ったのに……

 

『何があったのですか?』

 ミズホの声が聞こえました。こんなどうしようもない主だというのに、心配して下さっているのですね。

「……人に話すほどのお話ではありませんが」

『それでも、話しちゃえば以外と楽になるかもよ』

 今度はシナイです。今更ですが、あなた方はいつも二人で現れますね。

『僕達夫婦も、お互い悩みがあったら素直に打ち明け合ってるし。ねーミズホー』

『シ、シナイ、梓の前ですよ////』

 肩を組まれ、顔をくっつけられて、ミズホは赤くなっています。いつものことながら仲睦まじい。と言うか、梓の前という言葉も今更でしょう。

『構わないさ。何なら今悩みがあれば聞いてあげるよ。すぐに慰めてあげるから……ふぅ』

『あ、ああああ////』

 はて? 耳に息を吹きかけていますが、何かのまじないでしょうか? それにミズホの顔が赤い。風邪……精霊も風邪を引くのでしょうか?

『ちょ、待ってシナイ、何もこんな所で……////』

『僕は気にしないさ。それに、体は素直だよ』

 体はって……ミズホは嫌がっているように見えますが。シナイは左手で腰の辺りをさすり、右手は、足、の、中心? に、伸ばしています。

『だ、ダメ//// ああ、梓、見ないで!////』

「はあ……分かりました」

 あまり嫌がってはいませんね。

 私としてはなぜかもっと見ていたい気になりましたが、まあ見るなと言われたので目を閉じます。

 

 ゴッ

 

 ご?

『もう目を開けていいぞ。梓』

 エニシの声です。そう言われたので目を開くと、エニシとキザンが拳を握り、その前でシナイとミズホは頭を押さえながらひざを着いています。

『……その辺にしておけ。そこから先は18禁だ』

 キザンが二人に声を掛けました。

「じゅうはちきん?」

『梓は気にしなくていいから』

 今度はカゲキが笑顔で話し掛けてきました。

「はあ……分かりました」

 武士というものは難しいのですね。もっと多くを学ばねば。

 

「ゥオッホン。話しが逸れたが、過去に何があったんだ?」

 実体化したシエンと向かい合い、そう言われました。

「……私がサテライトの人間であるというのは、ご存知の通りです。大会の二日目、その早朝での大谷さんとの会話は聞きましたね」

「ああ」

 シエンが頷き、後の五人も頷きました。

「既にご存知の通り、私は誘拐され、お父さんに拾われる十歳の頃まで、サテライトで、一人で生きてきました。毎日ゴミの中から食糧と衣服を探し、今のように火を起こす(すべ)も知らず、寒くとも服を拾い集めて眠る毎日でした。そうやって私は、誰かに何かを習ったことが無い状態でも、毎日生きるための術を模索し、生き延びてきました」

 私は普通に話しているだけなのですが、六人とも深刻な顔を見せています。本当に大した話しではありませんよ。

「しかし、今だから分かることなのですが、物心がつき、立ち上がれるようになったばかりの子供が、普通はそんな環境で生きることなど、できるはずが無い。当たり前のことですが、私には何も無かった。家も、両親も、お金も、何もです。そんな状態の子供がたった一人で、サテライトという無法地帯で生きるなど、普通は死んでしまう。ですが、私の場合、一つだけ持っていたものがありました。何か分かりますか?」

 その問い掛けに、六人は顔を見合わせ、考え始めました。

「強さか? お前かなり強いし」

「いいえ。あなた方が来た時ほどに強くなったのは、父に拾われ、武芸の稽古を行ったからです。私には生まれつき、女性並みの筋肉しか付いていないそうで、それまで喧嘩すら一度もしたことがありませんでした」

 そう返事をすると、また六人共に考え込みます。

「……分からん。何なんだよ?」

 シエンが尋ねてきました。後の五人も分からなかったようで、私を見つめました。

「それは……容姿です」

 その答えに、全員が何やら、力の抜けた顔を見せました。

「容姿って、顔か?」

「ええ。顔です」

「……どういうこった?」

 まあ私自身、仕様の無い事実だとは思っていますが。

「これも拾われてから知ったのですが、私は生まれつき、美しい顔をしていました。多くの人が羨み、愛し、憧れて下さる、そんな、男子だとは思えないほどの美しい顔。サテライトの人間ということも関係無いだけの美しい顔を、私は持って生まれました」

「はあ……それで?」

「それで……そんな顔を持って生まれた子供が、無法地帯であるサテライトを一人歩いていれば……どんなことになるか想像できませんか?」

 その私の言葉で、六人はなぜか目を見開き、硬い表情を見せました。

「多くの男の人達が、私に群がってきました。そして、全員で私の衣服を剥がし、それで、その……」

「もういい、話すな」

 急にシエンが遮りましたが、私は続けました。

「それで、とにかくそうすれば私は生きることができると学び、私は毎日、男の人達のもとへ足を運びました」

「もういい……」

「中には終わった後、お金や、食糧を分けて下さる人達もいましたから。中には行為を済ませればそれきりという人も大勢いましたが」

「もういい」

「そうやって私は、多くの人達の慰み者になることで生きてきたのです。時には無理やり襲われることもあり、そのお陰で今のように逃げ足だけは速くなりました。だから今考えれば、売られるために誘拐されることも必然でした」

「もういい!!」

 遂にシエンは怒鳴りました。しかし、私の口は止まりませんでした。

「だからでしょうね。恐怖や、羞恥という感情すら知らず生きたはずなのに、父に拾われ、育てられ、多くを学んだ時、知りました。私は本当は、父に、いえ、誰かに愛されて良い子供ではないのだと言うことを。どんなに綺麗な着物や飾りで着飾ろうとも、私は体中が汚れた、本当のゴミだ。ゴミの中で生まれ育ち、外側も内側も汚れ切った、本物のゴミなのです。ただでさえゴミであった私が、サテライトの人々によって、最低のゴミへ変えられた」

「……」

『……』

「だから……だから、私は許せない。たとえ私の意志だとしても、私をそんな体にしたサテライトの人達を、許すことができない。ゴミらしくもない感情ですが、それでも私は……」

「違う!! 梓は……」

 

「へぇー、そうだったんだぁ」

 

 突然、妙に間延びした、女性の声が聞こえました。なぜか聞き覚えのある声。シエンが慌てて姿を消した後、その声の方を見ました。

 そこには、黒いフードを目深に羽織り、顔を隠している、女性ですね。

 しかし、一瞬誰か分かりませんでしたが、ジッと見ていると、分かりました。

「あなたは……双葉さん!」

「お久しぶりねぇ……梓!!」

 そう叫びながら、勢いよくフードを取りました。やはり間違いない。双葉さんだ。

 しかし、その顔は、最後に見た時とは変わっていた。

「どう? 似合ってる?」

「マーカー……」

 そう。顔には、犯罪歴があること、そして、シティでは生きられないことを示す黄色の線、マーカーが刻まれていた。

「そ。マーカー。あんたが店に来たその日のうちにセキュリティに捕まっちゃってさぁ。多分水瀬家の誰かの手回しでしょうねぇ。そのまま裁判に掛けられて、ろくな調査も無しにマーカーを付けられてサテライトに追放。それで、働かされてた場所から逃げてきてこのザマよ」

「そんな……そんなこと、私は……」

「ええ。分かってるわ。バカが付くくらいお人好しなあんたが、そんなマネするわけが無い。第一、あの後あんたはすぐに大会の会場に行って、そんなことする暇なんて無かったろうしねぇ。私の予想通りに……」

「……」

「本当に……何であんたなんかのせいで、あたしがこんな目に遭わなきゃいけないのよ!!」

「……そうですね。あなたのその怒りは正しい。その怒りは正義だ。あなたには、その怒りを私に向ける権利がある。そして私も、その怒りの報いを受ける義務がある」

「よくもまあいけしゃあしゃあと……」

「私も、あなたを追い立て、後悔していました。どうすることが償いなのか、ずっと考えていました。そしてそれは、あなたの怒りを全て受け止める以外に無い」

「……分かってるんじゃない」

 

 双葉さんはなお更笑いながら、徐々に私に近づいてきました。

「みんながみんな、あんたのこと恨んでるくせに、誰もあんたのことをどうにかしようって考える奴はいなかった」

「……」

「あたしだけだった。他はみんな、ただの悪口とか、やってもぎりぎり許されるような陰湿な嫌がらせばっかり。あたしだけよ。毎日先代のいない間にあんたを殴りもしたし、勉強の邪魔もしたし、食事には毒だって盛った」

「……」

「けど、いつまでたってもあんたはへこたれないし倒れもしないし死なないし、へこたれてくれないし倒れてもくれないし死んでくれない。そんなことしてる間に、あんたは頭首になってた」

「……」

「今まで以上にやり辛くなった。あんたは頭首だもん。今までみたいにあからさまな行動は取れないし、陰でやってもあんたならどこかで気付くって思った。だから何もできなくなって。そんな時に教室を休みにするっていうもんだからさあ、追い出すための特ダネが手に入ると思ってさあ、あんたを尾行したのよ。そしたらこのザマだもん」

 双葉さんは、私の前に立ち、目を合わせてきました。

「本っ当に……」

 

 バチッ

 

 喋りながら、私の顔をはたきました。

 

「何で!!」

 バチッ

 

「このあたしが!!」

 バチッ

 

「あんたの!!」

 バチッ

 

「せいで!!」

 バチッ

 

「こんな目に!!」

 バチッ

 

「遭わなきゃ!!」

 バチッ

 

「ならないのよ!!」

 

 ドッ

 

 最後は握り拳に変わり、顔に当てられ、私は尻餅を着いてしまいました。

「しかも、その後の決闘で正体がばれて、あたしが何もしてないのにこんな所にいてさ。何であたしが逮捕される前に正体明かさなかったわけ? 決闘してた上にサテライト出身者? 追い出すのに絶好の特ダネじゃないのよ。どうしてあたしが追い出された後なのよ! どうしてあたしがここに来る前に正体を晒さなかったのよ!!」

 

 大声で叫びながら、足や拳を使って何度も殴打を繰り返している。現実には、中年近くの女性の攻撃など、訓練や修行で鍛えてきた体には痛みすら与えない。しかし、彼女のその一撃一撃が、漏らす苦言の一言一言が、私の胸に突き刺さり、ある意味で言えば打撃以上の痛みが襲う。ずっと、目を逸らし続けてきた、私が傷つけていた人の叫び。

 私は本当にダメな男だ。それを実感した。もしかしたら、彼女はこうならずに済んだのかもしれない。なのに、私は私のことを思いやってくれる人達にばかり目を向け、私を憎む人達に目を向けずにいた。大会の一日目、シエンに話したことそのままだ。ずっと後悔していた。なのに、それをどうにかしようとも考えず、ただ、目の前の人達ばかりを見て……

 

「けどね、あたしは諦めないよ。あんたをここでぶっ殺して、あたしをこんな目に遭わせた水瀬の人間に復讐してやる。誰か知らないから、水瀬の人間片っ端から、最後の一人までぶっ殺すのよ! 先代もねえ!!」

 

 っ!!

 

「だからあんたはここで……死ねや!!」

 

 ゴッ

 

 彼女が振り下ろした角材を頭に受けながら、私は立ち上がりました。米神に生温かい感触がありますが、気にはならない。

「あなたが憎むべき相手は私一人のはず。私以外の水瀬家の人達は関係無いはずだ」

「甘いこと言ってんじゃないよ!!」

 

 ゴッ

 

 また角材で殴ってきました。

 

「あたしは頭首のあんたのせいでここにいるんだよ!!」

 ゴッ

 

「だったら、そんな頭首のいる家が憎くて当然だろうが!!」

 ゴッ

 

「だから、あんたを殺して水瀬の人間全員殺すんだよ!!」

 ゴッ

 

「さっさと死ねや!!」

 

 ゴッ

 ガシッ

 

 最後にぶつけられたそれを受け止め、彼女の目を見ます。

「なら私も、あなたを許すわけにはいかない」

「はぁ? たった今、怒りを全部受け入れるって言ったばかりじゃなかった?」

「そのつもりでした。しかし、その怒りが私一人ではなく、水瀬の全てに向けられていると言うのなら話しは別だ。私は既に頭首ではないかもしれませんが、それ以前に水瀬家の子供だ」

 

 バキバキバキ……

 

「水瀬を守る義務がある。そのために、水瀬を落とそうと考える人は許せない。たとえそれが、かつての家族であっても」

 

 バキャッ

 

 彼女に言いながら手に力を込めると、角材は音を立てながら砕けました。すると彼女は笑いながら、砕けた角材を放りました。

「良いわよ分かった。ガキの頃と一緒でどれだけ殺しても死ななそうだし、じゃあ、あんたが一番納得するやり方で殺してあげるわ」

 そう言いながら、取り出したのは……

「決闘モンスターズ!?」

 デッキと決闘ディスク!?

「なぜあなたが!?」

「あんたのことを憎んで憎んで、気が付けば手に持ってたのよ。あんた、これが大好きなんでしょう? 頭首のくせにさぁ!!」

 彼女が叫んだ瞬間、周囲が青い炎に包まれた。

「これは……!?」

「構えなよ!! あんたの大好きな紙束遊びで決着つけてやるから!! ただし、負けた方が消える、『闇の決闘』でさあ!!」

 『闇の決闘』……いや、それ以前におかしい。直前までの彼女には、こんな禍々しさは無かった。なのに何です? この、この世の物とも思えぬほどの、冷たい感覚は?

 

「もたもたするんじゃないよ!!」

 

 状況を把握しようとする間に響く、双葉さんの絶叫。

「ほら!! あんたの大好きな紙束遊びをしてやろうって言ってんだ!! 相手待たせるのはマナー違反じゃないのか!? ああ!!」

 く、彼女に本当は何があったのか、確かめる暇も無い。正直まだ混乱の極みですが、仕方が無い。

 私は彼女に言われるまま、ディスクを構えました。

 

「決闘!!」

 

 

LP:4000

手札:5枚

 場:無し

 

双葉

LP:4000

手札:5枚

 場:無し

 

 

「私の先行、ドロー」

 

手札:5→6

 

 彼女がどんな戦術を使ってくるのかは分かりませんが、私はいつも通りプレイするしかありません。

「永続魔法『六武衆の結束』を発動。そして『真六武衆-カゲキ』を召喚」

 

『真六武衆-カゲキ』

 レベル3

 攻撃力200

 

『六武衆の結束』

 武士道カウンター:0→1

 

「六武衆の召喚、特殊召喚に成功したことで、『六武衆の結束』に一つ、最大二つまで武士道カウンターが乗ります。更にカゲキの効果。召喚に成功した時、手札の六武衆一体を特殊召喚します。『真六武衆-シナイ』を特殊召喚。カゲキ以外の六武衆が場にある時、カゲキは攻撃力を1500ポイントアップさせます」

 

『真六武衆-シナイ』

 レベル3

 攻撃力1500

 

『六武衆の結束』

 武士道カウンター:1→2

 

『真六武衆-カゲキ』

 攻撃力200+1500

 

「ここで結束を墓地へ送り、このカードに乗った武士道カウンターの数だけカードをドローします。カウンターは二つ、よって二枚ドロー」

 

手札:3→5

 

「永続魔法『紫炎の道場』を発動させます。このカードも結束と同じく、六武衆の召喚、特殊召喚の成功時に武士道カウンターを一つ乗せます。そしてシナイが場にあることで、『真六武衆-ミズホ』は特殊召喚できる」

 

『真六武衆-ミズホ』

 レベル3

 攻撃力1600

 

『紫炎の道場』

 武士道カウンター:0→1

 

「カードを一枚伏せ、ターンエンド」

 

 

LP:4000

手札:2枚

 場:モンスター

   『真六武衆-カゲキ』攻撃力200+1500

   『真六武衆-シナイ』攻撃力1500

   『真六武衆-ミズホ』攻撃力1600

   魔法・罠

    永続魔法『紫炎の道場』武士道カウンター:1

    セット

 

 

「なっが! この紙束遊びってさ、そうやって相手を待たせる遊びなわけ?」

「それはプレイングにもよりますね」

「あぁ嫌だ嫌だ。何が楽しいのこんなの。あたしのターン」

 

双葉

手札:5→6

 

「魔法カード『おろかな埋葬』を発動。デッキからモンスター一体を墓地へ送る。そして、たった今墓地へ送ったモンスターは決闘中に一度だけ、自分フィールドにモンスターがいない時、墓地から特殊召喚できる。『DT(ダークチューナー) デス・サブマリン』を特殊召喚」

 

『DT デス・サブマリン』ダークチューナー

 レベル9

 守備力700

 

「ダークチューナー!? 何ですかそれは!?」

 そんなカード、聞いたことが無い!?

「うるさい!! あたしが知るわけ無いでしょう!!」

 しかし、彼女は怒鳴って私の言葉を否定するのみ。

「更に二枚目の『おろかな埋葬』、デッキから『イピリア』を墓地へ送る。そして魔法カード『ヴァイパー・リボーン』! 墓地のモンスターが爬虫類族のみの場合、墓地からチューナー以外の爬虫類族一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。墓地の『イピリア』を特殊召喚」

 

『イピリア』

 レベル2

 守備力500

 

「このカードが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、カードを一枚ドロー!」

 

双葉

手札:3→4

 

「更に速攻魔法『地獄の暴走召喚』発動! 相手の場にモンスターがいて、自分が攻撃力1500以下のモンスターの特殊召喚に成功した時、同名カードを手札、デッキ、墓地から可能な限り特殊召喚。あんたも自分のモンスター一体を選んで特殊召喚できる! あたしは『イピリア』をデッキから二体特殊召喚!」

 

『イピリア』

 レベル2

 守備力500

『イピリア』

 レベル2

 守備力500

 

「二体の特殊召喚に成功したことで、カードを二枚ドロー!」

 

双葉

手札:3→5

 

 上手い。モンスターと魔法の組み合わせで無駄なく手札を補充している。これが、初めてカードに触った人間の決闘か?

「さあ、あんたも暴走召喚の効果でモンスターを特殊召喚しなよ」

「……私はその効果を使用しません」

 私のデッキには、真六武衆達は一枚ずつしか入っていない。暴走召喚で特殊召喚することはできない。

 それにしても、彼女のデッキは、どうやら『爬虫類族』のようだ……こう考えるのは失礼ですが、あまりにも、彼女に似合っている。

 しかし、何より気になるのが、あのダークチューナー。見たところレベルは高いですが、攻守は共に弱々しい。一体どんな力が……?

 

「ええっと、じゃあ、ここでシンクロ召喚するよ」

「シンクロ召喚……」

「そう。ただし、普通のじゃなくて、『ダークシンクロ』をね」

 ……え?

「あんた知らないだろうし、教えてあげる。ダークシンクロってね、シンクロ素材になるモンスターのレベルからダークチューナーのレベルを引いた数値のレベルの、『ダークシンクロモンスター』を特殊召喚するらしいわよ」

「レベルの合計ではなく、レベルを引いて行うシンクロ召喚……」

「そう。レベル2の『イピリア』二体に、レベル9の『DT デス・サブマリン』をダークチューニング」

「これは……」

 デス・サブマリンが星に変わり、二体のイピリアを覆う。そして、その光景は、

「レベルの光が、闇に……」

 そして、

「二体のレベル2から、レベル9を引いた数値は……レベル、-5!? そんなモンスターは……!!」

 私が全てを言い切る前に、双葉さんはカードを一枚取り出しました。

「あるわよ。レベル-5のモンスター」

「な……!!」

 それは、今まで見たことの無いカード。シンクロモンスターとは対照的な、黒い縁取りに、普通のモンスターカードとは逆に並んだ黒い星。

 

「闇と闇重なりし時、冥府の扉が開かれる。光り無き世界へ……」

 考えている間に、彼女は言葉を言い終えた。

「ダークシンクロ! 現れよ! 『氷結のフィッツジェラルド』!!」

 

 彼女のカード名の宣言。そして、現れたのは、氷の手足と、妖しい目を光らせる、氷の塊。

 

『氷結のフィッツジェラルド』

 レベル-5

 攻撃力2500

 

 そして、現れると同時に、吹雪が巻き起こった。先程焚いていた焚火も、そのせいで消えてしまった。

 向かい合うだけで分かる。このモンスターこそが、彼女の私に対する怒りの塊。その視線は私の胸を射ぬき、苦しめようとしているかのようだ。

 

 これが、あなたの怒り。私を憎み、水瀬を憎み、この世の全てを否定した、怒りの権化。

 

 

 

 




お疲れ~。
んじゃら早速オリカ行ってみよ~。


『イピリア』
 レベル2
 地属性 爬虫類族
 攻撃力500 守備力500
 このカードの召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、デッキからカードを1枚ドローする。

遊戯王DMで、大下(BIG5の『深海の戦士』)が使用。
ドロー「する」のか「できる」のかは分からんが、何気に強力な効果。
OCGでは特殊召喚限定でカードを引ける『聖鳥クレイン』てのがいるけど、それの完全な上位互換だ。
能力の低さも相まってサポートしやすいし、今回のようにデッキによっちゃ強力なドローソースに化けるろうね。

『DT デス・サブマリン』ダークチューナー
 レベル9
 闇属性 機械族
 攻撃力0 守備力0
 このカードをシンクロ素材とする場合、ダークシンクロモンスターのシンクロ素材にしか使用できない。
 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードを墓地から特殊召喚できる。
 この効果はデュエル中に一度しか使用できない。

遊戯王5D'sでボマーが使用。
おそらく数あるダークチューナの中じゃ一番使い易い部類に入る。
レベルを揃える手間にさえ目をつむれば簡単に場に出せる。
もっとも、その手間も普通のシンクロ以上だけれど。


以上。
じゃあ次も早く上げるよう頑張るよ。待っててね。

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