遊戯王5D's ~剣纏う花~   作:大海

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第七話~。
なお、この決闘ではかなりのカードが原作効果になってますゆえ先に謝罪。
後書きで説明するから、ん? と思ってもスルー願う。
じゃ、行ってらっしゃい。



第七話 『黒薔薇の魔女』対『静かなる花』 ~静花~

視点:外

 熱気と興奮。好機と激情。

 相変わらず、この空間を支配しているのはそれらの感情だった。巨大なスタジアムの円を中心に、その外側の巨大な円の中に集まった人々の視線、表情、そして歓声。

 それが一つとなり、中心の巨大な円、決闘リングにぶつけられている。

 

『二回戦第二試合! 決闘者は、この二人だー!!』

 

 MCの言葉と同時に、前回と同じように床がせり上がった。そしてそこに、二人の影。

『一回戦の衝撃が未だ生々しい! 圧倒的な力で一回戦を勝利した美少女! 『黒薔薇の魔女』、十六夜アキ!!』

 十六夜アキ、その紹介と同時に、会場からは直前までとは違う声が響く。

 

「帰れー!! 魔女めー!!」

「魔女が出てくるんじゃねー!!」

「引っ込めー!!」

 

 昨日の一回戦で、彼女の決闘を見た者は皆、彼女を攻め立てた。

 彼女と決闘したことで重傷を負った決闘者を思ってか、その衝撃に巻き込まれた自分達の都合か、はたまたこれすらただの道楽か、声を張り上げ、彼女を罵倒する者達。

 ただ、それらの野次罵倒に対しても、彼女の表情には一切の変化は見られない。

 

『対するは、こちらも一回戦を圧倒的な力でワンターンキルを成功させた、『サイレントフラワー』、静花!!』

 

「おぉ! 昨日とは服装が違う!」

「昨日は着物だったけど、今日はカジュアルなのか」

 

 静花の登場と共に、そんな声が聞こえた。

 般若の面だけをそのままに、紫の着物から、紫のワイシャツと革のズボンという外見へ変わっていれば、それも当然の反応と言えよう。

 だが、それ以上に、

 

「頼んだぞ静花ー!!」

「魔女を倒せー!!」

「いっそ殺せー!!」

 

 目の前のおぞましい生物を抹殺して欲しい。自分達の前から排除して欲しい。

 そんな共通の思いを、目の前の人間に押し付ける形になる叫び。

 普通の人間なら、そんな声だけで間違いなく不快を催す呼び掛けの嵐。だが静花の場合は、般若の面で隠れた表情からでは、そんな感情をうかがうことは適わない。

 

『さあ行こう! 決闘スタート!!』

 

『決闘』

 

 

静花

LP:4000

手札:5枚

 場:無し

 

十六夜

LP:4000

手札:5枚

 場:無し

 

 

「私の先行、ドロー」

 

静花

手札:5→6

 

「……永続魔法『六武衆の結束』。フィールド上に『六武衆』と名の付くモンスターの召喚、特殊召喚に成功する度、最大二つまで『武士道カウンター』をこのカードに乗せる。『真六武衆-シナイ』を守備表示で召喚」

 

『真六武衆-シナイ』

 レベル3

 守備力1500

 

『六武衆の結束』

 武士道カウンター:0→1

 

「そしてこのカードは、場に『真六武衆-シナイ』がいる時、手札より特殊召喚できる。『真六武衆-ミズホ』を特殊召喚」

 

『真六武衆-ミズホ』

 レベル3

 守備力1000

 

『六武衆の結束』

 武士道カウンター:1→2

 

「『六武衆の結束』を墓地へ送り、このカードに乗った武士道カウンターの数だけカードをドローする。武士道カウンターは二つ、よって二枚ドロー」

 

静花

手札:3→5

 

「カードを二枚セット。これでターン終了」

 

 

静花

LP:4000

手札:3枚

 場:モンスター

   『真六武衆-シナイ』守備力1500

   『真六武衆-ミズホ』守備力1000

   魔法・罠

    セット

    セット

 

 

(二人とも守備表示とは、らしくありませんね)

(私とて、攻めることしか考えていないわけではない)

(まあ、君がそうしたいなら、僕らは従うさ。何より、僕もミズホとは同じが良いしさ)

(……もう、シナイったら////)

(あはは……)

 

「……あの二人、決闘中なのにいちゃついてる……」

「どうした? 龍可?」

「何でも無い」

 

「……私のターン」

 

十六夜

手札:5→6

 

「……フィールド魔法『ブラック・ガーデン』を発動」

 十六夜のカード発動と同時に、二人の立つ空間は一回戦と同じ、ドーム状に広がる赤黒いバラと鋭い(いばら)に囲まれた。

「速攻魔法『偽りの種』。手札から、レベル2以下の植物族モンスターを特殊召喚する」

(……彼女の狙いは……)

「速攻魔法『サイクロン』。『ブラック・ガーデン』を破壊」

 彼女がモンスターを特殊召喚する直前、カードを発動し竜巻が起こる。その竜巻に、薔薇と茨は巻き込まれ、空へ舞い上がった。

「……『イービル・ソーン』を特殊召喚」

 

『イービル・ソーン』

 レベル1

 攻撃力100

 

「『イービル・ソーン』の効果を発動。このカードをリリースし、相手に300ポイントのダメージを与える」

 

 『イービル・ソーン』の楕円部分が暴発し、そこから針が四方に飛散する。その一部が、静花の顔目掛け飛んできた。

「……」

 しかし、静花は軽く頭をずらすことで針を一つ避け、残りは全て、当たる寸前指で受け止め防いだ。

 

静花

LP:4000→3700

 

「きゃ!!」

「うお!!」

 

「……っ!」

 だが針の飛散は客席にまで広がり、観客達も悲鳴を上げる。それに静花は、慌てて後ろを振り向いた。

 

「その後、デッキから二体までの『イービル・ソーン』を、効果を無効にし特殊召喚する」

 

『イービル・ソーン』

 レベル1

 攻撃力100

『イービル・ソーン』

 レベル1

 攻撃力100

 

 周囲の被害など構わず、十六夜は淡々とプレイを続ける。

「魔法カード『フレグランス・ストーム』。フィールド上の植物族モンスター一体を破壊し、カードを一枚ドローする。『イービル・ソーン』を破壊し、一枚ドロー」

 

十六夜

手札:2→3

 

「……ドローしたカードは、植物族モンスター『ローズ・テンタクルス』。ドローしたカードが植物族だった時、お互いに確認することでもう一枚ドローできる」

 

十六夜

手札:3→4

 

「ドローしたカードは『薔薇の妖精』。このカードはカード効果によって手札に加わった時、フィールドに特殊召喚できる」

 

『薔薇の妖精』

 レベル3

 守備力1200

 

「そして、永続魔法『アイヴィ・シャックル』を発動。私のターンの間、お前のフィールドのモンスターは全て植物族となる」

 十六夜が説明を終えた瞬間、二人の真六武衆の足元からツタが伸び、体に絡みついた。

 

「最後の『イービル・ソーン』をリリース。『ローズ・テンタクルス』をアドバンス召喚」

 

『ローズ・テンタクルス』

 レベル6

 攻撃力2200

 

「バトル。『ローズ・テンタクルス』は、相手フィールド上の植物族モンスターの数だけ攻撃できる。『真六武衆-ミズホ』に攻撃。ソーン・ウィップ1」

 巨大な薔薇の怪物が、タコ足の如くツルを伸ばし、ミズホを破壊した。

「『ローズ・テンタクルス』が植物族モンスターを破壊した時、相手ライフに300ポイントのダメージを与える」

「……」

 ミズホの破壊と同時に、巨大なツルが静花目掛け飛ぶが、それもまた静花は静かに避ける。

 

静花

LP:3700→3400

 

「シナイに攻撃。ソーン・ウィップ2」

「……」

 

静花

LP:3400→3100

 

「カードを伏せ、ターンエンド」

 

 

十六夜

LP:4000

手札:0枚

 場:モンスター

   『ローズ・テンタクルス』攻撃力2200

   『薔薇の妖精』守備力1200

   魔法・罠

    永続魔法『アイヴィ・シャックル』

    セット

 

静花

LP:3100

手札:3枚

 場:モンスター

    無し

   魔法・罠

    セット

 

 

「……この決闘で、傷つくのは私だけで良い」

 静花が呟くように話し掛けた。面によって表情は読めないものの、その口調には明らかな怒気が含まれている。

「……それはあなたの都合よ」

「……私のターン」

 

静花

手札:3→4

 

「永続魔法『六武の門』。六武衆と名の付くモンスターの召喚、特殊召喚に成功する度、このカードに『武士道カウンター』を二つ乗せる。『真六武衆-カゲキ』を召喚」

 

『真六武衆-カゲキ』

 レベル3

 攻撃力200

 

『六武の門』

 武士道カウンター:0→2

 

「『真六武衆-カゲキ』の召喚に成功した時、手札の六武衆を特殊召喚できる。『真六武衆-エニシ』を特殊召喚。そしてカゲキは、フィールドにカゲキ以外の『六武衆』と名の付くモンスターがいる時、攻撃力を1500ポイントアップさせる」

 

『真六武衆-エニシ』

 レベル4

 攻撃力1700

 

『六武の門』

 武士道カウンター:2→4

 

『真六武衆-カゲキ』

 攻撃力200+1500

 

「ここで『六武の門』の効果。武士道カウンターを四つ取り除き、デッキから六武衆と名の付くモンスターを手札に加える。『真六武衆-キザン』を手札に」

 

『六武の門』

 武士道カウンター:4→0

 

静花

手札:2→3

 

「そして、このカードはキザン以外の六武衆が場にある時、特殊召喚可能」

 

『真六武衆-キザン』

 レベル4

 攻撃力1800+300

 

『真六武衆-エニシ』

 攻撃力1700+500

『六武の門』

 武士道カウンター:0→2

 

「エニシとキザンは、同名カード以外の六武衆と名の付くモンスターが二体以上存在する時、エニシは攻撃力を500ポイント、キザンは300ポイント攻撃力をアップさせる。更に『六武の門』の効果。武士道カウンターを二つ取り除き、エニシの攻撃力をエンドフェイズまで500ポイントアップさせる」

 

『真六武衆-エニシ』

 攻撃力1700+500+500

 

「バトル。『真六武衆-エニシ』、『ローズ・テンタクルス』を攻撃。斬光閃(ざんこうせん)

「……」

 

十六夜

LP:4000→3500

 

「『真六武衆-カゲキ』、『薔薇の妖精』を攻撃。雷刃四方破斬(らいじんしほうはざん)

「……」

「『真六武衆-キザン』、ダイレクトアタック。漆凱(しつがい)剣勢(けんせい)

 

十六夜

LP:3500→1400

 

「ターンエンド」

 

 

静花

LP:3100

手札:2枚

 場:モンスター

   『真六武衆-カゲキ』攻撃力200+1500

   『真六武衆-エニシ』攻撃力1700+500

   『真六武衆-キザン』攻撃力1800+300

   魔法・罠

    永続魔法『六武の門』武士道カウンター:0

    セット

 

十六夜

LP:1400

手札:0枚

 場:モンスター

    無し

   魔法・罠

    セット

 

 

「いいぞー!! 静花ー!!」

「そのままやっちまえー!!」

「魔女を倒せー!! ぼこぼこにしてやれー!!」

 静花の優勢に、観客は直前までの恐怖が嘘のように、新たな熱気に包まれた。

 

 

 そしてその様子に、無言でほくそ笑む二人。

「よろしいのですか? あまりにも一方的な展開ですが」

「彼女はシグナーです。この程度で終わるはずがありません」

 

 

「……皮肉な物だ」

「……?」

「お互い、仮面で素顔を隠す者同士、なのに反応はここまで違う。何があなたをそうさせた? 今見せているその顔も、あなたの真の顔ではない。そうでしょう」

「……私のターン」

 

十六夜

手札:0→1

 

「再びお前のモンスターは植物族に変わる」

(応えてはくれませんか……)

「二枚目の『フレグランス・ストーム』を発動する。フィールド上の植物族モンスター一体を破壊し、カードを一枚ドロー。破壊するのは、お前の場の『真六武衆-エニシ』」

(くっ……このカードの発動は、まだ早い)

「すみません。エニシ……」

 

十六夜

手札:0→1

 

「ドローカードは植物族モンスター『ロードポイズン』。よって更に一枚ドロー」

 

十六夜

手札:1→2

 

「……チューナーモンスター、『夜薔薇の騎士(ナイトローズナイト)』を召喚」

 

『夜薔薇の騎士』チューナー

 レベル3

 攻撃力1000

 

(チューナー……来るか)

「更に、『夜薔薇の騎士』の召喚に成功した時、手札からレベル4以下の植物族モンスター一体を特殊召喚できる。『ロードポイズン』を召喚」

 

『ロードポイズン』

 レベル4

 攻撃力1500

 

「……」

「レベル4の『ロードポイズン』に、レベル3の『夜薔薇の騎士』をチューニング……」

 十六夜の静かな詠唱。それと同時に、『夜薔薇の騎士』は三つの星に変わり、同時に光る『ロードポイズン』を包む。

 

「冷たい炎が、世界の全てを包み込む。漆黒の花よ、開け……」

「シンクロ召喚。現れよ、『ブラック・ローズ・ドラゴン』」

 

 薔薇の花弁が幾つも重なってできたような、真っ赤な翼を広げ、高らかな咆哮を上げながら、その竜は姿を現した。

 

『ブラック・ローズ・ドラゴン』

 レベル7

 攻撃力2400

 

『グォォォオオオオオ!!』

 

 『ブラック・ローズ・ドラゴン』。その降臨は、同時に会場を嵐で包んだ。

 

「きゃあ!!」

「うわぁ!!」

 

 

「ぐっ……!」

 

「くぅ……!」

 

「痛い……!」

 

 そしてそれは同時に、別々の場所にいる三人の人間に、同じ反応を示させた。

 

 

「……」

 だが、ほとんどの観客が脅え、体を小さくする中、静花は一人仁王立ちのまま、静かに『ブラック・ローズ・ドラゴン』を見据える。

「……そうですか。この竜は……この竜こそが、あなたの悲鳴なのですね」

「……! 『ブラック・ローズ・ドラゴン』の効果、このカードの特殊召喚に成功した時、フィールド上のカードを全て破壊する。ブラック・ローズ・ガイル」

 十六夜の宣言に従い、『ブラック・ローズ・ドラゴン』は更に翼を広げる。そこから更に巨大な風が巻き起こった。

 

「その効果の発動を待っていました。罠発動『六尺瓊勾玉(むさかにのまがたま)』」

 

 静花の宣言、その直後、『ブラック・ローズ・ドラゴン』の頭上に勾玉が現れた。それを見ながら『ブラック・ローズ・ドラゴン』は、翼をたたみ、静かに消えていく。

「これは……」

「カウンター罠『六尺瓊勾玉(むさかにのまがたま)』は、自分のフィールド上に六武衆が存在する時、カードを破壊する効果を無効にし、それを破壊するカード。よって、『ブラック・ローズ・ドラゴン』の効果を無効にし、破壊しました」

「……」

 

「すげー! やりやがった!!」

「魔女の操る竜を倒しちまったー!!」

「そのまま魔女を、化け物を倒せー!!」

 

「……」

 相も変わらず、観客達からは十六夜を否定する言葉の山。

 それを聞きながら、静花はゆっくりと足を、肩幅に開いた。

 

 ズバァ

 

 実際に音がしたわけではない。しかし、ここにいる誰もがそんな擬音を耳に感じた。

 静花が足を開いた瞬間、静花の後ろの足元から、観客席の最前列にある高い仕切り、その頂点に至るまで、まるで地面がぱっくりと裂けたような跡が生まれた。

 そしてその数秒後には、それが静花の仕業であると誰もが理解する。なぜなら静花の手には、先程までその存在を認知できなかった、そもそも存在自体考えてすらいなかった、鞘に収まった長く伸びる日本刀が握られ、その柄には、静花の右手が添えられていた。

 

「少し黙って頂きたい」

 

 それは、面によって声がこもり、雰囲気は静かながら、声量のある、会場中に響く、威圧感を感じさせる声。

 

「私は、十六夜アキと決闘をするためにここ立っている。あなた方の言う、魔女を倒すためにここ立っているわけではない。彼女のことを否定することしか考えないあなた方に、応援される筋合いは無い。これ以上の彼女への暴言は、私に対する暴言であると受け取ります。彼女ほどでは無いにしろ、私にも多少の力はある。この会場を、あなた方もろとも破壊する程度には」

 

『……』

 絶大な説得力。

 絶大な圧力。

 絶大な恐怖。

 一瞬にしてそれらが会場を支配した。静花の言葉に、刀の存在に、そして割れた地面に、誰もが同じ思いを心に抱かせた。

 この男を怒らせてはならない。

 この男に逆らってはならない。

 この男なら真にやりかねない。

 この男はハッタリを言わない。

 敢えて言葉にする必要は無い。それらの言葉が一瞬にして本能に刻み込まれ、恐怖として、会場全体に伝染していった。

 

「……ようやく静かになりました。まだあなたのターンです」

「……なぜ?」

 突然、十六夜が呟くように尋ねた。そもそも今の静花の言葉には、ある意味観客達以上に、十六夜自身が驚いていた。

「……私達の決闘を邪魔されたくなかった。それだけのことです」

「……」

 十六夜はまた無言になった。だがすぐに静花を見据えた。

「この瞬間、罠カードを発動する」

「罠……しまった!」

「永続罠『ウィキッド・リボーン』。800ポイントのライフを払い、墓地のシンクロモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン攻撃することはできない。『ブラック・ローズ・ドラゴン』を特殊召喚」

 

十六夜

LP:1400→600

 

『ブラック・ローズ・ドラゴン』

 レベル7

 攻撃力2400

 

『グォオオオオオオオオ!!』

 

 再び咆哮を上げる黒薔薇の竜。それはまるで、直前に墓地へ送られたことでの怒りの慟哭だった。

「特殊召喚に成功したことで、『ブラック・ローズ・ドラゴン』の効果を発動。ブラック・ローズ・ガイル」

 また暴風が巻き起こる。先程のように観客席からは悲鳴が上がり、静花はただ仁王立ちでいる。だが、面に隠れながらも、彼の中の焦りは間違いなく表に現れていた。

 

 バキバキバキ……

 

 突然、後ろからそんな音が聞こえた。振り返ると、先程静花の斬り裂いた床がせり上がり、鉄の地面が剥がれかけている。そして、

 

 バキィ

 

 鈍く響く音と共に、鉄の床が剥がれ、暴風に巻き上げられた。

「っ!」

 静花は誰よりも早く反応した。そして、決闘をそのままに、巻き上げられた鉄の板に向かって走る。

 そして、地面を蹴り、壁を蹴り、客席前の仕切りを蹴り、鉄に向かって飛び上がった。

 

 スパァ

 

 また、実際に音がしたわけではないが、全員が聞こえた気がした。

 そして、それを感じた時には、観客に向かって落ちてくるはずだった鉄の板はこま切れにされ、会場の元ある床へと流れるように落ちていく。

 その直後、静花が観客席に降り立った。

 

「おケガはありませんか?」

 

 つい先程、自分達を脅迫した男には似つかわしくない言葉。しかし、その男は今や、自分達を救った英雄と化している。そんな現実に、誰一人として答えを返すことができず、ただ呆然と静花を見ていることしかできない。

「……」

 

 ピシッ

 

 観客を見降ろしながら、そんな音が、静花の耳の随分と近くから聞こえた。

「……」

 一瞬のうちに、それが何の音か理解した静花は面に手を添え、その感触を確かめる。

(今の衝撃でヒビが……まあ良い)

 静花は再び決闘場へと舞い降りた。そして、一瞬のうちに元いた場所へと移動し、十六夜と向かい合う。

「御覧の通り、彼らには一切のケガを負わせません。だから、全力で来てください」

「……」

「もっと語り合いましょう。私は、本当のあなたを知りたい」

 また十六夜は呆然としていたが、またすぐに決闘に目を戻す。

「このエンドフェイズ、『ウィキッド・リボーン』の効果以外で特殊召喚されたシンクロモンスターが破壊されたことで、同じシンクロモンスターを墓地より特殊召喚できる。『ブラック・ローズ・ドラゴン』、再び特殊召喚」

 

『ブラック・ローズ・ドラゴン』

 レベル7

 攻撃力2400

 

『グォオオオオオ!!』

 

 

十六夜

LP:600

手札:0枚

 場:モンスター

   『ブラック・ローズ・ドラゴン』攻撃力2400

   魔法・罠

    無し

 

静花

LP:3100

手札:2枚

 場:モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

 

(彼女との決闘……ここからが本番、ですね)

 

 

 

 




お疲れ~。
ほな原作効果。


永続魔法『アイヴィ・シャックル』
 永続魔法ってなってるけど、OCGでは永続罠だから注意ね。

永続罠『ウィキッド・リボーン』
 800ライフを払ってシンクロモンスターを特殊召喚するっていう基本は同じだけど、原作では効果は無効にされず、このカードの効果以外で破壊されたターンのエンドフェイズ時に無条件で特殊召喚させる効果もある。
 強すぎでしょう。どう考えても。

『ブラック・ローズ・ドラゴン』
 おそらく説明は不要だろうけど、ブラック・ローズ・ガイルがシンクロ召喚限定じゃなくて、特殊召喚全般で使用可能。
 ついでにここじゃ書かれてないけど、ローズ・リストリクションが守備表示だけでなく攻撃表示モンスターにも使えるらしい。
 かなり強いなこれも。


こんなもんか。忘れてるのがあったらまた追加するわ。気が付いたら教えてくれたらありがたい。
んじゃ、次話で決闘完結だから待ってて。
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