東方Ψ綺憚 〜 Disastrous Life in Lotus Land.   作:ヘドロ爆弾

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映画『フルメタル・ジャケット』は見てないけど、ハートマン軍曹の事は知っている奴の為のクロスオーバー。





姿も見えず、心も読めず、頭の中はすっからかん

「へぇ〜、それでずっと青色のヘアピンしてたんスねぇ。幻想郷へ行った日の翌日から突然変わったもんっスから、アレ?てずっと思ってたんスよ。」

 

 

僕は今、鳥束と行きつけの喫茶店に来ていた。

冷房のよく効いた店内に静かなジャズ音楽が流れ、非常に良い雰囲気であるこの喫茶店の名前は、『純喫茶 魔美(じゅんきっさ まみ)』。

僕はこの店の常連客、言わばお得意様である。

 

本来1人でゆったりと過ごすのが好きな僕が、一体何故わざわざ鳥束(こんなヤツ)とお気に入りの喫茶店に来ているのか?

 

それは勿論、()()()()を果たしてもらう為である。

 

「オレはてっきり、ただのイメチェンだと思ってましたよ。よく考えたら、ヘアピンの色変えただけのイメチェンってしょぼいっスよね!

もしオレがイメチェンするなら、思い切って髪染めたりするっスよ!」

 

そんな鳥束のどうでもいい無駄話を右の耳から左の耳へと聞き流しながら、僕はコーヒーゼリー、いや、コーヒーブランマンジェを口に運びしっかりと賞味する作業に専念していた。

 

 

 

 

夏休みが始まってから暫くの時が流れ、いよいよ夏真っ盛りを迎えようという頃。

充電式の制御装置を使い始めてから、早くも数週間が経っていた。

最初の方こそ慣れない制御装置に悪戦苦闘していたものの、今ではすっかり以前のように超能力の制御が出来るように…

 

 

バキベキボキッ

 

 

「…斉木さん斉木さん、スプーンがまた粉々になってますよ。」

 

おっとしまった。

コーヒーブランマンジェが美味しすぎてついついうっかりスプーンを砕いてしまったか。

まぁ、そんなこんなで力の制御はもう完璧であるから安心して欲しい。

斯くして、地球の平和は守られたのである。

 

「いや、全然ダメでしょ!!2度目ですよ2度目!!」

 

思わず立ち上がりそうな勢いで鳥束は叫んだ。

 

「どーすんスか斉木さん、もう既に1度復元能力をこのスプーンに使っちゃったんスよ!?スプーンの弁償代は流石に斉木さんが払ってくださいよ!!」

 

慌てふためく鳥束を僕は冷静に手で制した。

大丈夫だ。今サイコメトリーで調べたが、このスプーンが製造されたのは(およ)そ7,8年前の様だ。

つまり、一度この制御装置(仮)を外して復元能力(7年戻し)を使えば…ほら、元通りだ。

 

そう言って僕は新品同様の輝きを放っているスプーンを鳥束に見せた。

 

「うわっすげぇピカピカ…そこまで綺麗になってると、なんか逆に不自然じゃないスかね。」

 

そりゃ、製造したての状態に戻した訳だからピカピカだろう。バキバキに折れたスプーンを弁償するよりはこっちの方が全然マシだ。

バキバキよりピカピカである。

 

「まぁ…そうっスね。」

 

さっコーヒーブランマンジェを食すか。

 

「ちょ、ちょっと待ってください斉木さん。もしかして、まだ食べるんスか?」

 

?当たり前だろう、そんな事は。

コーヒーブランマンジェを是非奢らせてくださいと言ってきたのはお前なんだぞ。

 

…お前、まさか約束を反故にするつもりなんじゃないだろうな?

 

「いや、しませんよ、しませんけれど!」

 

じゃあ何の問題もないだろう。

コーヒーブランマンジェ、()()1()()()()で。

 

 

 

 

「いや、確かに奢るとは言いましたけど、まさか4つも注文するとは思わなかったんスよ!!

今丁度5つ目に突入し始めたし…」

 

 

 

 

そう言って鳥束は恨みがましそうに僕を睨んだ。

だが、僕はそんな目で睨まれるような(いわ)れは何一つない。

 

いいか鳥束、序説を100回読み直してこい。

 

お前は1度だって「コーヒーブランマンジェを1()()()()奢りません」みたいなことは言ってないだろう。

それどころかコーヒーゼリー1個じゃ僕が動かないことまでちゃんと明記してあるんだぞ。

そこまで了承していながらもお前は強引に誘って僕を幻想郷へと連れてきた訳だ。

 

文句の余地はあるか?

 

「え、いや、でもっスよ…」

 

文句の余地はあるか?

 

「まぁ、文句って程じゃ、ないっスけど…」

 

文 句 の 余 地 は あ る か ?

 

「…無いっス。」

 

分かればよろしい。

 

渋々という風な様子で納得した後も、複雑そうな顔で財布にある札束や硬貨を心許(こころもと)無さげに数えている鳥束を少しも気にかけず、僕は悠々とコーヒーブランマンジェに舌鼓(したつづみ)を打った。

 

「…6個目突入は、本当に勘弁してくださいよ斉木さん。

俺の手持ちの金だとこれ以上は流石に払えなくなるんスよ、マジで。」

 

鳥束は、自分の財布を手に持って金欠アピールをしながら苦しそうに呻いた。

 

仕方ないな。じゃあこれで最後にしよう。

僕はそう言って、最後の一口を丁寧に味わいながらコーヒーゼリーを食べ終えた。

 

ふむ。このコーヒーブランマンジェ、控えめに言って10点満点中10点である。悪くないな。

今度は1人で食べに来よう。

そう僕は心の中で固く誓ったのだった。

 

 

その後暫くの間、折角貯めてた夏休みのバイト代が激減りっスよ、どうしてくれるんスか斉木さん…と鳥束はブツブツ愚痴り続けていたが、鳥束の興味は次第に『例の紛失物』にシフトしていった。

 

「それにしても、斉木さん程の能力オバケが突然物を紛失するなんて変な話っスよね。透視とか千里眼とか使えば一発なんじゃないんスか?」

 

僕だって物を失くした経験は1度くらいはある。

とは言え、それは夏祭りの時に財布をスられた程度の事だ。

その時は超能力を駆使することであっという間に財布を取り返す事が出来た。

 

 

それが今回は…もう何日も経つのに、未だに失くしたままである。

 

 

★透視

名前の通り、物体を透過して視認する能力。視る秒数によって透過度が上昇し、人間なら3秒で服が、5秒で皮膚が透けて視える。瞬きや対象を視界から外すことで透過度はリセットされる。

 

尚、この能力もテレパシー同様ON/OFF機能はない。

すなわち、僕は道行く人々の全裸、いや全裸どころか内蔵や骨格までもを日常的に見続けてきた。

 

端的に言うなら、16年間ずっと『人体の不思議展』を見て回っているようなものと考えてくれたら大体それで合っている。

 

 

★千里眼

遠方を見る能力。1度訪れたことのある場所しか見れないが、千里眼を通じて遠方で超能力を発動させたりする事が出来る、まぁまぁ便利な超能力である。

寄り目にすることで発動するが、それによって他者からは不審に思われるのがネックである。

 

阿求の話によると、白狼天狗(はくろうてんぐ)?なる種族の中には同じような能力を持つ者が存在しているらしいが…

果たして本当なのだろうか?

 

 

「まぁ真面目に考えるなら、何か別の結界に囲まれてる所に紛れ込んじゃったのかもしれないっスね。

結界で守られた場所なら透視も千里眼も使えないでしょうし。」

 

いや、千里眼は例え結界に守られた場所であっても使えるハズだ。

だが、如何せん「1度訪れた場所」しか見通せないという致命的な欠陥(デメリット)がある。

そう考えれば、僕が知らない場所だらけの幻想郷に対しては実質無力同然である。

透視は恐らく普通に通用しない。

 

「翔夜を使ってナンパした幽霊…あ、いや騒霊でしたっけ?その女の子達から聞いたんスけど、何でも幻想郷には現世と冥界を分け隔てる結界なんてのもあるとかなんとか。斉木さんが気付かなかっただけで、実は幻想郷の中って結界だらけみたいっスよ。」

 

それが本当の話だとしたら、これは大変厄介である。

幻想郷程落とし物をした人に対して厳しい場所はあるまい。

 

だが流石に、いくらなんでも僕の落とした制御装置は巡り巡って偶然冥界に紛れ込んでました、なんてことは無いとは思う。

というか、冥界ってそんな簡単に行ける所じゃないだろどう考えても。

 

「神社周辺には無かったんスよね?じゃあもう怪しいところ手当り次第に探していくしか無いっスよ。どう考えても今の制御装置じゃ斉木さんヤバイですし。」

 

いや、今の制御装置でも全然大丈夫だ。

全く問題ない。故にわざわざ失くした制御装置を探しに幻想郷へ戻る必要は皆無だ。皆無。

 

それに、妖怪だの神様だの幽霊だの、何かと面倒事で溢れ返っていそうな幻想郷へはもう出来るだけ戻りたくない、というのが正直な所である。

 

 

 

ボキベキバキッ

 

 

 

「…斉木さん、またっスか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…やっぱり、早急に幻想郷中を捜索しないとヤバイかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

まさか、また戻ってきてしまう事になるとはな。

 

 

…幻想郷に。

 

 

 

仕方なくスプーンの弁償代を支払って喫茶店を出た後、僕は再び制御装置を失くした場所まで来ていた。

つまり、幻想郷の博麗神社手前の階段付近である。

 

正直もう二度と来たくはなかったのだが、思い返してみれば僕はここ最近の十数日で結構色々とやらかしていた。

 

力を入れ過ぎてドアノブを砕いたりするのはまだ全然可愛いレベルなのだが、大きく伸びをして家の屋根を吹き飛ばしたり、道端の石に(つまず)いて道路を陥没させたり、学校の廊下を軽く走って校舎を二分割したりなんかもしてしまった。

 

奇跡的に、これらの大惨事のいずれも気付かれる前に復元能力で元に戻して何とか事なきを得るのに成功している。

一度体に染み付いた力加減を改めるのは僕の想像以上に困難を極めていた。

最早一挙手一投足が常にスリル満点である。

 

やはり、僕にはあの以前の制御装置が必要なようである。

非常に気は進まないが、平穏な生活を取り戻すには幻想郷中を捜索して回るしかない。

 

 

さてと、現在の時刻は…午後6時のちょっと前か。

今付けているこの充電式制御装置の電池が切れるのは午後8時であるから、それまで捜索をするとしよう。

 

そう思って僕は辺りを見回すが…

この捜索は中々難航しそうである。

 

と言うのも、前々から気になっていた、この邪魔で邪魔で仕方がない鬱陶しい赤い霧。

これは一体何なのだろうか。

前回幻想郷に来た時よりもずっと濃くなっているような気さえするんだが。

これでは捜索に支障を(きた)しまくりである。まぁ透視能力があるだけ、普通の人間よりは効率的に捜索出来るであろう。

 

そう思い直して僕が階段を下り始めた時、社殿の方から何やら話し声が聞こえてきた。

どうやら今日は博麗神社にも人がいるようである。

 

霧のせいでハッキリとは見えないが、遠目から伺うに、紅白の衣装を着た…巫女?のような少女と、白黒の衣服を着た…魔法使い?のような少女が隣同士に座ってのんべんだらりと駄弁っているようだった。

 

距離的にそれ程遠くない位置にいるようで、2人の会話が途切れ途切れに僕にも聞こえてくる。 

 

「夜に出発」だとか、「カードで戦う」だとか、何やら随分と楽しげな話である。巫女の方は何だか不機嫌そうではあるが。

友達と遊びに行く予定でも立てているのだろうか。

 

これからは人目に気を付けて、神社の階段横にある雑木林の中に瞬間移動するようにしておくか。

 

 

 

そんな事を考えていると。

 

 

 

僕のすぐ後ろから、突然声が聞こえてきたのである。

 

 

 

「あー!やっぱり神社(ここ)に戻ってきた!」

 

 

 

余りに突然の事で、しかも結構な大声であったので、思わず僕は驚き仰け反り、少し空中を浮遊してしまった。

いくら非日常的生物の蔓延(はびこ)る幻想郷とは言え、赤の他人の前で超能力を使ってしまったことは、僕にとって致命的なミスであった。

 

近くにいたハズの巫女と魔法使いには、あれだけの大声が何故か聞こえなかったようで、2人ともこちらの存在に気付くことはなかった。不幸中の幸いである。

 

 

 

「わっ凄い!あなた外から来た人なのに空を飛べるんだね!」

 

 

 

誰だ一体!?まさかダークリユニオン…!?

すぐさま背後を振り返るが、誰もいない。

 

 

「ふふ、こっちだよ!」

 

 

また背後から声がする。

今度はそちらを向くが、また誰もいない。

どうなっている?霧隠れしているのか?忍者か?

まるで狐につままれたような気分である。

 

 

「狐?そう言えば幻想郷一の大妖怪は狐を飼っているそうだけど、それって本当なのかな。」

 

 

そしてまた後ろから声がした。

振り返っても、恐らく誰もいないのだろう。

こうなっては最早イタチごっこだ。

やがて僕は、声の主の居場所を探すのを諦めた。

 

 

「何?狐の次はイタチなの?」

 

 

…次は『どうしようもない状況に、僕は狸寝入りするしかない。』とでも言えば満足か?

 

 

「あはは!あなたって、面白い人間だね。」

 

 

声の主はそう言って一頻(ひとしき)り笑っていた。

どうやら満足したようである。

 

 

「霧の中で突然背後から話し掛けられてビックリしちゃった?ごめんね。でも初対面じゃないんだし、そんなに驚くことって、ないじゃない?」

 

謎の声の主は、そう僕に話し掛けてきた。

どうやら僕を誰かと勘違いしているらしい。

 

こんな不可解なヤツに声を掛けられるなんて記憶、忘れるわけがない。

僕とお前はバリバリ初対面だ。

(よく考えたら対面してすらいないのだが)

 

というか、神社にそもそもお前みたいなヤツはいなかったぞ。

 

「そんなことないよ。私はここ最近ずっと、この神社にいたの。暇だから。」

 

声の主は僕にそう反論してきたが、僕にはまったくこの声に聞き覚えが無かった。

そして当然見覚えもない。というか見えない。

 

「あー、やっぱりあなたも私の姿は見えないんだね。まーそれが私の能力(チカラ)の一貫なんだから当然っちゃ当然なんだけどね。」

 

何?能力(チカラ)?中二病か?

…流石に中二病ではないだろう、実際超能力者である僕にさえ姿が見えないのだから。

 

妖怪だらけの幻想郷の事だ、きっとコイツは姿を消す能力を持った妖怪とかそんな感じのヤツに違いない。

 

 

いや、姿を消しているだけじゃない。

僕は今にして、姿が見えない以上に不気味で恐ろしい事にやっと気が付いた。

 

 

 

 

 

 

僕のすぐ近くにいるハズなのに、コイツの心の声が全く聞こえないのだ。

 

 

 

 

 

 

やれやれ、なんて事だ。

 

姿も見えず、心の声も聞こえない。こんな怖い存在が他にあるだろうか。

 

僕の知り合いの1人に『頭が空っぽで何も考えていないせいで心が殆ど読み取れないバカ』がいる。

馬鹿すぎて行動が読めないので、僕はソイツの事を少々、というかかなり苦手としていた。

 

そして今。

その知人の超パワーアップ版の様な、最強にして最凶の天敵である妖怪に、なんと幻想郷探索の開始数分後にして出くわしてしまった。

 

いきなりゲームオーバーに等しい状況に陥ってしまった事に、僕は軽く絶望した。

アイワナだってこの状況に比べたらもう少し親切設計である。(やっぱりそれはないかもしれない)

 

「アイワナ?」  

 

そこには別に食いつかなくていい。

 

もしかしなくてもお前、何も考えてない頭の中すっからかんなタイプの人間、いや妖怪なんだな。

 

「えっ、そんなことまで分かっちゃうの!?凄い!!」

 

割と失礼な事を言ったつもりだったが、この『姿の見えない誰かさん』は凄い凄い!と何故か嬉しそうである。

 

なんて厄介なヤツに目を付けられてしまったんだ僕は。

一口に妖怪と言っても様々な種族がおり、様々な能力を持っている。慧音と阿求は僕にそう教えてくれた。

そんな数ある妖怪の中でも、一番僕と相性の悪いコイツといきなり出会うなんて。いくらなんでもあんまり過ぎるだろ。

 

そう僕が自身の不運に打ちひしがれていると、この声の主は更なる追撃を食らわしてきた。

 

「そんなことまで分かっちゃうってことは、ひょっとしてあなたも心が読めるの?」

 

…コイツ、何も考えてないとか言ってる割にめっちゃ鋭い。

もう僕の超能力が2つもバレてしまった。

 

「え!本当なの!?凄い凄い!空も飛べて心も読めるなんて、あなたって本当に人間?」

 

僕はお前に『あなたって本当に生物?』と聞きたいよ。

 

「お姉ちゃんにあなたの事を紹介したら、きっとお姉ちゃん喜ぶよ。ねぇ、地下の世界に来ない?」

 

地下の世界?

何だそれ、カイジの帝愛地下帝国か何か?

そんな劣悪そうな環境の場所に行くのは御免被りたい。

それに、僕は探し物の捜索をしなければならないんだ。悪いが1人にしてくれないか。

 

僕がそう言うと、

 

「えー、そうなの、残念。じゃあしょうがないね。」

 

と、謎の声の主は割とあっさり引き下がった。

 

意外にも聞き分けは良いようで、僕はホッとした。

寺子屋で受けた授業によれば、妖怪も人間と然程(さほど)変わらない、それどころか人間より賢い可能性すらある知的生命体であるようだ。

 

僕は妖怪達のことを『話の通じない厄介な連中』という風にみなしていたが、本当は話せば分かってくれるタイプが多いのかもしれないな。

 

 

 

「じゃあさ、紅魔館?とかいう所に行こうよ!!」

 

 

 

否。

 

妖怪はやはり何を言っても分からない生命体であった。

1人にしてくれないか、と僕が懇願したのを華麗にスルーとは恐れ入った。

人間の脳と妖怪の脳は根本から構造が違うのだろうか?

 

「紅魔館って言われてる建物見に行ったんだけど凄かったよ!なんか真っ赤だし!なんか結界も張ってあるし!面白そうでしょ?」

 

いい加減僕を1人にしてくれ。

僕はそんな館にこれっぽっちも興味はない。

真っ赤に見えたのはただ単に霧のせいだろうし、中に張ってあるとかいう結界は…

 

…ん?

結界、だと?

 

「そうそう!何でもそこで働いてるメイドが、能力を使ってドロボーして盗んだものを地下の結界の中にいっぱい隠してるんだって!」

 

そこの神社にいる2人がさっき話してたよ!と、その謎の声は何故か嬉しそうに語った。

 

 

結界で守られた場所、メイドが能力を使って窃盗…

 

 

まさか、まさかな…

 

「ま、その結界自体はしょっちゅー壊されてるみたいだけど。ね、中にどんな物があるのか気にならない?」

 

僕は鳥束の言葉を思い出していた。

 

『まぁ真面目に考えるなら…何か別の結界に囲まれてる所に紛れ込んじゃったのかもしれないっスね。

結界で守られた場所なら透視も千里眼も使えないでしょうし。』

 

いや、ひょっとしたら、ひょっとするかもしれない。

 

 

 

「ねぇ、行ってみようよ紅魔館に。」

 

 

 

可能性は微々たるものであるだろうが、手掛かりなしの今の状態でアテもなく幻想郷中を探して回るよりは効率的かもしれない。

 

そう考えた僕は、制御装置捜索の手始めとして、その紅魔館とやらに行ってみることにした。

 

 

 

時間確認の為に付けてきた腕時計をちらりと見ると、時刻は現在午後6時10分であった。まだまだ時間には余裕があるな。

 




フォローしておくと、僕はアイワナ好きです。
アイワナって何?て人にざっくり説明すると、クソみたいな死にゲーです。
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