東方嫉妬姫   作:桔梗楓

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銀髪のナイフ使い様、いつも誤字訂正ありがとうございます。

今回は秋の終わりの話になります。
そして、碧にも一つの転機が…。




35話 秋の終わりと一つの転機

 

秋も終わりに差し掛かろうとする頃…―――

 

「ねぇ碧…あの事なんだけど…?」

 

仕事終わりのパルスィさんと家で晩酌をしていると、その話は持ちかけられた…――

 

「うん、そろそろ…だよね。季節が変わる今だからこそ…僕達も変わらないとね…」

 

 

 

そして数日後…―――

 

八雲家の夕食後…紫さんに話したい事があると言って時間を取って貰った。

 

 

「それで、私に話って何かしら?」

 

緊張する…でも、これはキチンと伝えないといけない…家族だからこそ…今まで見守ってきてくれた人だからこそ……―――僕は意を決して、口を開いた。

 

「えっと…端的に言いますね。実はここを…八雲家を出て、本格的に働き口を探そうかと思いまして……」

 

すると、紫さんの目が細くなる…――

 

「……なぜ、そう思ったのかしら?…今の生活に不自由でもあったのかしら?」

 

そんなわけない!

 

「違います!……紫さんが…八雲家の人達が、僕の事を迷惑に思っていない…むしろ家族として受け入れてくれる事も知っています…」

 

でも、それじゃあダメなんだ…。

 

「…でも、幸せすぎるから…それに甘んじていたら、ダメなんじゃないかって思ったんです…」

 

前に手伝いをしていた時に映姫さんから言われた。

 

―――……幸せを掴むには、ただそれに甘んじていてはダメだ、自分から動いてこそ、本当の幸せを掴むことが出来る…って。

 

「……なるほど、碧君も成長したのね…くすっ♪保護者として…とても嬉しいわ♪」

 

それまでの厳しい表情から一転して…笑顔を浮かべる紫さん…――。

 

多分、僕の心は見透かされてるんだろう……。

 

「そういえば…「…?」前に、パルスィちゃんとの新婚生活に憧れるって言ってたわね~。もしかして、それと関係してるのかしら?」

 

~~~!!!この人絶対分かってる……はぁ、本当に敵わないなぁ…。

 

「えぇ…実は…その……パルスィさんから、同棲しないか…って相談されていたんです…///」

 

そう、今の状態…お互いが自分の家に通うのも悪くはない……でも、どうせならもっと二人の時間を取りたいって言われてしまったのだ……まぁ、僕もそれには同感なんだけど…

 

「あらあら♪あの子もやるわねぇ…。そうね、女にそこまで言われたなら応えてあげるのが男の子の役目ですものね♪…そ・れ・に…今のままだと、二人っきりの時間も取りにくいでしょうしね♪」

 

うぁ…色々とばれてる……―――ただ、これも伝えないと…。

 

「確かにそれもあります…。でも、それだけじゃなくて…自立して働けるようになれば、僕自身の成長に繋がるかなって思って……」

 

すると、紫さんも納得した顔を浮かべ……。

 

「自己研鑽……あなたの思い…確かに伝わったわ。良いわ、あなたの為に、ひと肌脱いであげる…そうね、数日ほど、待って貰えるかしら?」

 

 

 

そして…数日が過ぎた夜、紫さんから呼び出された。

 

「碧君。明日の朝、地霊殿に行くわよ」

 

「急ですね?……それに地霊殿ですか?」

 

多分この前話した事だろう…でも何で地霊殿に?

 

「まぁその辺は明日説明するから。今日は早く休みなさい?」

 

 

そして、翌日…地霊殿に連れて行かれると……―――

 

「あ、碧さん…お久しぶりですね。お待ちしておりました」

 

入り口に居たのはさとりさんと……パルスィさん?

 

「お久しぶりですさとりさん。中々顔を出せなくてすみませんでした…あと、何でパルスィさんも?」

 

すると、隣にいたパルスィさんから…――

 

「えぇと…多分、この前相談したことだと思うわ。その……ありがとうね…碧///」

 

相変わらず可愛い彼女……―――

 

「お礼を言うのはまだ早いよ?それに、言うなら紫さんとさとりさんに…ね?」

 

そんなやり取りをしていると…――

 

「ふふっ♪相変わらず仲が良さそうで……少し、妬けちゃいますね///」

 

うっ…///

 

「そうです、ところで…どうして今日は地霊殿に?」

 

「あ、そうでしたね。紫さんからお話を伺いまして、私の仕事の一つに、人手不足の店に仕事を斡旋するという仕事があるの。それで碧さんにぴったりの仕事場に案内をしようと思いまして」

 

なるほど、それでか……なら、パルスィさんは?……ちらっと目を向けると…―――。

 

「えっと…その、ちょっとだけ心配になって…ね?」

 

そっか…うれしいな…。そうして、見詰め合っていると…―――

 

「こ、コホン。あの、二人とも…仲が良いのは結構ですが…その…今日の目的を忘れられては困りますよ?」

 

あ…またやってしまった……どうにも最近こうなることが多い気がするなぁ…。

 

「す、すみませんでした…///「ご、ごめんなさいね///」~~~」

 

すると、さとりさんが何とも言えない顔で……―――

 

「まったく…少しは自重してくださいね?(でないと、私も羨ましくて…///)」

 

「重ね重ねすみません……えっと、じゃあ案内をお願いできますか?」

 

ハッとした顔をしたさとりさんが……――

 

「あ、はい!そ、それでは参りましょうか。あ、紫さんとパルスィさんはお留守番をお願いしますね?」

 

あれ?紫さんはともかく…パルスィさんはお留守番なんだ?

 

「碧の言いたい事は分かるわ。でも今日の目的はあくまであなたの仕事の話…私が出る幕はないの…だからせめて、ここで碧の帰りを待ちたくて…」

 

嬉しい事を言ってくれるね……なら、なおさら頑張らないとね。

 

「さて、これ以上先方を待たせてもいけませんので、参りましょうか?」

 

そして、さとりさんに連れられ、斡旋先の店に向かった。

 

 

「あの…さとりさん?今から行くお店ってどんなお店なんですか?」

 

自分が働く店だ…気にならないと言ったら嘘になる。

 

「ふふっ…安心して下さい。碧さんも良くご存じのお店ですから……ほら、見えてきましたよ?」

 

すると、目の前に見えた店は……翡翠?

 

「えっと……ここって?」

 

するとさとりさんはにこっと笑い……―――

 

「えぇ…碧さんもご存じ…料亭『翡翠』です。では、参りましょう……失礼しますね」

 

そして、扉を開け中に入ると……―――あ、カウンターに女将さんがいる。

 

「あら、さとり様…それに…碧さん。本日はようこそおいで下さいました」

 

いつもと変わらないはんなりとした雰囲気……でも、今日は…―――

 

「女将さん、人材の件…連絡していた通り彼を連れてきました。さて、後は女将さんの方から説明をお願いします」

 

すると、女将さんがこちらを向き……。

 

「はい。では碧さん、ご説明させて頂きますね。実はこの料亭は私と板長の二人で切り盛りしているんです」

 

あの客をたった二人で?!

 

「そこでですね、そろそろ人員を増やしたいと思いさとり様に相談したところ…丁度、あなたが仕事を探しているとお聞きしたので、本日来て頂きました」

 

なるほど、本当にタイミングが良かったんだな……。

 

「さて…碧さんさえ宜しければ、当料亭で働いて頂きたいのですが……」

 

「?……何か問題があるんでしょうか?」

 

すると、女将さんは目を細め……―――

 

「えぇ……人員を増やすと言っても碧さんお一人…碧さん、今までにこういったお店で働いた事はございますか?」

 

「…いいえ、ありません」

 

ふむ…と言った感じでさらに目を細める。

 

「正直、他のお店で働くよりも厳しいかもしれません。お客様への対応、料理の支度、片付け…さらには、ここ最近お客様も増えてきております…。その分、忙しさも尋常ではないでしょう……それでも…ここで働く意志はありますか?」

 

いつものはんなりとした雰囲気は形を潜め……纏った空気は少しだけピリピリとしたものに……。

 

多分…いや、実際に僕が想像している以上にきついのだろう……――――

 

―――……でも、それくらい乗り越えられないと…パルスィさんと幸せを掴むなんておこがましい

 

なら、僕の答えは一つだ!

 

「はい!……もし、僕が足手まとい…店にとって不利益だと感じたなら、直ぐに切って頂いても構いません!……ですので、どうかお願いします!僕をここで働かせて下さい!」

 

こちらの目をじっと見つめてくる女将さん……一店舗の経営者としての目……初めて見せるその瞳…全てを見透かされているような目……でもここで目をそらす訳にはいかない!

 

そして、少しの間…沈黙が続く……そして―――

 

「ふぅ……いいでしょう。碧さん、あなたの思い…覚悟…見せて貰いました。当店としても、あなたのような誠実な方に働いて頂くのは願ったり叶ったりです……今後は従業員として…よろしくお願いしますね?」

 

柔らかな笑み…良かった……認められたんだ…。

 

「ありがとうございます。誠心誠意…頑張らせて頂きます」

 

すると、女将さんから……―――

 

「良いお返事です。仕事の方は、基礎を覚えるまではビシビシといかせて貰いますので……とはいえ最初から無理はさせません。それでは、仕事内容や勤務時間、日数、お給金等のお話をさせて頂きますね?」

 

それから、女将さんから仕事の内容等の説明を受けた。お給金としてはかなりいい方だ。

 

「碧さん…良かったですね」

 

一部始終を見守ってくれていた、さとりさんが声を掛けてくれる。

 

「さとりさん…こちらこそ、こんな良い所を紹介して貰って、本当にありがとうございます」

 

「それも、私の仕事ですから…ね?…女将さんも…ありがとうございます」

 

すると女将さんから……―――

 

「いえ、彼の人となりは良く知ってます、後は碧さんご本人の意思と覚悟を確認したかっただけですので。それと碧さん、いつからこちらで働かれますか?」

 

引っ越しもあるし、八雲家の人達への話もあるから……―――

 

「そうですね……週を開けて、月曜日からでいいですか?」

 

今日が金曜日、数日の余裕はあるからその間に色々と準備を済ませないと…。

 

「はい、構いませんよ。ふむ……でしたらそうですね…今から板長とご挨拶しておきませんか?」

 

板長さんと?それは願ったりだけど……どんな人なんだろう?

 

「板長。新しい従業員が決まりました、こちらに来てくださいな」

 

女将さんが厨房の方に声を掛けると、奥から……―――

 

「おや、女将さんが見初めた従業員…どんな方でしょうか?」

 

この人が板長さん?

 

桃色の髪の毛をシニヨンキャップで纏め、赤いエプロンをつけた背の高いお姉さん。

 

右手は包帯のような物が巻かれているけど……この人が板長さん?

 

「ふむ…見た所、ただの人間のようですが…成程、確かに真面目そうな方ですね」

 

そして、僕の目の前に女性が来る…勇儀さん程じゃないけど…この人も背が高いなぁ…。

 

「初めまして、私の名前は『茨木華扇』この料亭の板長をしています。それとこう見えても女将と同じく鬼の種族です。普段は“華扇”…仕事中は板長と呼んでください」

 

この人…妖怪…しかも鬼だったんだ?!……でも、角とか見当たらないけど…深くは聞かない方がいいかな?

 

「初めまして!僕は『大神碧』と言います。普通の人間です…碧と呼んでください。これからよろしくお願いします」

 

そして握手を交わす。すると女将さんが……―――

 

「ふふっ…お互い自己紹介は出来たみたいですね?…板長は私の古い知り合いで、この料亭を開く際に板長として雇ったのですよ」

 

なるほど…そんな経緯があったんだ…。

 

それから板長さんを交え、少しだけ話をした後……―――

 

「では、月曜日……そうですね、碧さんには夜から入って貰いたいのですが…いいですか?」

 

「はい、大丈夫です!」

 

「ふふっ♪良い返事です。でしたら、夜の開店の準備を始める夕方……そうですね、四時頃に来て貰っていいですかね?」

 

夕方か……なんだか今からドキドキしてきたな……―――

 

「はい!では月曜日の夕方から……よろしくお願いします!」

 

こうして僕の仕事先は無事に決まった。

 

 

 

そして、女将さんと板長さんから見送られ料亭を後にした僕達は……―――

 

「本当に…よかったですね碧さん?」

 

さとりさん……―――

 

「いえ、さとりさんや紫さん…それから女将さんのおかげです…ありがとうございます」

 

「ふふっ♪いいのですよ?でも…これで堂々とパルスィと同棲できますね♪」

 

?!?!?

 

「えっと……まぁ…そうですね…///」

 

改めて言われると照れるなぁ……///

 

そんな碧を見ながら、さとりは…

 

(ふふっ…碧さんが地底で暮らすなら私にもチャンスが多くなる…頑張りませんとね♪)

 

なんて思っていた。

 

 

そして、地霊殿についた僕達は真っ先に紫さんとパルスィさんに報告に向かった。

 

 

 

「という訳で、無事に仕事が決まりました」

 

地霊殿に着くと、紫さんとパルスィさんが待ってくれていた。二人に報告をして……。

 

「おめでとう!良かったわね…碧♪」

 

と喜んでくれるパルスィさんと……。

 

「そう、それは良かったわ。これからはパルスィちゃんの家から店に通うって事でいいのかしら?」

 

お祝いと、これからの事を聞いてくる紫さん……。

 

「はい。そうしようかと思います。仕事は月曜日からなので、それまでに準備をしたいなと思ってるんですけど…」

 

すると、紫さんは少し考えて……―――

 

「なら、必要な物だけスキマを使ってパルスィちゃんの家に移動させましょう。それと…碧君の部屋はそのまま使えるようにしておくから、家に泊まる事があったら使って頂戴」

 

紫さん……。

 

「……ありがとうございます。さとりさんも…「はい?」…色々とご助力頂き、感謝します…それから、今後ともよろしくお願いしますね」

 

これから地底に暮らすんだ…迷惑にならないように頑張らなきゃ。

 

「碧さん……はい。歓迎いたします」

 

笑顔で握手をする。うん、これからの生活が楽しみだな……―――そして、僕達は地霊殿を後に八雲家へと戻った。

 

 

 

 

八雲家へ帰ると、藍さんと橙ちゃんが待ってくれていた。結果を伝えると……―――

 

「そうか、良かったな碧。うん、今夜はごちそうを作らないとな!」

 

「良かったね、お兄ちゃん♪ちゃんとパルスィお姉ちゃんを幸せにしてあげるんだよ?」

 

と、言われた。―――うん、こうして思ってくれている家族がいる…ありがたい事だよね。

 

 

そして、みんなに手伝ってもらい、必要な荷物を纏め、パルスィさんの家へとスキマを通して送っていく。

 

パルスィさんの家は橋から少し離れた場所にあり、近所にはヤマメさんとキスメさんも暮らしている。

 

(所謂、郊外みたいな場所なのかな?)

 

旧都へのアクセスもそこまで遠くないので、仕事に行くときは重宝する。

 

僕の荷物をパルスィさんの家に置いていく……何度かお邪魔しているけど、こうして僕の荷物が運ばれていく……。

 

改めて、一緒に暮らす……二人っきりの同棲生活が始まるんだと思うと、ドキドキしてくる…///

 

 

 

 

そして、荷物を運び終え(一部の荷物は帰ったときの為に残しておいた)その日は一日、新居のレイアウトを二人で決めて夜になった。

 

八雲家に帰ると、藍さんが晩御飯の準備をしていた。

 

手伝おうとしたら……―――「主賓に作らせる訳にはいかないだろう?」とやんわりと断られてしまった。

 

 

そして、料理が完成して運ばれる。どれもこれも美味しそうだなぁ。

 

紫さんの音頭で、パーティーが始まる。

 

「さて、それじゃあ碧君の就職祝いと、パルスィちゃんとの同棲生活をお祝いして……かんぱーい♪」

 

それから、みんなで色々な料理を食べる。

 

「しかし…碧がいなくなると、家事や料理が大変になるなぁ」

 

「いえ、藍さん…今まであまりお役に立てませんでしたから……」

 

「そんな事はないぞ。碧の家事スキルはかなり上達してくれた。お陰で、かなり助かっていたんだぞ?だから、謙遜することはない。自信を持って良い!」

 

普段、あまり大きな声を出さない藍さんがここまで褒めてくれる……嬉しいなぁ。

 

「そうだよ!お兄ちゃんの焼いたお魚さんは、藍さまの焼いたやつよりも美味しいんだよ!」

 

橙ちゃんが嬉しそうに言ってくれる……でも、直ぐにその顔がシュンとなってしまう…どうしたんだろう?

 

「明日から…お兄ちゃんはいないんだよね……ぐすっ…さみしくなるよぉ…えっぐ……」

 

橙ちゃん…僕は…大切な妹を、そっと抱き寄せる……―――

 

「―――大丈夫。暮らす場所は別々になるけど…橙ちゃんが僕の大切な妹って事に変わりはない…それに…」

 

一呼吸置いて、橙ちゃんとしっかり目を合わせて…―――

 

「―――ここは…八雲家は、僕にとっての実家みたいなものなんだ…。だからちゃんと帰ってくるよ…ね?」

 

そうして、橙ちゃんの頭を撫でてあげる……。泣いたカラスが一転…笑顔で甘えてくる…。

 

「うん、橙ちゃんはいつもその笑顔を忘れないでね?」

 

そして、楽しい宴会も終わり、その日はお開きになる……―――。

 

自分の部屋に戻ると、直ぐに睡魔が襲ってくる……

 

――この部屋で寝る事も暫く無くなるのか…、寂しいけど…これが最後じゃない。

 

そうして、その日は眠りに就いた……少しの寂しさと、明日からの期待を胸に秘めて…。

 

 

 

翌日―――……

 

「じゃあ、みなさん……今までありがとうございました」

 

「寂しくなるな…だが、いつでも戻ってきても良いんだぞ?」

 

「橙も待ってる。でも、心配しないで!お兄ちゃんの分まで橙が藍さまのお手伝いをがんばる!」

 

頼もしくなった妹……そして……―――

 

「……碧君。あなたを幻想郷に連れてきて…この家で一緒に過ごした事は、とっても楽しかったわ……でも、あなたの意志…そして、パルスィちゃんの意志…二人の幸せが私の幸せだから…。これは選別よ、持って行って頂戴」

 

そして、紫さんから幻想郷の地図が描かれたカードを渡された……―――これは?

 

「それは、私のスキマの力を込めた特殊な転移札……幻想郷の地図の中から場所を選択することで、今まであなたが行った場所へ転移することが出来る……それと、これから訪れる場所を記録することで、その場所への転移もすることができる……これはあなたが……いえ、あなた達が作っていく地図…私からのプレゼント…受け取ってくれるかしら?」

 

僕とパルスィさんが作っていく地図……これから歩む道……。

 

「紫さん……ありがとうございます」

 

思わず涙が出そうになる……あ、パルスィさんは泣いてる…。

 

すると、紫さんが……―――

 

「……碧君。たとえ離れていても、あなたは私の…いいえ、私達の大切な家族だから…いつでも帰って来てね?」

 

そう言って、僕の側に来て…ゆっくりと、そして優しく抱きしめてくれた…。

 

そして、藍さんと橙ちゃんも抱きついてくる……あぁ…僕は本当に思われてるんだなぁ…なんて、嬉しいんだろう…それに、心が温かくなる…帰る場所があるっていいな…。

 

 

 

みんなに別れを告げて、地底にあるパルスィさんの自宅へ移動する。そして、家の前に二人で立ち…――

 

「今日から、私達の…二人だけの生活が始まるのね…」

 

改めて言われると、実感が湧いてくる……それと同時に、嬉しさや…少しの恥ずかしさも出てくる。

 

「うん…。今日からよろしくね…パルスィさん」

 

そして、扉を開き家に入ると……???……―――パルスィさん?

 

何故か、こちらを向いたまま、何かを待っている…??

 

「扉を開けたら…言うことがあるでしょ?」

 

言うこと…?

 

「えっと…お邪魔しま「ち~が~う!」…?」

 

えと…なんだろう?

 

「あのね~、碧は今日からここで暮らすんでしょ?なら、言うことは一つでしょ?」

 

あぁ…そっか…ホント、良い彼女を持ったなぁ。

 

「うん。ただいま、これからよろしくね…パルスィさん♪」

 

「おかえり♪よくできました♪」

 

それから、二人で部屋のレイアウトを変えたり、晩御飯の買い出しに出かけたりもした。

 

 

 

「ふぅ…ごちそうさまでした。こうして、二人で作ったご飯を一緒に食べるって…やっぱりいいね」

 

「ふふっ…そうね♪……でも、紫さんにも…八雲家の人達にも…さとりにも…色んな人達に迷惑を掛けちゃったわね…」

 

確かに…今回の同棲の件で、色んな人達にお世話になった。だけど……―――

 

「―――うん、だからさ…その人達に…ううん、今まで出会った人達…これから会う人達…みんなが羨むような…幸せな関係を作ろう?…それが一番の恩返しになるんじゃないかな?」

 

「えぇ…そうね。……うん、しんみりした空気はここまでね……えっと…じゃあ…その…お風呂に入りましょうか?…///」

 

その言葉に抗えるはずもなく、こくりと頷き、二人で仲良くお風呂に入り、その日は疲れもあってか、すぐに眠ってしまった。

 

因みに寝室には、紫さんから選別にキングサイズのベッドが送られたので、二人で一緒に、寝る事にした。

 

少し照れるけど…これからはこれが当たり前になるんだね……―――明日から、仕事……頑張らないとな。

 

 

 





というわけでようやく、同棲生活を始めました。
そして茨木華扇を登場させました。
原作と異なりますが、この作品では板長として働いています。

ご意見、ご感想、アドバイスなど、よろしければお待ちしております。
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