中学3年生に進学して一週間がたった。
うちの学校では、クラス替えが毎年行われるので、最初の一週間は凄く大切だ。
この一週間でクラス内での自分の立場や初めて同じクラスになった人に対する印象が決まる。
逆に言えばこの一週間を乗り切れば、パシられたり友達がいないなんてことはなくなる。
そう言う意味で言うなら俺は今回成功者だろう。
始業式が終わったあと新しく決まった教室に入る。
クラスでの出席番号表で自分の名前を探す。
えーと、あった。小林蓮、12番。
だから、前から12番目の席に座る。
隣の席の女子が美少女だったことを喜びつつ、後ろの奴に話しかける。
そいつの名前はどうやら桐ケ谷和人というようで顔は中性的な感じの男子だ。
取り敢えず、と思いながらゲームの話題を振ると異常に食いついてきた。
俺もまあまあゲームが好きなので話題はどんどん膨らんでいく。
気づいたら「今日、俺の家に来ない?」と誘われていた。
俺はもちろんうなずいた。
イケメンと言っても良いだろう顔に老人受けしそうな笑顔を張り付けて。
★★★★★
ホームルームも終わり家で昼ごはんを食べてゲームを持ち家を出る。
そして、何気に気に入ってるマウンテンバイクに跨り和人の家へ走る。
表札に桐ケ谷と書かれた家に着くと外で和人が待っていた。
友達思いの良い奴だと思いながら声をかける。
「和人!」
「ん?あぁ……蓮。随分と早いな?あと10分くらいは待つと思ってたんだけど」
「昼飯、おにぎり一個しか食べなかったからね。早く遊びたかったんだよ。お前もだろ?和人。そうじゃなきゃ10分待つと思いながらも外にいるなんておかしいもんなあ?」
にやにやが止まらない。
「そんなことは良いから早くゲームしようぜ」
露骨に話を逸らす和人にさらに俺のにやにやは加速するが、ここは大人の対応をしてやる。
「そうだな。俺もお前がおもしろいって言ってたゲームが早くやってみたい」
二人でわいわいゲームの話をしながら家へ入っていく。
すると縁側のガラス戸が開けられ一人の少女が降りてきた。
俺の視線はまず足を見てそのまま上がっていき、胸で止まった。
顔じゃなくて胸で止まった。
その胸は綺麗な球の形で弾力性が高そうだった。
そして何よりも……大きかった。
もう一度言う、凄く……大きいです。
ふと顔を上げるとその素晴らしい胸を持った少女と目があった。
左を向くと、突然足を止めた俺を不思議に思った和人がこちらを見ていた。
「今、胸をガン見してたよね?」
気づかれてたー!!
待て、待つんだ。
今こそ、その虹色の脳細胞を活かす時だろう。
少女の言葉はまだ疑問形だった。
まだ………誤魔化せる筈!!
「そんなわけないよ。初対面の少女の胸をガン見するような男に僕が見えるか?」
「見える。実際見てたし」
即答でバレてたー!!
全然誤魔化せなかったー!!
…………こうなったら仕方がない。紳士の奥義を見せてやろう。
地面に膝をつく。
その姿はまるで神に祈りを捧げるかのよう。
手を地面につける。
その付け方はタコの吸盤のよう。
頭を地面に擦りつける。
その密着度はまるで磁石のよう。
それは、日本人の伝統的な技。
父から子へとみゃくみゃくと受け継がれてきた紳士の技。
その名も――――土下座。
この技を使えばどんなに怒ってる人でも許してくれるという神の御業。
多くの男性はこの技を浮気がばれた時使う。
その御業を俺も使った。
さあ、彼女の反応は――?
「そんなことをしてもゆ、許さな「胸を触らせてください」いんだから……は?」
「その素晴らしい胸!! お願いだから触らせてくれ!!」
俺の頭はついには磁石を超え、砲丸のように地面にめり込んでく。
けれど、待てど暮らせど返事が来ない。
不思議に思って顔を上げるとそこにはPS4を持った少女がいた。
後ろでは和人が「やめてくれー!!」と泣き叫んでる。
……返事が遅かったのはこれを取りに行ってたからだろう。
そして少女は俺の頭に向かってそれを振り落した。
衝撃で意識が消えていく中聞こえてきた「変態は死ねー!!」という言葉を聞いて、これで死ねたら良いな。こんなに痛いんだから。
やっぱり俺に自殺とかは無理だなぁと思った。
現実から10年経ってる筈なんでPS4が出てることにしました。
あとちょっとしたらアインクラッドに入ると思います。
次回もよろしくおねがいします。