姉弟ハンター奮闘記 作:やーみん
大海原を渡る船の甲板の上に、二人の若いハンターが海を眺めていた。背中に太刀、ユクモノ太刀を背負い、ユクモシリーズを着た赤髪の少年と、レザーシリーズを着て、ボウガン、クロスボウガン背負った深緑のショートヘアの少女だ。少年の名はリュウジ・カザキリ、少女の名はトウガン・カザキリ。二人は姉弟である。
「うん、何度嗅いでも飽きないな、潮風は…ってうぅお!?」
リュウジが潮風を嗅いでいたら、トウガンがドンッとリュウジを突き飛ばした。
「危ねぇ!危ねぇえって!やめてくれよ!!」
「ぎゃはは!キザな事言ってっからだよ!」
ちょっと海に落ちそうになったリュウジをゲラゲラ笑うトウガン。この二人はいつもこうだ。
「ったく、落ちて鮫にでも襲われたらどうすんだよ」
「ははは、不味いエサが落っこちてきてかわいそうだね、鮫」
「反省の色もねぇな…」
リュウジは諦めたように呟く。それでもトウガンの笑いは止まらない。
「お二人さん、もうそろそろ着くぜ。降りる準備をしなくていいのかい?」
どこからかこの船の船長が現れて、もうすぐで目的地に着くと二人に告げる。
「あ、はーい。姉ちゃん、もうすぐだとさ」
「私らの拠点にね」
二人が向かっている場所は、モガ村という場所だ。
そこは、孤島に存在する村で、最近、地震が多発している。二人はユクモ村ハンター増員のために派遣されたのだ。現在モガ村にはハンターが一人しかおらず、しかもそのハンターは若い女性ハンターらしく、女手一つでは苦労するだろうと、村の村長がユクモ村にハンターを派遣してほしいと頼んだのだ。それで二人が派遣された。
「地震の原因はラギアクルスというモンスターらしいけど、姉ちゃんはどう思う?」
「さあ、もしくは『ラギアクルスより強いモンスター』かもね」
「なにそれ怖い」
今のところは海竜ラギアクルスの説が有力だが、定かではない。
「さて、部屋行って荷作りしますか」
「あいよ~」
二人は、長い船旅を終え、モガ村に着いた。
船を降り、まず目にしたのは、大勢の村人と魚介類の並ぶ広場だった。
「ここがモガ村…村というより市場だね…」
リュウジがそう呟く、確かに村というより市場だ。
「まあとりあえず行きましょ…うわっ!?」
突然、大きな揺れが村を襲った。地震は十数秒ほど続いた。地震が治まり、村の住民が一気にざわつく。二人はそんな住民達の間を通り奥へと進み、村長らしき色黒の老人の所に向かった。
「あのう、貴方がこの村の村長ですか?」
リュウジが問うと、
「いかにも、ワシがこの村の村長だ。先程は見苦しい所をすまない」
村長は答えた。その後、トウガンが、
「改めまして、ユクモ村から派遣されました。トウガン・カザキリです。こちらは弟、リュウジです」
こういう時だけは礼儀正しいトウガン。
「うむ、はるばる遠くからよく来てくれた。わしのせがれと村に所属しているハンターを紹介したいのだが、モガの森へ二人とも出かけている。長旅で疲れているところ悪いが、見に行ってくれないか?」
どうやらハンターと村長の息子は不在らしい。二人は村長に彼らを探して来てほしいと頼まれた。ちなみにモガの森とは、この島に存在するフィールドの一つで、ギルドからは孤島と呼ばれている。
「わかりました。あと荷物はどこに…」
「それなら村の者達に運ばせよう」
リュウジが村長に伺うと、村長は答えた。
「ありがとうございます。じゃあ行くよ、リュウジ」
二人はモガの森へ向かった。
★★★
三十分後、村と森の間にある門をくぐり、エリア1に着いた。
「姉ちゃん、弾は?」
「あたしゃ女だよ」
「そっちの玉じゃねぇ、弾丸の方を聞いてんだ」
「LV1通常弾だけ」
「それだけか…まあいいや。独断行動は危険だから離れないようにしよう」
「クスクス、リュウジったらまだお姉ちゃん離れしてないんだ」
「(ウゼェ…)姉ちゃん、まずはキャンプを探そう。二人は多分そこにいそうだし」
トウガンの戯言を気にしたものの、的確な判断を言うリュウジ。村のハンターはともかく、村長の息子なら、安全なキャンプにいるだろう。
「まあそうだろうね、行こうか」
二人は東の方にあるキャンプらしき場所に向かった。
★★★
キャンプ
そこは、二人がいた場所から近かった。もちろん仮眠用のテントがあり、青い支給品ボックスと赤い納品ボックスがあるため、キャンプで間違いない。
「結構近かったなぁ」
「ん?誰かいるよ?」
リュウジが指を指すと、その先に体つきのいい男性がいた。おそらく村長の息子だろう。
二人はその人物の所に向かい、話しかけた。
「失礼します、お伺いしますが貴方は村長さんのご子息の方ですか?」
またトウガンが仕切った。
「ああそうだが君達は・・・あぁ、ユクモから来るっていうハンターさん達かい?」
「はいそうです。リュウジ・カザキリと言います。こっちは姉のトウガンです」
リュウジも負けずに仕切る。少しトウガンに睨まれたが気にしなかった。
「初めまして。改めてよろしく」
息子が握手を求めてきた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「お世話になります」
「さて、そろそろ村に帰ろうかな・・・っと、腹減ったな、二人とも、悪いがなにか食べ物を持ってたら分けてくれないか?」
息子が帰ろうとした時、グゥと彼の腹が鳴り、食事を求めてきた。
「そういえばリュウジ、たしか弁当あったよね?」
「あるけど、あれは俺よ…」
「あ・る・よ・ね?」
「う、うん、あるある…」
怖い笑顔で脅され、リュウジは自分の弁当を息子に差し出した。
「悪いな、じゃあいただきます!」
息子は弁当の箱を開け、食べ始めた。
★★★
「ごちそうさま。ありがとよ」
息子は食べ終わり、礼を言うと去って行った。これで残りは一人。
「次は村のハンターだけだね」
「私はキノコやハチミツを採りたいから一端別れよ、そんじゃね~」
トウガンは採取をしたいと言い残し、去った。トウガンは採取や採掘が趣味だ。
「あ、ちょっと!…って行っちゃったし…まあ大丈夫か、姉ちゃんだし。じゃあ探すか」
最後にリュウジがキャンプを後にした。
★★★
エリア6
そこは木々が茂る所だが、隅に大きな水たまりがある。エリア6はジャギィやジャギィノスという小型の肉食竜の住処だが、幸いジャギィどころかモンスターは一体もいなかった。
「よかった、戦闘が避けられて。さてここを探索したら、奥の方へ・・・ん?」
リュウジは辺りを見渡したら、何かに気付いた。水たまりに誰かがいた。リュウジは物陰に隠れて、その人物を覗いた。 よく見ると、その人物は裸だった。胸の辺りに大きな二つ山があるため、女性だ。その傍に鎧と大きな武器がある。彼女のものだろう。リュウジは女だと分かると顔が
自分の髪と同じくらい赤くなった。でも見ちゃうのが男の性。
「…誰?」
「ッ!?」
女性はリュウジの存在に気付き、水たまりから出て大きな武器を掴んだ。
「ちっ、違うんだ!こ、これは不可抗力で・・・」
リュウジは反論する。リュウジ、言い逃れはできんぞ。
女性は、白く長い髪に赤い瞳の小柄な少女だった。彼女の掴んでいる武器はスラッシュアックスの
一種、ボーンアックスだ。
「誰かって聞いてるの。名前は?」
少女は覗かれていた事を気にしていないようだ。
「り、リュウジ、リュウジ・カザキリ…」
「そう、私はセレン、。貴方は見た所ハンターの用だけど、ひょっとしてユクモ村から来るっていう?」
「そ、そうだよ。あとさ…」
「何?」
「服、着てくれないかな…?」
「・・・あ、着てなかった」
その後、セレンという少女は防具に着替えた。リュウジはもちろん背を向けるが、セレンは「なんで背中を向けるの?」と、質問する。彼女には恥じらいが無いようだ。
そして着替え終わって、
「はい、もういいよ」
セレンの言葉に、リュウジは振り向くと、彼女は初心者ハンター向けの装備、ハンターシリーズを着ていて、彼女の背にボーンアックスが装備されている。それがなにか恐い。
「セレンさんはハンターシリーズなんだ。俺よりいい装備だね」
「堅苦しいからセレンでいいよ。あと貴方のは見た事無い装備だね」
セレンはそう言いながらリュウジのユクモシリーズを見る。
「ああ、これは俺の地元の新米用装備なんだ。ハンターシリーズよりヤワだけどね」
「私から見れば身軽そうで良いと思うよ。リュウジってその武器や装備を見る限り、防御より回避を重視してるの?」
「うん、そうだよ。ところでセレン、君はなんでこんな所で水浴びを?ここは聞けば肉食竜の住処だそうだけど…」
リュウジはセレンに問う。リュウジの言う通り、エリア6は肉食竜の住処だ。ここで水浴びは危険すぎる。
「それなら大丈夫だよ。だって今はジャギィ達がここに戻る時間帯じゃない」
「へえ、セレンはモンスターの行動を把握しているんだね」
「私はここの事なら何でも知ってるよ。採取ポイントも全部わかる」
「それはすごいね。でもそれより今は早く村へ帰らない?村長さんが心配するよ」
「そうだね。そろそろ帰ろうか」
二人は村へ戻るためにエリア1に向かった
★★★
エリア1
エリア1に着いたら、キノコとハチミツの山を鞄に入れているトウガンの姿を見つけた。
「あ、姉ちゃん。」
「ん?リュウジじゃん。あれ?その子は?」
「ああこの子はセレン、モガ村のハンターだよ」
「初めまして。」
「へえ、この子が、可愛いねぇ」
「変なことしたり、教えないでね」
「あんたじゃないししないよ。・・・にしても胸大きい・・・」
トウガンはセレンの大きな胸を指摘し、物欲しそうな目で見つめる。セレンの胸に比べて、トウガンの胸は貧しい。
「姉ちゃん、どうしたの?」
「へぇへぇ、大きい方がいいんだろ?こっちだってちょっとはあるわ!無いってわけじゃねぇんだ
よ!」
「な、なに・・・?」
「姉ちゃんの悪い癖だよ。ほっといて行こ」
愚痴を言いまくるトウガンに怖がるセレンの手を引っ張って村へと戻るリュウジであった。
★★★
モガの村
「さて、せがれもセレンも戻ってきたことだし、二人の歓迎会でもしようか?」
日はもう暮れて夕方、村長が歓迎会をしようと言った。
「あの、いいんですか?俺達の為にそこまで・・・」
「気にするな、せっかく来てくれたのにこれくらいせんと失礼にも程がある」
「そうだぜ坊主!村長のお言葉に甘えて盛大に楽しもうぜ!」
戸惑うリュウジに気にするなと言う村長にどんちゃん騒ぐ村の住民。
「ここは参加するしかないね、とことん楽しむよ、私は」
トウガンは歓迎会を楽しむ気満々だ。リュウジはどうしようかと思ったら、誰かに肩を軽く叩かれる。
「ん?セレン?」
リュウジを叩いた人物はセレンだった。
「リュウジ、一緒に楽しもう?」
「・・・そうだね、楽しもう」
セレンの言葉に歓迎会に参加することにしたリュウジ。その後、トウガンとセレンは軽く自己紹介をし、リュウジは酔っぱらった村の男達に酒を無理やり飲まされそうになったのだった。歓迎会が終わ
った後、村長とその息子が、
「お前達の住む所だが・・・すまない、取れなかった・・・」
「すまん!本当にすまん!」
二人の部屋が取れなかったとの事だ。
「ええっ!?じゃあ俺達は野宿!?」
「そうですか」
驚くリュウジと対照的に無反応に近い反応をしめすトウガン。彼女は野宿でも気にしないタイプの人間だ。
「しかし、いくらなんでも野宿はあれだからある場所を用意している」
「ある場所?」
リュウジが問う。しかし野宿は避けられるからよかった。と、目では言っている。
「ああ、その場所は、セレンの家なんだ」
「へえ、セレンの家ですか・・・ってええっ!?」
村長の息子の言葉にリュウジは先程と同じように驚いた。
「せせせ、セレンの家!?」
「ああそうだが、気に入らなかったか?」
「い、いえ、そうじゃなくて、つまり女の子の家に泊まるって事ですよね!?」
「泊まるじゃなくて、暮らすだよ。」
「ああそうか・・・って暮らす!?」
トウガンが訂正した後、リュウジがまた驚く、絶叫担当だな。リュウジはウブだから女の子の家に泊まる事に抵抗がある。
「いやならリュウジだけ野宿でいいよ~、あたしは行くから」
「ち、ちょっと待ってよ!」
村長と息子に一礼をして去るトウガンに、同じように一礼をして、追いかけるリュウジであった。
★★★
セレンの部屋
「という訳でよろしく」
「よろしく」
「セレンは反対しないの?」
トウガンの話しを聞いてあっさり受け入れたセレン。
「野宿じゃ二人がかわいそう、だから一緒に暮らそう?私一人も心細いし」
「じ、じゃあお世話になります」
「よろしく、リュウジ」
セレンが笑顔を見せた。その笑顔はとても可愛い。リュウジは少し見とれかけた。
「でも寝るとこどうする?」
トウガンが寝床について聞く。
「私のベッドは二人までなら大丈夫だけど、一人はハンモックかな」
「そう?じゃあリュウジはハンモックね」
「言うと思ったよ。はいはい、そうしますよ」
トウガンとセレンはベッドで、リュウジはハンモックに決まった。
「・・・そろそろ眠い・・・」
寝床が決まった時、セレンがまぶたを下ろしそうになっていた。
「じゃあ寝ようか」
リュウジが言う。
「襲わないでね~」
「なんでだよ。誰が襲うか。あとハンモックはどこ?」
トウガンのジョークを聞き流し、ハンモックを探すリュウジ。その後、ランプの灯りを消し、眠りについた三人。明日はどんなクエストをするのだろう。とリュウジは思い、眠りについた。
どうも、作者のやーみんです。
勢いで書いた駄文ですが、よければ感想を下さると嬉しいです。
良い点を教えて下さると私のエネルギー源に、
悪い点を教えて下さると、良い物に仕上げるよう努力します!
そしてキャラ紹介↓
リュウジ
髪の色:赤
武器:太刀
主人公。幼いころからトウガンに頭が上がらない。
未熟な所もあるが狩りの腕は良い方。
親しい人間が危険な目に会うと必ず助けようとする性格。
トウガン
髪の色:深緑
武器:ボウガン
リュウジの姉。若干横暴な所があり、イタズラ好き。
よくリュウジをからかうが、大切に思っている。
目上の人間には礼儀正しい態度を取る演技派でもある。
狙撃の腕は良。
セレン
髪の色:白
武器:スラッシュアックス
ヒロイン。おっとりした天然ガール。
村の事を大切に思っており、謎の地震を解決しようと思っている。
モガの森、孤島の知識が豊富でモンスターの出現時間も把握している。
以上です。それではまた次回お会いしましょう。