姉弟ハンター奮闘記   作:やーみん

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~前回の三つの出来事~
・なけなしの報酬
・逃げ回る小人チャチャ
・いきなり子分にされる三人
~今回の装備~ リュウジ:ジャギィシリーズ・鉄刀 セレン:ジャギィシリーズ・ボーンアックス改 トウガン:クロスボウガン改


第6話 炭鉱婦と奇面っ子

「こりゃすごいな…」

 

 船を先に降りたトウガンの第一声がこれだ。

 

 目の前には数えきれないハンター達、丘には無数の風車、大規模な工房など、モガ村より賑やかな港だった。タンジアの港、それがこの港の名前だ。

 

「姉ちゃん、待って…」

 

 続いて降りてきたリュウジも港の光景に言葉が出なくなった。

 

「昔来た時より人が多くなってる気がする…」

 

 最後に降りてきたセレンが言葉を口にする。三人が何故ここへ来たのかと言うと…

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

「悪いな兄ちゃん、強化は無理だ」

 

 時はさかのぼり、リュウジが村の鍛冶屋に鉄刀の強化を要求した事から始まった。リュウジは鉄刀を、鉄刀【禊】に強化しようとしていた。しかし、鍛冶屋の職人が要求を断った。

 

「えっ、なんでですか?」

 

 リュウジは疑問に思い、職人に理由を聞いた。

 

「素材が足んねぇんだよ。氷結晶を持ってきな」

 

 リュウジが職人に用意したのは、鉄鉱石とマカライト鉱石。しかし職人の言う氷結晶は一つも無かった。

 

「その氷結晶ってどこにあるんです?孤島や砂原では見つかりませんでしたが…」

 

「そんな所にねぇよ、凍土にあるんだよ」

 

「凍土?そりゃ無理だ…」

 

 現在村のクエストには凍土のクエストが無い。

 つまり今のリュウジ達には氷結晶を手に入れる事ができない。

 

「じゃあ悪いが強化はできんな、出直してきな」

 

「とほほ…」

 

 リュウジは残念そうな顔をして落ち込んだ。

 

「おーい、リュウジ、強化はできた?」

 

 それと同時に、防具を試着するために用意された更衣室からトウガンが出てきてリュウジに声をかけた。彼女の後ろから、いつものハンターシリーズではなく、ジャギィシリーズを装備したセレンがいる。

 

 実はセレンは鍛冶屋に生産を頼んでいたジャギィシリーズを着に来て、トウガンはそのお供だ。

 

「あ、姉ちゃん。氷結晶が足りなかった…」

 

 リュウジはどんよりオーラを出しながら話す。

 

「ありゃありゃ、それは残念だね」

 

「当分は鉄刀一筋で頑張るか、別の太刀でも作ろうかな…」

 

 リュウジのどんよりオーラの量が増してきた。すると、

 

「ねえリュウジ、ひょっとしたら氷結晶が採れるかもしれないよ?」

 

「えっ、何だって!?」

 

 リュウジはどんよりオーラを一瞬で消し、セレンに近づいた。

 

「船着き場に小さな船があって、そこの近くにいるアイルーに話しかけてみて」

 

「船着き場に船?ああ、村に来た時にも確かにあったね。じゃあ行ってくる!」

 

 リュウジは猛ダッシュで鍛冶屋を後にした。

 

 そして、船着き場には東洋風の服装で、ちょんまげ頭で背に短刀を差したアイルーが釣りをしていた。リュウジはそのアイルーに話しかけた。

 

「ねえ君…」

 

「ゼヨ?オイラに何か用かゼヨ?」

 

 口調が「ゼヨ」のアイルーが釣りを止めてリュウジに振り向く。

 

「氷結晶が欲しいんだけど…」

 

「氷結晶?そんなの持ってな…ああ、そういう事ゼヨね」

 

 リュウジの頼みにアイルーは何か思いついたようだ。

 

「港へ行くゼヨね?じゃあ乗っていくゼヨ!」

 

 アイルーはそう言うと、リュウジの手を引っ張って船の中に引き入れた。

 

「え?ちょっと、俺は…」

 

「待って、私達も乗るよ」

 

 リュウジが言うより先に、セレンが言葉を放った。

 

「リュウジ、その子は剣ニャン丸。村より遠くの港に連れてってくれるアイルーなの」

 

「そ、そうなんだ。でもなんで港に行く必要があるの?」

 

「港なら村では受け付けてないクエストが受注できるの、今の私達のレベルだったら、凍土の素材ツアーぐらい受けられるよ。」

 

「言われてみれば確かに…」

 

 セレンの言葉にリュウジは納得した。

 

「剣ニャン丸、港へ連れてってくれないか?」

 

「承知だゼヨ!」

 

 剣ニャン丸は胸を軽く叩いく。

 

「お~い、置いてくなよ~!」

 

 すると、片手でチャチャを掴んだトウガンがこちらにやって来た。

 

「港へ行くなら私も連れて行きなさい!」

 

「気持ちよく寝てたのにいきなりなんだっチャ…」

 

 港へ行きたがるトウガンに、フラフラ状態のチャチャ。

 

「三人と一匹で港へ行くゼヨね?準備するから乗るゼヨ!」

 

「あ、ゴメン、装備着て来るからちょっと待ってて」

 

 リュウジはそう言うと、船から離れ、家へ向かった。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

「お待たせ!」

 

 急いで戻ってきたリュウジの姿は、ジャギィシリーズを着ていた。

 

「リュウジと私の装備って、おそろいだね。こういうのってペアルックって言うんだっけ?」

 

 今セレンの来ている装備はジャギィシリーズ。リュウジと同じだ。

 

「そ、そうだね」

 

 ペアルックと言う単語に顔を赤くするリュウジ。

 

「赤くなってないで、早く乗ったゼヨ!」

 

 リュウジは再び剣ニャン丸に手を引っ張られて船に乗せられた。そして、船は港へと向かった。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 そして数日かけ、港へとついたのだ。

 

「さて、中央の方へ行こうかな。受付そこにありそうだし」

 

「ちょっと待って」

 

 トウガンが向かおうとしたら、リュウジが呼び止めた。

 

「そんな格好で行くつもり?初心者丸出しに見えるよ?」

 

 リュウジはそう言ってトウガンの装備を指摘した。彼女の装備はアシラシリーズではなく初心者向けのレザーシリーズだ。

 

「なに言ってんの、採掘ならこの装備でしょ?」

 

 トウガンはどんなもんだい、と言わんばかりの顔で装備を見せる。

 

「はぁ、じゃあくれぐれも笑われる事しないでね?」

 

 そんな会話をして、三人は港の中央に向かった。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 中央へ向かうと、食堂の方に色んな具の入った巨大な鍋があり、ハンターの人数が船着き場以上に多かった。

 

「受付は…あった、あそこだ」

 

 トウガンはハンター達の間から、受付を見つけた。

 

「じゃあ行こうか、迷子になるなよ」

 

 トウガンが、二人と離れないように手を繋ぎ、受付へと向かった。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

「こんにちは!初めて港のクエストをご利用する方ですか?」

 

 到着すると受付嬢が笑顔で温かく迎えてくれた。

 

「はい、凍土の採取ツアーへ行きたいのですが、ダメですか?」

 

「いえ、あなた方のハンターランクでしたら大丈夫です。」

 

 トウガンの質問に、受付嬢は答える。ハンターランクとは、ハンター達の実力の証拠みたいな物で、ランクの数字が高いほど、強いモンスターと戦える権利が貰える。

 

「そうですか、では受注させていただきます」

 

トウガンは、凍土の素材ツアーを正式に受注した。

 

「それでは、ご武運を祈っております!」

 

受付嬢の応援を聞いて三人はクエストへ行くための門をくぐり、凍土へと向かった。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 凍土

 ベースキャンプ

 

「う~っ、寒い!」

 

「こんな寒さ程度で根を上げるとは、情けないっチャ!」

 

 トウガンは身体を震えさせる。レザーシリーズは動きやすさ優先なので、結構寒く感じている。二人は比較的トウガンより寒く感じていない。

 

 そしてチャチャは体質のおかげなのか震える様子も無い。

 

「確かに寒いね。キャンプを出たらスタミナを奪われそうだ。」

 

 寒い地域では、対処をしない限りスタミナを奪われる。そうなると、スタミナの消費が激しくなってしまい、狩りに支障が出る。

 

「そうだね。外へ出たら対処しなきゃ」

 

「じ、じゃあ行こっかね…」

 

 トウガンは身体をブルブルさせて外へ出た。そして二人も一緒に出た。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 エリア1

 

 外へ出ると、モンスターはいなかったが気温がより下がった。

 

「~~~ッ!」

 

 寒がっていたトウガンには大ダメージで、身体をより震えさせ、声が出なくなった。

 

「はい、ホットドリンクだよ」

 

 すると、セレンはトウガンにホットドリンクを渡した。ホットドリンクは、寒い地域で狩りをする際には必需品とも言えるアイテムだ。

 材料にトウガラシを使っているために辛いが、飲めば身体の芯から暖まり、長い時間その効果が持続する。

 トウガンはホットドリンクを貰うと、一気に飲み干した。

 

「…アッ~!辛い!!でも暖まる!」

 

 まるで寒いのが嘘かのように身体をブンブン動かした。

 

「よし!効果が切れる前に洞窟へレッツゴー!」

 

 トウガンの場合はテンションが上がるようで、地図を取り出して少し確認して、洞窟の位置を把握したら、ハイスピードで向かった。

 

「…トウガンってホットドリンク飲んだらああなるの?」

 

「いや、あれで初めで知った」

 

「子分がパワーアップする事はいい事っチャ!」

 

 取り残された二人と一匹は、そんなことを言いながらトウガンを追った。そしてポポと言う大型の草食モンスターのいるエリア3に入り、そのエリアに存在する洞窟に入って行った。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 エリア5

 洞窟の中には採掘ができる所が複数あった。

 

「ここに氷結晶が…ん?」

 

 氷結晶があると聞いて少し心が踊るリュウジだが、そのポイントの周辺に何か白く小さい物体が動いていた。

 

「なんだアレ?」

 

「あんなんほっといて、早く掘りに行ったら?」

 

 トウガンはリュウジに気にするなと言う。

 

「それもそうだね、ちょっと行って来る」

 

 リュウジは白い物体を気にせずピッケル片手に採掘ポイントへと向かった。そして掘ってみると、氷のように似ているが、溶ける事の無い鉱物が出てきた。

 

「やった、氷結晶だ!」

 

リュウジは氷結晶を掘り当てると、喜んだ。しかし、白い物体が近づいてくる。リュウジはそれに気づいていなかった。

 

「ギィ!」

 

 白い物体は、自分の身体の面積以上に口を大きく開けてリュウジに飛びかかった。

 

「うわっ!」

 

 その物体の牙がリュウジの脇腹に食い込んだ。

 

「イテテ!なんだコイツは!?」

 

 リュウジは物体を引き離すために辺りに転がり回る。それで引き離すことに成功したが、物体は先程より大きく膨らんでいた。

 

「この野郎!」

 

 膨らんだ物体に対してリュウジは鉄刀を振り下ろし、物体に引導を渡した。

 

「なんだよコイツは…」

 

 リュウジは真っ青な顔で鉄刀をしまう。するとトウガンが、

 

「コイツはギィギって言う飛竜種の幼体らしいよ」

 

 モンスター図鑑を見ながらリュウジに近づく。ギィギ、主に凍土に生息する飛竜、ギギネブラと言う飛竜の幼体だ。ほかの生物の血を吸って成長し、その際には大きく膨らむ。

 

「これが飛竜?見た目がゾッとするな…」

 

「まあコイツはほっといて、他の所も掘ったら?まだまだ欲しいんでしょ?」

 

「そうだね。他も周るか」

 

 リュウジはエリア5の採掘ポイントを周ることにして、必要な数の氷結晶を掘り当てた。

 

「よし!これで強化ができる!」

 

「おめでとう、リュウジ」

 

「チャチャ、オレチャマの子分ならそのくらいできて当然っチャ!」

 

「よし、この調子で他のエリアも行ってみよう!」

 

 氷結晶を集めたが、トウガンが笑顔でそんな事を言い出した。

 

「えっ、氷結晶は集めたからこれ以上は必要ないけど…」

 

「凍土と火山言えば鉱石の宝庫!炭鉱婦の私としては夢の場所!だからもっと掘りまくろう!」

 

 トウガンはテンションを高くしてピョンピョンと跳ねる。

 

「炭鉱婦って…姉ちゃんハンターだろ?」

 

「行かないのなら私だけでも行く!待ってろ、鉱石達よ!!」

 

 そう言うとトウガンは、洞窟の奥へ走って行った。

 

「ちょっと待ってよ…って、行っちゃった…」

 

「今日のトウガンって、ちょっとおかしくない?」

 

「ああ、そうだね…でもちょっとってレベルかな?」

 

「お前達も早く行くっチャ!」

 

 リュウジ達は奥へ行くことにした。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 エリア7

 

 そこは、先程のエリア5より明るい場所だった。近くには洞窟の出口がある。リュウジ達はその場所に着いた時、突然銃声がエリア全体に響いた。

 

「姉ちゃん!」

 

 なぜなら、トウガンがモンスターと戦っているからだ。その相手は鳥竜種モンスター、バギィだ。青白い鱗が特徴的で、どんな獲物でも昏睡させる液体を口から吐き出す。

 

リュウジ達はトウガン援護のため武器を出しておよそ八頭のバギィに立ち向かった。

 

「らあっ!」

 

 リュウジは一頭のバギィに狙いを定め、鉄刀を振り下ろし、突く。

 

「ギャッ!」

 

 倒すまでには至らなかったが怯ませる事に成功した。その間にリュウジはトウガンに近づいた。

 

「ゴメン、巻き込んでしまって」

 

「別にいいよ、でも今はコイツらを始末するのが優先だ」

 

 トウガンの謝罪を聞き、リュウジは鉄刀を握り直して先程怯ませたバギィに迫った。

 

「でやっ!」

 

 そして鉄刀を振り下ろし、バギィを一頭討った。

 

「はあっ!」

 

 セレンはボーンアックス改を振り回し、バギィ達を圧倒した。

 

「チャチャ~!」

 チャチャも武器を振り回し、バギィの頭を叩くが、あまり効いていなかった。しかしトウガンがLV2通常弾でそのバギィを討った。

 

「トウガン!オレチャマの獲物を横取りするなっチャ!」

 

「でも苦戦してたんじゃない?」

 

「うっ、グググ…」

 

 チャチャは抗議するか、トウガンの言葉に反論ができなかった。

 

「姉ちゃん、チャチャ、話をしてる場合じゃ…」

 

「ギャア!」

 

 リュウジが注意をしようとした時、一頭のバギィが口から青白い液体を放ち、リュウジの頭にかけた。

 

 

「うわっ!…うぅ…」

 

 するとリュウジは眠気に襲われ、武器を落としてしまい、そして倒れて眠ってしまった。バギィの睡眠液だ。

 

「リュウジ!」

 

 セレンが駆け寄るも、不意打ちにバギィの睡眠液が飛んできて、セレンにもかかってしまった。

 

「そ…んな…」

 

 そしてセレンも倒れてしまった。

 

「二人共…」

 

 これで二対六、眠ってしまった二人を守らなければならないのでトウガン側が圧倒的に不利だ。

 

「チャチャ!」

 

 その時、チャチャが急に踊りだした。

 

「チャチャ!?急に何を…あれ?」

 

 すると、トウガンは力が湧いてくるような感覚を感じた。

 

「これってまさか…」

 

 トウガンはLV2通常弾を再装填し、一頭のバギィに狙いを定め、頭に三発撃ち込んだ。

 

「ギャアッ!」

 

 そのバギィは全ての弾丸を受け、吹き飛ばされ、動かなくなった。

 

「やっぱり…!」

 

 先程はバギィを倒すのにLV2通常弾を四発使用したが、今は三発で倒せた。おそらくチャチャの踊りは見た者に特殊な加護を与えるのだろう。きっと力を上げる以外にも体力を回復させる物もあるだろう。

 

「ありがとうチャチャ、じゃあ行きますか!」

 

 トウガンはLV2通常弾を再装填し、他のバギィの銃口を向けた。

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 一時間後、ベースキャンプにて

 

「ひどい目に遭ったよ…」

 

「不覚…」

 

 トウガンがバギィ達を討伐したと同時にリュウジ達は目を覚まし、ベースキャンプへと戻っていた。

 

「いやぁ、帰りに寄り道して色んな鉱石ガッポリだよ」

 

「オレチャマもいい石をいっぱい拾ったチャ!」

 

 落ち込んでいる二人に対し、トウガンとチャチャは幸せそうな顔(チャチャは仮面をつけているので分からない)でポーチいっぱいの鉱石をまじまじと眺めていた。

 

「姉ちゃんとチャチャはいいね、うらやましいよ」

 

「でしょう?でもあんたも欲しい物は手に入ったでしょ?」

 

 トウガンはそう言うと、リュウジのポーチを指差す。

 

「それもそうだね。じゃ、帰りますか」

 

 そして三人と一匹は帰りの迎えを待つことにした。リュウジは武器の強化に対する期待を膨らませながら。

 




今回リュウジ達が行った場所はタンジアの港と凍土。
睡眠がウザいと評判のバギィに巻き込まれます。
しかし港の描写が難しい…

※今までサボってました、すみません。
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