姉弟ハンター奮闘記   作:やーみん

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~前回の三つの出来事~
・舟を直すためにロアルドロス討伐へ
・水ブレスにスタミナを奪われれる一行
・恐るべき果実、ウチケシの実

~今回の装備~
・リュウジ…ルドロスシリーズ・鉄刀【神楽】
・トウガン…フロギィシリーズ・ロアルストリーム
・セレン…アシラシリーズ・ボーンスマッシャー


第8話 彩鳥の音色

 

 

 

ある所に小さな村があった。村には一人の幼い女の子がいて、村の皆の人気者だった。裕福ではなかったがいつも平和な村は女の子にとって大切な場所で、その平和が永遠に続く事を望んでいた……

 

 

 

 

★★★

 

 「むにゃ…セレン、おは…」

 

 早朝、トウガンが目を覚まして隣で寝ているセレンに顔を向けると、そこには三角座りになって顔を隠しているセレンがいた。まるで塞ぎ込んでいるかのように。

 

 「…どうしたの?」

 

 セレンの様子を見て、トウガンは心配になり声をかける。セレンはその声を聞いて目を腕で擦りながらトウガンを見た。

 

 「トウガン、起きてたの?おはよう」

 

 セレンは笑顔で話すも、その目は少し濡れている。

 

 「お、おはよう…本当にどうしたの?」

 

 「ううん、なんでもないよ。ちょっと怖い夢を見ただけだから。それよりリュウジを起こして朝ごはん食べ

よ?」

 

 目を再び擦りセレンは、トウガンを通り越してリュウジの眠るハンモックへ向かう。

 

 「セレン…」

 

 トウガンは彼女に対して疑問を浮かべ、心配した。

 

 

 

★★★

 

 

 

「え、セレンが泣いてた?」

 

その後一行は素材採取のためにモガの森へ出かけ、リュウジとトウガンはセレンと別行動し、早朝に起きた出来事をトウガンはリュウジに話した。

 

「そう、アレは絶対過去に何かあったんだ。詮索するつもりは無いけどアンタにも話そうと思ってね」

 

「だとしたら、本当に何があったんだろう?」

 

セレンを大切に思う二人は心配する。できるなら力になりたいと思っている。

 

「そういうことだからリュウジ、あの子の事を大切にしよう」

 

「ああ、わかってるさ」

 

二人は話を終えるとセレンと合流し、村に帰った。

 

 

 

★★★

 

 

 

 次の日、一行は砂原に来ていた。目的は“彩鳥”クルペッコの狩猟だ。クルペッコはモンスターの鳴き真似が得意で、違う種類のモンスターを呼び寄せる事ができる。

 

その対策として、トウガンはリュウジとセレンに音爆弾を持たせた。音爆弾は、投げると甲高い音を発する。クルペッコは鳴いている時、その音を聞くと驚いて鳴くのを止めてしまう。

 

しかし音爆弾とクルペッコの距離が遠すぎると効果は無い。ポジション的に考えて、常にモンスターに迫るリュウジかセレンに持たせる方が良い。

 

作戦の内容は、チャチャを囮に回してクルペッコが油断している所を一気に叩く寸法だ。その際にチャチャが文句を言ったが、トウガンがうまく言いくるめてチャチャを説得した。

 

そして一行の装備は、リュウジは水獣の素材を使用したルドロスシリーズを防具に、鉄刀【禊】を強化した鉄刀【神楽】を武器に持つ。

 

 トウガンは機動性を考えて作られたフロギィシリーズと水獣の皮等を素材にしたロアルストリームを装備し、セレンは以前トウガンが着ていたアシラシリーズを生産、ボーンアックス改を強化したボーンスマッシャーを装備している。

 

 

 

★★★

 

 

 

そして一行がエリア4まで移動すると、遠くの方で大きなモンスターが歩いていた。その姿を見て一行は岩陰に隠れる。

 

それは虹のように鮮やかな羽毛を持ち、その鼻はラッパのようになっていて赤い胸を持つ。間違いない。あれがクルペッコだ。

 

「いけっ、チャチャ」

 

トウガンはチャチャの背中を押してクルペッコに近づかせた。

 

「へ、ヘイ!そこのデカっ鼻!」

 

チャチャは逃げ腰でクルペッコに寄る。クルペッコはチャチャの存在に気付くと鳴いた。

 

「クワッ!」

 

「ヒッ!?」

 

クルペッコの威嚇にチャチャはやや怯える。しかしチャチャは逃げようとしなかった。

 

「そ、そんなの怖くないっチャ!オレチャマをビビらせたいならもっと凄い声で鳴けっチャ!」

 

チャチャは意地を張って挑発する。クルペッコはそれに答えるかのように息を吸い込むと、先程より大きな声で鳴く。

 

「クゥワァァァ!!」

 

「ヒエェッ!」

 

威圧を感じられる声を聞いたチャチャは腰が抜けたらしく、その場に座り込む。クルペッコの眼にはチャチャ

しか映っていない。

 

「せやっ!」

 

三人はクルペッコの後ろに回り込み、リュウジの鉄刀【神楽】がクルペッコを斬りつける。

 

「クゥッ!?」

クルペッコは襲撃に驚き、後ろを向くと、何かが顔に当たる。

その何かは派手な色の液体となり、強烈な匂いを出す。トウガンのクロスボウガン改から発射されたペイント弾だ。大型モンスターを追跡する際は、こういった物を使えば逃げた場所を特定できる。

 

「せいっ!」

そしてセレンのボーンアックス改がクルペッコの胸に振り下ろされる。クルペッコは連続の攻撃に後ずさる。三人は当然それを見逃さず、リュウジとセレンは迫り、トウガンは他の弾を装填する。

 

リュウジがクルペッコを先に攻撃し、セレンはその間にボーンスマッシャーを斧モードから剣モードに切り替える。

 

 「どいて!強いのするから!」

 セレンの言葉を聞いてリュウジは後退する。そしてセレンはボーンアックス改を構えるとクルペッコに突き刺す。

 

 「はあぁぁぁっ!」

 

 ボーンスマッシャーが振動すると、その後に刺した所が爆発する。

 

 「クエェェッ!?」

 

 そしてトウガンのロアルストリームからLV2通常弾が発射され、

クルペッコに当たる。

 

「クエッ!」

 

 大きなダメージを受けたクルペッコは、いきなり胸を大きく膨らませる。演奏をするつもりだ。

 

 「させるかよっ!」

 リュウジはポーチから音爆弾を一つ掴み、クルペッコに向かって勢いよく投げる。そして甲高い音を発し、

 

クルペッコはそれに驚いて怯んでしまう。

 

 「やってやるっチャ!」

 チャチャは腰が治ったらしく、立ち上がるとクルペッコに迫り、棍棒で足下を殴る。

 

 リュウジとセレンも怯んだ状態を狙って攻撃を叩きこむ。トウガンも加勢して弾倉に残るLV2通常弾を全弾撃つ。

 

 「クワッ、クエッ!」

 クルペッコは危険と判断したらしく、近くにいる二人とチャチャを押しのけてエリアの真ん中まで走る。

 

 そして翼を羽ばたかせた。逃げるつもりだ。トウガンは弾を再装填しているので追い打ちができない。クルペッコは上空まで羽ばたくと、飛び去った。

 

 「チッ、逃げられたか…」

 リュウジは舌打ちをすると、鉄刀【神楽】に砥石を当てて砥ぐ。刃こぼれしている状態で攻撃しても無意味なだけだ。

 

「慌てないで、追いかければいい話だよ。」

 

「そうそう、ペイントも当てたから大丈夫だって」

セレンはリュウジと同じく自分の武器に砥石を当て、トウガンは残弾の確認をする。

先程まで激しい動きをしたセレンの息は荒く、スタミナを消費している様子だが、同じく激しい動きをしたリュウジはあまり疲れを見せていない。

 

 なぜならルドロスシリーズのスキル、ランナーが発動しているからだ。このスキルは走るなどをすることで減少するスタミナを抑えると言うものだ。

 

「ふぃ~、それにしても怖かった…じゃなくてあのデカっ鼻鳥、よくもオレチャマをコケにしやがって…許さんっチャ!」

 

 チャチャはクルペッコ相手に怒りの炎をメラメラ燃やし、気合を入れている。そして一息つくと、一行はクルペッコを追いかけた。

 

 

 

★★★

 

 

 

 エリア3

 

 ここには水辺があり、種類を問わずあらゆる生物が自らの喉を潤すために集まってくる。

 

その水辺あたりにクルペッコが三頭のジャギィと二頭のジャギィノスに囲まれていた。体格ではクルペッコが

勝っているが、頭数ではジャギィ達に負けている。

 

 一行は物陰に隠れ、その様子を見ていた。ジャギィ達がクルペッコを攻撃し、ダメージを与えてくれるかもしれないからだ。

 

 しかし、ダメージを与えるとしてもごく僅かだろう。だがそれでもダメージには変わりない。

 

ジャギィ達はギャアギャアと咆えてクルペッコを威嚇し、今にも跳びかかりそうな状態だ。それに対し、クルペッコは反撃の手段として胸を膨らませる。また演奏する気だ。

 

(止めさせてこい!)

 

(手間を増やさせてたまるかっ!)

 

トウガンとリュウジはアイサインを交わし、リュウジは物陰から飛び出し、音爆弾を握りしめて猛ダッシュでクルペッコに迫る。クルペッコの鼻がトランペットの様に大きく広がる。

 

距離はまだ遠い。

 

そのトランペットから低く太い、重量のあるモンスターの唸り声が飛び出す。

 

やっとジャギィ達の所まで距離が縮んだ。

 

モンスターの唸り声はエリア中…否、エリア外にまで響き、クルペッコの演奏を間近で聞いていたジャギィ達は警戒して後ずさる。

 

 リュウジはジャギィ達を追い越して、遂にクルペッコの許まで辿り着いた。勢いよく音爆弾を投げつけ、演奏中のクルペッコの鼻先まで飛んだ。

 

 あとは音爆弾が爆発し、クルペッコの迷惑な野外ライブが終わる。

 

 と、思いきや、音爆弾が爆発する前にクルペッコは演奏を終えたらしく、膨らんだ鼻と胸を元に戻した。

そして音爆弾が破裂して甲高い音を鳴らす。しかし、歌い終えたクルペッコには全く効果が無かった。

 

音爆弾が不発になっただけでなく、リュウジはクルペッコとジャギィ達に囲まれた。この場に居るモンスター達の矛先は全てリュウジに向けられている。

 

「嘘だろっ!?」

 

リュウジは慌て気味で鉄刀【神楽】を振り、一頭のジャギィノスを斬る。しかしその後ろでジャギィが鋭い爪でリュウジを切り刻もうとしていた。

 

だがそれは一発の弾丸で止められ、時間差で飛んできた弾丸によってそのジャギィは倒される。LV2通常弾だ。

 

そしてセレンがボーンスマッシャーを持ってリュウジの方へ向かって走り、その援護としてトウガンがセレンやリュウジに近寄るジャギィを蹴散らす。

 

「リュウジ!大丈夫?」

 

セレンが心配そうな顔でリュウジに近づく。

 

「ああ、何とか…でもゴメン、しくじったよ…」

 

「そんなのは後、早くなんとかしよう」

 

リュウジは申し訳ないように謝るが、セレンは気にしておらず、ボーンスマッシャーの柄を握りしめてクルペッコに叩きつける。

 

「クワァッ、カカッ!」

クルペッコは両翼に付いてある硬い突起物を叩きつける。そこから火花が飛び散る。

 

そしてリュウジとセレンに跳びかかった。当然二人は横に跳んで回避するが、回避できなかったものがいる。

 

「チャチャ!デカッ鼻め、今度こそ…って、え?」

 

チャチャがクルペッコの目の前に飛び出してきて、その翼を叩き合わせた際に出る爆発に運悪く巻き込まれた。

 

クルペッコの両翼には発火性の突起物があり、それを叩き合わせることで小規模の爆発が発生する。この突起物は“火打石”と呼ばれ、武器の素材とされている。

 

「ウギャアァァァッ!熱イィィィッ!!」

 

爆発によって全身火ダルマになったチャチャは水辺にゴロゴロと転がる。

 

その間にリュウジとセレンはクルペッコに攻撃を与え続け、トウガンは三頭のジャギィ達を倒した。残りは一頭だけだ。

 

「ギャオ!」

 

「プハアッ、またヒドイ目に…ヒエッ!」

 

 最後の一頭であるジャギィノスは、火を消して起き上がったチャチャに迫っていた。その近くで岩のような突起物がゆっくりと動いている。

 

 「チャチャ、伏せて!」

 

 トウガンはチャチャに指示を出し、弾が切れた弾倉を再装填する。突起物が徐々にジャギィノスに近づいているが、トウガンはそれに気付いていない。

 

「ギャアッ!」

 

再装填を終わらせる前にジャギィノスの牙がチャチャに迫る。このままでは噛み付かれてしまう。

 

「チャチャ!」

 

トウガンが叫ぶが、それではジャギィノスは止まらない。牙がチャチャの目の前まで迫った。

 

しかし、その牙がチャチャに触れる事はなかった。

 

ジャギィノスが獲物を噛み付く前に、突起物が飛び出し、ジャギィノスを吹き飛ばしたのだ。

 

チャチャはその衝撃破で吹き飛ばされる。その突起物の正体はモンスターの頭の先端で、岩の様に硬い。

 

大きな体格に茶色の甲殻を持ち、身体のあちこちに泥を纏っている。見方を変えれば鎧のようにも見える。

 

このモンスターこそがクルペッコが歌で招いた客、“土砂竜”ボルボロスだ。




今回の相手はクルペッコです。
コイツには困ったもので、いつもイビルジョーを呼ばれてました(笑)。

ボルボロスの事は次回に紹介するとして、冒頭でセレンに伏線があります。
セレンの秘密とは?その事は後ほど
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