宮藤芳佳の孤闘~第二次ネウロイ大戦異話~ 作:芳佳ファン5号
現在出張のような物でブリタn……イギリスにおります。あんまり書いてる時間が無かったので今回は特に短いです。
怪異。
それは古代より人類と敵対してきた謎の者たちだ。
我が祖国、扶桑も遥か昔からそれらと戦い続けてきた国の一つで、私が生まれてからも二度、対怪異戦争を行っている。
私も怪異から祖国を守りたいとの思いで海軍士官学校に入学し、十年前の第二次大陸戦争で初めて実戦を経験した。
当時の扶桑海軍には最新鋭の戦艦が四隻在籍していた。
ブリタニアの最新技術を用いて建造された敷島型戦艦だ。
彼女たちの姿は勇ましく、怪異など造作もなく殲滅出来ると当時は誰もが考えていた。
しかし、結果は辛勝だった。
陸の怪異の頑強さが予想を遥かに越えていたのだ。
自慢の巨砲があっても、大量の副砲があっても、射程外の陸上では支援のしようがない。
私たちは祖国を思う若い陸軍の兵士たちや魔女たちが死ぬのをただ聞いている事しか出来なかった。
──だから、少し嬉しかったのかもしれない。
「おい聞いたか、欧州で空飛ぶ怪異が出たらしい──」
「ああ、何でも海上を飛んでブリタニアも軽微だが被害を受けて──」
「扶桑海軍もどうやら──」
そんな噂が囁かれだした時、私の心は確かに弾んでいた。
(『ネウロヰ大戰二於ケル主戰線要攬』……これに載ってると良いんだけど)
気絶してからそのまま寝てしまった裕子ちゃんを部屋に入れてから十分後、私は図書室にいた。
「あった!」
ヴィルヘルム・スハーフェン。
彼の本曰く、カールスラント有数の港湾都市らしい。
「──それで、教官が言ってたのはこの戦いかな?」
その戦いは1918年、終戦の直前に発生している。
「扶桑海軍所属のウィッチ六名、カールスラント陸軍所属のウィッチ四名が戦死……」
ヴィルヘルムスハーフェンにてネウロイが突如大量に出現。ほとんど人類が領土を奪還していたヨーロッパにおけるネウロイの最後の足掻きは、連合軍ウィッチ十名の犠牲により防がれた、らしい。扶桑のウィッチが死んだ記述はここにしか無いから、教官の戦友もここで戦死したんだろう。
しかし、この書籍は私に更なる謎を与えた。
「……何で教官がここに反応したんだろう」
ヴィルヘルムスハーフェンの項目、というかネウロイ大戦の戦績には金剛の「こ」の字も出てこないのだ。
「裕子ちゃんの勘違い……?」
いや、あの子は優秀だ。
特に物の記憶を得意とする彼女がそんな勘違いをするだろうか。
しかし、念のため調べてみても金剛型戦艦の三隻共欧州には派遣されていない。派遣された大型艦は旧式の戦艦薩摩や富士が精々で、後は駆逐艦や補給艦ばかり。
じゃあ、何で教官は──
「おい、芳佳」
足元からやたら老けた声が聞こえ、私は現実に引き戻された。
「何?兼定」
それは、使い魔の兼定だった。
久しぶりに話す気がするのは気のせいかな?
毎日話してるからその筈なんだけど。
「何、じゃない。お前の教官の様子がおかしいから偵察してきてやったんだ」
「へえ、今日は覗きじゃなくて偵察なんだ」
あの兼定が覗きとかアレな事以外をやるとは、と私は素で驚いた。
この色ボケ使い魔は自分の外見を利用して、いつも美人の部屋に上がったり、あまつさえ入浴すらする事もあるのだ。
「ヤバい気配があったからな。俺も今日は真面目だ」
あ、自覚は一応あるんだ。
おっと、そんなことより。
「で、教官がどうしたの?」
「そうそう、そっちが本題だ。あの女、何か知らんが飛行機に乗せられてたぞ」
「へー。…………え?え!?」
驚いて窓に駆け寄る。
そこには、目を閉じた教官と何者かが乗った飛行機が離陸していく姿があった。
フォーン……フォーン……コオンッ……
周囲に魔法力を数秒おきに放出する。
この時、うまく球状に出さないと反応が分かりにくくなるから気を付ける。
(距離は二〇〇を維持っと……夜に飛ぶのも久しぶりだなぁ)
初めて夜間に飛んだときは本当に怖かったのを思い出す。
それこそエイラさんやサーニャちゃんが一緒に飛んでくれなければ、この美しい夜空も一生知らなかっただろう。
──サーニャちゃん。
ネウロイとの戦争が終わった時、彼女は国に帰ったらご両親と会うんだと言っていた。
別れた時は、あんな戦争が起こるなんて思ってもみなかったから、「またね」って言っていたのを思い出す。
そして、それがサーニャちゃんと直接会った最後の記憶だ。
ご両親に会えた事は手紙で知っているけれど、直後に戦争が起きて結局会えずに私の人生は終わってしまった。
二十歳になったら、ウィッチをやめて父と音楽を演奏する。
それが最後の手紙の内容だったが、その後の彼女の事を知ることも遂ぞ無かった。
(でも、サーニャちゃんは私のこと、知ってたんだろうな)
扶桑の軍部が私の「戦い」を「英雄」として喧伝されていた様に、オラーシャの軍部は私を「殺人者」として大きく報道していたはずだ。
(もしサーニャちゃんと会ったら、ちゃんと謝ろう)
私はサーニャちゃんの同胞を、たくさん殺した。
謝るだけじゃ済まないだろう。
だから、私はサーニャちゃんに対する償いもしよう。
もちろん「前」の事を「今」のサーニャちゃんは知らないだろうけど、それで良いんだ。
(あと、お礼もね)
私が今こうして教官を追えているのもサーニャちゃんが教えてくれた技のお蔭だしね。
……それにしても、あの飛行機は教官を載せてどこに行くんだろう。
もう基地を出てかれこれ二時間は飛んでいる。
下を見ると二つの湖を仕切るような砂州が続いていて、その先は……
「あれ、これって第三航路……?」
慌てて地図を思い出す。
そういえば、さっき川の上を飛んでいた気がする。
でも何で訓練用航路なんかを飛ぶんだろう。
『芳佳。前の飛行機、少し様子がおかしい』
『え、本当?……本当だ。ありがとう兼定』
兼定と頭で会話する。
確かに言われてみれば、こんな何も無いところで前の飛行機が降下を始めているのがわかる。
下を見ると砂州がもうすぐ終わる所で、既に荒漠地帯だ。
と、その時だった。
「え!?」
『っ!?』
教官が、複座の飛行機から突き落とされた。
Q、展開が急すぎて何がなんだかわからない
A、すみません