ゲート 彼の地にて、斯く戦えり×紺碧・旭日の艦隊。

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7月も終わり数日たったというところで、日本の帝都・東京は銀座に古代ギリシャを連想させる建築物が突然現れた。
その建築物の扉が開かれると、中から異形の存在…人間もいるが、翼竜や人外が流れ込むように飛び出てくる。
だが、彼らの目に飛び込んできたものは突き抜ける青空と、遠くに見えるいくつもの閃光、そして前にいるものの血煙だった。

時に、1950年…照和25年8月、大日本帝国が米国と講和を結び、神聖欧州第三帝国との停戦間近のことだった。


後世日本軍、彼の地にて、斯く戦えり

時は少し戻り7月某日、ここ首相官邸にて海軍大将高野五十六とこの家の主かつ大日本帝国首相、大高弥三郎が人目を忍ぶようにして酒を飲み交わしていた。

最初こそ欧州戦線の戦況や欧州情勢の話をしていたが、ふと大高が思い出したかのように言う。

「そういえば高野さん、来月に銀座で行われる行事をご存じですか?それも、早いうちに。」

「いいえ、知りませんが…待ってください、銀座ですと!?」

その一言に、高野が驚きつつ聞き返す。

「…何か知っているようで?」

「ええ、実は前原君が8月第一週の土曜日と銀座のイメージが脳裏に浮かぶとのことで…」

紺碧艦隊司令、前原一征。彼はすぐ先の未来が見える時があると彼らの中では共通で認識されている。

そんな彼が、八月の銀座で何かが起こると言っているのだ。

「それは本当ですか…やはり、そうでしたか。」

「やはり、と言いますと?」

「実は、青風会に世代を超えて転生したものがおりましてな…その彼も、前原君同様に八月の銀座に何かが起こると言っているのだ。」

「なるほど…転生者の一部は、近未来予知を身にすると聞きましたが…。」

「ええ、ですから今回こうして欧州戦線の話を聞くついでにと思いましたが…」

「銀座、となりますと我々からは大々的には出せませんな…。」

「そこで、です高野さん。テロの対策としての演習ならば問題はないと思います。」

「なるほど、その手がありましたな。」

そうして、二人の会議は夜が更けるまで行われた。

 

 

「突然呼び出してすまなかったな、富嶽君。」

「いえいえ、高野総長直々に会いたいとのことでしたので。」

大高・高野の密談の翌週、高野は一人の男とともに、彼の部下・日向の運転する車に乗っていた。

報道画家の、富嶽太郎。表向きはそうなっているが、彼こそが紺碧艦隊司令長官、前原一征だった。

「…例の件、ですか?」

「ああ、それも私たちだけでない。だが今回はあくまで紺碧会の一員、転生した報道画家となっておる。君のことを知っておるものもいるだろうが、口止めはちゃんとしてあるさ。」

「それは安心しました、総長。」

「総長、間もなく到着します。」

「分かった、日向君。君も来るかね?」

「いえ、自分は招待された身でない故、控えさせていただきます。」

「ははは、そうかそうか…それじゃあ、車を頼むよ。」

「了解しました。」

そうしてすぐに、九段下の料亭の前に車が止まる。

「では、また迎えに上がりますので。」

「それじゃあ、その時は頼むぞ日向君。」

二人が下りたのを確認して日向は車を出す。

「まさか、ここで青風会・紺碧会の合同会が行われるとは…。」

「仕方ないだろう、まえば…いや、富嶽君。あまり表に出せるような内容ではないのだからな。」

そんな会話をしながら、前原と高野は料亭に入っていった。

 

 

「久しぶりです、大高閣下。」

「ああ。久しぶりだね、前原君。」

集合の1時間前ということもあり、まだ中には大高と高野、前原の三人しか来ていなかった。

「それで、前原君。このような場所で聞くのもなんだが…君は、どういったイメージを見たんだ?」

「はぁ、イメージ…ですか。最初はカレンダーを眺めていると八月の最初の土曜日に印が浮かび上がってきました。」

「8月の第一土曜日、ですな。」

「ええ。それで、最近は夢で銀座のイメージがシャッフルされるように出てくるのですが、そのいずれも火災や煙を伴ったものだったので、高野総長に報告させていただきました。」

「ええ、私もそう聞いております。」

「なるほど…ふむ、ありがとう。」

聞いていた通りだ、と付け加えて大高は頷く。

それから話は欧州戦線、紺碧艦隊員の話へと移る。

 

「…ここに、紺碧・青風両会合同による葉月作戦の前段階として転生者各員に視えたものについて情報の共有を行ってもらいたい。」

集合時間の5分前、全員がそろったのを確認して人払いを済ませた大高が今回の目的を告げる。

「…まず、最重要証言者である逸見大佐…話をお願いしよう。」

大高は一人の男を指す。彼は緊張した様子のまま前に出てきた。

「あ、はい。ご紹介に上がりました逸見陽史です。まず最初に一言言っておきますが…前世の私は同じ事件を経験しています。」

室内が一気にざわつく。ここにいる転生者は未来を視たものか、現場指揮官として当日銀座に赴くものだった。だが、記憶があるものはいない。

「彼の経歴については私が話をしよう。」

大高が動揺を抑えるかのように、一堂に対して口を開く。

「そもそも転生者にはいくつかのパターンが存在している。一つ目は記憶を持ったまま、この後世の自分に転生。二つ目としては蒼來開発者の鶴野兄弟のように才能のみの転生。そして最後にこの逸見君のように記憶のみの転生だ。その中でも彼は特殊でこの世界に無数あると言われている並行世界の一つから来た…と思われる。この根拠としては他の転生者にない記憶…つまるところ、彼の前世での銀座事件についてだ。」

「記憶のみの転生とはいっても、記憶に引きずられてある程度は前世の自分に近づいたんですけどね…」

と、逸見は頭を掻きながら照れくさそうに言う。

「…逸見君、銀座のことを話してくれ。」

「あ、はい。まず前世の私…伊丹耀司が所属していた自衛隊、についての知識はあるでしょうか?」

大半の面子が頷く。

「…なるほど、ならば簡単に説明しますが…前世日本が敗戦後、自国の防衛のために作られた軍隊のようなものです。」

「軍隊のようなもの、とはどういうことだ?」

陸軍の方で、先ほど頷かなかったものが手を挙げて問う。

「そうですね…攻撃の意思を見せられても撃たれるまで撃てない、攻められても敵国領内まで攻め返すことができない…専守防衛を掲げた自衛のための組織です。」

なるほど、と質問をした者は手を降ろす。

「…それで、私たちの世界の2010年代…突如として銀座に開かれた門から異世界の異形や人間が雪崩れ込み、多数の民間人を無差別に虐殺していきました。」

場にいるほぼ全員が息を呑む。

「とりあえずその場は警察組織や自衛隊がなんとかして押し返し、こちら側の占領は抑えられました。」

こちら側の占領はない、と聞いたからか数人から安堵の息がでる。

「その後は、まあ…自衛隊として当たり障りのない範囲での正当防衛、救護活動などを行いました。詳しい内容まではさすがに覚えてないです。」

そう言って逸見は頭を下げる。さすがに予想していなかったのか大高は一瞬慌てるがすぐに頭を上げるように促す。

「…なるほど、2010年代の自衛隊には今後のことが対処できた…そういうことでいいんだな?」

「はい、それでいいと思います。」

「今の私たちでは、自衛隊と同様に動けると思うか?」

「その点に関しては問題ありません、自衛隊は有事の際に門の先での破棄も考えて旧式のものを使用していました。また、自衛隊は専守防衛が徹底されていたので有事の際の対処は我々の方が円滑に行えると思います。」

逸見を中心として彼らは情報の交換を行った。そして、夜は更けていく…。




どうも、久しぶりの久里浜です。
少し思いついたものを。
好評でしたら連載します。(希望)

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