君の名は・パニック   作:JALBAS

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テレビアニメも第十話まで進みましたので、この話もようやく第二弾です。
但し、メインはあくまで三葉と瀧です。
話の大筋は変えていませんので、二人があまり関与しない部分は簡単なあらすじになりますが、ご了承願います。
それでも、話のキモのところは細かく書いていきます。




《 ―― Invisible Victory  Act.2 ―― 》

かなめを追う宗介は、東南アジアの都市“ナムサク”で行われているAS闘技の弱小チーム“クロスボウ”のオーナー“ナミ”と知り合い、雇われAS操縦士として一時そこに潜り込んだ。このAS闘技が、アマルガムと繋がっているという情報を入手したからだ。

時を同じくして、フランス体外保安総局(DGES)のエージェントである“ミシェル・レモン”も、同じ目的でルポライターと偽ってこのチームに潜り込んでいた。

かなめを奪う事よりも宗介の殺害を目的としていた、アマルガムの殺し屋クラマは、宗介を追ってこの地に来て彼の殺害を目論む。宗介のチームを“闇バトル”に参加させ、チームごと抹殺しようとする。

その策略に巻き込まれ、ナミはクラマにより殺害されてしまう。

ナミにかなめに似た雰囲気を感じていた宗介は、怒りに燃えてクラマに挑み、クラマを倒しかなめの居所の情報を聞きだすが、自身も瀕死の重傷を負ってしまう。

 

その頃、ミスリルの壊滅により単独行動を取っていた、ミスリル情報部香港支局の責任者ギャビン・ハンターとエージェントのレイスは、とある港町の片隅の倉庫で合流していた。

倉庫に車を入れ、二人は挨拶を交わす。

「きっちり時間通り。律儀ですな……尾行は?」

「あったらここには来ていない。」

「そりゃあそうだ……では、積荷を……」

レイスは、ハンターに車の荷台のコンテナを見せる。そこには、何とか荷台に入りきる大きさの木箱が積まれていた。

「これが?」

「そうだ。」

「よく回収できましたな?」

「警察も混乱していたからな……日本から運び出す時の方が苦労した。余計な荷物まで増えていたからな。」

「へっ、随分な言われようだな!」

車の中から、もう二名人が降りて来る。共に東洋人の男女が。

まず、女性の方が挨拶をする。

「お久しぶりです。ハンターさん。」

「おや……宮水少佐。消息不明とお聞きしましたが、やはりご無事でしたか?」

「おうよ!俺のお陰でな!」

その横で、得意気に話す男性を見てハンターが尋ねる。

「ん?……見慣れない兵士ですな?彼も西太平洋戦隊の隊員ですかな?」

「そうだが、こいつは相良と同じ唯の戦争馬鹿だから気にしなくていい。」

レイスが、簡単に説明を省く。

「ちょっと待て!誰が相良と同じだ?」

「ああ、これは失礼した。相良以上の馬鹿だったな。」

「てんめえっ!」

「ま……待ちなさい!瀧くんっ!」

レイスに突っ掛かろうとする瀧を、三葉が宥める。

「どうせです、こちらの積荷もついでに見て行きますか?もちろん、未完成ですが……」

「その前に聞きたい……ミスター・ハンター、これはあなたの独断か?」

レイスは、鋭い目付きでハンターを見詰めながら言う。

「そうです……目の前に組み立てられそうなパズルがあったら、完成させてみたくなるのが人情というものでしょう。」

「動機はそれだけか?」

「まあ、奴らに一矢報いたいという気持ちもありますが……彼らを気に入っているということもあります。あなた方もそうなのでは?」

レイスと瀧は無言だが、三葉はその言葉に大きく頷いた。

そこまで言って、ハンターは自分が持ち込んだトレーラーの荷台を開ける。

そこには、一機のASが搭載されていた。

「こいつの名は?」

「無いそうです。元々、存在しない計画だったそうですからな……まあ……ただ、強いて番号を付けるなら、“ARX-8”です。」

「それで……これからどうする?」

「アラスカに、小規模ですが工房を手配してあります。彼女も、そこに居ます。」

「彼女?」

「この機体を完成させるのに、無くてはならない人物です。」

 

 

 

それから約二ヶ月後、サンフランシスコのフリーウェイで、軍服を着た一人の少女が裸足でさ迷っているところを保護された。

それは、トゥアハー・デ・ダナン艦長のテレサ・テスタロッサだった。

病院に収容された彼女は、担当の女性医師に語った。

自分はアマルガムという巨大軍事組織に対抗する組織ミスリルの士官で、アマルガムの総攻撃により基地を追われ、物資も乏しいまま放浪した後、部下にも裏切られ捨てられたと。

彼女を担当した女性医師は、何かのショックで妄想と現実の区別がつかなくなったと診断し、テッサを別な施設に移そうとする。しかし、テッサを迎えに来たのはそれを装ったアマルガムの手の者だった。テッサは女性医師や看護師共々、人気の無い倉庫街に連れ去られてしまう。

テッサは、レナードの部下リ-・ファウラーに捕らえられそうになるが、逆にこれはレナードの配下を誘き出すための罠で、看護師を装っていたマオを含めたデ・ダナンの生き残り達が一気に攻撃を仕掛ける。

クルーゾーがM9でファウラーを捕らえようとするが、敵もラムダ・ドライバ搭載機であるコダールを繰り出して来る。

これまではコダールに対して一対一では歯が立たなかったM9であったが、新たに開発された“妖精の目”の装備によって、ラムダ・ドライバの効果範囲や強弱を見分けられるようになっていた。デ・ダナンからの援護攻撃で隙を付き、遂に一対一でのM9によるコダール撃破に成功する。

 

結局ファウラーは取り逃がしてしまうが、現場に残った携帯に掛かって来た電話口で、テッサはファウラーを通じてレナードに戦線布告をするのだった。

「……要するに私は、貴方達のようなお利口ぶって気取った“クソ野郎”が死ぬほど嫌いなんです!これで判りましたか?……同じ事を、レナード・テスタロッサにも伝えなさい!」

思いっきり啖呵を切って、撤収を促そうとするテッサ。しかし、仲間達は何故か、呆気に取られた顔をして彼女を見詰めていた。

「……何です?」

「いやはや、何とも……」

「クソ野郎とはねぇ……」

「まったく……大したタマよ。あんたは。」

ウー、クルツ、マオが、何とも言えない表情で言葉を漏らす。

「い……いえ、あの……ついカッとなって……」

テッサは赤面して、俯いてしまう。

 

 

 

クラマを倒したものの瀕死の重傷を負った宗介は、レモンの一味により一命を取り留めた。

しかし、レモン達のアジトもアマルガムの襲撃を受ける事になる。それは、レナードの一派がARX-7に搭載されていたラムダ・ドライバシステムとその制御AIの“アル”を危険視しており、唯一それを使える宗介も含めて排除しようと動き出したからだ。

レモンと共に何とか逃げ延びた宗介は、旧知の退役海兵のジョン・ジョージ・コートニーの所に身を隠し、そこで戦線復帰のための過酷なリハビリに取り組むのだった。

 

その一方で、宗介同様に追われる立場となったアルは……

 

アラスカ州、アンカレッジ。

古びた修理工場のプレハブの中で、一人の少女がパソコンを操作している。そのパソコンの前には、大破したASの胴体フレームだけが置かれていて、ケーブルによってパソコンに繋がれている。

「ふう……出来ました。」

その少女の言葉に、修理工場のあちこちに散らばっていた者達がパソコンの所に集まって来る。それは、三葉、瀧、レイス、ハンターだった。

パソコンを操作している少女は、“クダン.ミラ”。かつてKGBの施設で人体実験対象になっていたところを、宗介達に救出されたウィスパードだ。

「ミラ、会話できるのか?」

「これから試します。」

レイスに言われ、ミラは再びパソコンを操作する。

すると、パソコンのディスプレイにメッセージが表示されていく。

「……直ちに、退避……感謝する、軍曹……」

ディスプレイのメッセージを読み上げながら、ハンターが首を傾げる。

「彼からの出力です。」

「アーバレストが撃破された時の会話だろう?」

レイスが言う。

更に、ディスプレイに以下の表示が続く。

“ WHERE DO WE COME FROM ? ”

“ WHAT ARE WE ? ”

“ WHERE ARE WE GOING ? ”

「これは?」

ハンターが問う。

「多分、混乱しているんでしょう。話し掛けてみます。」

ミラはパソコンを通してメッセージを打ち込む。

“ Hello, AL. I’ve been looking for you. ”

すると“アル”から返答が来る。

“ REPORT SITUATIONS. ”

それを、またハンターが読み上げる。

「……状況を説明せよ?……まったく、ここまでどれだけ苦労したと思ってるんだ?」

「ぷっ……」

「ふふっ……」

「あははははははっ!」

レイス、三葉、瀧の三人がこの返答に噴出した。

「ど……どうかされましたか?」

怪訝に思ったハンターが問い掛ける。ミラも、不思議そうな顔をする。

「いや……こいつの主人とそっくりなのでな。」

「まったくね。」

「相良なら言いそうだぜ!」

ミラは、アルの要望に答えて現在の彼の状況、自分達が何者で何をしようとしているのかを説明する。

 

そこからは、アル主体で本格的にARX-8の建造が開始される。

ただ、アルの希望により、ハンターの持ち込んだ造りかけの母体は使わず、M9の在庫パーツや試作機の部品を使い一から再設計が行われる事になった。

ウィスパードであるミラ、三葉もこの設計に協力する。

瀧は、居るとかえって邪魔になるので、作業中は工場内には立ち入らず外で警備を行っていた。レイスも同様だが、瀧とは反りが合わないため完全に別行動で警備を担当していた。

 

そんなARX-8の建造期間中も、ずっと三葉は宗介とかなめの事を心配していた。

“相良くん……かなめ……二人共、大丈夫かな?……”

就寝時は、いつも二人の事を考えていた。

ある夜、三葉は夢を見た。それは、普通の夢では無かった。

三葉とかなめ。共にウィスパードであり、同じ男性を愛する二人は、遠く離れていながら夢の中で一時意識を共有していた。

 

 

 

レナードに連れ去られたかなめは、メキシコ・ミチョアカン州にある彼らの邸宅に軟禁されていた。

行動は規制されていないので、何処で何をやるのも自由だが、至る所に監視の目があり敷地の外には出られない。

だが、自分のために他者を巻き込んだ事を後悔しているかなめには、逃げる意思は無かった。レナードに殆ど逆らう事はせず、言われるままになっていた。

窓際の椅子に座り、夕暮れの空を見ながら、かなめは呟く。

「……何やってんだろう?あたし……消えちゃいたい……」

そのまま、かなめは眠ってしまう。すると……

 

「こんな所で何やってんの!かなめっ!」

「え?」

いきなり声を掛けられ振り向くと、そこに居たのは……

「み……三葉?」

「“み……三葉?”じゃあらへんよ!貴女らしくない!何、あの男の言いなりになっとんの?」

「らしくないって……あたしが何をしたって、あいつらに敵うわけ無いし……」

「相良くんは、必ず貴女を連れ戻しに行くに!」

「で……でも、もう宗介は……」

「絶対に連れ戻すって言ったんやろ?」

「そ……それは……そうだけど……」

「相良宗介が、一度狙ったターゲットを諦めると思うん?」

「だ……だって……」

「例え貴女が、宇宙の果てに連れ去られたって、必ず行くに!相良宗介を甘く見たらあかん!」

「だけど……あたしが居ない方が、貴女やテッサは……」

「もし、本気でそんな事思ってんのやったら、ひっぱたくに!」

「み……三葉……」

「貴女が、本当に相良くんが好きじゃ無くなって、それで諦めるんならええ。だけど、そんなふざけた気持ちで身を引く言うんなら、絶対に許さへんっ!」

 

 

 

目が覚めて、三葉は泣いている自分に気付く。

瀧との仲が徐々に親密になって来ていながらも、まだ三葉は宗介の事が好きだった。

“恋敵にはっぱを掛けるなんて……私、自分で自分を追い詰めてる……

でも、かなめだって私にとっては大切な親友だ。

私のために、かなめが自分を犠牲にするなんて……そんなの絶対に嫌っ!“

 

 

 

かなめも、目を覚まして自分が泣いている事に気付く。

夢の中での三葉の言葉を思い出し、感傷に浸るかなめ。

「……宗介……」

何気無く庭に出て、木陰に座り込んで考え込む。

そこに、レナードの配下のファウラーとサビーナがやって来る。

かなめは木陰に隠れたまま彼らの会話を聞き、サビーナがかなめを探し回っている宗介の暗殺を企んで失敗した事を知る。

二人が去った後、かなめは呟く。

「宗介……本当に、私を探してるの?あの馬鹿……こんなあたしを……もう無理なのに……また、誰かを巻き込んじゃう……恭子みたいに……」

そのまま、夜の庭を歩いて行くかなめ。

「本当に……消えちゃいたい……」

プールサイドに辿り着き、しばらく水面を眺めていたが、そのままプールに飛び込むかなめ。

一度沈んで、浮き上がって来て、少しプールの中を歩いて言う。

「……重い……」

服を脱ぎ、下着姿になる。

そして、プールの中を泳ぎ出す。

かなめの脳裏に、夢の中での三葉の言葉が浮かぶ。

“例え貴女が、宇宙の果てに連れ去られたって、必ず行くに!相良宗介を甘く見たらあかん!”

泳ぎながら、心の中で叫ぶかなめ。

“そうだ……三葉の言う通りだ。こんなのあたしらしくない!考え過ぎだったんだ……あの馬鹿みたいに、前へ前へ進むことを忘れてた……”

更に、力強く泳ぎ出すかなめ。

“あたしだって負けてられない!……あたしはあたしらしく……もっと前へ!”

かなめも、今の自分にできる事をやる決心を固める。

 

 

 

その後、レナード一派はついにARX-8の所在を突き止めた。

秘密裏に輸送するハンターのトレーラーを、レナードが派遣した刺客が襲う。

三機のコダールに包囲され、ハンターはトレーラーから降ろされる。すると、道路脇から銃を構えた兵士達が現れ、積荷を見せろと命令して来る。言われるまま、ハンターはトレーラーの荷台を開ける。荷台には、大量の段ボール箱が積んであった。

「スモーク・サーモンですよ。業者から安く買い付けたんです。このままカナダを越えて……」

説明の途中で、兵士の一人が荷台に上がって段ボール箱の山を崩す。すると、その奥に隠されたASの機体の一部が露出してしまう。

「これが、スモーク・サーモンか?」

無言のハンターを他所に、兵士は無線で連絡をする。すると今度は、ECSを解いた大型ヘリがその場に現れる。そのヘリから、一人の男が降りて来る。その男の顔を見たハンターは、驚愕の声を上げる。

「馬鹿な?!貴方は……」

「この業界ではよくあることだ。」

それは、数ヶ月前まで西太平洋戦隊の戦闘指揮官であった、アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニンだったのだ。

カリーニンはハンターの横を通り過ぎて、トレーラーの荷台を確認する。

「これが例の機体だな?」

ハンターは、無言でカリーニンを睨み付けている。

「こんなものを建造したところで、何も変わらない。無駄な労力だ。」

ハンターは、珍しく怒りを露にして言う。

「ミスター・カリーニン、貴方の口からそんな言葉を聞くとは思わなかった。そう親しかったわけでもないし、一緒にこなした作戦も数えるほどだ。だが、貴方はそういうことは言わない人間だと思っていた。あの素晴らしい若者達が貴方を信頼していたのは、それが理由だったのではないのかね?」

「それは買いかぶりだ。」

「たくさんの味方が殺された筈だろう!それが、よりにもよって、何という破廉恥な……少しは胸が痛まないのか?!」

しかし、カリーニンはハンターの言葉に全く動じない。

「撤収しろ!」

部下に、トレーラーを運び去る指示を出す。

「待ちたまえ!ミスター・カリーニン、貴方は本当に……」

言い寄ろうとしたハンターを、振り向きざまにカリーニンは撃ち抜いた。

「……っ!」

ハンターは、言葉を失いその場に倒れ込む。地面に、彼の血が流れ出していく。

そんなハンターに、冷徹にカリーニンは言葉を放つ。

「人間は、およそ三十五パーセントの血液を失うと死ぬ。その出血だと、君はあと三十分以内に応急治療を受けなければならない。まともな医療設備のある町までは六十三キロだ。君を拾って運んでくれる車が運よく通りかかっても、目いっぱい飛ばして間に合うかどうか微妙なところだろう。そして、私のヘリには必要な医療キットがある。」

ハンターは、そんな状態になってもカリーニンを睨み続けている。

「では質問だ、ミスター・ハンター。この機体を組み立てた人物は誰だ?そして、何処に居る?」

ハンターは、カリーニンを睨み付けたまま答える。

「……くそくらえだ……」

「そうか……では、最後の三十分間を楽しみたまえ。」

重傷のハンターをそのままにして、カリーニンはトレーラーごとARX-8を奪って去って行ってしまった。

 

しかし、これはハンターが命を懸けて行った囮作戦だった。

カリーニンが強奪したARX-8は建造の途中で破棄された偽物で、本物はレイスや瀧、三葉によって別ルートで輸送されていた。

 

ところが、こちらにも予期せぬトラブルが発生する。

レナード一派とは別のアマルガムの偵察部隊と、三葉達は運悪く鉢合わせてしまう。

 

激しい銃撃の中を、トレーラーは走り抜けて行く。

「車を止めるな!止まればあっという間に包囲される!」

運転手にそう叫んで、レイスは助手席から敵部隊を迎撃する。

何とか振り切れるかと思った矢先に、車の前方の道を砲撃で塞がれ、とうとうトレーラーは停止してしまう。

その砲撃を撃った機体が、林の中から姿を現す。頭部から長い髪のような放熱策を伸ばした、灰色のASが……

「くっ……コダールまでいたか……」

万事休すと思われたその時、トレーラーの中から一機のASが飛び出して来る。

こちらが本物のARX-8である。操縦席には、瀧と三葉が乗っていた。一人乗りだが、三葉は強引にシートの後ろにしゃがんでいる。二人とも、頭に特殊なヘッドギアを装着している。

「ちっ、よりによってラムダ・ドライバ搭載機か?」

「なら、こっちも使うしか無いわね。」

「何言ってんだ?この機体のラムダ・ドライバは、相良じゃねえと使えねえんだろ?」

「TAROSを通してはね。だから、私が一緒に乗ってるのよ。ミラと、こういう場合を想定して準備はしてあったの。私が中継役になる事で、短時間だけなら瀧くんでもラムダ・ドライバが使えるわ。」

「何?本当か?」

「アル、非常事態だからこの場だけはお願い。瀧くんをこの機体のパイロットと認めて!」

『了解しました。宮水少佐……私も、相良軍曹と合流するまで撃破される訳にはいきません。この場だけは、立花軍曹を私の操縦者と認めます。』

「へっ……この場だけね……」

ARX-8は、M9用のライフルを構える。専用の高性能銃器は、簡易ラムダ・ドライバでは使えないためだ。

「喰らえっ!」

瀧は銃撃を放つが、コダールは目の前に力場を発生させ、全ての銃弾を弾いてしまう。

「駄目だ!全部弾かれちまう!」

「ただ撃つだけじゃ駄目!相手を吹き飛ばすって、思いを込めて撃つのよ!」

「おうし……吹き飛びやがれっ!」

大声でそう叫んで再度撃つが、やはり銃撃は弾かれてしまう。

「駄目!それじゃただ叫んでるだけ!銃弾に、思いを目いっぱい込めるの!」

「はん!それなら、こっちの方が俺向きだっ!」

瀧は、ライフルを捨ててコダールに突進して行く。

「ちょっ……ちょっと、瀧くん!何するのっ?!」

向かって来るARX-8に、コダールは衝撃波を放って来る。

「うおおおおおおおおおっ!」

瀧は、走りながらありったけの思いを込めて拳を放つ。

すると、ARX-8の拳から凄まじい衝撃波が発せらる。それは、コダールの衝撃波を打消し、そのままコダールを粉微塵に吹き飛ばしてしまう。

衝撃波の去った跡は、木々も消滅して地面が大きく抉れていた。

「す……凄い……」

その威力に、三葉は呆然としてしまう。

「ふん……馬鹿だけに、思い込みは相良以上か……」

静観していたレイスが、ボソッと呟いた。

操縦席では、アルが率直な感想を瀧に述べていた。

『初めての使用でこの成果、貴方のラムダ・ドライバへの適応力の高さは認めます。』

「へへっ……そうだろうよ。」

『ですが、立花軍曹。貴方の戦闘スタイルは、私とは相性が良く無さそうです。共闘はこれ限りとさせて頂きたい。』

「へっ、言ってくれるじゃねえか!本当に、相良そっくりだよ手前は!」

「ぷっ……」

後ろで聞いていた三葉は、思わず吹き出してしまった。

 





かなめを決起させるのは、原作ではナミなんですが、この話では三葉に変えさせてもらいました。
そうでないと、あまりにも三葉とかなめの絡みが無さすぎるので。

宗介の出番が、全然ありませんでした。
その上、本来試運転もされなかった筈のレーバテインの試運転を、瀧・三葉コンビがやってしまいました。
でも、この話ではあくまで瀧と三葉がメインなので、その辺は大目に見て下さい。
“Act.3”では、宗介の出番もふんだんにありますので。

始めた時は良く判ってなかったんですが、“Invisible Victory”は十二話で終了なんですね。
ですのでこの話も、次回の“Act.3”で一旦完結になります。
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