君の名は・パニック   作:JALBAS

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三葉と宗介、普通の女子高生である三葉と、異常な男子高生の宗介が入れ替わったら・・・・・・普通が異常になり、異常が普通になる・・・・非常に、ややこしい事態になってしまいます・・・・・・
但し、被害を被るのは、一方的に普通の女子高生、三葉の方です・・・・・



《 第二話 》

「?!・・・」

ここは?・・・・・いつもの俺の部屋だ・・・か・・体も元に戻っている・・・

俺はベッドから跳ね起きて、鏡を覗き込む・・・・顔も、俺の顔だ・・・・たった1日で戻されたのか?

俺は、携帯をチェックする。日付を見る限り、やはり、あの田舎に送られていたのは昨日1日だけだ・・・ん?・・・・・・

携帯のメモに、記憶の無い書き込みがある・・・・・・

“――― 相良宗介!あんたいったい何者なの? ―――”

何だこれは?俺を攫った奴が、書き込んだのか?いや、俺の事を良く調べてからでなければ、あんな事はしないだろう?訳が分からん?

そうだ!まずはダナンに報告を・・・・俺は、無線機を使って、ダナンに連絡を入れる。

「こちら、ウルズ7!ウルズ6、応答せよ!」

「こちら、ウルズ6・・・宗介!定時連絡もしないで、今迄何やってた?」

「すまん!敵の罠に嵌って、軟禁されていた!」

「軟禁?・・・・」

俺は、昨日の事を、簡潔にクルツに話す。

「女の体に脳移植?・・・お前なあ、ウソをつくのなら、もうちょっとマシなウソつけ!」

「ウソでは無い!事実だ!」

「あのなあ、確かに今はブラックテクノロジー全盛で、信じられない未来科学が現実のものになってるけど、人の体に脳移植して、成功した事例は一件もねえよ!それも、たったの1日で元に戻すなんてなあ・・・・・」

「じゃあ、俺の体験は、どう説明するんだ?」

「・・・・お前・・・相当疲れてるんじゃねえか?今日のミッションは、俺とマオでやる!お前は、カナメちゃんとのんびりしてろ。」

「な・・・おい!待てクルツ・・・・」

通信が、一方的に切られた・・・・

何だと言うんだ、クルツの奴・・・・俺が、夢でも見ていたと言いたいのか?あれが、夢で無い事は、俺が一番分かっている。とにかく、一刻も早く、奴らの目的を・・・・・そうだ!千鳥は?・・・・・

俺は、アパートを飛び出し、急いで千鳥のマンションに駆けつける。ドアの前に立ち、ノブに手を掛けようとした、その時 ―――

「?!」

ドアが、勢いよく開き、俺の顔面を直撃する。

「え?・・・あ・・・あら?宗介?」

「い・・・痛いじゃないか・・・千鳥・・・・」

「ごめん!ごめん!まさか、ドアの前に突っ立ってるとか思わなかったから・・・・」

 

登校途中、千鳥が話し掛けて来る。

「今日は、いつも通りなのね?宗介・・・」

「ん?・・・俺は、いつもこうだが?」

「何言ってんの、昨日は、本当に心配したんだからね。」

ん?昨日?・・・今、千鳥は、昨日と言ったか?・・・・・

「千鳥!」

「な・・何?」

「俺は、昨日居たのか?」

「は?・・・何言ってんの?あんた?」

「いいから答えてくれ!昨日、俺は居たのか?」

「居たに決まってんでしょ!まさか・・・・あんた記憶が無いの?」

やはりそうか!俺を、あの田舎に追いやって、俺のニセ者を、千鳥に近づけたのか!

「ねえ宗介?あんた、本当に大丈夫?」

「そんな事より、昨日の俺は、君に何かしたのか?」

「え?・・・べ・・・別に、な・・何もして・・ない・・・けど・・・・」

そう言って、何故か千鳥は頬を赤らめる・・・・

「何か、おかしなところは無かったか?」

「え?・・・それは・・・さっきも言ったように、かなりおかしかったけど・・・・」

「どんな風に?まるで、某国のスパイのようにか?常に過敏に周りを警戒し、危険なニオイを漂わせているような・・・・」

「そういうところが何にも無かったから、おかしかったって言ってんのよっ!」

いきなり、ハリセンで頭を叩かれた・・・・・・

「い・・・痛いじゃないか・・・・・」

 

夜は、ミスリルのミッションがある。俺は、マオ、クルツと一緒に輸送ヘリに乗っていた。クルツは休めと言ったが、体に何の異常も無いのに、任務を放棄する訳にはいかない。

「全く・・・人が、親切で言ってやってんのによ。」

「大きなお世話だ!」

「ねえ?宗介?」

マオが、尋ねてくる。

「あんたが言ってるのが事実だとしたら、何で、あんたを女の子にする必要があったの?」「ん?そういえば・・・・何故だ?・・・・・」

「あんたのニセ者にしたって、そんな人畜無害なニセ者用意して、何のメリットがあるの?」

「だ~から、全部こいつの妄想だよ。疲れてるんだよ、大人しく休んでろ!」

「うるさい!俺は疲れてなどいない!」

「あとさあ・・・・・」

「ん?・・・」

「何て言ったっけ、あんたが送られた、その田舎町?」

「確か・・・“イトモリ”と言っていたが・・・・・」

「・・・イトモリ・・・・・」

「知ってんのか?姉さん?」

「いや・・・どっかで、聞いた覚えがあるんだけど・・・・・」

 

 

 

「ん・・・んんっ・・・・・」

携帯のアラームで、目が覚める・・・見慣れた天井・・・私の部屋・・・良かった、やっぱり夢だったんだ・・・・

体を起こそうとするが・・・・

「てっ!・・・・」

思わぬ激痛が、全身に走る・・・な・・・なに?・・・これ?・・・・お・・・思うように・・・・か・・体が・・・・うごか・・・ない・・・・

激痛に耐え、やっと体を起こす事はできたが・・・・

「うぐっ・・・・・」

た・・・立てない!・・・な・・・何なの?・・・この・・・痛み・・・・

「お姉ちゃん?何しとんの?」

気が付くと、右手の襖が開いていて、四葉がこちらを見ている。

「よ・・四葉・・た・・・たすけて・・・体が・・・」

「あちゃ~っ!だから、やめな言ったんよ!」

「え?・・・・」

「何に感化されたんか知らんけど、昨日帰って来るなり、腕立てやら、腹筋やら、筋トレばっか何時間もやって・・・・筋肉痛になるに、決まってるやろ!」

え~っ?何?それ?・・・・私、知らないよ~っ!

「無理せんで、ゆっくりきいや!今日はあたし、先いくで!」

そう言って、四葉は、さっさと下に降りて行ってしまった。は・・・薄情者~っ!

 

やっとの思いで着替え、家を出る・・・朝食は、食べる時間が無かった・・・・いっそ学校は休みたかったが、お婆ちゃんが、許してくれなかった。

支え無しだと倒れそうなので、お婆ちゃんの杖を借りて来た。この年で、杖のお世話になろうとは・・・とほほ・・・・

「三葉~っ!」

後ろから、サヤちんの声がするけど・・・悪いけど、振り返れない・・・

「ど・・どないしたん?三葉?」

私の、悲惨な現状に、サヤちん達が、何があったのかを聞いてくる。でも、聞かれても分からない・・・・こっちが、聞きたいくらいだよ・・・・・

「なんや、今日も髪結ってないんやね?」

今日も?・・・今日はこんな状態で、とても結う事ができなかったんだけど、“今日も”って何よ?

「と・・とにかく・・・全身筋肉痛で・・・つらいんよ・・・・」

「え~っ?」

「まさか?昨日の駆けっこでか?」

駆けっこ?何?それ?

「昨日の夜・・・何時間も、筋トレしたんやて・・・・」

「ええっ?何で?」

私が、聞きたい・・・・・・・

 

昼になって、少しだけ体が楽になって来た。私は、テッシー、サヤちんと一緒に、いつものように校庭の隅で昼食をとった。朝抜きだったから、もうおなかがペコペコだ。

「でも三葉、今日は、普通に喋るんやね。」

「え?どういうこと?」

「昨日は何聞いても、カタコトの返事で、全然会話にならんかったでな。」

「え~っ?何それ~?」

「昨日の事、全然覚えとらんの?」

「ん~っ・・・・変な夢見たのは、覚えとんのやけど・・・・」

「あれは、絶対狐憑きや!」

「まだ言ってる・・・・そうや、きっとストレス!三葉、最近そういうのいっぱいあるにん。」

「ん~~・・・そうかなあ・・・・・」

「そうや!三葉、町長選やら、お祭りやらで気苦労多いで・・・・三葉がいつも言うように、卒業したら、一緒に東京出ようか?」

「お・・・お前らなあ・・・・・」

「ん~~・・・・東京ねえ?」

「あれ?どうしたん、三葉?いつもは、あんたの方が誘ってくるのに・・・・」

「なんか・・・・あんな夢見ちゃうと・・・・東京もどうしたもんか・・・・・」

 

放課後、テッシーやサヤちんと分かれて、ひとりで家路に着く。まだ、歩くのはかなり辛いが、杖をつかなくても歩けるようにはなった。

「?!」

その時、不意に、誰かに見られているような悪寒を感じた。

慌てて振り向いて、辺りを見渡すが・・・・・誰も居ない・・・・どうやら、気のせいだったようだ・・・・・・

 




前回に引き続き、悲惨な目に合い続ける三葉・・・・でも、見知らぬ男子と入れ替わっているなんて、思いもよりません・・・・・・
一方、入れ替わりを、誰かの策略と信じて疑わない宗介・・・・そんな朴念仁は、必然の如く、千鳥やマオ達まで事件に引き込んでいきます・・・・・・
そして、三葉の感じた視線の正体は?・・・・・・・
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