君の名は・パニック   作:JALBAS

5 / 14
マオの説明で、ようやく三葉も、入れ替わりの事実を知る事になります。ですが、マオ達も、まだ気付いてはいません・・・・ただ入れ替わっているだけでは無く、時系列まで違っている事に・・・・・


《 第五話 》

私は、マオさんと一緒に、千鳥かなめさんのマンションに来ていた。

「ええっ?宗介の言ってた事って、本当だったの?」

千鳥さんは、一度入れ替わりのことを相良くん本人から聞いたらしいが、また戯言を言っていると決め付けて、一切取り合わなかったらしい・・・・

「まあ、あの朴念仁・・・どうせ、まともな説明しなかったと思うけど・・・・」

マオさんは、苦笑した。

「じゃあ、あなたは宗介じゃなくて・・・・えっと・・・」

「み・・宮水・・・三葉です・・・カナちゃん・・・・」

すると、カナちゃんは、すご~く嫌そうな顔をした。

「あの・・・ごめん、三葉さん、お願いだから、その顔と声で“カナちゃん”はやめて!」

「え?・・・は・・はい・・・じゃあ・・・カナメ・・・さん・・」

「“かなめ”でいいわよ!」

「は・・はい!じゃあ、私も“三葉”で!」

かなめは、ようやく笑ってくれた。

「じゃあ、かなめ、後はお願いできるかしら?」

そう言って、マオさんは出て行こうとする。

「あ、三葉、あんたは、言葉使いだけ気をつけていれば、特に問題は無いから。ちょっと変な事をしても、絶対あのバカ以上に、問題になる事はあり得ないから・・・・」

な・・・なんか、すごい言われようね・・・・相良くんって・・・・

「まあ、今あんたになってるあのバカの方は、本当に何やらかすか分かんないけど・・・」

「ええ~~~っ?」

ちょ・・・ちょっと、これ以上、私がおかしく思われるの困るんですけど・・・・

「そんな顔しないで。そう思って、さっきあんたから聞いた住所に、クルツ派遣しといたから!」

そう言って、マオさんは出て行った・・・・・その後私は、少し遅れたけど、かなめと一緒に学校に向かった。

 

千鳥かなめのマンションを出て直ぐに、マオの携帯にクルツからの着信が入る。

「クルツ?どう、宗介・・・いや、三葉の様子は?」

『それどころじゃねえよ!姉さん、あんたの言った住所に、町なんかねえ!』

「え?・・・三葉の言った住所、間違ってたの?」

『そうじゃ無い!町が無くなってるんだよ!』

「え?・・・ど・・どういう事?」

『詳しくは、戻ってから話す!』

 

 

 

俺はまた、三葉の体で目覚め、普通に朝食を済ませ、通学の途に就いていた。

クルツの奴、この携帯の番号は教えたのに、連絡して来ないな?まだ、こちらに着いていないのか?

「三葉―っ!」

後ろから、勅使河原と名取が声を掛けて来る。俺は、いつも通りに挨拶を返す。

「おはよう!勅使河原、名取。」

「あちゃ~っ!」

「ま・・また狐憑きや・・・・」

 

昼になっても、クルツから連絡は来ない・・・・何をやっているのだ?それとも、この携帯は使えないのか?試しに、勅使河原にかけてみる・・・・

「ん?着信・・・・なんや、三葉。目の前にいんのに、何で電話けかてくるんや?」

「気にするな、テストだ!」

「て・・・てすと~~・・・・」

ちゃんとかかるじゃないか・・・・では、何故かけてこない?迷っているのか?頼りにならん奴だ・・・・・

 

夕方になっても、クルツから連絡は無かった・・・・明日は、自分の体に戻るだろう。その時にとっちめてやるか・・・・・そういえば、今日は、監視者の視線を感じなかった。この間の事で、警戒しているのか?

 

「お姉ちゃん、今日、夕飯の当番やで!」

家に帰ると、四葉がそう言ってくる。

「ねえ、たまには、変わった物食べたいんやけど。」

「変わった物?・・・・了解した!」

四葉のリクエストに沿って、夕食を用意したのだが・・・・・

「・・・・お・・お姉ちゃん・・・何?これ?・・・・」

「ん?・・・蛇と蛙の串焼きだ。裏の山に、いっぱい居たのでな。」

「な・・・何で?こ・・・こんなもん?・・・・」

「???変わった物が、食べたいのではなかったのか?」

「で・・でも・・・これ、ひ・・人の食べ物やない・・・」

「馬鹿な事を言うな!戦場では、こんな物でもごちそうだぞ!」

「せ・・戦場って・・・こ・・ここ、日本やよ・・・」

何故か、四葉は涙目になっている。何も、泣く事は無いだろう・・・・・

せっかく作ってやったのに、四葉と祖母は、全く食べなかった・・・・・・

 

 

 

翌朝、自分の体に戻って、私はあまりの事に驚いた。

懐に拳銃があるのと、全身が筋肉痛なのはいつもの事だが、今回はそれだけでは無かった。いきなり四葉が、泣きながら抱きついて来たのだ。

「お姉ちゃん!お願いやから、元のお姉ちゃんに戻って!もう、黙ってお姉ちゃんのアイス、食べたりせえへんからあ~!」

訳が分から無いので事情を聞くと、昨夜の夕飯が、とんでもないサバイバル料理だったらしい・・・・・あ・・・あの、軍事オタクがあああああああっ!

これ以上、相良くんに、私のイメージをめちゃめちゃにされたくなかったので、私は相良くん宛てに禁止7箇条を設けた。

 

< 相良くんへ 以下の7箇条は絶対守って! >

(1) 学校に、拳銃を持って行かないで!

(2) 同級生を、武器で脅すのはやめて!

(3) 自分の事を“俺”と言わないで!“私”と言って!

(4) 筋トレ禁止!

(5) “問題無い”とか、“肯定だ”という口調はやめて!

(6) 名取さんは“サヤちん”、勅使河原君は“テッシー”と呼んで!

(7) 蛇や蛙を、夕飯の献立にしないで!

 

次に入れ替わりが起こった翌日、相楽くんからの返事が机の上にあった。

 

(1) それはできない!武器も無しに戦場に向かうのは、自殺行為だ!

(2) 敵が、同級生を装って近づいてきたらどうする?約束は出来ない!

(3) 丁寧語を使えと言うのなら、“自分”の方が良いと思うが?

(4) 何故だ?今の君の体力では、戦場では生き残れない!筋トレは必須だ!

(5) では、何と言えば良いのだ?

(6) 了解した!しかし、それは何の称号だ?

(7) では、蜘蛛や鼠なら良いのか?

 

「あ・・・あの男は~~~っ!」

かなめが、ハリセンで、彼の頭を叩きまくる気持ちが、よ~~~く分かった・・・・・

 

 

 

ん・・・ここは・・・俺の部屋では無い・・・まさか、2日続けて三葉・・・の家でも無い・・・・体は、俺の体だ・・・ん?良く見るとここは・・・・千鳥の・・・・・・

一気に目が覚めた!な・・・何で、俺はここに居る?三葉が、忍び込んだのか?ま・・まずいぞ・・・よりによって、千鳥の部屋に忍び込んで寝てたなどと、彼女に知られたら・・・・急いで戻らなくては ―――― と、思ったがもう遅かった!目の前の扉が開き、千鳥が中に入って来た!

「ち・・・千鳥・・・ま・・まて、違うんだ!こ・・・これは・・・」

「ん?何、取り乱してんのよ。あたしがあんた・・・じゃやなかった、三葉を招待したのよ。」

「な・・・でも、俺が説明した時は、全然信じていなかったじゃないか・・・・」

「それは~~~」

千鳥は、ハリセンを取り出し、俺の頭を思い切り叩く。

「あんたの説明が、全然なってないからよっ!」

「い・・・痛いじゃないか・・・・・」

 

千鳥は、俺と入れ替わった三葉と意気投合し、昨夜は遅くまで、部屋で語り合っていたらしい。殺風景な俺の部屋に、ひとりで帰すのは気が引けて、泊まっていくように言ったそうだ。そんな話を聞いている最中に、俺の携帯が鳴った。クルツからだった。

『宗介!自分の部屋に帰らないで、何処ほっつき歩いてんだ?』

「お前こそ、何故、昨日連絡を寄こさなかった?何故、糸守に来なかった?」

『馬鹿野郎!それどころじゃねえんだよ!今、何処に居る?』

「千鳥のマンションだ。」

『ん?そうだったのか・・・・じゃあ、今から行くから、そこで待ってろ!』

数分後、クルツだけで無く、マオまで一緒に来た。

 

「何?糸守がもう無い?」

「ティアマト彗星って、覚えてるか?」

「ああ、何年か前に、地球に最接近した彗星だな。」

「あたしも、最初にあんたから“イトモリ”って聞いた時に、何か引っ掛かってたのよ・・・でも、思い出せなった・・・・3年前、1200年周期で地球に最接近したティアマト彗星、当初の予測では、地球には何の被害も無い筈だったんだけど・・・・彗星の一部が割れて、その破片が地球に墜ちたの・・・・その墜ちた場所が、糸守なのよ。」

「ええ~っ?」

「住民の1/3が、巻き込まれ亡くなった。町は壊滅状態で、3年経った今も廃墟のまま、実質、糸守町はもう無いわ。」

「馬鹿な!俺は確かに、入れ替わって糸守に居たんだ!三葉だって、確かに居た!お前らだって会っているだろう!」

「だからよ~」

「あんたは、何年か前の三葉と、入れ替わっていたのよ!」

な・・・なんだと?俺は、昔の糸守に行っていただと?・・・ん?・・・

「ねえ、ちょっと待ってよ!それじゃあ、ただ入れ替わっているだけじゃなくて、時代も飛び越えて、入れ替わってたって事なの?」

「そういう事になるわね。信じられないけど・・・・・」

「そういえば・・・・確か、三葉の携帯の日付は、3年前の日付だったな・・・・」

『はああああああっ?』

俺の言葉に、3人同時に声をあげた。

「何でそういう大事なことを、真っ先に言わないのよっ!あんたはっ!」

千鳥のハリセンが、今迄に無い強さで、俺の頭を叩く。

「い・・・痛いじゃないか・・・・・・」

 




三葉が何を言っても、天然の宗介には伝わりません。千鳥のいない糸守で、彼の暴走を止められる者は居るのか?・・・・・
7箇条のところは、ちょっと時系列が逆転していますが、ここは続きで書かないと面白くないので見逃してください。
そして、よくやくマオ達は、3年の時間のズレに気付きました・・・・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。