君の名は・パニック   作:JALBAS

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いよいよ、彗星落下当日です。宗介や三葉達で、既に避難計画は準備されているので、あとはそれに沿って行動するだけ・・・・本来なら、それで全てハッピーエンドとなる筈なのですが・・・・・そこに、三葉を狙う、怪しい影が・・・・・


《 第八話 》

彗星落下、当日の朝が明ける・・・・

俺は、自分の部屋で、自分の体で目が覚めた・・・・結局、あのダナンでの事件以降は、三葉との入れ替わりは起こらなかった。

 

千鳥と共に、通学の途に就く。

「大丈夫かな?三葉・・・」

「準備は、整っていると思う、問題無い!」

「成功を祈って、待ってるしか・・・ないのかな?」

「そうだな・・・・」

「・・・そういえば、テッサの意識は戻ったの?」

「ああ・・・ただ、大佐殿にも、良く分からないらしい。」

その後、俺に対しても、何の追及も来ていない・・・マオは、何か知らないが呼び出されていたが・・・・・・

 

 

 

私は、糸守の、自分の体で目覚めた。

「い・・・いよいよ・・・今日!」

「・・・お姉ちゃん・・・・」

右を見ると、襖を開け、四葉が立っている。

「四葉、私は、やる事があるから一緒に居られへんけど、お婆ちゃんをお願い!」

「うん!分かってる!」

昨夜、妹の四葉には、本当の事を話した・・・・今日、彗星の破片が糸守に落下する事・・・・私が、3年後の世界の相良くんと、何度も入れ替わっていた事・・・・・驚くほど、四葉は、その事を素直に信じた・・・・きっと、四葉が一番、変貌する私を真近で見ていたからだろう・・・・・

 

学校に行き、テッシー達と、最終打ち合わせを行う。

「決行は7時半頃、今夜はお祭りやから、大概の人は神社に集まってる!」

「爆発は、神社の裏手、できるだけ人のおらんところで・・・これは、俺に任せとけ!」

「だめ!テッシーには、みんなを高校まで誘導してもらわんと・・・それは、私に任せて!」

「ほんまに大丈夫か?・・・相良やないのに・・・・」

「それくらいは、やらなくっちゃっ!なんせ、私が主犯なんやから!」

「分かった!セットだけは、俺がやっとくで!」

「サヤちんは放送をお願い!学校の放送室から、防災無線をジャックできるから!」

「うん!」

「三葉!お前は、午後から学校ふけて姿隠しとけ!その方が、信憑性が高くなる!」

「分かった!」

 

そして、陽が暮れる・・・運命の時間がやって来た・・・・空には、もうはっきりと彗星の姿が確認できる。

私は神社の裏手、疑似爆発を起こす場所に向かう・・・・既に、テッシーが来て準備をしていた。

「て・・テッシー!」

「三葉・・・準備はできてる・・・あとは、この導火線に火を付けるだけでええ!」

「うん!ありがとう!」

「威嚇だけやから、煙は出るけど、火事にまではならへん!ただ、近くにいると危ないから、火を付けたらできるだけ離れるんや!」

「うん!」

「あと、この辺に、人が近づかんようにしとくんや!」

「分かった!」

そう言って、テッシーは、避難誘導のために神社の表の方に走って行った。

私はその場に留まり、じっと時間を待つ・・・・・

7時30分、時間だ!私は、テッシーが用意してくれた、簡易爆弾の導火線に火を付ける・・・・・・

凄まじい轟音と共に、爆煙が吹き上がる!お祭りで、神社に集まっていた人達から、悲鳴が上がる・・・・そして、それを合図に、防災無線の放送が流れる。

『こちらは、糸守町役場です!たった今、宮水神社に、不発弾が複数持ち込まれたとの、

情報が入りました。万一、その全てが暴発すると、宮水神社を中心に、直径1kmの範囲に被害が及ぶと思われます・・・・・皆様、大変危険ですので、大至急、被害範囲外の、糸守高校まで避難して下さい。繰り返します・・・・・』

放送を聞いた人達から、ざわめきが起こる。

「い・・・今の爆発が、そうやの?」

「宮水神社にって・・・まさか、また、三葉ちゃんが?」

「あ・・・あの破天荒娘!また、やらかしたんか?」

そこへ、避難誘導係のテッシーが割り込む。

「みんな!何してるんや!はよう避難するんや!」

「そ・・・そうや!」

「い・・・急げ!いつまた、暴発するかわからへん!」

それが引き金になり、皆、一斉に逃げ出した。

神社の裏手から、私はその様子を伺っていた・・・・良かった、みんな、避難していく・・・・だけど・・・・わ・・・私の信用は・・・・・

しばらくの間、そこに蹲ってひとり嘆いていた・・・・・・・

 

一方、町役場では・・・・

「何だ?この放送は?何処から流れている?」

「分かりません、でも、爆発は、間違いなく神社です!娘さん、またやらかしたんじゃ・・・・」

「あのばか娘が!私の苦労も知らんで・・・・と・・・とにかく、今は避難するぞ!説教は、後でたっぷりしてやる!」

 

住民達は、一心不乱に糸守高校へと走って行く。先導していた勅使河原は、ふと、宗介に聞いた言葉を思い出す・・・・・“三葉の時は・・・・お前が守れ!”・・・・

「そ・・・そやった・・・み・・・三葉は、今、ひとり・・・・」

周りを見渡すと、皆、全く疑う事無く、糸守高校に向かって走って行く。誘導は、もう必要無い。勅使河原は、宮水神社の方に向き直り、人の流れに逆らい、宮水神社に向かって走って行く。

 

もう、神社には誰も居なくなった・・・・空を見上げると、彗星が長い尾を引いて、綺麗な模様を描いている。

さあ、そろそろ、私も避難しなくっちゃ!

神社の表側に回り、石段の所に差しかかろうとした時、突然、目の前に人影が現れる。

「?!」

全身黒尽くめで、黒いゴーグルで目も隠している・・・・どこから見ても、怪しい!

私は、身の危険を感じて、引き返そうと後ろを向く。しかし、そこにも同じ格好の男が居た!

「きゃあっ!」

私は、その黒尽くめの男に両手を掴まれる・・・・直後に、その両手を背中に捩じ上げられてしまう・・・・

「い・・・痛いっ!」

黒尽くめの男は、背中に捩じ上げた私の両手を、縄で一纏めに縛り始める。

「や・・・やめて!は・・・離してっ!」

必死に逆らうが、男の力に適う筈も無く、瞬く間に、私は後ろ手に縛られてしまう。

「だ・・誰か!助け・・・・んっ!」

大声で、助けを呼ぼうとしたところ、口の中に、手拭いを結んだ瘤を捩じ込まれる。そして、その手拭いを頭の後ろできつく縛られる。猿轡まで、されてしまった。

「むふううううんっ!」

だ・・だめ!これじゃ、声も出せない・・・た・・助けて!誰か!テッシー!・・サヤちん!・・・・

「おい!何か様子がおかしいぞ!」

もうひとりの男が、空を見て声をあげる。

そう言われて、私を捕まえている男も、空を見上げる。

「?・・・彗星が・・・割れてる?・・・・」

私も、空を見る。彗星が2つに割れて2本の光の尾を引いている・・・いけない!もう直ぐ、こちらに落ちて来る・・・・

「い・・・行くぞ!こいっ!」

男は、急いで私を連れ去ろうとする。

「むふうん!んんっ!」

必死に抵抗を試みるが、縛られている上に、非力な女の力では、大の男の腕力に抗う術が無い・・・こ・・こんな事なら、毎日、筋トレしておくんだった・・・・た・・助けてっ!誰かっ!・・・・さ・・相良くん!

 

 

 

――― 助けて!相良くん! ―――

「ん?」

「どうかした?宗介?」

「・・・今、誰かに、呼ばれたような気がしたんだが・・・・」

学校の帰り道、俺は、千鳥と河原の土手を歩いていた。

「・・・誰も、居ないわよ・・・」

「そのようだな・・・気のせいか?」

「きゃああああっ!」

その時、急に突風が吹き、砂埃が舞い上がる。千鳥は、スカートを必死に抑えている。同時に、辺りに轟音が響き渡る・・・・これは、ヘリの音だ!

俺は、上空を見上げる・・・・何も無いところに、突然、大きなヘリが姿を現す。ECSを解いたのだ!

「な・・何?」

「ミスリルの輸送ヘリだ!」

ヘリの中から、クルツが顔を出す!

「宗介!緊急事態だ!乗れっ!」

「いったい、何だ?」

「大変な事が解ったんだよ!」

 

 

 

「三葉!」

急に、名を呼ばれ、声のする方に顔を向ける・・・・テッシーが、そこに居た・・・

「お前ら!三葉を離せ!」

テッシーは、私に向かって一目散に駆け寄って来る。そして、黒ずくめの連中に飛びかかろうとするが・・・・

「ぐはっ!」

軽く交わされ、腹に一撃を喰らってしまう。

「どはっ!」

更に、顎を蹴り上げられ、テッシーは仰向けに倒れてしまう。

「むふううううっ!」

私は、声にならない叫びをあげるだけだった。

「こ・・・この・・・」

それでも、テッシーは、まだ向かって来ようとする。すると、黒ずくめのひとりが拳銃を抜き、それをテッシーに向ける。

「むふうううん!んっ!んんっ!」

いや!撃たないでっ!だ・・・誰かっ!テッシーを助けてっ!・・・さ・・相良くんっ!

もうだめ!と思った次の瞬間、撃たれて倒れたのは、黒ずくめの男の方だった。

「なっ?」

慌てて、私を捕まえている男も銃を抜くが、その銃も誰かに撃ち落とされる。

「?!」

男が怯んだところに、林の中から、物凄い速さで人影が駆け寄り、私を捕まえている男を跳ね飛ばす。

「ぐわあっ!」

男は倒れ、私はその人影に抱き留められる。

「大丈夫か?三葉?」

さ・・・相良くん?ど・・・どうして?3年後に居るはずの・・・あなたがここに・・・・

 




うまく行きかけた避難計画の最中の、まさかの誘拐劇・・・・・
絶体絶命の三葉の前に、時を越えてリアル宗介登場!
でも、何で?・・・・・
その訳は・・・・・次回で・・・・次回は最終回です!
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