【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回はせっちゃんVS.魔王カマセイヌのバトル回。神鳴流の出番回でもあります。やっとお披露目できますよ。



Beginning(10)

 

 超速レベルアップによって身体能力がとんでもないレベルにまで跳ね上がっている刹那は村からたった3秒で魔王城にたどり着く。

 

「フッ!」

 

 そして走る勢いのままにジャンプした刹那は女神が時間を巻き戻したことで再び復活した魔王城の真っ赤な扉を氣を使ったコーティングなしのナックル一撃で派手にぶち破る。その刹那の視線の先に、相変わらず足と腕を組んで偉そうに玉座に座るオオカミ男:残虐魔王カマセイヌがいた。

 

「ぬ? 何だ、貴様か。また懲りずに我に倒されに来たのか、人間?」

「ッ!? 私のことを覚えているのですか!?」

 

 刹那は魔王カマセイヌの物言いに驚きを見せる。刹那の反応はもっともだ。刹那が最初に魔王カマセイヌに特攻を仕掛けたのはハメツの呪文発動まで残り10秒を切った頃合いだ。だがしかし、今の脳内タイムウォッチが示す時間は『24’00』。女神が時間を巻き戻した以上、魔王にとって桜咲刹那という人物は初対面の相手でないとおかしいのだ。

 

「バァロロロ。当然だ。我がタイムストリームの歪みに気づけない程度の矮小な存在だと思ったか? 歪んだタイムストリームの範囲外に逃れることなど造作もない。我の力量も知らずにまたやられに来るとは……愚かだな、人間。まぁ、超常の存在に時間を巻き戻してもらってまで我を倒そうと悪あがきをするその心意気だけは認めてやってもいいがな」

「……今の私を前の私と同じだと思っているのなら痛い目を見ますよ?」

「バァーロロロ! やってみろ、下等種族!」

「言われなくても!」

 

 自身が優位に立っていると信じて疑わない魔王カマセイヌの刹那を見下しまくった上での挑発を契機に刹那は魔王の元へと一息に駆ける。ここにおいて二度目の人造魔王と神鳴流剣士との戦いが幕を開けた。ちなみに刹那が魔王と会話していた時に女神が気を利かせて一時的に時間を止めてくれていたので残り時間は『24’00』のままだ。

 

「斬空閃ッ!」

「バロ!?」

 

 刹那は先制攻撃としてデッキブラシに纏わせた氣を曲線状に飛ばして魔王カマセイヌを襲撃する。超速レベルアップの恩恵は何も身体能力が軽く人間離れするだけでなく刹那が内包する氣の総量の大幅な増加をももたらしている。ゆえに30秒で発動するハメツの呪文の影響で超短期決戦を強いられている刹那とって有り余る自身の氣を出し惜しみする理由はないのだ。

 

 唸りを上げて迫りくる氣を一目見てまともに喰らうのはマズいと判断した魔王カマセイヌは斬空閃をかわすために玉座から飛び去る。直後、玉座へと至った刹那の氣は魔王お気に入りの玉座を粉々に粉砕した。

 

「わ、我の玉座をよくも――」

「――よそ見してる暇、あるんですか?」

「グフッ!?」

 

 魔王カマセイヌの着地点にあらかじめ回り込んでいた刹那はデッキブラシを持つ右手を左腰に配置し、体の回転を大いに利用した横薙ぎから再び斬空閃を放つ。至近距離から氣の攻撃を喰らった魔王は為す術もなく真横に吹っ飛んでいく。しかしそこでただやられる魔王ではない。魔王は吹っ飛ばされる際に瞬時に刹那の頭に鋭い裏拳を叩きこむ。

 

「がッ!?」

 

 己の頭がグワングワンと揺れる感覚に刹那は思わず倒れそうになるが床を踏みしめてどうにか持ちこたえる。そして今がチャンスだと、刹那は追い打ちをかけるために背中から壁にぶつかったばかりの魔王へと接敵する。

 

「この、下等種族がッ!」

「斬岩剣ッ!」

 

 牽制代わりと言わんばかりのゴウと空気を纏った魔王カマセイヌの蹴りを刹那は高く跳躍してかわすと、そのまますかさず上段の構えから氣を集中させたデッキブラシを振り下ろす。重力を味方につけた一撃を魔王はとっさに両腕をクロスすることで防ぐもその腕はミシミシと悲鳴を上げている。魔王の両腕が徐々に下がっていることから魔王が力負けするのは時間の問題だった。

 

「はぁぁぁぁあああああああああああッ!」

「ぐぉぉぉおおおおおおおおおおおッ! 図に乗るなよ、人間ッ!」

 

 気合いで押し切る。刹那はここで勝負を決めようと、デッキブラシにありったけの氣を注いで電気エネルギーに変換させる。魔王は刹那の電撃をその身に受けながらもコォォォと空気を取り込み始める。瞬間、刹那の背中にゾワリと悪寒が走った。

 

 マズい。あの咆哮が来る。刹那はさらにデッキブラシに氣をこめて一気に勝負をつけようとするも、魔王が吠える方が早かった。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!!」

(くッ……!)

 

 大気をビリビリと震わせ魔王城を揺るがす魔王カマセイヌの大咆哮。間に合わなかったか。勝負を急ぎ過ぎたか。一度魔王の咆哮の威力を身をもって経験したばかりの刹那は自分に襲い来るであろう痛みを恐れてギュッと目を瞑る。

 

 しかし。魔王の咆哮が刹那の体に無数の切り傷を刻むことも、刹那を遥か彼方まで吹っ飛ばすこともなかった。いつの間にか刹那の正面に現れた薄い黄色の膜が魔王の咆哮から刹那を守るように展開されていたからだ。自身がいつまでも魔王の咆哮の影響を全く受けていないことに疑問を抱いて目を開けた刹那は眼前にいきなり現れていた黄色い膜に目を見開いた。

 

「なに、これ……」

「指輪だわ! コノハちゃんの指輪が刹那ちゃんを守ってるのよ!」

「え、コノハちゃんの!?」

 

 刹那は女神の指摘に意識を首に提げた指輪に向ける。見れば、確かに光麓の指輪はほのかに光り輝いていた。

 

(コノハちゃん……!)

 

 指輪の放つ優しい光に刹那は小さな笑みを浮かべる。どういう仕組みかは知らないが、コノハちゃんのくれた指輪は魔王の咆哮を無効化する効果があるらしい。あの咆哮が切り札らしい魔王カマセイヌを相手取る刹那にとってこれほど心強いアイテムはない。

 

「バロッ!? 我の咆哮が効かない、だとォ!?」

「これで終わりです、魔王カマセイヌ! くらえッ! 真・雷光剣!」

 

 一旦魔王の腕を蹴って魔王から距離を取った刹那はこれでもかとデッキブラシに氣をこめて高密度の電気エネルギーを帯電させると、自分のとっておきの技が効かなかったことに動揺して致命的な隙を見せている魔王へとデッキブラシを振り下ろす。そして刹那はデッキブラシの先端が魔王に触れるか触れないかといった所で膨大な電気エネルギーを爆発させた。

 

「バ、バァロロロロロロロロ――ッ!!」

 

 解き放たれた巨大な電気エネルギーは魔王カマセイヌを存分に焼きつくし、あっという間にその身を炭にする。それだけでとどまらない電撃は魔王城を隈なくほとばしり衝撃波とともに魔王城を容赦なく破壊していく。結果、刹那の真・雷光剣が魔王城を破壊し魔王を跡形もなく消滅させる形で刹那は残虐魔王カマセイヌに勝利した。残り時間『03’87』の出来事だった。

 




 超速レベルアップを遂げたせっちゃんがマジ強い件について。
 やったねせっちゃん。よくやった。
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