【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回は実質エピローグなので文字数がいつも以上に少ないです。ただでさえ少ない文字数がさらに減るってどういうことなの……。



Sleepy(10)

 

「それにしても戦闘能力自体は大したことなかったけど、残虐魔王カマセイヌとは違った意味で厄介な魔王だったわねぇ」

「はい、全くです。まさか最後の最後にレイフィールさん特製の眠気覚ましのコーヒーの効果を軽く上回るほどに強力な呪文を使ってくるとは思いませんでした。えーと、確か……惰眠の呪文、で合ってますよね?」

「うん。それで合ってるわ。惰眠魔王の『惰眠』の二文字はダテじゃなかったってことね。それを考えるとこれからは魔王の二つ名にも注意しておいた方がいいかもね」

「同感です。幸い二つ名の方は魔王が自ら名乗り上げてくれるようですし警戒してもし過ぎることはないでしょう」

 

 結局。あの後朝を迎えるまで草原で爆睡していた刹那は女神を伴って北へ向けて出発した。そして今現在、所持金0Gの刹那は女神と会話しながらも襲いかかってくる自分と同じ大きさの黄色のエリマケトカゲっぽい敵を返り討ちにしてお金を稼いでいる。

 

 なぜ刹那が無一文になってしまっているのか。答えは至って簡単。先日、魔王スリィピ退治の疲れがたたってモンスターが出没する草原で無防備にも眠ってしまった刹那の身辺を警護した女神が警護代として刹那の有り金を巻き上げたからだ。「身ぐるみはがさなかっただけ感謝してよね♪」と女神にウインクされた刹那が非情な現実を受け入れざるを得なかったことは記憶に新しい。

 

「けど、そっか。刹那ちゃんってハーフだったんだね」

「ッ!?」

 

 女神が口元に指を当ててポツリと呟いた言葉に刹那はビクッと肩を震わせ思わず立ち止まる。一方の女神はいきなり歩みを止めた刹那に疑問の眼差しを向ける。

 

「刹那ちゃん? どうしたの?」

「……め、女神さまは私のこと、どう思いますか?」

「ん? あれ? 刹那ちゃんは誰に何と言われようと気にしないって決めたんじゃないの? あのいけ好かないレフィ何とかに色々言われてさ。てっきりそのつもりだと思ってたんだけど?」

「そ、それはそうなんですけど……そう簡単に変われたら苦労しませんよ」

「あぁなるほどね」

 

 刹那は女神の視線から逃げるように下を向くと陰鬱なため息を吐く。レイフィールさんは私にああ言ってくれたし私もレイフィールさんみたいな生き方をしたいと思っている。でもやっぱり他者の視線は気になる。それがふとしたきっかけで一緒に旅をすることとなった女神さま相手なら尚更だ。実際女神さまは私のような混血の存在をどう思っているのだろうか。

 

(……もしも嫌われていたらどうしよう)

「ま、でも私にとってその問いは完全に愚問ね。だって私はそういった出自やら何やらは気にしない主義だもの」

「へ? いや、でも――」

「そもそも私はお金さえ捧げてくれたら誰だろうと大歓迎だからね。貧乏人じゃなかったら何だってウェルカムよ!」

「……女神さま」

 

 時の女神のどこまでも金の亡者な発言に刹那は思わず苦笑する。どうやらこのお金にどこまでも忠実な女神の前では私の出自など全くの些事で嫌われるのではないかという心配は全くの杞憂だったようだ。一瞬でも女神に嫌われる心配をした自分が急にバカらしくなった刹那は吹っ切れたような笑みを浮かべる。

 

「そうですね。女神さまはそういう人でしたね。……ありがとうございます、女神さま」

「ふふふ、どういたしまして。これからもよろしくね、金づ……じゃなくて刹那ちゃん」

「今金づるって言おうとしましたよね?」

「ナ、ナンノコトカナァ~? ワタシヨクワカンナーイ」

「……」

 

 刹那は空中に浮いたまま露骨に明後日の方向を見やる女神をジトーと見つめる。この金目のモノに貪欲な女神と一緒に行動している間は常時金欠で財政難かつ懐の寒い将来しか待ち受けていないことだろう。先が思いやられる刹那だった。

 




 結局何だかんだで時の女神さまへの好感度が上がったせっちゃん。
 せっちゃんガンバッ。君の戦いはまだまだこれからだッ!
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