【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回は第3話の中で何気に一番書きたかったシーンだったりします。



Castle(4)

 

 何者かに盗まれてしまった『聖剣シロノアシ』。それを取り戻すために刹那&ナイトは犯人と思われる人物が向かったらしい南東の洞窟へと一直線に駆けていく。

 

 道中、二足歩行でかつ針を飛ばしながら襲ってくるサボテンや刹那たちを丸呑みしようと大口を開けて襲ってくる割と大きなヘビ、ついでに「ヒャッハー! 身包み全部置いてきな! そしたら命だけは助けてやるぜ、ヒャア!」などと叫びながら襲ってくるはぐれ盗賊たちを刹那とナイトは二人で分担して返り討ちにしていく。とはいえ刹那たち二人が相手しているのはあくまで襲ってくる相手だけで、周囲にチラホラ存在する他のモンスターは軒並みスルーして洞窟へと走っていく。

 

 いつもならここらで超速レベルアップと時間を巻き戻すためのお金集めを目的としてモンスター退治(※盗賊含む)を積極的に行っていく所なのだが、今は勇者城のパーツを盗んだ泥棒を捕まえるのが先だと刹那は眼前の盗賊の鳩尾にバトルアクスの柄をねじ込み、通り抜けざまに盗賊の懐から金目のものをスッていく。

 

(私は悪くない。これは相手から慰謝料をもらってるだけだ)

 

 お金目当てで襲ってきたんだから自分が逆にお金を奪われる覚悟もあるはずだ。刹那はそう自分に言い聞かせて盗賊からも容赦なくお金を奪っていく。その手際は刹那にスリの才能があるのではないかと思いたくなるほどに素晴らしく、もはやプロのスリといい勝負となっていたりする。

 

 

(何か刹那ちゃんが思いっきり黒くなってる気がするんだけど……これって私のせい? 私が何かにつけてお金巻き上げちゃったせいで刹那ちゃんがお金に貪欲な子になっちゃったってこと? ……いやいや、まっさか~☆)

 

 倒したらお金を残して消滅するモンスターからだけでなく、倒しても別に消滅しない盗賊からも実に手際よくお金を手に入れる刹那の様子を上空から眺めていた時の女神は思わず冷や汗を流すのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 28秒後。洞窟にたどり着いた刹那&ナイト。洞窟にたどり着いてすぐに近場の女神像に100Gを入れて時間を巻き戻した刹那は慎重になりつつも急ぎ足で洞窟を奥へ奥へと進んでいく。30秒という短い時間に追われる勇者特有の行動である。洞窟内は刹那の想定と違って至る所に青白い光を放つコケが繁殖しており、そのおかげで光源なしで進んでいくことができた。

 

(あの人の話だと、ここには強いモンスターがいるとのことでしたけど……)

「強い弱い以前に全然モンスターがいないですね。先にここにやって来た泥棒が全部倒したんでしょうか?」

「……もしそうだとしたら、泥棒は強敵の可能性があります。気を引き締めていきましょう、ナイトさん」

「はい、そうですね」

 

 刹那はバトルアクスをギュッと強く握りしめて奥へと歩みを進め、ナイトも刹那の一歩後ろからしっかりついていく。そして。再び30秒が経とうとしているというのに付近に女神像がないということで刹那が女神に直接200Gを渡して再度時間を巻き戻してもらった、その直後。

 

 

『――。――!』

 

 刹那たちの前方から何者かの声が反響してきた。その声は若い女性のもので、『いかにもアホっぽい女』という条件と一応だが合致していた。

 

「「「……」」」

 

 刹那とナイトは互いに視線を合わせてうなずくと、決して足音を立てないように前へと歩みを進め、適当な岩陰に身を潜めて奥を伺う。尤も、特定の人物以外にはその姿を見られることのない女神だけは身を隠すことなく堂々と奥を覗いているのだが。ちなみに女神は空気を読んで一時的に時間を止めているので今だけは時間を気にする必要はない。

 

 

『う~、これどこに持ち手あるんだろ? ここかな? いやでもここはいくら何でも無理だよね。持ちづらさ半端じゃないしぃ。う~ん。……うああああああああ! わっかんない! わっかんない! これの使い方が全然わっかんないよぉー! 聖剣シロノアシなんていかにもな名前付いてるみたいだったから試しに盗んでみたのにこれじゃあ無駄骨だよぉ~。クソー! こんなものー!』

 

 刹那たちが見つめる先。そこには甲高い声とともに聖剣シロノアシを乱暴に投げつけて頭をグシャグシャ掻きむしる一人の少女がいた。それは確かに『いかにもアホっぽい女』そのものだった。

 

『うぅ……あのハゲ店主、全然使い道のないパチモン売りさばいてんじゃねぇよ王様に直談判して冤罪で賞金首に仕立て上げるぞコンチクショー! まぁでも実際そんなことしようとしたら捕まるのはどう考えても盗賊やってるあたしなんだけどねぇー! ムキャー! そもそもなんでこうもあたしの人生ハードモードなの!? 誰でもいいからヘェェェルプミィィィィイイイイイイイイイイイイイイ!! あ、でもどうせなら白馬の王子様に来てほしいかな! うん!』

 

 洞窟中に響き渡る『いかにもアホっぽい女』の声。その声は刹那がつい最近聞いたことのあるものだった。しかしこればかりは刹那は認めたくなかった。何せ――

 

『――ハッ。いや、待てよ。待つんだツッキー14歳。よーく考えろ。シンキングタイムだ。これは聖剣。聖剣シロノアシ。SEIKEN:SHI☆RO☆NO☆A☆SHI。つ・ま・り、つまりつまりつまりぃ! そうか! これは聖剣に選ばれし者しか扱えないということか! なーら話は簡単ね! さぁー聖剣よ! このプリティでレジェンドなツッキー様を主と認めたまえぇぇぇえええ! ヘアァアッ! ヘェェェエエエエエア――ッ!!』

 

 ――聖剣シロノアシを頭上に掲げてこれでもかと叫ぶ少女が、メガネがなかったりサラシ・ホットパンツ・マント・ブーツだけという何とも露出度の高い服装をしていたりといった差異こそあるものの、かつて天ヶ崎千草の護衛として刹那の前に立ちはだかってきた戦闘狂こと月詠と全く同じ姿形をしていたからだ。

 

 




 月詠のそっくりさんが凄まじくはっちゃけてる件について。
 ……せっちゃんガンバッ。マジガンバッ。
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