どうも、ふぁもにかです。今回は第3話エピローグ、ということで前半後半で視点が切り替わる仕様となっています。
正直、2000字程度の文字数で視点移動させるのはどうかと思うんですが……せっちゃんサイドの話だけだと1000字超えないっぽかったからこの措置は仕方ないと思うんだ。うん。
P.S.今日の朝3時頃、チラッとランキング見てみたらこの作品が日間ランキング21位に入っててビックリしました。この作品、UA数もお気に入り数も他のランク入り作品と比べ物にならないぐらいに少なかったので何だか場違い感が凄まじかった印象です。
巨壁魔王フミダイン討伐後。リミッターを外した状態で無茶し過ぎたせいで刹那の両腕がもはや使い物にならないレベルに折れていることが判明したのが35分前の出来事。
しかしこの世界では美味しいものを食べればたちまち全回復するという法則が成り立っているため、町にて30Gで購入したはちみつトーストを食べることで(※両腕が全然使えないためナイトに食べさせてもらった)即刻骨折を完治させたのがつい30分前の出来事。
「これからは勇者城を使っての旅だから楽になるわね、刹那ちゃん」
「……確かに楽にはなりますけど、これで移動するのって異様に目立ちますよね?」
「ま、目立つね。でもまたさっきみたいに巨大な魔王が現れるかもしれないのに勇者城を捨て置くなんてできないし、そこは妥協するしかないんじゃない?」
「…………そうですね。仕方ない、ですね」
そして今現在。刹那と時の女神は眼前に鎮座している勇者城を眺めつつ会話を交わす。自身の出自関連で目立つことにこれっぽっちもいい印象を持っていない刹那としては勇者城という非常識の塊みたいな物体をこれからも所持し続けることには消極的なのだが、勇者城所持賛成推進派の女神の意見が尤もなため、刹那には勇者城を受け入れるしか選択肢はなかった。
「セツナさん、女神さま。折り入って頼みがあります! ……僕も一緒に連れて行ってください!」
刹那が複雑な心境を抱えてため息を吐いていると、ナイトがやけに真剣な面差しで刹那&女神を見つめてくる。普段のナイトとまるで違う様子に刹那と女神が疑問の眼差しを向ける中、ナイトはいきなり深々と頭を下げきた。
「えと、ナイトさん?」
「図々しい申し出だと、僕自身そう思います。ですが、僕は女神さまのナイトで、勇者城の監視を任された身です。だからどうか、セツナさんの魔王討伐の旅に僕も同行させてください、お願いします!」
「お願いしますと言われましても、私は最初からそのつもりだったんですが……」
「うん、私もいつの間にか仲間になってるパターンでちゃっかり刹那ちゃんと一緒に旅しようと考えてるものだと思ってたよ」
「えッ!? そ、それじゃあ――」
「私も刹那ちゃんもOKだよ。むしろ大歓迎。刹那ちゃんは真面目すぎる所があるからナイトくんみたいなのがいた方がバランスいいでしょうしね」
「女神さま……!」
今にも土下座しそうな勢いのナイトに刹那は困惑気味に言葉を紡ぐ。「何を言うかと思えばそんな当たり前のことか」と言いたげな表情だ。一方の女神も何だかんだでナイトのことを気に入っているため、迷うことなくナイトの頼みを受け入れた。
「これからよろしくお願いします、ナイトさん」
「はい! こちらこそよろしくお願いします、セツナさん」
刹那からナイトに手を差し出す形でしっかりと握手を交わす刹那とナイト。かくして、元の世界に帰るために魔王討伐を行う刹那の旅仲間として新たにナイトが加わるのだった。
◇◇◇
後日。
「いやぁー、ホントにネコミミ騎士団長さんが魔王を倒しちゃうとは思わなかったなぁ~」
とある山岳地帯にて。相変わらず露出度の激しい服を身に纏った月詠のそっくりさんことツッキーは心底嬉しそうに独り言を零す。ツッキーの脳裏によぎるのは先日の巨大な建造物と魔王とのそれはもう激しいの一言に尽きるレベルのぶつかり合いのシーンである。
「凄かったなぁ、あの迫力! んでもってあのパワー! 最近の騎士団には各部隊ごとにあんな巨大な兵器をプレゼントされてたりするのかなぁ? くぅぅ! 何て贅沢な奴らめ! いいなぁ、羨ましいなぁ、超欲しいなぁ。……あれ盗めないかな? てか、上手いこと盗めたらあたしの盗賊としての株上がっちゃう? もしかして上がっちゃう!? うなぎ上り!? なら、ならならなーら話は簡単ね! あれ動く拠点としても使えそうだし、よーし! そうと決まればどっかであの城盗もう! ネコミミ騎士団長さんを出し抜ける自信はちょっとないから他の騎士団が持ってる奴を盗んじゃおう! ふっふふふ、ワクワクしてきたァ!」
ツッキーは自分自身を両手で抱きしめるとくねくねと踊り出す。傍から見れば露出部門に秀でた変態そのものな挙動を見せるツッキー。と、その時。ツッキーの瞳がとある人影を捉えた。それはストレートロングの黒髪をたなびかせる長身痩躯の人物だった。
「おろ?」
「おや? こんな所でどうしましたか、可愛らしいお嬢さん? ここはお嬢さんみたいな可憐な子が一人で来るような場所じゃないですよ?」
「お、お嬢さん!? そ、そそそそれってあたしのこと!? あたしのことだよね!? あたしのことですよね!? そうですよね!?」
「は、はい。そうですけど……」
お嬢さんと呼ばれたツッキーは爛々と目を輝かせて黒髪の人物、もといライラックへと詰め寄っていき、当のライラックは眼前の少女のあまりの食いつきようにジリジリと後ずさる。こうして。無意識の内に女性に甘い言葉を投げかけることに定評のある男装の麗人と全身からそこはかとないアホオーラを滲ませる盗賊とが奇妙な出会いを果たしたのだった。
ナイトくんが新たにせっちゃんの仲間入りを果たした件について。
よかったね女神さま! 金づるが増えたね!