【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回は最初から視点が変わっています。いきなり新キャラ目線の話となっております。後半からはちゃんと刹那目線の話となりますので「あれ? 見る小説間違えた?」とブラウザバックしないよう心よりお願い申し上げます。



Sacred(4)

 

「すまねぇなぁ。あんたの期待に沿える結果にできなくて」

「いいっていいって。気に病むことねぇーよ、おっさん」

「けどよ、俺たちのことを思って提案してくれたことなのに……」

「だからおっさんが気にすることねぇーって。あん時は私も熱くなりすぎてメチャクチャ言っちまったけど、今考えたら私の提案は無茶ぶりもいい所だ。あいつらが怒るのも無理ねぇーよ」

 

 スラキア街の一角にて。申し訳なさそうに眉を寄せる中年男性に一人の少女が気にするなと手をヒラヒラと振る。どう考えても年上相手に馴れ馴れしい態度なのだが、少女には不思議とその馴れ馴れしさを認めてしまいそうになる雰囲気があった。

 

(さすがに「有志募って山賊潰そうぜ~!」なんて無茶だったか。ま、命が惜しいのは誰だって当たり前だもんな。けど、この手が使えないとなるとこれからどうしたもんかねぇ? ……いっそ単騎で攻め込んでみるか? どうせあいつらただの烏合の衆だろうし)

 

 中年男性と別れた後。少女は一人思案する。自身の目的を果たすためには何をすべきかについて、ああでもないこうでもないと考えつつ自分の拠点へと帰っていく。

 

「って、お? 客か?」

 

 と、ここで少女の視線が自分の開いている店の前へと向けられる。少女の目線の先には黒髪をサイドテールにした一人の少女。冷静そうなたたずまいをしているものの目がキラキラと輝いていることから内心ではよほど興奮しているようだ。

 

(見るからに『私、刀大好きです!』って雰囲気だし、こりゃ冷やかしじゃなさそうだ)

「さーて。接客なんて久しぶりだが、どうなることやら……」

 

 少女は私困ってますとでも言いたげに頬をかく。しかしその発言とは裏腹に少女の口角はニヤリと上がっているのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 スラキア街に着いてひとまず女神像に100Gを投入して時間を巻き戻してもらった後。

 

(刀が、野太刀がある! いっぱい売ってある!)

 

 スラキア街の中心街から少し外れた一角にひっそりと存在していたとある鍛冶屋にて。今現在、刹那は絶賛興奮中だった。無理もない。刹那はこれまでどの武器屋でも見つけられなかった野太刀をようやく発見できたのだから。ちなみに。刹那が今いる鍛冶屋には長らく探し求めていた野太刀だけでなく、小太刀や長巻、青龍偃月刀、柳葉刀、短刀、苗刀、匕首、脇差、軍刀と実に様々な刀系統の武器が展示されている。

 

(品揃えも質もかなりいいし値段も手頃。他の店みたいにお客さんがいないのが不思議なぐらいです。……今店主が留守だからでしょうか? それとも場所が悪いんでしょうか?)

「せ、刹那ちゃんの目が今まで見た中で一番輝いてる。……宝石拾った私って周りから見たらあんな感じなのかな?」

 

 刹那は展示されている武器を真剣に物色する。その耳に時の女神がポツリと漏らした独り言が届いている気配はない。展示されている刀がどれもクオリティの高いものだったためについ目的の野太刀以外にも目移りしてしまうようだ。尤も、今の刹那はほぼ一文無しなので(※女神に言いくるめられて回収された)武器を買うには例のごとくモンスター討伐に明け暮れる必要があるのだが。

 

 

「刀は好きか?」

「はい! って、貴女は!?」

「ん? 私がどうかしたのか?」

「い、いえ……貴女はここの鍛冶屋の人ですか?」

「あぁ、そうだ(私のような子供が鍛冶屋やってることに驚いたってとこか?)」

 

 と、ここで側方から声をかけられた刹那は声の届いてきた方向へと目を向け、驚愕の声を上げた。刹那の目の前にいたのは、ヘアピンの代わりに四角いゴーグルを頭に付けているという差異こそあれ麻帆良のパパラッチと名高い朝倉和美とそっくりだったからだ。とはいえ、さすがにこれまで四回もそっくりさんと出会ってきた&今まで朝倉和美とあまり付き合いがなかっただけあって刹那の動揺は比較的少ない。

 

「えーと店主さん。いきなりこんなこと聞くのは失礼かもしれませんが……ここってあまり繁盛してないんですか?」

「んー? どうしてそう思うんだ?」

「ここの刀はみんな良質なのに他のお客さんがいないのが少し気になりまして……」

「お、見る目あるじゃねぇか。ま、あんたの言う通り私の店は繁盛してねぇよ、閑古鳥状態だ。つっても私に限らず、刀は今人気じゃねぇからなぁ」

「そうなんですか?」

「あぁ。疾風の騎士団長っていう大層な二つ名付きのファイナスってのが『刀ほど使えない武器はない、さっさと廃れてしかるべきだ』なーんて偉そうに言っちまったせいで刀は現在絶賛人気低迷中。今じゃ冷やかし野郎か酔狂な奴しか来なくなっちまったんだ。ま、私としちゃ流行やら有名人の言うことに乗せられて武器を選ぶような奴に売る刀なんてねぇからこれで別にいいんだけどな。自分の食い扶持さえ稼げりゃそれでいい」

 

 朝倉似の店主は男勝りな口調で刀を取り巻く事情を刹那に赤裸々に明かし、軽く笑い飛ばす。刀が貶められている現状を何とも思ってなさそうな辺りを鑑みるに随分サバサバとした性格をしているようだ。

 

「それで、あんたはどんなのがほしいんだ? サクラか、カゲロウか? その体格ならネーベルもいいんじゃないか? いや、見栄えも考えるならここはケセルダかな?」

「あ、あの! 刀に名前をつけてるんですか?」

「あぁ。私の刀は量産品じゃないからな。一本一本にそれなりに思い入れがあるってことでとりあえず名前つけてんだ。けどまぁ気にすんな。これは私が勝手にやってることだ。強要する気はねぇから便宜上のものとでも思っててくれ。で、あんたはどんな刀がいいんだ?」

「そう、ですね。……魔を浄化することができるとか、腐食作用を食い止めることができるとか、そんな刀ってありますか?」

 

 独自の判断基準から刹那に合いそうな刀を展示品から見繕う朝倉似の店主に刹那はおずおずと魔王ヘラゼーラに対抗できそうな刀の有無を尋ねる。そんな都合のいい武器なんてあるわけないと考えながらも、展示されている刀の質の良さから眼前の店主が刀鍛冶としてかなりの実力を持っていると判断した刹那は一縷の望みに賭けてみることにしたのだ。

 

「は? 魔の浄化? そんなバカげた機能付きの刀なんてあるわけ……あ。いや待て、聖刀ならあるいは――」

「聖刀、ですか?」

「あ、あぁ。女神歴100年、だっけか? その頃にユウシャが使用した勇者の剣みたいに魔を浄化する伝説の刀を作ろうって考えててな。それならあんたの要望にも応えられるかもな」

「その聖刀、いくらですか!?」

「あ、あー……わりぃ。期待させちまったみたいだが、聖刀は今作れねぇんだ」

 

 刹那はわらにも縋る思いで聖刀の値段を尋ねる。理不尽なほどに高価なことを覚悟した上での問いだったが、当の朝倉似の店主は聖刀を作れないことを申し訳なさそうに告げるのだった。

 

 




 今回は区切り悪いけどここまでです。そうしないと4000字超えちゃいそうでしたしね。
 さて。今回は麻帆良世界のそっくりさん四人目となる朝倉さん似の刀鍛冶さんの登場回でした。
 刀鍛冶さんかっけぇ。マジかっけぇ。
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