【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回は9割会話です。女神のことが見えていない相手と接触するとどうしても女神の影が薄くなっちゃうけどこればっかりは仕方ないよね!



Sacred(5)

 

 朝倉とそっくりな容姿をした刀鍛冶の少女から聖剣を作れないと言われた刹那だが、だからといって「そうですか」と引き下がるわけにはいかない。朝倉似の店主の言う『聖刀』こそが魔王ヘラゼーラ打倒の最後の希望かもしれないからだ。

 

「今は作れない……ということは何か問題があるんですか? まだ具体的な材料を何にするか決めてないとか」

「いや、構想はもう練り終えてる。問題は材料なんだ。聖刀を作るにはミスリル鉱石っつうフォルス鉱山でしか取れない希少な鉱石が必要なんだが、今そのフォルス鉱山をバズバ山賊団が占拠してんだ。ミスリル鉱石は貴族間で高価で取引されてるからな。それがザクザク取れるフォルス鉱山を独占すれば手っ取り早く大金持ちになれる、とか考えたんだろうな、きっと。いい加減うざったかったんでついさっき街で討伐チームを結成しようって話を持ちかけてみたんだが……ま、話は破綻。ミスリル鉱石が手に入らないってことで聖刀作りも中断せざるを得ないってわけだ」

「……騎士団を要請して山賊団を退治してもらう、といったことはできないんですか?」

「無理だな。コルト大陸(ここ)は王様がアホだからな。騎士団に好き勝手させまくったせいで今やコルト大陸(ここ)の騎士はみーんな肩書きだけの軟弱者だらけだ。ここが首都から少し遠いってのもあるし、バズバ山賊団は割と大規模だ、頼んだって竦み足になってそれっぽい言い訳並べて拒否るのが目に見えている。精々、既に捕縛し終えた山賊団の連行をやってくれる程度だろうな」

 

 朝倉似の店主は腕を組むと自身の店の柱にもたれかかってため息を一つこぼす。バズバ山賊団のせいで聖刀作りに取り組めない現状に複雑な思いを抱いているようだ。

 

 

「なら私がバズバ山賊団の目を盗んでミスリル鉱石を採ってくれば聖刀を作れるんですね?」

「……おい、ちょっと待った。その物言いだとまるであんたがフォルス鉱山へ行くみたいに聞こえるんだが?」

「はい。すぐに行って帰ってきます。腕に覚えはありますので例え山賊団にバレても大丈夫です」

「へぇ、断言するじゃねぇか。……じゃあ仮にあんたがメチャクチャ強い剣士さんだとして、それでも無茶は無茶だ。数の暴力って言葉知らねぇのか?」

「わかっています。ですが、それでも私は貴女が作ろうとしている聖刀が必要なんです。その聖刀がもしも本当に魔を浄化できる力を持っているとすれば、それで魔王を倒すことができるかもしれませんから」

「は? 魔王? それってさっき頭に直接声届けてきたあの自称:腐食魔王ヘラ何とかって奴のことか? あんなのガキのイタズラだろ? 違うか? ……違う、みたいだな」

 

 魔王ヘラゼーラの世界滅亡宣言を真に受けていなかった朝倉似の店主はコテンと首を傾けて刹那を見やる。しかし数秒間刹那の真剣な眼差しを眺め続けた朝倉似の店主は己の考えを改めるべきとの結論に至った。

 

「なんで30秒なんてとっくに経ってるのにまだ世界が破滅してないのかとかいった疑問は残るが、あんたは平然とウソをつくような人間には見えないからな。あの魔王を倒さないと近い内に世界は滅ぶ。こんな感じの解釈でいいか?」

「はい。それで大丈夫です」

 

 刹那は朝倉似の店主の確認にうなずきで返す。30秒で世界が滅ばない理由を伝えるには今刹那の隣でふわふわと浮いている時の女神について説明する必要があるのだが、女神の姿が見えていない相手にそのことについて話せば相手をより混乱させるだけだろうとの考えの元だ。

 

 

(女神さまのこと上手く説明できる自信ないですしね、私……)

「おーし。そんじゃ行くか、フォルス鉱山!」

「え? えッ!? 貴女もですか!?」

「あぁ。さすがにあんた一人で行かせるわけにはいかねぇよ。仮にそれであんたに死なれでもしたら寝覚めが悪すぎるしな」

「で、ですがもしも山賊団との戦闘になったら――」

「心配無用だ。私はこう見えて世界中を旅しながら鍛冶屋やってる人間だ。腕に覚えはある。仮にバズバ山賊団と戦うことになっても10人ぐらいなら一度に相手しても何とかなる。……それ以上だとさすがに自信ねぇけどな」

 

 朝倉似の店主は「ちょっと待ってろ」と言い残して店の奥へとスタスタと姿を消し、全長2メートルはありそうなほどに大きい鉄製のハンマーを担いで再び姿を現した。平然と巨大ハンマーを持っていることから『腕に覚えはある』発言にウソはなさそうだ。

 

 

「そういや自己紹介がまだだったな。私はマキナ、よろしく」

「私はセツナと言います。よろしくお願いします、マキナさん」

「マキナさん、ね。何かムズムズするからあんまりさん付けはしてほしくないんだが……あんたのそれは生まれつきっぽいし強制はしないでおくよ」

「あ、ありがとうございます、マキナさん」

「こっちは呼び捨てでいいか? 丁寧語は苦手なんだ」

「大丈夫ですよ、好きなように呼んでください」

「そっか。んじゃこれからよろしく、セツナ」

 

 刹那は朝倉似の店主、もといマキナから差し出された手を握り返す。かくして。ミスリル鉱石を手に入れるため二人の少女がフォルス鉱山へと向かうのだった。

 

 




 聖刀の材料を求めてフォルス鉱山へと足を運ぶせっちゃん。
 せっちゃんガンバッ。マジガンバッ。
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