【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回はテンションのおかしな時に執筆したせいか、何だか暴走気味な展開となっております。……まぁ別に作品の根幹にかかわるメインイベントじゃないですからそこまで気にしなくていいかもでしょうけど。



Sacred(7)

 

「百花繚乱!」

「はいズドーン!」

 

 刹那はバトルアクスに込めた氣を直線状に放って山賊たちを吹っ飛ばし、マキナはブオンという擬音語を引き連れつつ2メートル級の鉄製ハンマーをぶつけて山賊たちを物理で薙ぎ払う。山賊たちの悲鳴がこだまする中、二人は山賊のいなくなった前方へと走り岩壁を背に残りの山賊たちを見据える。この時、二人に背後を気にして戦う必要はなくなった。

 

「ええい! 何怯んでやがる! 相手はたった女二人! 全員でかかれば俺たちに負けはねぇ!」

「「「「「おおおおおおおおおおお――ッ!!」」」」」

 

 いきなり十数人もの山賊が戦闘不能になったことに動揺を隠せないバズバ山賊団だったがその内の一人の強気の発言であっという間に戦意を取り戻し一斉に襲いかかってくる。

 

「百烈桜華斬! 斬鉄閃!」

「はいドガーン!」

「斬空閃!」

 

 刹那は円を描くようにバトルアクスを振って山賊たちを一度に斬り、らせん状に渦巻く氣を飛ばして山賊たちを遠くへと吹っ飛ばす。マキナが巨大ハンマーを縦横無尽に振り回して近づいてきた山賊たちをボコっていく中、刹那も負けじとバトルアクスを振るう。ついでに機を伺っては盗賊からお金をかすめ取る、もといありがたく頂戴する。と、その時。刹那たちの猛攻を受けて地に倒れていた山賊の一人が不意に刹那の足首をガシッと掴んだ。

 

「足元がお留守だぜぇぇぇえええええええ!!」

「なにッ!?」

「そーれドーン!」

「ヘブッ!?」

 

 動揺を見せる刹那の足に短剣を突き刺そうとした山賊は、しかし刹那にダメージを与える前にマキナが振り下ろした巨大ハンマーを背中にモロに喰らい文字通り地にめり込んだ。

 

「気ぃつけろよ、セツナ。いくら怪我させたって薬草とか持ってたらすぐ全回復するんだ。倒れてる奴にもしっかり注意向けとけ」

 

 刹那はマキナからの忠告にハッとする。刹那はこれまで美味しい食べ物や回復アイテムを食べればたちまち全回復するというこの世界の常識に幾度もなく助けられてきた。しかしこれは刹那だけの特権じゃない。刹那以外の人間だって同じく全回復するのだ。

 

(これまでメリットにしか感じられなかったシステムだったけどこういった形でのデメリットもあるんですね……)

「助かりました、ありがとうございます」

「いいってことよ」

 

 刹那の感謝にニィと笑顔で返したマキナは、二人が会話している今がチャンスと近づいてきた山賊をホームランの要領で軽く吹っ飛ばすのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 その後。刹那とマキナは息切れなしに次々と山賊たちを倒していく。ついさっき出会ったばかりとはとても思えない巧みな連携で危なげなく山賊たちを戦闘不能にしていく。結果、山賊たちの7割が倒された頃には残りの山賊たちは攻撃の手をやめオロオロするのみとなっていた。たった二人の女相手にここまで壊滅的被害を被るとは欠片も想定できていなかったのだろう。

 

「テメェら、派手にやってくれたじゃねぇか……」

 

 と、その時。山賊たちの群れの背後から他の山賊より一回り大きい大男が怒りに体を震わせつつ刹那たちの前に姿を現す。すると今の今まで「おいどうする?」「お前行けよ」「やだよ、お前が行けよ」などとコソコソ話していた山賊たちが希望を見出したと言わんばかりに「ボス!」と声を上げる。

 

「この人がバズバ山賊団のボスみたいですね」

「案外早い登場じゃねぇか。ま、そっちのが早いこと片が付くしこっちとしても願ったりかなったりなんだけどな」

 

 冷静に眼前の大男を観察する刹那に不敵な笑みを浮かべるマキナ。二人を見据えたボスは「テメェらは手ぇ出すな。俺が相手する」と山賊たちを退けて二人へと近づいていく。

 

「テメェら、スラキア街の鍛冶屋どもか?」

「ま、そんなとこ。で、あんたがボスってことでいいんだな?」

「あぁ。俺が頭領のバズバだ。このバズバ山賊団を取り仕切ってる」

「なら話は早ぇ。あんたをぶっ潰せば万事解決ってわけだ。……セツナ、これは私一人で相手する。セツナは雑魚どもの警戒を頼む」

「わかりました」

 

 刹那はマキナの頼みを即座に了承しバックステップでマキナから幾分か距離を取る。いくらボスが手を出すなと命令しても隙あらば襲ってくる人もいるかもしれないなと内心で考えつつ。

 

 

「そんじゃ始めようぜ。1対1のサシバトル」

「ふ、調子に乗るなよテメェ。誰が『俺が戦う』と言った?」

「は?」

 

 マキナが巨大ハンマーをボスことバズバに突きつけ暗にあんたもさっさと背中の大斧を構えろよと示す中、バズバはしてやったりと笑う。何言ってんだこいつとマキナが首を傾げたその時。

 

「バズバ山賊団四天王が一人、暴虐のカグマトロス!」

「同じく戦慄のボロドルガン!」

「同じく絶影のザツビアレイ!」

「同じく破砕のロロスラリア!」

「喰らえ、我らの最終奥義――四星輝方陣撃我道也(フォースタリア・アルティメット)!!」

「「「喰らえぇえええええええ!!」」」

 

 刹那たちの背後の岩壁。その頂上から20メートルはありそうな地表へと飛び降りる形でいきなり姿を現したバズバ山賊団四天王とやらは手早く自己紹介を済ませると無駄に洗練された無駄に気持ち悪い動きで四方からマキナに襲いかかる。

 

「ほいっと」

「百花繚乱!」

「「「「ガハァ!?」」」」

 

 しかしマキナがその場にしゃがみ込みその隙に刹那がバトルアクスを振るって氣を直線状に放ったためマキナを倒さんと一か所に集結しつつあったバズバ山賊団四天王は四人そろって空高く吹っ飛ばされ早くも戦闘不能となった。哀れバズバ山賊団四天王。

 

 

「テメェら、四天王まで……ゼッテェエエエエエぶっ潰す!」

「はいドーン!」

「ッ!?」

 

 と、ここで四天王が倒されたことに本格的に憤りを覚え背中にしょった大斧を手に襲いかからんとしたバズバは、しかし次の瞬間にはマキナが振るった巨大ハンマーを側頭部にモロに喰らう。が、ここで吹っ飛ばされることなくその場に踏ん張る辺りは腐っても山賊団のボスといった所か。

 

「どうだ、脳震盪の味は?」

「う、ごげぇ……」

「さーてドーン! さらにドーン! あそーれドーン! ダメ押しドーン!」

「ガアッ!」

 

 マキナの攻撃で脳震盪に陥りロクに動けないバズバにマキナは容赦なく追撃を与えていく。バズバに悲鳴を上げさせる暇さえくれてやらずに横腹、鳩尾、すねと巨大ハンマーをぶつけていったマキナは最後に巨大ハンマーを顎にぶち当てる。結果、強烈極まりないアッパーを喰らったバズバの体は宙を舞いそのまま仰向けの状態で地に倒れることとなった。

 

「「「「「ボ、ボスゥゥウウウウウウ!?」」」」」

「はい、しゅーりょー。さて、これで四天王もボスも皆仲良くやられたわけだが……ここで一つ質問だ。あんたら、まだ私たちに勝てるとか思ってんの?」

 

 白目を剥いて気絶しているボスに釘づけの山賊たちをマキナは鋭い眼光で睨み、それから嘲笑を浮かべる。直後、どこからか「ヒッ」と恐怖に竦みあがった悲鳴が聞こえた。

 

「ぎゃあああああああああああ!!」

「に、逃げろぉぉおおおおおお!!」

「うわああああああああああああ!!」

「勝てるわけねぇえええええええええ!!」

 

 そこらの山賊よりも遥かに凶悪さを孕んだマキナのいい笑顔に恐れをなした山賊たちは倒れる仲間たちを見捨てて蜘蛛の子を散らすように退散した。その速さたるや超速レベルアップの恩恵のある刹那でも追いつけるかどうか微妙なレベルの速さだった。

 

 

(こういうのを確か火事場の馬鹿力というんでしたね。……侮れないですね、火事場の馬鹿力)

「うし、駆逐完了」

 

 刹那が山賊の逃げ足の速さについてぼんやりと感想を心の中に浮かべる一方、マキナは巨大ハンマーの柄をズンと地面に置いて一呼吸おくと、ニッコリ笑顔でバズバ山賊団駆逐完了宣言を口にするのだった。

 

 




 襲いかかる山賊の群れを軽く蹴散らしたせっちゃん&マキナコンビ。
 せっちゃんかっけぇ、マキナさんもかっけぇ。
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