【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回から腐食魔王ヘラゼーラ戦へと突入します。序列2位の魔王との戦いなのでこれまでの魔王戦以上に戦闘シーンを盛り上げていきたい所ですが……私のつたない描写でどこまで表現できることやら。



Sacred(9)

 

「ついに聖刀ゲットできたわね! やったわね刹那ちゃん!」

 

 スラキア街の入り口付近にて。魔王城を見つめてたたずむ刹那に、相変わらず宙にふわふわ浮いている時の女神が喜色を含んだ声色で刹那の聖刀入手を祝福してくる。

 

「どうする? もう結構レベル上がってるみたいだけど、魔王城に乗り込む? それとももう少しその辺でモンスター倒してもっとレベル上げする?」

「いえ、乗り込みます。今ならおそらく勝てるでしょうし」

「ふふふ。その意気よ刹那ちゃん! さぁー! リベンジマッチといくわよー!」

「はい」

 

 ハイテンションに魔王城をビシッと指差す女神に刹那は一つうなずきスラキア街の外への一歩を踏み出すのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 街から魔王城までの移動に2秒。魔王城の扉を聖刀カナメの一薙ぎで斬り破るのに0.1秒。今回突入した魔王城がこれまでの魔王城と違って2階構造になっていることに気づくのに0.2秒。1階奥にある階段を駆け上り2階に到達するのに0.7秒。超速レベルアップの恩恵と氣の惜しみない運用により計3秒で魔王城2階までたどり着いた刹那は玉座に悠然と座る魔王ヘラゼーラを鋭い眼差しで見やる。

 

「あら? 生きてたのね、勇者さン。思ったよりしぶといのネ。……でも、腐腐腐(フフフ)ッ。せっかく拾った命を捨てにくるなんて、案外Mのケでもあるのかしラ?」

「確かに私は一度貴女に負けました。ですが、あの時の私と今の私を同じと思わないことです」

腐腐腐(フフフ)ッ、言うわねぇ勇者さン。ならもう一度貴女を腐らせてあげるワ。心も体も念入りに、ネ!」

 

 魔王ヘラゼーラは玉座を腐食&風化させつつ立ち上がると挨拶代わりに右手にどす黒いオーラを纏ってレーザービームのごとく撃ち放つ。対する刹那は漆黒のレーザービームを難なくかわし「はぁッ!」と持っていたバトルアクスに氣を纏わせた状態で魔王城の天井へと投げ飛ばす。グルグル回りながら天井へと勢いよく飛んでいったバトルアクスは当然のように魔王城の天井を破壊。大小様々な瓦礫が魔王ヘラゼーラへと降り注ぐ。

 

腐腐(フフ)ッ、こんな小細工私に効くわけ――」

「五月雨斬り!」

 

 魔王ヘラゼーラはすかさず右手を上にかざしその掌にどす黒い傘型のオーラを形成することで降り注いでくる瓦礫を全てもれなく腐らせボロクズへと変化させる。刹那のトリッキーな攻撃を無効化したことで若干得意げになる魔王ヘラゼーラ。その隙に一気に魔王ヘラゼーラに接敵した刹那は手首の速い返しによって聖刀カナメから瞬時に複数の斬撃を繰り出していく。

 

「ちょッ!? あっぶないわネ!」

 

 とっさに背後へと跳んだことで刹那の斬撃を間一髪回避した魔王ヘラゼーラはお返しとばかりに右手を刹那に向け、手の平からテニスボールサイズのどす黒い球体を無数に撃ち出し始める。だが魔王ヘラゼーラが右手を向けてきた時点で真横への回避行動を選択していた刹那の体はどす黒い球体によってハチの巣にされることはなかった。

 

 

 この時、刹那の脳裏で何度も反響していたのはナイトの言葉。自分のことを思って『手段を選ばない戦い方をした方がいい』と言ってくれたナイトのアドバイス。

 

(魔王の強さは、恐ろしさは身に染みてわかってる。選ぶんだ、今までの私なら絶対にやらなかっただろう戦い方を――!)

「斬岩剣!」

 

 刹那が上段から聖刀カナメを振り下ろすと、どす黒い球体の放出をやめた魔王ヘラゼーラが刀身を掴まんと即座に右手を振り上げる。前のブロードソードみたく聖刀カナメをも腐らせる気なのだろう。

 

腐腐腐(フフフ)ッ、捕まえ――あれ?」

「(――と見せかけて!)我流・弧月裏刃(こげつりじん)!」

 

 しかしあらかじめ魔王ヘラゼーラの行動を予測していた刹那は聖刀カナメが魔王ヘラゼーラの右手と接触する寸前でスッと聖刀カナメを引かす。魔王ヘラゼーラの右手が虚しく空を掴む中、刹那は聖刀カナメをX字に振って三日月状の斬撃を二度放った。

 

「ガァッ!?」

「斬岩剣!」

 

 刹那の斬撃を両の肩口に受けた魔王ヘラゼーラ。悲鳴とともに思わずのけ反る姿にチャンスを見出した刹那はさらなる斬撃を浴びせようと魔王ヘラゼーラとの距離を詰めて再び上段から聖刀カナメを振るう。しかし聖刀カナメは魔王ヘラゼーラを頭から真っ二つにする前に魔王ヘラゼーラの漆黒のオーラを纏った右手によって止められた。

 

腐腐(フフ)ッ、胡腐腐腐(ウフフフ)ッ! これで貴女の武器は封じタ! もう貴女の好きにはさせないわ、勇者さン! 腐腐腐腐腐(フフフフフ)ッ!」

 

 聖刀カナメを掴んだ魔王ヘラゼーラは勝ち誇ったように狂気の笑みを浮かべる。これで刹那の武器を使い物にならなくしたと信じて疑わない表情だ。刹那もしまったと蒼白の表情を浮かべるも、しかし聖刀カナメは魔王ヘラゼーラが右手に宿した腐食作用付きオーラを受けても一向に腐る気配はない。聖刀カナメは一切腐ることなく銀色の輝きを放ち続ける。

 

 

「な、なんデ!? どうして私の腐食が効かないノ!?」

「……どうしてでしょうね。マキナさん作の刀だからじゃないですか?」

「何よそレ! わけわからないワ! そんなふざけた理屈で私の専売特許を封じるだなんて――ッ!?」

 

 聖刀カナメを掴んだまま動揺に目を瞠る魔王ヘラゼーラ。その腹部を容赦なく蹴り飛ばすことで魔王から聖刀カナメを取り戻した刹那は無意識の内にニィと笑みを深める。

 

(魔王の動きは目で追える! 攻撃はどうにか対処できる! カナメは腐らなかった! いける、これなら勝て――)

「ぇ?」

 

 魔王ヘラゼーラに追撃を加えんと足を踏み出した刹那は、しかし次の瞬間にはストンとその場に座り込んでいた。わけがわからず疑問の声を漏らす刹那に待ちわびた瞬間がようやく来たと言わんばかりに魔王ヘラゼーラは「腐腐(フフ)ッ♪」と狂気染みた笑みを浮かべるのだった。

 

 




 割といい感じに戦ってたが何だか様子のおかしいせっちゃん。
 せっちゃんどうした!? マジどうした!?
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