どうも、ふぁもにかです。今回は第4話エピローグ。第3話と比べて少々冗長となってしまった第4話もこれにて終了です。……やっぱマキナさんやバズバ山賊団撃退の件に文字数使い過ぎたのが原因ですかねぇ。
「お疲れさま、刹那ちゃん」
刹那と魔王ヘラゼーラとの激しい戦いの余波でボロボロと崩れ始める魔王城から脱出した後。超速レベルアップの副作用により荒野に座り込んだ刹那にふわふわーんと時の女神が上空から舞い降り労いの言葉を投げかけてくる。
「それが刹那ちゃんの本当の姿なのね」
「……はい。私は烏族と人間とのハーフなんです」
「あら? そうなの? ユーシャさんの例もあるからてっきり天使と人間とのハーフだと思ったけど違うのね。意外だわ。……にしてもすっごく可愛いわね刹那ちゃん! ワシャワシャしたくなっちゃう!」
「ちょっ、女神さま!? やめッ、くすぐったいです!」
「いいじゃない少しぐらい、減るものじゃないんだしぃ♪ わッ、やっぱり凄くふわふわしてる! 気持ちいいぃぃー♡」
「ヒィッ!? ホ、ホントにやめ――」
刹那の翼に頭から潜り込み翼をまさぐりまくる女神。刹那は只今絶賛暴走中の女神をどうにか振り払おうとするも魔王ヘラゼーラとの激戦を終えて疲れきっていたために女神を自身の翼から上手く引き剥がせず、結局女神の為すがままに委ねるより他なかった。
「はー、刹那ちゃんの翼って触っててホントに気持ちいいわね。癖になっちゃいそうだわ。こういうの何て言うのかしらね? ……太陽のポカポカ陽気に浸ってる感覚、みたいな感じかなぁ」
「……」
数分後。刹那の翼のふわふわ感をしっかり堪能した女神は満足しきった笑みを浮かべ、そのまま刹那の翼の感触をどんな言葉で表現すればピッタリ合うかの考察に入る。対する刹那はジィーと恨みのこもった眼差しを女神に向けるも、肝心の刹那が涙目&頬が上気しきっているために全然女神を威圧できていなかった。
「ふふふ、ごめんね刹那ちゃん。今のはさすがにやりすぎだったわね」
「女神さま……」
「……ねぇ刹那ちゃん。その翼さ、敢えて隠すことないんじゃない? この世界には出自云々で誰かを拒絶するような人なんて滅多にいないわよ。悪魔と天使と人が手と手を取り合って共存してる地域だってあるしね」
「そう、なんですか」
「そそ。隠し事をし続けるのも大変だろうし、せめてこの世界にいる間だけでも今の姿のままでいたらどう? そうすれば刹那ちゃんは気楽でいられるし、ついでに刹那ちゃんの可愛さと神々しさとのギャップで刹那ちゃんを崇め奉る信者がいっぱい生まれちゃうかもしれないわね」
「え、へ、し、ししし信者ですか!?」
「うんうん♪」
(ふふふ、よーし。いい調子よ、この調子で刹那ちゃんをその気にさせるのよ私。これで刹那ちゃんがいつも翼を出したままになってくれたら刹那ちゃんが眠ってる間にこっそり羽をむしって売りさばくことができるわ。これだけ上質な羽だもの、高級羽ペンや高級羽毛布団として売ればお金をガッポガッポ稼げるわ。ふふふ、夢が広がるわねぇ♪ おっといけない、よだれが……ジュルリ」
「……女神さま、全部言葉に出てますよ」
「ッ!? え、エッ!? ナ、ナンノコトカナー! ワタシヨクワカンナーイ☆ アハ、アハハハハハハハッ」
刹那の白い翼を凝視しつつ密かに金儲けを企んでいた女神。しかし己の思惑が口からダダ漏れとなっていたために刹那は女神の狙いを知り絶対零度の冷たい眼差しを女神に注ぐ。刹那から目を逸らし下手な口笛を吹く女神だがまるでごまかしになっていない。
(……これからは必要以上に翼を出さないようにしましょう。女神さまの前では特に)
危うく女神の口車に乗りそうになっていた刹那は女神の守銭奴具合を改めて認識。よほどのことでもない限りは翼を展開しないと固く決心しつつ速やかに自分の翼を背中に折りたたむのだった。
◇◇◇
「それにしても、あの腐食魔王ヘラゼーラ……かなりの強敵でしたね」
「うんうん、すっごく強かったね。今まで戦った魔王が魔王(笑)と思えるぐらいに強かったわね。あれだけ実力あるなら序列2位って発言もウソじゃないでしょうし……ってことは刹那ちゃんにとっての脅威は序列1位の魔王だけって言ってもいいんじゃないかしら?」
「そうとも限りませんよ、女神さま。序列6位の惰眠魔王スリィピの例があります」
「あ、そっか。序列が低くても厄介な能力持ってたら脅威なのは変わりないわね」
しばらく荒野に座り込むことで体力を回復させた刹那は今、スラキア街から少し遠くのオアシスに安置したままの勇者城へ向けて歩を進めている。
「そうそう。あの魔王、人造魔王は計7体って言ってたから残りはあと3体ってことになるわね。ふふ、終わりが見えて来たわね刹那ちゃん」
刹那に笑いかける女神。しかし女神の言動とは対照的に刹那の表情は硬くなる。
刹那が残虐魔王カマセイヌを倒した後、女神は刹那が元の世界に帰るために魔王が内包する莫大なタイムストリームをエネルギーとして使う方法を示した。しかし具体的にどれだけのタイムストリーム量が必要になるのかを知らない刹那は人造魔王が7体しかいないことに不安を抱く。女神の提示した手段に縋りつくしかない刹那はもしも麻帆良へ帰るのに人造魔王7体分のタイムストリーム量で足りなかったらと不安で胸がいっぱいになる。
「どうしたの、刹那ちゃん?」
「……女神さま。その、タイムストリームはあと3体の人造魔王の分で足りるでしょうか?」
「あぁそのことね。それについては心配無用よ刹那ちゃん。今までの魔王討伐で思った以上にたくさん回収できてるから。この分だとあと2体も魔王倒せば大丈夫。ま、保険をかけておきたいなら残り3体全て倒すことをオススメするけどね」
「そうですか、よかった……」
女神からの色よい返事を受けて自分の懸念が杞憂だとわかり刹那はホッと息を吐く。と、その時。刹那はふと立ち止まり「ん?」と首を傾げた。
「女神さま。私、何か非常に大切なことを忘れてるような気がするんですが……」
「奇遇ね、刹那ちゃん。私もさっきから何か大事なことを忘れちゃってる気がするんだけど……」
「……」
「……」
「…………」
「…………ま、今は勇者城に戻りましょ。思い出せないってことはどうせ金にならないことでしょうし。大したことじゃないに決まってるわ」
「……それもそうですね」
刹那と女神はひとまず考えることをやめ再び勇者城へと向かおうとする。と、ここで二人の視線の先にふと謎の物体が映る。視界に入った謎の物体に何となく興味を抱き謎の物体の元へと近づいた刹那と女神は、その瞬間に自分たちが一体何を忘れていたのかを思い出した。
「「――あ」」
二人が見つめる先。そこには頭から地面に埋まり辛うじて地表に突き出ている足を必死にバタつかせて助けを求める謎の物体、もといナイトがいた。
「ダ、ダレガダズゲデ!」
「ナイトさん……」
「ナイトくん……」
刹那は何とも言えない気持ちを抱えつつナイトの足を引っ張ってナイトを地面から引っこ抜く。そうしてナイトの収穫を済ませた刹那は勇者城へと戻り新たな地に向けて旅を再開するのだった。
残る人造魔王は3体。序列1位と3位、そして7位。
せっちゃんガンバッ。マジガンバッ。