どうも、ふぁもにかです。今回はいつにもましてご都合主義な内容となっています。……ま、勇者30は女神的超展開があちらこちらに跋扈してるゲームなので二次創作がそれに則っても大丈夫ですよね! ……ですよね?
「ハァ、ハァ……」
刹那は魔王城の周囲50メートル範囲に展開された結界を前に荒い息を整えようとする。魔王セイントが悠々と魔王城の中へと入っていってから約1分。刹那は結界の一点に狙いを定めて絶え間なく聖刀カナメの斬撃を加えていった。様々な神鳴流奥義を織り交ぜて、氣も出し惜しみせずに使って結界をどうにか壊そうと攻撃を加えていった。しかし結界は壊れるどころか綻びすらみせず、結局は刹那の疲労が蓄積されるのみだった。
「大丈夫、刹那ちゃん?」
「心配ありません、女神さま」
心配そうに刹那を見つめる時の女神に最低限の言葉を返した刹那は服から薬草を取り出し食べる。それだけで刹那の疲労は回復し体調は万全の状態にまで引き上げられる。美味しい食べ物や回復アイテムを食べるだけでたちまち全回復できるというこの世界のシステムに今日も助けられている刹那である。
(これだけやっても効果なし、ですか。……これホントにどうしましょうか?)
「セツナさん、女神さま。ただいま戻りました」
と、ここで直接結界を壊す試みをしていた刹那とは別に結界自体に何かしら欠陥がないか探るために周囲を探っていたナイトが戻ってくる。
「あ、ナイトくんおかえりー。どうだった?」
「ザッと見てきたんですが、結界が脆くなってるような場所はありませんでした。穴を掘って下から侵入すればとも考えて試しにちょっと掘ってみたんですがそれもダメでしたね。どうやらあの魔王は地中にも結界を張ってるみたいです」
「う~ん、参ったわねぇ。まさかここまで非好戦的で用意周到な魔王がいるなんて、それだけ刹那ちゃんが警戒されてるってことなのかしら?」
「……そうでしょうね。魔王自身、魔王ヘラゼーラを倒した私に勝てるとは思ってないって言ってましたし」
「んー。……刹那ちゃん刹那ちゃん。結界を物理的に壊すのも抜け穴探るのもちょーっと厳しそうだし、ここは別のアプローチで攻めてみない?」
「別のアプローチ?」
結界の攻略法がまるでわからずついうなだれる刹那に女神が珍しく神妙な表情で提案を持ちかけ、思わず首をコテンと傾ける刹那に女神はスッと指を差す。先ほど刹那たちが通ってきた森の中にポツンと頭を見せている二つの尖塔を指し示す。
「ほら。あそこに二つ、塔が並んでるでしょ? なーんかさっきからあそこから濃密なタイムストリームが蠢いてて気になってたんだよね。で、この結界のタイムストリームを調べたついでにあの塔から漏れ出てるタイムストリームも探ってみたんだけどさ、そしたらこの結界のタイムストリームと一致したの。……結界起動装置的な道具があそこに安置されてるのか、あそこから結界を張ってる魔王の協力者がいるのか、その辺はわからないしそもそも結界とは何の関係もないかもなんだけど……このままここに留まって結界を物理で無理やり破壊しようと頑張るよりはいい結果得られるかもだし、ちょっと行ってみない?」
「……女神さま。その、タイムストリームの一致というのはよくある現象なんですか?」
「いや、滅多にないよ。生まれたての双子だってわずかに異なったタイムストリーム持ってるぐらいだもん」
「なら行ってみましょう。何か手がかりを見つけられるかもしれません」
女神の提案に乗ることにした刹那は即座に立ち上がり尖塔を目指して駆けていく。ナイトも刹那に追随する中、超速レベルアップが可能になるよう女神が刹那のタイムストリームを弄り終えるのと同時に刹那の脳内タイムウォッチが『30’00』からカウントダウンを始めるのだった。
◇◇◇
(これ、かなりマズいんじゃ……)
森の一角にそびえる二つの尖塔を目的地に据えてダッシュで向かう刹那たち一行。その道中にて。刹那は内心焦りでいっぱいだった。いつになく焦燥感に駆られていた。理由は簡単、倒したモンスターからゲットできるお金が異様に少ないのだ。具体的に言うと、モンスター一体につき約20G程度しか手に入らない。その結果、今の刹那の所持金は260Gとなっている。
これはお金を対価に女神に30秒だけ時間を巻き戻してもらっている刹那にとって由々しき事態だった。今はまだいい。最初に必要となるのは100Gなのだから。しかし次回以降200G、300G、400Gと時間を巻き戻す対価が上乗せされることを考えると、このままだとお金が足りなくなる可能性が否めない。
世界滅亡の危機がひしひしと迫りつつある中でならさすがの女神でも融通を利かしてくれると信じたいが、相手は事あるごとに言葉巧みに刹那からお金を奪っていく正真正銘の金の亡者である。金がないなら時間なんて巻き戻さないなどと言い出しかねない。ゆえにモンスターから大した金額を回収できない現状は刹那にとって非常事態と言えた。
「どうしましたか、セツナさん? 顔色が悪いですよ?」
「いえ、ちょっと金銭的な問題がありまして」
「……もしかして時間を巻き戻すお金が足りなかったり?」
「……この分だとあと2回しか時間を巻き戻せないと思います」
「今回は時間の猶予がない、ということですか」
刹那とナイトはポヨンポヨンとバウンドしながら襲いかかってくるスライム型モンスターを斬り伏せて尖塔へと走りつつ、現状における危機を共有する。戦いながら話しているというのに全く息切れしない辺り、二人がいかに人間離れした身体能力を持っているかが伺える。
「……セツナさん。塔に着いたら二手に別れましょう」
「え?」
「二人一緒に塔を一つ一つ探索していたら間に合いません。僕は右の塔に行きますのでセツナさんは左をお願いします」
「で、ですがナイトさん。塔に何があるかわからない以上、単独行動は危な――」
「大丈夫ですよ、ダテに900年も生きてませんから。僕を信じてください、セツナさん」
「……」
刹那は突如ナイトが提示した案に危険性の面から反対しようとするもナイトから強い意志のこもった眼差しを向けられ何も言えなくなる。
「あと塔に結界に関する何かがあった場合、それを破壊し終えたらすぐに魔王城へ戻ることにしましょう。といっても、多分セツナさんの方が早めに終わると思いますのでその時は僕に構わず魔王城に行ってくださいね」
「……無理はしないでくださいね、ナイトさん」
「セツナさんこそ」
ナイトの意思が固く自分の言葉で覆せないと悟った刹那はナイトの提案を受け入れる。その後、二つの尖塔の下にたどり着いた刹那とナイトはそれぞれ別行動を取る形で左右の尖塔の同時探索を始めるのだった。
森の中にそびえる二つの尖塔に結界攻略の可能性を見出し、探索に乗り出すせっちゃん一行。
せっちゃんガンバッ。マジガンバッ。