どうも、ふぁもにかです。今回はドラゴンとの戦闘回です。けど……これはあくまで中ボス戦なので盛り上がりには欠けてると思います。
二つの尖塔の内の一つ。その最上階にて。
今まで止まっていた脳内タイムウォッチがちゃっかりカウントダウンを再開する中。
『まぁいい。何にせよ貴様らをここより先に通すわけにはいかない。よって貴様らを排除する。悪く思うなよ』
「何が『悪く思うなよ』だッ! あたしとセツナっちの最強コンビを舐めないでよねッ!」
ドラゴンは自身より奥の空間へと刹那とナツキを進ませないために二人の排除を執り行おうとする。一方、ドラゴンのこれまでの『アホ女』発言の影響で既に怒りのボルテージが頂点にまで差しかかっているナツキは真っ先にドラゴンへと接敵しマントの中から取り出した数十本ものナイフを一気にドラゴンへと投擲する。
「ツッキー流、掟破りの地元走りぃ!!」
ドラゴンの前足から右腕へと次々と突き刺さるナイフ。ナツキはそれらのナイフの柄を足場にして「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃぁぁああああああああ!」とドラゴンの体を駆け上っていく。そのついでにナツキは手に持ったナイフでドラゴンのウロコを数枚回収していく。
『このッ、隙あらば我のウロコをはぎ取りおって!』
「へっへーん♪ 素直にお宝くれないヘビさんが悪いんだよーだ! それにヘビさんのウロコなら高値で売れそうだしぃ」
(ツッキーさんって女神さまと相性良さそうな気がしますね)
さりげなくウロコをはぎ取るナツキに女神との共通点を見出した刹那はドラゴンがナツキにキレかけている隙にドラゴンへとこっそり接近する。ナツキの目配せにより、一見ふざけきった行動の裏に自分にドラゴンの注意を向けさせて刹那を自由にさせる意図があることを悟ったからだ。
「その超綺麗な赤い目、頂いた!」
『させるかぁ!』
ドラゴンの右腕からピョイーンと跳び上がり欲望のままにドラゴンの右目へと手を伸ばすナツキ。宙に体を投げ出したことで自在に身動きができなくなるナツキにドラゴンはすかさず左前足を振るってナツキに爪撃を加えんとする。
「竜破斬!」
『グオオオオォォオオオオ!?』
と、ここで刹那が聖刀カナメの一振りでドラゴンの右前足を斬り落としたことでドラゴンはバランスを崩し爪撃はナツキからわずかに逸れる。
(あれ? このドラゴン、思ったより弱い?)
「ナイス、セツナっち!」
いくら氣を聖刀カナメに思いっきりこめた上での一撃とはいえこうもあっさりドラゴンの足を斬り飛ばせたことについ呆然となる刹那をチラッと見て笑みを浮かべたナツキは勢いのままにドラゴンの右目にナイフを突っ込み神経部分を切断。その後、ドラゴンの顔を蹴って離脱する形で切り取った目をしかと回収した。
「うへぇ、何か思ったよりびちゃびちゃしてて気持ちわるッ。いらないや、こんなの。やっぱり盗むのはウロコだけで良さげかにゃー?」
『き、貴様ぁぁぁああああああああああああああああああああ!!』
ドラゴンからゲットした右目をポイッと投げ捨てるナツキに完全にブチ切れたドラゴンは口を大きく開ける。直後、ドラゴンの口から灼熱の炎が生まれ一直線にナツキへと襲いかかってきた。
「げ、ヤバッ」
「ツッキーさん!」
尋常でない速さで迫りくる炎を前に一瞬死を覚悟するナツキだったが刹那が炎とナツキの間に入り聖刀カナメを掲げる。瞬間、聖刀カナメを起点として刹那とナツキを包みこむように展開された薄白い膜によってすんでの所で炎から身を守ることができた。
「お、おおー! さっすがセツナっち! 助かったよ!」
「これに懲りたらあんまり相手を怒らせる真似しないでくださいね!? この結界、どうやったらできるかまだよくわかってないんですから!」
「え、何かあたしヘビさん怒らせるようなことした?」
「……」
奪ったばかりのドラゴンの右目をドラゴンの目の前でポイ捨てしておきながら何がドラゴンの怒りに触れたのか全く理解していないナツキ。ナツキが意図的に挑発行為を行っていたのではなく素でドラゴンを怒らせていたことを知った刹那はため息混じりに「もういいです」と口にする。尤も、右前足を斬り落としたことで確実にドラゴンの怒りを買っているであろう刹那が人のことを言えたものではないのだが。
「よっし! 炎やんだ! ツッキー流、掟破りの地元走りぃ!!」
炎が止んだ頃合いを見計らってドラゴンの前へと飛び出したナツキは再びドラゴンの体に既に突き刺さっているナイフを足場に華麗にドラゴンの体を駆け上っていく。今度は咆哮を上げてナツキの鼓膜を破ろうとするドラゴンだったが刹那がドラゴンの腹部をザックリと斬りつけたことでドラゴンの行動はキャンセルされる。
『グオッ!? な、なぜだ!? なぜ我の体をこうも易々と斬ることができる、小娘ェ!?』
「え、っと。……どうしてでしょうか? マキナさん作の刀だから?」
『ふ、ふざけおってぇぇえええええええ!!』
刹那の返答から舐められていると解釈したドラゴンは憤りの具合をドンドン高めていく。しかし刹那にドラゴンを挑発する意図などない。刹那自身、困惑しているのだ。麻帆良にいた頃の自分であれば間違いなく苦戦を強いられていたはずの相手をこうも圧倒しているという事実に戸惑いの念を隠せないのだ。
(これも超速レベルアップの恩恵、ってことですか?)
「違うよ刹那ちゃん。それだけじゃない。刹那ちゃん自身が強くなってるんだよ」
「え?」
「ここに来て色んな戦いを経験してきたでしょ? それが刹那ちゃんを強くしてる。つまり刹那ちゃんがとっても成長してるってこと」
(そう、なんでしょうか? ……いえ、そうなんでしょうね)
刹那の心をさりげなく読んだ時の女神からの発言に刹那は首を傾げるもすぐに女神の言葉を受け入れる。金の亡者ではあるけれど紛れもない神様の意見、なら的外れなことは言ってないだろうとの考えの元で。
「プレゼントフォーユーだよ、ヘビさん♪」
『ッ!?』
一方その頃。ドラゴンの眼前へと跳躍したナツキは怒りの声を上げるドラゴンの口に何か黒いものを投入する。直後、ドラゴンの口内でズドンと爆発の衝撃がほとばしりドラゴンの口から煙が漏れ出ていく。
「斬鉄閃!」
「グガァァァアアアアアアアアアアアアアアア!?」
ナツキが投げ入れた爆弾の衝撃の強さについフラフラとなるドラゴン。ナツキが作り出したチャンスを無駄にしないよう刹那はドラゴンに一息に近づき聖刀カナメに収束させた氣を螺旋状に飛ばし、それを喰らったドラゴンはひときわ大きい悲鳴を上げてその場にズシンと倒れ込んだ。そして『申し訳、ありません。セイント様……』とのか細い声を最後に、ドラゴンの体は消滅した。
「わーい、ヘビさんに勝ったー! 最強コンビの勝利ぃ! イェーイ!」
かくして。この場にはピョンピョン跳んで喜びを全身で体現するナツキと、ナツキの視界外で女神に200Gを払って時間を巻き戻してもらっている刹那の二人のみが残ることとなるのだった。
ドラゴンを無傷で何の危なげもなく倒しちゃうせっちゃん。
せっちゃんヤベェ。マジヤベェ。