どうも、ふぁもにかです。ツッキー登場回は執筆しててホントに楽しいです。こういうアホの子キャラは私の執筆意欲を刺激するといった意味合いでもホント貴重な存在ですよ、ええ。……その代わり物語があまり進まず話数がかさんでいくという難点もあるんですけどね。
二つの尖塔の内の一つ。その最上階にて。
「うへッ、ふふっふふふふへへへへッ! 金☆銀☆財☆宝ひゃっほーい! まさかヘビさんがこんなに財宝溜めこんでるなんて……全く、隅に置けないぜぇ♪」
「きゃーははははははははッ! ここは天国なの!? 天国なのね!? 私の天国はここにあったのね! わっひゃーい!」
ドラゴンが鎮座していた場所の奥の小広い部屋にポツンと置かれていた宝箱。その中に所狭しと詰められていたネックレスやペンダントなどの装飾品類、金や銀などの貴金属類、ルビーやサファイアなどの宝石類を両手いっぱいに抱え込み天へとぶちまけてはしゃぎまくるナツキ、ついでに時の女神(※ナツキには女神の姿が見えていない)。
その様子を背後から眺めていた刹那はやっぱりこの二人は似た者同士だと再認識する。ちなみに。またまた女神が空気を読んでくれたため脳内タイムウォッチは『30’00』で止まっている。
「これみたいですね」
刹那は甲高い奇声を上げて躍り上がる二人をよそに部屋を見渡し、部屋の一角に紫の文字で描かれた魔方陣を発見する。この文字が何の意味を表しているのかはわからないが他に目ぼしいものがなかったため、おそらくこれが魔王城の結界に関する何かなのだろう。
「斬岩剣」
刹那はほんわりと紫色に発光している魔方陣に聖刀カナメを上段から振るい魔方陣を床ごと破壊してみる。するとぼんやりとした紫の光がじわじわと消失していく。詳しいことはわからないがこれで魔方陣の機能を停止できたはずだ。……多分。
「大丈夫よ、刹那ちゃん。この魔方陣からタイムストリームを感じなくなったもの」
と、いつの間にやら刹那の元までやってきた女神が刹那の不安を払拭させるために語りかける。その手にはダイヤモンドやルビーの指輪がいくつもはめられており、また表情も見事なまでに恍惚なものへと変貌している。せっかくの美貌が台無しである。
「そうですか」
(後はナイトさんが上手くやってくれていれば魔王城に乗り込めますね。……大丈夫でしょうか、ナイトさん)
もしも右の塔にもここにいたドラゴンのような結界を守る存在がいた場合、ナイトは一人でそれと戦うこととなる。刹那みたいに氣を使えず、しかも超速レベルアップの恩恵を受けていないナイトの身を案ずる刹那だったが『僕を信じてください』と言い切ったナイトを信じることにしようと一つうなずく。
(信じますよ、ナイトさん)
「ありがとね、セツナっち! セツナっちのおかげで無事お宝ゲットできたよ! 正直腕の一本ぐらいは覚悟してたんだけど、やっぱり騎士と盗賊の最強コンビにゃ敵なしだね! でさ、今回はセツナっちに助けられちゃったけど……真の盗賊は借りを作ったままにはしない。いつか今日の借りを盗み返しに来るから首を洗って待っててね!」
「……そこは『楽しみにしててね』とかじゃないんですか?」
「あれ? そだっけ? ま、いいや。どっちでもそんな意味変わんないだろうし」
と、ここで狂喜乱舞モードから我を取り戻したらしいナツキがサンタさんのごとくお宝がいっぱい詰まっているであろう白い袋を持った状態でトテトテと刹那に近づきニヒッと笑みを浮かべる。
「あ、そうそう。お宝山分けの件だけど……100年後にここでするってことでいい? いいよね? うん、わかった。それじゃあ100年後にここに集合だね。うぅ、それまでずっとセツナっちに会うことがないかもしれないなんて寂しくなるなぁ……」
「……え、へ? ちょっ、待ってくださいツッキーさん。100年後? 100年後ってどういうことですか?」
「ふっふふふ、だーれが今すぐお宝山分けすると言ったかにゃー、セツナっちぃ? このお宝はぜーんぶあたしのもの! 誰にもあげたりしないもんね! タダ働きご苦労様、セツナっち!」
「えええッ!?」
ナツキはしてやったりと言わんばかりのイイ笑顔を刹那に見せつけると「――そんじゃさいなら!!」とブーツに仕込んでいた煙幕を発動させてあっという間に部屋を煙で充満させる。ナツキのまさかの発言に動揺していたせいで刹那はナツキを取り逃がし、煙が晴れた頃には当然ながらナツキの姿はどこにもなかった。
「だ、騙された……」
「あの子のが一枚上手だったってことかしらね」
山分けされるはずのお宝を全て持ってかれた刹那はつい唖然としたまましばらくその場に立ち尽くすのだった。
◇◇◇
ナツキに騙されたことにより未だ金欠状態が解決できていない現状に呆然と立ち尽くすのみだった刹那。しかしいつまでも絶望していても何も始まらないと刹那は塔を出て一直線に魔王城へ向かう。『僕に構わず魔王城に行ってください』とのナイトの言葉に素直に従ったが故の行動だ。
そして今。脳内タイムウォッチがカウントダウンを再開する中。魔王城の前へとたどり着き、ナイトが尖塔で魔王城を取り囲む結界を構成している魔方陣を壊すまでその場に待機している刹那は内心冷や汗ダラダラだった。
現在、残り時間は15秒を切っており刹那の所持金は156G。女神に時間を巻き戻してもらうのに必要なお金は300Gなのでこれでは明らかに足りない。また今から森へ戻ってモンスターを倒しまくった所で多くても80G程度しか集まらないだろう。要するに、詰んでいる。
(説得するしかない、女神さまを……!)
話術は思いっきり苦手だけど、やるしかない。刹那は覚悟を決めると刹那の隣でふわふわと浮いている女神を正面に見据える。
「め、女神さま。このお金で時間を巻き戻してもらえませんか?」
「んー? あらあら? お金が足りないわよ、刹那ちゃん。こんなはした金で私に時間を巻き戻せって言うの?」
「無理を言っているのはわかってます。ですが、今はこれだけしか出せないんです。……お願いします、女神さま! これで時間を巻き戻してください! 魔王を倒したら改めて足りない分を払いますから!」
「ん~~」
刹那の懇願に近いお願いに女神は指を唇に当てて思考する。刹那のお願いを受け入れるかすげなく突き放すかで揺れ動いているようだ。しかし女神が悩んでいる間にもハメツの呪文発動までの時間は着実に迫ってくる。もはや女神に考える時間を与えている場合ではなくなりつつあった。
「お願いします、女神さま!」
「……しょうがないわねぇ。ま、さっき塔でゲットした指輪もあるし、わかったわ。私も鬼じゃないから、とりあえずあり金ぜーんぶ頂戴。そしたらあと一回だけ巻き戻してあげる」
「ほ、本当ですか!?」
「うん。その代わり、今回はこれが最後だからその間に絶対魔王を倒すのよ。いいわね?」
「はい! ありがとうございます、女神さま!」
「ふふふ、どういたしまして」
女神は刹那の現時点における全財産こと156Gを受け取ると時間を巻き戻す。と、その時。刹那の前に展開されてあった半透明の結界が消え去った。どうやらここでナイトも塔にあるであろう結界を作る魔方陣を破壊したようだ。
これで魔王と戦える。刹那は足に氣を集中させて一気に魔王城へと向かっていく。かくして。刹那と守護魔王セイントとの戦いの時が刻一刻と近づくのだった。
ドラゴン(笑)を撃破したものの、お宝をゲットできなかったせっちゃん。
せっちゃんドンマイ、マジドンマイ。