どうも、ふぁもにかです。今回はグロい描写が割とありますので読む際はある程度覚悟してからご覧になっちゃってくださいませ。
魔王城にて。刹那の脳内タイムウォッチが刻々と残り時間を刻む中。コノハと刹那は幾度もなく槍の穂先と聖刀カナメとをぶつけ合う。尤も、コノハに危害を加える覚悟などまるでできていない刹那が積極的にコノハに攻撃を仕掛けるはずもなく、結果的に刹那は防戦を強いられている。
(何か、何かあるはずだ。何か、何か……ッ!?)
コノハが人造魔王の中では最弱なためか、刹那がここまでの魔王戦を経て劇的に成長しているためか、超速レベルアップの恩恵なしの素の身体能力でありながらコノハの動きにどうにかついてこれている刹那。その思考回路は8割方コノハと世界を同時に救う方法へと向けられているため、明らかに動きに精彩が欠けている。
「――舐めないでよね」
と、その時。刹那がコノハの繰り出す槍の突きを横にかわしたタイミングでコノハのワントーン低い声が響き、ドスッと腹部をほとばしる衝撃、そして激痛。視線を下に向けると、剣が深々と刹那の脇腹に刺さっているのが見えた。
(なッ!? コノハちゃんの武器は槍のはずじゃ――)
「言ったよね、せっちゃん? 私は予知魔王だよ? せっちゃんがどう行動するかを正確に予知できるから、こうやって剣を蹴り飛ばすことだってできるんだよ?」
コノハは右足を後ろへ振って石を蹴るように前方へと動かす仕草を見せる。どうやらコノハちゃんは自分の移動先をあらかじめ予知した上で床に伏す騎士団の人が持っていたであろう剣の一つをそこへと蹴り飛ばしたらしい。
「私を倒す方法はたった二つ。私の予知を超えた攻撃をするか、予知しても避けようがない攻撃をするか。それができない限り、せっちゃんに私は倒せないし、世界の破滅は揺るがない。……ねぇ。いつまで手を抜いてるの? 何を考えてるか知らないけど、そろそろ本気出して戦ってよ。私は確かに弱い魔王だけど、片手間で戦って勝てる相手じゃないよ? 私を楽しませてくれないんなら、もう殺しちゃうよ?」
コノハがコテンと首を傾けて語りかける一方、刹那は腹部に刺さった剣を慎重にスルリと抜き取る際にゴフッと口から多量の血を零す。刹那の腹部を貫いた剣は刹那の想定以上に深刻なダメージを与えているようだった。
早く回復しないと。血を失った影響か何とも抗いがたい脱力感が刹那を襲う中、服からストックしていた薬草を取り出そうとした刹那に「させないよ?」とコノハの迅速の槍が迫る。槍を避ける目的と薬草摂取の時間稼ぎの目的のためにダンと地を踏んで後方へと跳ぶ刹那だったが、そんな刹那の行動を予知済みのコノハによってすぐさま距離を詰められるせいで刹那に薬草を食べる暇は生まれない。
「えい♪」
「くッ……」
コノハの予知能力による的確な回復妨害を受けて怪我の治癒を諦めざるを得ない刹那は徐々に、しかし確実に劣勢を強いられていく。だがそれでも肝心の刹那の思考回路の8割は相変わらずコノハと世界を同時に救う方法へと裂かれている。コノハの槍による攻撃が次々と刹那の体に切り傷を残していく中であっても、刹那はそれでも戦闘に集中できない。
と、ここで。コノハが自身の攻撃をかわしてばかりの刹那へ槍を振るうのを止めると渾身の力を込めて床を踏みつける。震脚の振動が魔王城全体に響き渡り、そしてコノハの行動の意図を読み切れない刹那の頭上から突如として剣の雨が降り注いだ。
「なッ!?」
重力を味方につけ自身へと一直線に落ちてくる剣の雨に気づき至急回避行動に移る刹那だったが、時すでに遅し。降り注ぐ剣が刹那の左腕を貫き、左肩を貫き、右足を貫き、両の脛を貫き、右太ももを貫き、背中を貫き、ついでに落ちてきた勢いのままに刹那を床に縫いつける。
「がッ、は!?」
「ほら。考え事なんかしてるから、私がその辺のニンゲンが持ってた剣をこっそり天井に蹴り上げてたことにも気づかない」
剣によって無理やり膝をついた状態にさせられた刹那は全身を駆け巡るあまりの激痛に頭が焼かれるような錯覚を覚え、声にならない絶叫を上げようとする。だが声の代わりに血の塊を吐き出す刹那にコノハはつまらなそうに言葉を吐き捨てる。
「なーんだ。私より強い魔王をたくさん倒しておいてこの程度? つまんないなぁー」
テクテクと刹那へと駆け寄ったコノハは刹那を縫いつける複数の剣を手早く抜き取り、ドサッと床に倒れる刹那に向けて槍を振り下ろさんと腕を引く。
『残念だよ、せっちゃん』
『せっちゃんなら私を殺せると思ってた。私を止められると思ってた』
『でも無理なんだね』
『それぐらい私は化け物ってことなんだね』
『ハァ、自殺ができない仕様がホントに憎いよ』
『破滅した世界なんて、見たくないのに』
『皆が死んじゃう世界なんて、見たくないのに』
『あぁ。最悪だ』
『どうしてこうなっちゃったんだろう』
『何も悪いことなんてしてないのに』
『気づけばどこかに閉じ込められていて』
『周りには色んな年代の人たちがたくさんいて』
『でも実験のせいでどんどん数が減っていって、皆死んじゃって』
『でも肝心の私は生き残って』
『こんな化け物になっちゃって』
『何かを生み出すことのない、世界を滅ぼすことしかできない存在になっちゃって』
『せっちゃんまでこの手で殺そうとして』
『人様に迷惑かけてばっかりで』
『恩を仇で返してばっかりで』
『ホント、私って何なんだろう』
『何のための人生だったんだろう』
『私なんてあの時実験で死んじゃえばよかったのに』
『私なんて生まれなければよかったのに』
『そうすればきっとハッピーエンドだったのに』
『あぁ。最悪だよ』
『助けてよ、せっちゃん』
『私、せっちゃんを殺したくないよ』
『もう誰も殺したくないよ』
『世界を滅ぼしたくないよ』
『せっちゃんは勇者さんなんでしょ?』
『ねぇ、せっちゃん……!』
と、その時。刹那の頭の中に直接コノハの心情が雪崩のごとく流れ込んでくる。どうやら欲求に呑まれて洗脳を施されてなお、コノハは自我を保っているようだった。
「それじゃ、せめて断末魔ぐらいは私を楽しませてね」
『避けて、せっちゃんッ!!』
コノハは笑いながら、同時にボロボロと涙を流しながら刹那の頭に槍を突き刺そうとする。予知魔王コノハとしてはハメツの呪文を阻止しようとするニンゲンの殺害にワクワクしていても、まだ心の奥に残っているコノハとしては仕様に従って刹那を自分の手で殺そうとしていることを心から嘆いている。その相反する感情二つが笑いながら泣くコノハを形成しているようだ。
刹那の頭へと迫りくるコノハの槍。自身の体から流れ出る血で形成される血だまりに倒れるのみの刹那には自身の命を確実に刈り取るであろうその槍がスローモーションのように映った。
殺される。
このままだと殺される。
嫌だ、死にたくない。生きたい。
でもだからといってコノハちゃんは傷つけられない。
殺せない、殺したくない。
嫌だ、嫌だ嫌だでも死にたくない生きたい嫌だ嫌だ嫌だ正当防衛嫌だ正当防衛嫌だ嫌だコノハちゃんは殺せないでも死にたくない嫌だ生きたい帰りたい嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だこんな所で終わりたくない嫌だ嫌だ助けて嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ生きたい嫌だ嫌だ嫌だッ!
ぁぁぁぁっぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああfなk;lんw3とあhgねいあwhgねpんzgはいおwht8わhぴあjんg;p3PFGAIOEFNJAHがpげな0ぴthwgなぽんgksじぇた@いJEj@あg0wj4t0愛wjが03w96う13:jlqjt;あj3wぅ6p08あp@おwm、t:tj3@p6いwG*‘OWJWPJR」#%UNFS+?F“Oipj:tawpo4itaJG‘Wごあpwjt」あ@wじゃえw0@4者ptお3うtp0わ@0jtj@が0う93jt0あj3:@2jt3q-03ち93-tzk;gmん;ぇsつっすtあw9+FNWIOJQ*!!
一瞬にも満たない時の中で、刹那の脳内を様々な感情が駆け巡り刹那をグチャグチャにかき乱す。刹那の精神を極限状態にまで追い込んでいく。
――そして。鮮血が飛び散った。
かつてない命の危機に見舞われるせっちゃん。
せっちゃんガンバッ。マジガンバッ。