【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。随分と久しぶりですね。気づけば、前回更新から約5か月です。なんでこう、私ってすぐにエタりそうになるんでしょうかね。
 さて。今回、勇者30サイドのキャラが2名ほどやってきます。ナイトに続いて、はたして誰がやってくるのやら。



Awakening(2)

 

「ま、たまには女神らしいことしてみようかしらね。ふふ」

 

 即席で作ったコノハの墓の前に両膝を抱えて座り、ただ黙するのみの刹那をよそに、時の女神は意味深な笑みを浮かべるとともにスッとその場から姿をかき消す。直後、女神は自身以外の存在を二人引き連れた状態でその場に再び現れた。

 

 一人はエメラルドグリーンの髪をした、盲目の少女。もう一人は女神のオレンジ髪バージョンといっても過言でないほどに時の女神さまとそっくりな少女。

 

 盲目の少女はあたかも当たりの景色が見えているかのように周囲をキョロキョロと見渡し、オレンジ髪の少女は何を思ったのか、無言のままビュオンとの擬音を引き連れて空へと飛び去っていく。と、ここで女神はペロッと可愛く舌を出しつつ「いきなり攫っちゃってごめんね。クゥちゃん」と盲目の少女に謝罪の言葉を口にした。

 

「え、えっと。女神さま? ここは一体、どこですか?」

「ここは女神歴1400年の世界よ。クゥちゃんのいる世界のざっと400年後の未来ね」

「え? え、え――えええええええええ!? よ、400年後!?」

 

 盲目の少女、もといクゥはサラッと女神が突きつけてきた突拍子もない事実に驚愕の声を上げる。その絶叫は刹那の耳にも届いたが、もちろん刹那は無反応のままだ。

 

 

「それでね、あの子にクゥちゃんの歌を聞かせてほしいの」

「えと、あそこに座ってる子ですか?」

「そそ。刹那ちゃんって言うんだけどさ。あの子は大事な友達を失くしたせいでかなり落ち込んでてね、何を言っても無反応なの。だからクゥちゃんの歌であの子の心を動かしてほしいの。後は私が全部何とかするから、ね?」

「……わ、わかりました。何とかやってみます。それが私のできることなら」

「まぁ、気楽にお願いね。もしクゥちゃん一人で厳しそうだったら私やナイトくんも一緒に歌うから。……大丈夫、きっと上手くいくわ。『歌は皆で歌うのが楽しくて、楽しい方が強い』ものね」

 

 女神は今まさに崩壊しかけの世界を救わんばかりに意気込んでいる風なクゥの緊張をほぐすために、クゥの両肩にポンポンと手を乗せてニコリと微笑む。するとクゥは「ふふふ、すっかりユウジャの考えに感化されてますね、女神さま」と笑みを返す。

 

「そりゃあねぇ、私も貴女たちの歌に救われた身だもの。そういうクゥちゃんこそ、なーんかすっかりユウジャのお嫁さんって顔してるわねぇ。落ち着きのある大人な女性って雰囲気を凄く感じるわ」

「ふぇ!? い、いいいや、そ、そんなことは――」

「――で。実際の所、どこまでいったの? さすがにキスぐらいはしたわよね?」

「き、ききききききききき――」

「いえ、してマセン。クゥが奥手中の奥手なのはもとより、ユウジャも日頃は破天荒なくせにこういう時だけビビってクゥに中々手を出さないので、全く仲は進展していマセン。正直、見てる私の方が悶々するレベルデス。うっかり私がまた自爆したくなるほどデス」

 

 普段、一緒に旅をしている男性:ユウジャとの仲について女神から問い質されたクゥは顔を文字通り真っ赤にして動揺を顕わにする。そんな、ロクに回答を得られる状態にないクゥの代わりにビュオンと地上に着地したオレンジ髪の少女――『タイプ 時の女神型アンドロイド MGKV-T NO-30』、もとい30号――が二人の仲を簡潔に告げる。

 

「さ、30号!? 何言っちゃってるの!?」

「あらあら、それは相当ねぇ」

「はい、相当デス」

 

 時の女神型アンドロイドと本物の時の女神さまの2人から生暖かい視線を向けられていることを気配で悟ったクゥは「う、うぅ……」と真っ赤な顔で下を向く。一方、30号は再起動まで少々時間がかかりそうなクゥをよそに「ま、それはさておき」と女神へと視線を動かす。

 

 

「オリジナルの頼みごとから察するに、私まで400年後の未来に連れてくる必要はなかったのデハ? それとも、私にも何かお願いがあるのデスカ?」

「うん。30号にはクゥちゃんを元の時代に連れ帰ってもらいたくてね、それで呼んだの。お願いね」

「……何を言うかと思えバ。オリジナルがクゥを連れてきたんだから自分で責任をもってクゥを私たちの時代に送り返せばいいじゃないデスカ。なんでわざわざ――」

「――30号も知ってるでしょ? タイムストリームの操作にどれだけのお金がかかるか」

 

 クゥだけでなく自分まで呼び出した目的がわからない。そう問いを投げかける30号に女神はやれやれと腕を組み、己の目的を示唆する言葉を口にする。

 

 実の所、時の女神、およびその精巧な模造品である30号は時間操作に金銭エネルギーを使っている。お金は容易に人を動かし、世界を動かす。それほどの莫大なエネルギーを秘めたお金で時空に、タイムストリームに干渉する。それで女神や30号は時を自在に動かしているのだ。要するに、お金を代償にしなければ時を操ることはできないし、ましてや400年もの時間移動にはそれはもう多額のお金を犠牲にしないといけないのだ。

 

 言い換えれば、お金のない女神は時間操作ができないのだ。女神がやたらお金にがめつく、日頃から隙あらば刹那からお金を搾り取っている理由がここにあったりする。

 

「……なるほど、さすがはオリジナル。要するに、少しでも自分の財産を守りたいから私が日々ユウジャから地道に回収し溜めこんでいる財産を使って元の時代に戻れということデスカ。人を攫うだけ攫っておいて帰りを保証しないとか、実に横暴デスネ。相変わらずの守銭奴っぷりに開いた口が塞がりマセン。……しかしそれだけに、オリジナルが大枚はたいて私たちを呼び寄せてまで、あの子を助けようとする理由が気になりマスネ」

「ま、刹那ちゃんにはもう随分と情が移っちゃってるからね。少しぐらいお金を失ったって、それで刹那ちゃんを元気にできるなら安いものよ」

「そうデスカ。オリジナルにそこまで言わせるとは、何だか私もあの子に興味が出てきましたが……それ以上にこの400年後の未来の様子が気になりマス。ちょっと散策しますので、クゥはその子をお願いしマス」

「あ、うん。いってらっしゃい。30号」

 

 30号は刹那のことをクゥに任せると再びビュオンと空高く飛び立っていく。一方、30号の飛び立っていく様を見えない目でしばし眺めた後、クゥはゆったりと刹那へと歩み寄り、膝を折る。そして神に祈るように両手を組み、自作の歌を歌い始めるのだった。

 

 




 壊れたせっちゃんの心を取り戻すべく、歌を歌い始めるクゥ。
 クゥちゃんガンバッ。マジガンバッ。

 ちなみに。ユウジャ、クゥ、30号は女神歴999年の世界で、闇堕ちした時の女神を救うべく頑張ったメンバーです。個人的に勇者30の中で最も好きなキャラたちだったりします。あと、この二次創作でのユウジャの出番はお察しください。


 ~ちょっとしたおまけ(本編の雰囲気的にカットした部分)~

ナイト「あ! クゥさんに30号さんじゃないですか! 久しぶりですね!」
クゥ「えーと……すみません、声に聞き覚えがないんですが、その、どちら様ですか?」
30号「貴方は誰ですか? 初対面なのに妙に馴れ馴れしいデスネ」
ナイト「え、え? ちょっ、二人とも冗談ですよね?」
時の女神さま「そういえば貴方、誰かしら?」
ナイト「便乗しないでくださいよ、女神さまぁ!」

 ナイトくん涙目の巻。
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