【完結】勇者刹那30   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。この最終話は軽く10話超えるような気がしてきた今日この頃です。ま、最終話だからそれぐらい気合い入れても問題ないでしょうけど。



Union(2)

 

 最後の人造魔王こと創生魔王マギがハメツの呪文を唱えたことでスルク大陸が最後の戦場と化した中。刹那とナイトはたった二人、魔王マギが解き放ち、今まさに眼前に迫りくるモンスターの軍勢を相手にそれぞれの武器を振るい続けていた。

 

 軽く万は超えているモンスター集団を一体一体相手していたら、あっという間にモンスターの波に呑み込まれてしまう。そうしたら刹那&ナイトの背後の村はモンスターにただただ蹂躙されてしまう。一匹たりともモンスターを通してはいけない、ゆえに刹那はとにかくモンスターを一体でも多く巻き込む攻撃に重点を置くことにした。

 

 

「はぁぁああああああああ!!」

 

 いつものように時の女神から超速レベルアップの恩恵を施された刹那は、縦横無尽に聖刀カナメを振るう。斬空閃、斬鉄閃、百花繚乱で飛行系モンスターを遠くへ吹き飛ばし、墜落させる。斬岩剣、斬魔剣、雷鳴剣、極大・雷鳴剣、斬空掌・散で近くまで寄ってきた二足歩行型モンスターを薙ぎ払う。既にこの異世界で何度も実戦を重ねてきた勇者刹那は対峙するモンスター全てを一撃で滅していく。

 

 その一騎当千な活躍を見せる刹那の傍らでは、刹那が倒し損ねたモンスターを倒すナイトの姿があった。刹那のように多量のモンスターを一気に片づける技を持たないナイトは、刹那が時折起こす小さなミスが致命的な事態にならないようカバーすることに重点を置いて行動していく。

 

 

 現状、刹那とナイトはモンスターの軍勢相手に上手く対処しているように思われた。だが、状況は刹那たちにとって絶望的なことに変わりなかった。

 

 確かにナイトのサポートのおかげで、刹那は己の身を顧みずただモンスターを蹴散らすことに集中できる。確かに超速レベルアップの恩恵のおかげで、刹那のレベルはガンガン上がり身体能力は飛躍的に向上している。確かにこれまでの魔王討伐時とは比べ物にならない数のモンスターを相手しているおかげで、時間を巻き戻すためのお金はジャンジャン回収できている。

 

 しかし、それでも多勢に無勢。

 いくら刹那がモンスターを一撃で倒せるようになっていても。

 いくら刹那のミスによるモンスターの取りこぼしをナイトが必死にカバーしていても。

 いくら潤沢なお金を使って何度も女神に時を巻き戻してもらっても。

 

 いつまでも戦場で精神をすり減らしている二人の集中力が持つわけがない。

 倒せど倒せど全く減る気配のないモンスターの進軍を止められるわけがない。

 魔王マギの指示で自軍の進行の邪魔者よりも村の襲撃を優先するよう言い含められているモンスターたちの勢いを止められるわけがない。

 限界が訪れないわけがない。

 

 

「ッ!? マズい!」

 

 よって。刹那とナイトという、村を守る最後の壁を通り抜けるモンスターが加速度的に現れ始めるのも時間の問題だったと言えよう。

 

(ダメだ、このままじゃあ……!)

 

 刹那は村へ一直線に駆けていくモンスターの一陣に氣を飛ばすも、軍勢の一部を吹き飛ばすのみに終わる。焼け石に水なのは火を見るよりも明らかだった。このままではモンスターの村への流入を許してしまうのは覆しようもない現実だった。

 

 しかし、だからといって今自分のいる場所から動いてしまえばさらなるモンスターの流入を許してしまう。刹那にできるのは、村へとゾロゾロと入っていくモンスターの一群をしり目に、眼前にわらわらひしめいているモンスター勢を斬り伏せることだけだった。

 

 刹那は数秒後の未来には起こるであろう村での惨劇を脳裏に浮かべ、ギリリと歯噛みする。それはモンスターの勢いを止められず、魔王マギの思い通りの展開を変えられない自分への憤りだった。しかし、その刹那の怒りはすぐに霧散した。なぜなら、村へと入っていったモンスターの一群が突然、纏めて村外へと吹っ飛ばされていったからだ。

 

 

「「「……え?」」」

 

 まさかの光景に思わず固まる刹那、ナイト、女神。戦場において致命的な隙を見せた三人の内の刹那に狙いを定めた一匹の二足歩行型モンスターが背後から刀を振り下ろさんとする。だが、そのモンスターは何の前触れもなく上空から振ってきた何かによってグシャリと潰された。刹那たちは空から落ちてきた何かを呆然と見上げる。その視線の先にあったのは――白と青を基調にした、全長5メートル程度の人型ロボットだった。

 

 え、何これ? 何だこれ? と刹那たちが困惑する中。空から次々と人型ロボットが降ってくる。村から次々と人型ロボットが姿を現してくる。軽く30体は超えるであろう人型ロボットたちは拳、剣、斧、目からビームなど、それぞれの攻撃手段でモンスターたちを一掃していく。刹那とナイトの二人だけでは止められなかったモンスターの軍勢を少しずつ押し返していく。

 

 

(これは、この状況は、一体……?)

「ふん、この程度か。所詮は烏合の衆、他愛ないな」

「へぇ、あんた凄いじゃないか。見直したよ」

 

 未だ困惑中のままのナイト、女神に先んじていくらか平静を取り戻した刹那が現状を少しでも正確に把握するために周囲を一瞥しようとした時。刹那の背後から聞き覚えのある二人の声が届いた。「え?」と思わず漏らした声とともに刹那は振り向く。

 

 この時、刹那は。死んだ魚のようなエメラルドグリーンの瞳以外はフェイト・アーウェルンクスとそっくりな白衣の少年:レイフィールと、ヘアピンの代わりに四角いゴーグルを頭に付けた朝倉和美とそっくりな刀鍛冶:マキナが並び立つ姿を両眼に捉えたのだった。

 

 




 援軍登場でひとまず絶望展開を回避できたせっちゃん。
 やったねせっちゃん、ラッキーだね!
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